yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

東京地下道1949■第8回アメリカ保安部戦争孤児ハンター部隊、ロパート軍曹に捕まり拷問を受けたナイフの鉄は、襲撃計画を思わずつぶやく。次の日、戦争孤児達の食料トラック襲撃は成功するかに見えたが。

TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命は
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東京地下道1949■第8回アメリカ保安部戦争孤児ハンター部隊、ロパート軍曹に捕まり拷問を受けたナイフの鉄は、襲撃計画を思わずつぶやく。次の日、戦争孤児達の食料トラック襲撃は成功するかに見えたが。
 

東京地下道1949■第8回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

 ●http://www.yamada-kikaku.com/

 

 

クモと聞いて、口もきけないほどふるえている鉄を、ブッチャー(屠殺人)ロバートは片手でつまみあげ、

 下を歩み、新たなドアの前に立った。

「それじゃ、しばしのお別れだ。テツ。寂しいがな。何か話すつもりになったら、ドアを

必死にたたくんだな」

 反動をつけ、鉄をほうりこみ、ドアをしめた。

まつ暗闇だ。

投げ込まれた時、鉄の体の下で何かぐしゃりと、つぶれ、ねばりついた。

くもだ。それもクモの大群の上だ。

体の上にクモがはいががろうとする。

顔上にも、手の甲にもクモが続々とはいあがってくる。

「くうう」

鉄は腰がぬけそうになる。

もうだまだ。体が、心が、、

ドアの方へ必死ではいよっていく。

 

その間にもズボンやシャツの中ヘ、クモの大群がはいってくるのが、わかる。

体じゆう、タモがはいまわる。

「ヴわー、やめてぐれ。出してくれ。出してく、」

 力の限り、 鉄はドアをたたく。

 

しばらくして、ドアが開けられた時、もう鉄は気を失っている。

 

水をかけられ。

「竜のグループは、明日二時、有栖川宮公園、B地点で食糧運搬トラックを襲う。

お願いだから、そのクモを、、」

 そこまでしゃべり、鉄は慙愧の念にかられながら、意識をうしなう。

 

 

「隠れ家より、おもしろいことを言ったな。食糧トラックか。ちようどいい。やつら皆殺じだ。

よし、こいつを独房にほおりこんでおけ」

 

 ロパートは、近くの衛兵にそうどなり、いきようようとライリー大尉の部屋へ向う。

いま得たばかりの情報を持ち、さあジャップをどう始末してやろうと、意気揚々と廊下を歩き始めた。

 

 

 

翌日は寒い日だった。昼頃からは天候がくずれ始め、雪まじりの雨が降る。

舗装がまだ完全ではない、トウキョウの道は、泥濘の道となる。 

 

 M8装甲車が三台、食糧運搬トラックの先導を努めている。

後には12台の食料トラックが続く。

 

有栖川宮公園、B地点では、ムサシのグループの数人、がーmくらいの金属棒状のものを、

にぎりしめていた。その他の者も、各々略奪したらしいアメリカ製の武器を手に手に持ち、

待機している。今、食糧トラックが通過しつつある道の両側に、息をひそめた数百名の

ベビー・ギャングが身を隠している。

 

 先導のM8装甲車が爆発した。銃座の機銃手も反応できない。

あとかたもなく吹きとぶ。

 

金属の土管状のものから発射された弾丸が、恐るべき破壊力をしめしたのだ。

 米軍は応戦の姿勢をただちにとった。

護衛兵が散開し、トラックからも、機銃が掃射される。

 

 ムサジは自分達のみつけた砲の破壊力の大きさに呆然自失していた。

 

 ムサシは知らなかったが、この砲は、旧日本車が、戦争末期限開発していた簡易無反動

砲だった。本土決戦のため、昭和20年に試作されたもので、アメリカ軍のバズーカ砲に相

当すると考えていいだろう。

本土決戦の際はすでに輸送網が寸断されていたため、実戦には使用されなかった。

 

ムサシ達ぽこれをトウキョウ市の軍需工場に放棄されていた軍用列車の中で発見したのだ。

 ベビー・ギャングは、トラックの運転席を一つ二つねらいうちにしていく。

やがて無反動砲のために、米軍は壊滅し、兵は逃げさったようだ。

 

