yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

夢王たちの宴■第22回■ゴルゴダシティ宮殿でコンテストが。 次々プレイヤーがビブラフォーンに命を 。次は超能力者3人組ハーンが。彼はジェイを神の左手 として異世界にして叫ぶ。

YK夢王たちの饗宴--(ドリームドラッグ・ウオーの跡)夢世界の入り組んだ異世界、最高の夢王は、だれなのか? なぜ、この夢世界はできたのか?ドリームドラッグ・ウオーとは?
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夢王たちの宴■第22回■ゴルゴダシティ宮殿でコンテストが。 次々プレイヤーがビブラフォーンに命を 。次は超能力者3人組ハーンが。彼はジェイを神の左手 として異世界にして叫ぶ。
 

夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー■第22回■

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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■第22回■

 最初のプレイヤーがビブラフォーンに体をあずける。

 そいつは「やめてくれI」と大きな声をあげたが、観客からは笑

い声しか返ってこなかった。

おかげで、すぐに楽曲の第1章もプレイしな

いうちに死んでしまい、観客からは非難の声があがっていた。

観客は騒ぐ。怒声だ。

「そんな奴をビブラフォーンプレィヤーにいれるな」

「水ましのビブラフォーンプレィヤーをいれるな」

 感覚世界は、そのプレィヤーが弾きおわるまで持続する。

しかし、プレイヤーが、途中で死亡すると、中途ハンパな感覚を観客にあたえ、後味が悪いのだ。

 コンテストは中盤をすぎ、すでに何人かのプレィヤーがビブラフ

ォーンの中に同化されていた。

まだ、楽局額局の最期までひき続けた者はいない。

 次のプレィヤーが舞台の上に連れてこられた。

例の超能力3人組の一人ハーンだった。

「いやだ、俺も死にたくない」

 ハーンは舞台の上で暴れている。ふと、ジェイが横にすわっているのに気

がついた。

「おい、あんた、ジェイ。こいつらをとめてくれ、ここの世界をあんたの力で新世界

にしてくれ、お頑いだ」

 ハーンは暴れまわるが、モーターたちにとりおさえられる。

超能力は効かない。ハーンにはそんな薬と処理がされていた。

「なぜ、答えてくれないんだ」

泣き声だった。

 「もし、止めることができないなら、いいか。あんた俺ハーンの意識を今度の新世界

界では、より高い地位の人物に刷り込んでくれ、頼んだぜ」

ハーンはジェイの方をにらんでいる。

「わかったのか、おい、ジェイよ。「神の左手」よ」

ジェイはわずかにうなずいた。意味かわからなかったのか。

 ハーンは暴れるををやめた。モーター達に向かっていう。

「わかったよ、お前ら、俺ハーン様がすばらしい曲をひいてやるよ。見てい

ろ。曲名は「ハルフォードの稲妻」だ」

ハーンがプレイする曲名が、司会者から告げられると。観客がどよめいた。

 ハーンは目を血ばしらせて、ビブラフォーンにむかう。

四肢をそ

れぞれのビブラフォーンの部位にかけて、顛を、ビブラフォーンの真中につっこんでい

る。

「ハーン様の、よーし、一世一代の演奏だぜ」

 ビブラフォンの演奏が始まった。

 あたりに。霧が立ち込み始め、天候が急変してきた。

 しかし。数十分。

ハーンは死力を尽していたが、やはり、彼もこときれか

ハーンの死体の四肢がビブラフォーンにあわせて踊っていた。

いたいたしい感じを観客も感じた。

 天気は、ハーンが死ぬと同時に快晴に向かい、

ビブラフォンの音だけがうつろに響いていた。

(続く)

1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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夢王たちの宴■第21回ついに生物楽器ビブラフオーン・コンテストの日が。 [大教界]に、「移動宮殿フォトン」が来て。大導師デルガをたたえる声が、 渓谷の壁に反響し大きくなる。

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夢王たちの宴■第21回ついに生物楽器ビブラフオーン・コンテストの日が。 [大教界]に、「移動宮殿フォトン」が来て。大導師デルガをたたえる声が、 渓谷の壁に反響し大きくなる。
 

夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー■第21回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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■第21回■