ムサシ達は、用心深く、運搬車に近づいていく。むろん、竜のグループもその中に混じって

いる。

 食糧袋を焼けないうちにひきずり出さねばならない。多くの浮浪児たちが、獲物にむら

がるアリのように袋を奪っていた。

 一入の少年が、袋を持ちあげようとして、下に落とした時、パニックが始まった。

 袋の中は砂だった。

 ムサシはすぺての袋を調べるように命じた。

中身はすべて砂や石だ。

 

「罠だ。皆すぐに逃げるんだ。ぐずぐずする」

彼らは獲物をほうりだし、我先にと逃はじめた。 

 遅かった。

爆音がムサシたちの耳にはいってくる。

 

米軍の戦闘機だった。

 

続く20191007改訂

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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緑なる星にて第2回■クリアキンの宇宙船は、地球を占領しているロウ成人の攻撃を受け破壊されるが、特別な仕掛けでロケットの墓場で再生される。

GS緑なす星にて(1978年)クリアキンとイアラは地球を救うべき最終判断をした。
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緑なる星にて第2回■クリアキンの宇宙船は、地球を占領しているロウ成人の攻撃を受け破壊されるが、特別な仕掛けでロケットの墓場で再生される。
 

緑なる星にて第2回

(1978年)「もり」発表作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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宇宙連邦は宇宙。の秩序を守ることを目的とする組織であり。人類はその組織を知らずに

自分勝手に星々を荒しまわっていた。連邦は人間が有害であると確認し。絶滅を決定した’

が恩赦によりわずかの人々が地球をのがれ他の星へ移り住む許しを得た。彼らは羊船団と

呼ばれた。

羊船団の出発浚。宇宙連邦の中でも残忍なことで有名なロウ人が襲来した。

 

 

■クリアキンはエの面影を心にいだきながら、地球にもどってきた。

ロウ人の支配する地球へ。地球人はもうだれもいないはずだった。

48才になったクリアキンは、青い瞳でバ不思議なほどに青い地球をながめていた。

 

「帰ってきたぞ、イアラ」

 

 クリアキンは独りごちた。

 

長期の逃亡生活はクリアキンを闘士にしたてあげこそすれ、老いは感じさせなか った。

 

■ロウ人の戦闘艇があらわれた。

「停船しろ。貴船コールサイン及び名称をいえ。」

クリアキンは答えない。 

「くりかえす。停船しろ。貴船のコールサイ y及び名前をいえ。」

 

ロウ人は銀河共通語ギャーフクテカでわめきたてる。

 クリアキンの船は速度を増す。

 

「これが最後だぞ。停止しろ。コールサイン及び船名だ。」

「やむを得ない。攻撃する」

 

 メーザー・ガンが発射された。

 

クリアキンは船の自己防衛システムと自動操縦装置を連動させ、

すばやく、宇宙船内に収納してある捕助艇に乗り移った。

 

この捕助艇はあまりに小さい。

直径5mのポールだ。外形はさびついていてスクラップのように見える。

 

宇宙船の部品の一部のようにもみえる。

しかし内部は最高の技術でコンパクトにまとめられている。

コプクピット(操縦席)内で全装置のチェックをおわった後、

クリアキンは、大きな船の方の自己分解装置のスイプチをONにしたヽ。

 

 クリアキンの大きい船体は大爆発をおこす。

 

ロウ人は自分達が発射したメーザガンが命中し、クリアキンの船を破壊できたと思いこむ。

 

バラバラになったクリアキンの船の残骸。

機械の一部分にみえる捕助艇もその中にあり、カモフラージュされている。

 

ロウ人の船が残骸を収集し分析するために近づいてきた。船の下部より多数のロボットアームを出し。一つ残さずクリアキンの船の残骸を集め;船の内部に収容した。

 

やがてロウの戦闘艇は地球へもどる。

 

成層圏を、そしてロウ人の防衛ラインを突破した。

 

クリアキンの予定行動地点上空にさしかかる。

 

この時をじっと待っていたクリアキンは行動に侈る急激に長さ10数mの針が捕助艇のすみずみから飛びだす。他の残骸からも針が飛び出す。

 

針はロウ人の戦闘艇内部をつきやぶり、その針から強烈なエネルギーが発射された。

 

ロウ人の戦闘艇は内部爆発を数度くりかえし、操船不可能となり、宇宙船の墓場と呼ばれる地域の上で完全に吹き飛んだ。

 

 クリアキンの小型の捕助艇はロウ人の船の大爆発の瞬間。外装をつきやぶり、勢いづいて、墓場につっこみ、地中に何mもくいこんだ。

 

■ロケットの墓場」は地球人がに地球にみちあふれていた時代からあるもので、役に立たなく

なったロケットや形の古くなった船が世界各地から集められ、雨ざらしになっていた。

 

広さは小さな砂漠一つ分だ。

 

 捕助艇のコックピットよりはいでたクリアキンはあたりをみわたした。

 

数年ぶりで足の下にする地球だ。

 

例え、最初に辿り着いた場所が宇宙船の墓場であろうと、地球の上であることに

かわりはない。

 

「宇宙船の墓場か。俺にふさわしいかもしれない」

クリアキンは思う。なぜかこの場所にはもどってこないような気がした。

 

クリアキンの船は特別に作られたものだ。

残骸が全部合体して新しい船が構築される。パラパラに分解した

部品一個一個に電子頭脳が埋めこまれている。

 

いわば一つの部品がロボットなのだ。もし部品がいくらかたりなくても、この地平線までも埋めつくすロケッ卜の墓場から部品を捜しだせるとクリアキンは考えていた。

 

「それにしても何と寒々とした所だ」

 

クリアキンは自分の艇を隠す場所として選んだこの地域を見て思いあたった。

 

緑なる星にて第2回

(1978年)「もり」発表作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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東京地下道1949■第7回米軍保安部、戦争孤児ハンター部隊、ライリー大尉を傷つけたナイフの鉄だが、ロパート軍曹に捕まり監獄に。拷問を受けて、戦争孤児グループの竜たちの居所を探られる。

TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命は
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東京地下道1949■第7回米軍保安部、戦争孤児ハンター部隊、ライリー大尉を傷つけたナイフの鉄だが、ロパート軍曹に捕まり監獄に。拷問を受けて、戦争孤児グループの竜たちの居所を探られる。
 

東京地下道1949■第7回

飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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「鉄,逃げられないぞ。出て来い!ナイフをまず投げ出すんだ」

日本語で叫ぶ

 鉄の隠れている木材置場にライトが照らされた。鉄はそのライトで目がくらむ。

おまけに、相手は鉄の名前を知っている。

ふるえが鉄の体を襲う。アメ公だ。

どうやら進藤の店からつけてきたようだ。進藤のおっさん、俺のことばらしやがったな。

と鉄は思う。

 

「わかったよ。まだ殺らされたくない。いまでていくから、撃たないでくれよ」

「ようし、ゆっくりとだぞ。ナイフを先に投げろ」

 鉄は、あきらめた様子でナイフを二丁、遠くの地面へ投げだす。

男が近づいてきた。

「ようし、いい子だ。おとなしくしな」

 その長身のアメリカ入が目前に来た時、鉄は服のエリから、

三丁目の小型ナイフをひき出し、まうえから切りつけた。

 

 ライリー大尉はとっさに身を投げだす。

がナイフはわずかにほほをかする。さらに鉄は顔をねらい体ごと、突きこむ。

ライリーは銃身でそれを防いだ。

 鉄は、急激なショックを後頭部に受け、前にのめった。

 

「大尉、あぶなかったですな。あなたともあろう方が」

 地面にのびている鉄の上に、大男のロバート軍曹のシルエットがかぶる。

「このガキ、3つめのナイフを、服のエリに隠していやがったんだ。このしかえしはどうせたっぷり’

としてやる」

「それじゃ、こいつを拷問にかけて、竜たちの居所をさぐるわけですな。楽しみです」

「そういうことだ。やり方はお前にまかせる」

 

 ライリーは、ほほからしたたる血をしきりにぬぐっている。

「くそ、ジャップめ、皆殺しだ」

ロバートは、片手で鉄の体を軽々と持ち上げ、ジープの後部座席へほうりこんだ。

 

 

鉄は椅子にしばりつけられている。

格子窓から月光が差しこんでいる。

寒々とした広い部屋だ。

わけのわからない道具が所せましと並べられている。

 