ビブラフオーン・コンテストの日がやってきた。空は天頂まで晴れ上っている。

大教界に、その日移動して来ていた移動宮殿フォトン

そのまわりに仮設された舞台には、ひとだかりができていた。

 「デルガ、デルガ」

と大導師デルガをたたえる声が、渓谷にある大教界の壁に反響し、

段々と大きくなっていく。

「どうだな。私の人気の程は?」

デルガが、となりにいる道化師マリクに聞く。デルガはこころなしか

疲れているようだった。

「宣伝が効いたようです。これで、このビブラフオーンコンテストが成功すれば、デルガ様の

導師としての地位は磐石たるものになるでしょう」

「ふふ、君もそう思うか、朕もそう思うぞ。かわゆいい事をいうのを、道化師マリク、君の地位も朕に相応して同じく磐石となろう」

「ありがとうございます、デルガ大導師。未来への階段が今そこに

ございます。どうぞ、のぼらせたまえ」

「それでは、愚民なるゴルゴダシテイの民ばらの前に我姿をあらわそうぞ」

フオトンの壁の一部が開き、仮説コンテスト会場に階段がつながっていく。

観客のどよめきがおこる。

デルガは、舞台バルコニーに身を乗り出し、群衆にむかってはなした。

 「ゴルゴダシテイの賢人諸君、よく集まってくれました。

ここ、聖なる「大赦界」渓谷の場所を借りて、私神のご加護を受けた「ゴルゴダシテイ」聖なる大導師、デルガはゴルゴダシテイの賢人を代表してビブラフォーンコンテヌトの開催を宣言するものである。

賢人諸君楽しまれよ。

ビブラフォーンの神なる調べを聴き、こよいのひととき、酔いしれられよ」

 拍手が小さくおこり、それは拍手の嵐となり渓谷に響き渡る。

ビブラフォーンに対するゴルゴダシテイ住民の期待が、極度に大きいのだ。

デルガは続けた。

「今年も、多くのビブラフォーンプレイヤーが、他の都市から我々ゴルゴダシテイのために

参加してきてくれている。我々ゴルゴダシティの人間を楽しませてくれる

ために、はるばる参加してくれたのだ。

感謝とねぎらいの拍手を、彼らに与えられよ」

 拍手が一段と大きくなる。フオトンから壁が舞台へせり出してくる。

昆虫の標本箱の大型に見える。しかしそれは、プレイヤー達が壁に虫ピンでとめられ

たようにとりついている。

そんな壁が、舞台の上に迫りよってきた。

 もちろん、ジェイもいた。その他の多くのプレイヤーは、デルガが命

令したプレイヤー狩りでつかまった人達なのだ。

バイブレーターの「ハーン」、ハートブレーカーの「ムスカ」、クラッシャーの「プラス」の3人組の姿もその中にあった。

 観客たちも、もちろんビブラフォーンのプレイヤー達全員が喜ん

で、プレイするとは思ってはいない、

「ブレイヤー狩り」の事は知って

いた。知っていなから、自分達がプレイヤーにならなかった安堵感

もあり、よけいにビブラフォーンが作りあげる「感覚世界」への期待に

胸おどらせている。

歓喜の声が、ビブラフォーン演奏の前からあちこちで

上がり始める。

(続く)

1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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おかげさまで、グーグル口コミと写真の再生回数は6111万回になりました。

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6011万

おかげさまで、グーグル口コミと写真の再生回数は6111万回になりました。


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皆様ありがとうございます。(だんだん業務報告ですが)

まだ近所ー伊丹市の写真しかアップしてませんし、それぞれ再生は10-50く回らいです。

過去の写真でしょうね。数を稼いでいるのは、

下の文章時代から2万枚は写真を
撮影して1万枚はアップしてます。


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夢王たちの宴第20回■ビブラフォン競技会参加を 了承するジェイ。デルガは彼の力に気づき怯える。自分の夢世界崩壊を予感。 道化師アリソンは競技中「神の左手」現象が世界システムの変調する事を期待。

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夢王たちの宴第20回■ビブラフォン競技会参加を 了承するジェイ。デルガは彼の力に気づき怯える。自分の夢世界崩壊を予感。 道化師アリソンは競技中「神の左手」現象が世界システムの変調する事を期待。
 

夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー第20回■

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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■第20回■

「導師デルガ、こちらがプレイヤーのジェイです」

2人は、フォトンにつき、ゴルゴダシティの実質的な支配者デルガを前にしている・

「ジェイ、こちらがビブラフォーンコンテストのブロデューサーの導師

デルガです」

 「どうも、初めましてデルガ導師。お会いできて光栄です」

ジェイはデルガと握手をしながら、デルガの顔に見覚えがあると思った。

どこだ。どこであったのか。

一方、デルガの方もジェイの顔に既視感があった。

お互いに少しの問見つめあっている。

 「ジェイ、あなたとはかつてお会いしたことかありましたかな」

デルガ導師はそう口を開いた。

「いえ、これが初めてだと思いますが」

「それはそれは、失礼しました。私の間違いでしょう」

「ところで、プロのプレイヤーの方が、ちょうど我々のゴルゴダシティに、来ておられ

ろという事はとてもうれしい事です」マリクが言った。

「それじゃ、ジェイ。ビブラフォーンの演奏曲を指定していいでしょうか」

「曲目は、「ハルフォードの稲妻」をお願いしたいのです」デルガが言う。

「ですが、導師。「ハルフォードの稲妻」は演奏が禁じられた曲になっていて、悪魔が生まれ出るという曲のはずです」道化師マリクが反対した。マリクはゴルゴダシティでは実質NO2だ。