 平手打ちを受け、鉄が目を開けた時、目の前に、大男のにやにや笑いがあった。

「鉄、竜たちは、いまどこにいるんだ。隠れ家をいうんだ」

「知らないな。俺はもう竜のグループと手を切ったんだ。たとえ知っていてもアメ公なんかに誰が言うもんか」

 

 強烈な打撃が鉄の腹に加えられた。椅子ごと鉄はとびあがり、壁に激しくぶつかった。

水をかけられ、息をふき帰す。イスは形をとどめていない。

「おい、鉄、さっきか前がナイフで切りつけた相手がだれか知っているか」

鉄,はかたぐなにだまっている。

「ハンターライリーさ」

 鉄は驚いた。それじゃこの前にいるコヤツのは。

「そうさ、俺が、有名なブッチャー(屠殺人)ロバートさ」

 

同時に軍用ブーツが,顔にのしかかってきた。

鼻血が噴出し。歯がメキメキと音をたてて折れた。

 

「いいか、よく聞けよ。俺の上司の、ライリー大尉は非常のお怒りだ。何せお前にファニー・フェイスを傷つけら

れたからな。むろん、プレイドもな。だから俺はお前をじわじわとなぷり殺すことを許されている」

 

ブッチャー(屠殺人)ロバートは、血まみれミンチ肉になっている鉄の顔をゆくりと見直す。

相手の恐怖をゆっくり呼び起こし、犠牲者のその恐怖の有様を楽しもうとしている。

「お前が何もしゃべらないなら、手の指から一本ずつ切り離していくぞ」

そこでロパートは言葉を切る。

そばの机の書類に目を落とした。

「そのつもりだったが、俺は慈悲深いぜ。感謝しな」

「もっと、いい、お前にとって好ましいことを思いついた。進藤から耳よりの話を聞いたのだ。

ごくんと、鉄は血まみれののどを鳴らす。

「お前はクモが大嫌い、、、だそうだな。本当か」

鉄の心臓が波うった。

この世界で何も俺は恐れない。がクモだけは。

「そうか。どうやら、まだいうつもりがないらしな。それに進藤の話も確かめなければ

ならんな」

にやりと、ブッチャー(屠殺人)ロバートは、血まみれの鉄を覗き込んだ。

(続く)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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東京地下道1949■第6回米軍占領下、米軍保安部「ハンターライリーとプッチヤー・ロパート」に、ふるえあがらない戦争孤児はいない。故売屋進藤と江戸城地図で揉めるナイフの鉄を2人が追う。

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東京地下道1949■第6回米軍占領下、米軍保安部「ハンターライリーとプッチヤー・ロパート」に、ふるえあがらない戦争孤児はいない。故売屋進藤と江戸城地図で揉めるナイフの鉄を2人が追う。
 

東京地下道1949■第6回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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東京地下道1949■第6回

鉄は、進藤の店テーブルの上の地図をわしづかみにする。

 「それじゃ、悪い。じゃましたな。またな。進藤のおやっさん

あわてて、故買屋、進藤は鉄に呼ぴかける。

 

「その地図、あずかって訃いてもいいぜ。高くは売れないだろうが、ものずきがいるかも

しれない。銃弾二箱となら、変えてもいいぜ」

 

 「ほう、価値のない地図と、銃弾二箱と」

 鉄は進藤をにらみつける。

 

「それくらいなら、こうだ。」

鉄は地図をやぷろうとする。

 「やめろ、それは・・・・。」

 鉄は、進藤の服のエリをつかんだ。

 

 「おっさん、悪い冗談はやめろよな。どうやらたいへんなものらしいな。この地図は」

 進藤の眼をにらみつける。

 「はっきりいいなよ。この地図は何だ。いわないと、明日からメガネをかけるのに不自由

するぜ」

 

鉄の右手に、ナイフがにぎられている。

 恐怖におぴえる進藤の目に、アメリカ軍占領軍のジープが近づくてくるのが、みえた。

 

「いけね、アメ公だ」

 風のすぱやさで、進藤の店から、鉄は走り去った。

 息をゼイゼイいわせながら、首を押さえた進藤は、そのジープの乗り手が、上客の保安

部のライリー大尉であることを認めた。

「ガキめ、ただじゃすまさないぞ。この進藤を甘くみるなよ。ほえずらかかせてやる」

 

 店の前にジープで乗りつけたライリー大尉に向い、しわがれ声で叫んだ。

「今、走りでたガキをつかまえて下さい。奴は「ナイフの鉄」です。早く、大尉」

ライリーはその声を聞くやいなや、ジーブを反転させ、鉄を追いかける。

 

 鉄を始め、竜のダループは、このトウキョウのアメリカ軍占領地区では、「ベビーギヤング」として特にマークされている。

 ライリーと、同乗して運転しているロバート軍曹は、各々トンプソン・ザブマシガンと、

M3グリースガンを構えた。

 

 進藤はあわてて、電話をかけていた。

「地図をみつけました。いえまちがいなく、あの地図です。ええ、『ナイフの鉄』とい夕

浮浪児です。今米軍のライリーが追いかけています。おそらくつかまるでしよう。ハンタ

ーの威名を持つライリーの事ですから。でも御心配なく、奴は保安部の入間ですから、

「ベビーギヤング」竜のグループのことを聞き出すことに全力をあげるでしょう。

地図ですか。いえまだ鉄が持っています。ご心配なく、奴が気づかないように地図のコピー写真をとりました。

それじゃ、お札の方はお忘れなく、例の場所で」

 

進藤は電話を切り、にんまりほくそ笑んだ。

 

 『ナイフの鉄』は、相手をまけるはずと思っていた。

なにしろ、このあたりは、鉄の庭も同然だった。

 

相手はジープを乗り捨てたようだ。

車でははいってこれない路地だった。路地にたむろする日本人たちが何がおこたのかと

騒ぎ見守っている。

 鉄の誤算は、相手が、「ハンター・ライリーとプッチヤー・ロパート」のペアだ、としらなかったこ

とだ。

 

 アメリカ保安部の「ハンターライリーとプッチヤー・ロパート」の名前を聞き、ふるえあがらない

「ベビーギヤング」や浮浪児がいれば、お目にかかりたい。

 餌食になった者、数百名。

ほとんどが殺されゐか、半死半生の目にあわされ不愚者となっていた。彼らは年少者だからとい

って容赦はしない。彼らは生まれながらのサデイストのコンビで、ちょうどいい職場を、この東洋の占領地日本トウキョウで与えられていた。

 

黒い影が、秘かに、おびえる鉄に近づいてくる。獲物を、ねらう肉食動物の動きを思わせる。

鉄は敵の動きを息をひそめて見守りながら、ナイフを手ににぎる。

手汗でナイフがすべりそうになる。恐怖ゆえのアドレナリンの分泌だ。

 

 そいつは、まるで鉄のい場所を知っているかのごとく、肉迫してくる。

影から判断して、どうやら相手はサブマシンガンを手にしている。

やばいことになったと鉄は思う。かなりベビー・ギャング狩りに慣れている奴だ。

 

続く090901改訂

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東京地下道1949■第5回戦争孤児グループの竜は、食糧貯蔵庫の襲撃のために下見に。そこで 敵対するグループのムサシに出会うが共闘になり 会議へと。鉄は、故買屋進藤を訪れて旧い江戸城の地図を見せるが。

TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命は
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東京地下道1949■第5回戦争孤児グループの竜は、食糧貯蔵庫の襲撃のために下見に。そこで 敵対するグループのムサシに出会うが共闘になり 会議へと。鉄は、故買屋進藤を訪れて旧い江戸城の地図を見せるが。
 

東京地下道1949■第5回

飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)

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東京地下道1949■第5回 

 

米軍食糧貯蔵庫は、ゆうに100万人の人々の口を養うことができる。

トウキョウ市では餓死者が続出していた。

食糧はいくらでも高く売ることができるのだ。

食糧庫から、トウキョウ市内の米軍キヤンプヘ食糧が一日数回搬出されている。

 

竜たちベビーギャングは、そのトラックをねらっていた。

竜は、夜の闇にまぎれ、食糧庫に近づく。

サーチライトが、あたりを照らし、番犬が鉄条網内でとき放たれ、動き回まっている。

 

「竜、ひさしぶりだな」

 背後から声がかかった。

「おっと、銃には手をかけるなよ。こちらは4人。皆、すでに銃を手にしている。ゆっくりこちらを向きな」

「ムサシか。ごこで、昔のしかえしを受けるわけか」

「そうしたいのは、ヤマヤマなんだが、どうやら、お前もあれをねらっているらしいな」

 

 上背190mをこえる大男、ムサシば貯蔵庫の方を指さす。

ムサシはこのあたり一帯を、とりしきる浮浪児のグループ(ベビーギャング)の長だった。

その支配下の戦争孤児の数は300名をはるかに越えている。

 

 かって、竜は、このムサシに手ひどい仕打ちをしたことかある。

「違うといっても隠しようがないな。そうだ。おれたちは、あの食糧庫の搬出トラックを狙ってているさ」

「実は、俺達も.その搬出トラックをねらっている」

 

ムサシは、竜をじっと見つめた。 

「そこで相談だが、手を引け、といっても引きさがるか前じゃない。」

  竜の手に汗がしみでている。

 「手を組むか」ムサシは威嚇的に言う。

 「わかった。俺達のグループ人数では手にあまる仕事だと思っていたところだ」

 「そうとなりゃ、話が早い。この3人は俺の知りあいだ。俺のグループと、こいつら各々の手下。それにお前のグループと5つのグループで襲撃することにする。それじゃ、俺の アジトヘ来てくれるか。」

 「わかった。しかし、ムサシ、変なまねだけはするなよ」

 「お前にそれを言われると不思議な気がする ぜ。ところで鉄は元気か。」

 「でていったよ」

 「いつ」

「さっきさ。残念そうな顔つきだな」

 

 ムサシは右手を竜の方へむけた。

右手のくすり指が、第三関節からなかった。

以前のいざこざの時、鉄のナイフが切り取ったのだ。

「鉄とは会いたかったな」  

 ムサシの目に残忍な光が宿る。

 

そのナイフの鉄は、その時、故買屋、進藤の店を訪れていた。

進藤の店テーブルの上には、例の地図が拡げられている。

進藤は静かにその地図をながめていた。

が、一瞬、驚きの表情があらわれたようだった。

それが突然不機嫌な表情にかわる。

 

その顔つきでテーブルの下に設置してあるスイプチを操作する。カシャカシャという音が上の方から聞こえてくる。

 「だめだね、鉄。残念ながら、値打ちなんかない。高く買うわけにはいかないよ。もっと いい出物はないのかね。近頃はいい出物がなくて困っている。いいヤマに当らないのか。

 竜はどうしている。今度はどんな仕事だね。いい仕事なら前金を渡してやってもいいよ」

 

「おっさんには関係のないことさ」鉄がいう。

 

(続く)20090501改定

 

 

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東京地下道1949■第5回戦争孤児グループの竜は、食糧貯蔵庫の襲撃のために下見に。そこで 敵対するグループのムサシに出会うが共闘になり 会議へと。鉄は、故買屋進藤を訪れて旧い江戸城の地図を見せるが。

TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命は
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東京地下道1949■第5回戦争孤児グループの竜は、食糧貯蔵庫の襲撃のために下見に。そこで 敵対するグループのムサシに出会うが共闘になり 会議へと。鉄は、故買屋進藤を訪れて旧い江戸城の地図を見せるが。
 

東京地下道1949■第5回

飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)

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東京地下道1949■第5回 

 

米軍食糧貯蔵庫は、ゆうに100万人の人々の口を養うことができる。

トウキョウ市では餓死者が続出していた。

食糧はいくらでも高く売ることができるのだ。

食糧庫から、トウキョウ市内の米軍キヤンプヘ食糧が一日数回搬出されている。

 

竜たちベビーギャングは、そのトラックをねらっていた。

竜は、夜の闇にまぎれ、食糧庫に近づく。

サーチライトが、あたりを照らし、番犬が鉄条網内でとき放たれ、動き回まっている。

 

「竜、ひさしぶりだな」

 背後から声がかかった。

「おっと、銃には手をかけるなよ。こちらは4人。皆、すでに銃を手にしている。ゆっくりこちらを向きな」

「ムサシか。ごこで、昔のしかえしを受けるわけか」

「そうしたいのは、ヤマヤマなんだが、どうやら、お前もあれをねらっているらしいな」

 

 上背190mをこえる大男、ムサシば貯蔵庫の方を指さす。

ムサシはこのあたり一帯を、とりしきる浮浪児のグループ(ベビーギャング)の長だった。

その支配下の戦争孤児の数は300名をはるかに越えている。

 

 かって、竜は、このムサシに手ひどい仕打ちをしたことかある。

「違うといっても隠しようがないな。そうだ。おれたちは、あの食糧庫の搬出トラックを狙ってているさ」

「実は、俺達も.その搬出トラックをねらっている」

 

ムサシは、竜をじっと見つめた。 

「そこで相談だが、手を引け、といっても引きさがるか前じゃない。」

  竜の手に汗がしみでている。

 「手を組むか」ムサシは威嚇的に言う。

 「わかった。俺達のグループ人数では手にあまる仕事だと思っていたところだ」

 「そうとなりゃ、話が早い。この3人は俺の知りあいだ。俺のグループと、こいつら各々の手下。それにお前のグループと5つのグループで襲撃することにする。それじゃ、俺の アジトヘ来てくれるか。」

 「わかった。しかし、ムサシ、変なまねだけはするなよ」

 「お前にそれを言われると不思議な気がする ぜ。ところで鉄は元気か。」

 「でていったよ」

 「いつ」

「さっきさ。残念そうな顔つきだな」

 

 ムサシは右手を竜の方へむけた。

右手のくすり指が、第三関節からなかった。

以前のいざこざの時、鉄のナイフが切り取ったのだ。

「鉄とは会いたかったな」  

 ムサシの目に残忍な光が宿る。

 

そのナイフの鉄は、その時、故買屋、進藤の店を訪れていた。

進藤の店テーブルの上には、例の地図が拡げられている。

進藤は静かにその地図をながめていた。

が、一瞬、驚きの表情があらわれたようだった。

それが突然不機嫌な表情にかわる。

 

その顔つきでテーブルの下に設置してあるスイプチを操作する。カシャカシャという音が上の方から聞こえてくる。

 「だめだね、鉄。残念ながら、値打ちなんかない。高く買うわけにはいかないよ。もっと いい出物はないのかね。近頃はいい出物がなくて困っている。いいヤマに当らないのか。

 竜はどうしている。今度はどんな仕事だね。いい仕事なら前金を渡してやってもいいよ」

 

「おっさんには関係のないことさ」鉄がいう。

 

(続く)20090501改定

 

 

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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東京地下道1949■第4回浮浪児のグループの運営で、首領の竜と鉄はもめる。竜の妹恵がなだめようと、鉄は獲物のロシア人所有の昔の江戸城の地図をうばい逃走。

TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命は
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東京地下道1949■第4回浮浪児のグループの運営で、首領の竜と鉄はもめる。竜の妹恵がなだめようと、鉄は獲物のロシア人所有の昔の江戸城の地図をうばい逃走。
 

東京地下道1949■第4回

飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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東京地下道1949■第4回 

 

ナイフの鉄のどす黒い顔がうなる。

「ああ、おおありだよ。このグループの方針て奴だ。なんで全員が一度な、竜よ。お前さんの前で獲物を、広げるなきゃならないのだ。でめえでとった獲物は、総て自分の物でいいじゃないか」

 

「鉄よ。グループの掟を忘れたのか。相互補助ってのがグループの基本のルールなんだぜ。お前、それとも忘れたのか。お前、鉄が、アメリカ保安部隊に撃たれて、熱を出し、うなっていた時、ここにいる皆にな、看病してもらったことを」

 

鉄の顔が赤くなり、しばらく黙って、それからまた、うなる。

「それはそれ。これはこれさ」

少し考えていう。

 

「力のある者が、より多くをちようだいする。これがあたり前だぜ。涙ちょうだいの平等主義なんて、、アメ公だけでたくさんだ。ゲップがでるぜ。わかったぜ。俺はなあ、この相互補助のグループとやらを抜けさしてもらうさ」

「ああ、いいぜ、でていけ」グールプの首領である竜が声高におおじた。

 

「兄さん」

 竜の妹の恵が、兄をなだめようとした。

 

そして鉄に言った。

「鉄、いま、グループを離れるのねは危ないわ。アメリカ保安部隊がベビーギャング狩りに力を入れているのよ。特にあなたは凶悪な部類「ウオンテッド・リスト」に載っているわ」

恵は強く言った。

 

「いい、鉄。考えなさい。考え直しなさい。グループには、いえ、竜兄さんにはあなたが必要なの。まして、明日の食糧車襲撃はどうするの」

 

鉄が、アメリカ保安部隊に撃たた傷でうなっていた時、に主に病してもらった 実は竜のいもうとの恵なのだ。それを鉄は恩に思っているし、恵みには頭があがらない。

 

鉄に悲しそうに恵に言った。

「恵、お前には特に世話はなっているが、これだけはどうもな。俺は、やはり、集団行動ってのが性にあわないんだ。それに俺には、この守り神があるからな」

 

 鉄は、愛しい子を触るように、服の袖から隠していたナイフを取り出し、刃先をエロチックに口びるでなでる。

 

「いい、ほおっておけ、恵」

 竜のきびしい声がとぶ。

「こいつにかまうんじゃない」

「でも兄さん」

 

「ふふ、兄妹けんかは、ほかでしてくれよ。おみやげにこのトカレフはもらっていくぜ」

 

 鉄は、今日の獲物、ソビエト軍製の「トカレフ」拳銃に再び手をのぱす。

 

竜の拳銃が火を吹く。が鉄にあたってはいない。

「何をするんだ」

 鉄は、反射的に竜にナイフを投げようとし、一瞬思いとどまった。

 

「よしな。そのトカレフ拳銃は、置いていくんだ」

 

 鉄は竜をにらんでいたが、しばらくして、ニヤリと笑う。

 

「わかったよ。トカレフは、竜、お前さんへの最後のプレゼントだ」           

 

 鉄は、アジト入口のドアを開け、荒々しくでていった。

 

不思議なことに、先刻手に入れたカバンの事はー言もいわなかった。

 

隠れ家に、しばらく静寂があった。 いやな雰囲気をかき消すように

竜が張り切って、急に大声をあげる。

 

 「さあ、みんな気にするな、それよりカバンの中身が問題だな」      

 カバンの中は書類がほとんどで、ずぶぬれたった。

 

ロシア語でかかれていた一片の紙片がビニール袋につつまれていた。

 

 もう1枚はは日本語だったが、古い文字で江戸時代のくづし字であった。

「どうやら地図のようだな」

 仲間の一人が言う。 

 

「まん中の大きな部分は、皇居、昔の江戸城の様だな」

「これは金になりそうか」

「わからん。伊藤にでもみせるか」

 

伊藤は、古買屋で、竜たちのグループは時々、獲物を売っているのだ。

 

その時、突然、グループアジトの部屋が暗闇になる。

部屋じゆうの明かりであるロウソクが、消えている。

 

誰かが竜をなぐりつけた。物音がした。

襲撃か! 対抗グループか!

それこそアメリカ保安部隊か!

皆一瞬、ちじこまって身動きができない。

 

気をとりなおした者が、アジトのろうそくの火を再びつけた。

数本のナイフが、壁や机にささっていた。

「くそ」

ナイフの刃が、部屋じゆうのろうそくのしんの部分をぶち切っていたのだ。

 

「おい、見ろ、地図がないぞ」

 

「くそっ、鉄のしわざだ」       

「まだ、間に合う。おいかけよう」

「そうだ。いまなら、すぐ近くにいるはずだ」

 

「やめて分け」

竜がー声いった。

「なぜですか。竜さん」

「今日はもう、遅い。これ以上争いたくはない。闇やみでは不利だ。ナイフはあまり音をたてないからな。それに、明日は、例の大仕事がまっているだろう。体を休めて分け」

 

不承不承、部下の連中はこたえる。

「そうですか。竜さんがそう分っしゃるなら」

 

「くそっ、鉄の奴、こんどあったら、ただじゃおかないぞ」

「おまえの腕では、鉄に殺されるのがオチだぜ。やめておけ」

「そういわれりゃ、そうだな」変に納得している。

 皆、笑った。

 

「よし、皆、明日の大仕事にそなえて、もう寝るんだ」

 

恵は、兄の竜のそばにより、ちいさい声で言った。

「兄さん、ありがとう。鉄を追いかけないのね」

「おしい奴だぜ、あいつ鉄も」

といいいながら、竜はでかける準備をしている。

 

「で、それは、兄さん、今からどこへ行くつもりの。」

「明日の略奪の現場の下見だ。俺一人だけな」

 

(続く)20190925改定

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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