 「かまわない。悪鬼どもが出現するだと、面白いではないか」

 「わかりました」

 道化師マリクは、陰でほくそ笑んでいた。

「それじゃ、キーワードはハルフォードの稲妻の第2楽章としよう。

それが弾かれ始めたらおもしろい事がおこるぞ。なあマリク」

 考え込んでいるマリクにデルガが声をかけた。

 「それでビブラフォーンブレイヤー狩りの方はどうだ」

「かなり集まってきています」

「そうか。それしゃ、もっとビブラフォーンコンテストの前人気をあおってくれ」

「わかりました。導師」

あいかわらず、マリクは笑っていた。ビブラフォーンコンテストの人気は、

このゴルゴダシティの大いなる娯楽だ。この娯楽は、市民の人気を

左右する。

「それから、マリク、ジェイをホテルの一番良い部屋にお泊めして、お世話をし

てくれ」

「わかりました」 マリクは従順だ。

「それでは。ジェイ、コンテストの日に又お会いしましょう。何かとご不便をおかけしますが、

、このマリクに言いつけて下さい」

「わかりましたデルガ導師」

ジェイは頭を下げ後ろに下がりながら答えた。

二人の会見は終った。

導師デルガは、この男ジェイはビブラフォーンの演奏日に死んで

しまうに渥いないと思った。

しかし、あの顔はどこかで見た記憶が払拭できない。

何の考えもなく、デルガは大数界の壁を見た。

そうか、くぞっ、わかった。

デルガは独り言ちた。

頭がくらくらとした。倒れそうになる。

そばのモーターが、かかえてくれなければ、倒れていたところだ。

何という事だ。そうか。そうだったのか。

デルガは冷汗を流し始めていた。そして罪の意識がおいてくる。

「私の世界も終るかちしれん」デルガは、再び独りごちた。

「何か、おっしゃいましたか」他の道化師が尋ねた。

「いや、何でもない。私を一人にしておいてくれ」

デルガは、その日から、コンテストの日まで個室にこもり続けた。

一方、マリクは、ジェイをホテル個室に案内してから、アリソンを呼んだ。

 アリソンはマリクの命令を受けて、モーターの動きを統禦してい

る男に会いに行く。

「もうすぐ、ここは私の世界になる」マリクもまた独りごちた。

ジュイの左手が、本当の神の手ならば。

(続く)20200417改訂

1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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源義経黄金伝説■第54回文治五年(一一八九)六月一三日。 「九郎義経殿の首、届きましてございます」大江広元が、源頼朝に告げていた。

YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと



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源義経黄金伝説■第54回文治五年(一一八九)六月一三日。 「九郎義経殿の首、届きましてございます」大江広元が、源頼朝に告げていた。


源義経黄金伝説■第54回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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■文治五年(1189)鎌倉




文治五年(一一八九)六月一三日。


「九郎義経殿の首、届きましてございます」大江広元が、源頼朝に告げていた。


「何、義経の…」


「いかがいたしましょう。御館様直々に」




「いや、止めておこう。顔を見知りおく軍監、梶原景時と、和田義盛に行かせるのだ」




これが義経が首か。


塩漬けにされた首が、漆箱から出された。梶原景時は思った。


何とこやつは不思議な奴よ。数々の新しい戦い方を考えつきながら、言う


こと、話すこと、考えることは、まるで童子のような奴であった。




義経の首は、塩漬けにされていた。


奇麗に彫金された漆の箱から取り出される。




されど、泰衡も可哀想な奴よ。自らの首を絞めよったわ。頼朝様が自分の


弟をこのような目に合わした奥州藤原氏を許す訳がない。なんと政治的見解のない男よのう。所詮は奥州の田舎者。祖父、父よりはずーっと人間が下がりおる。梶原は思った。




頼朝様の怖さを知らぬ。あの方は自分の思いどおりに動かぬ者、あるいは頼


朝様の思いを読み取れぬ者を非常に嫌われるのだ。が、それに義経に対する兄弟愛を泰衡は気づかなんだか。


義経を捕縛して、頼朝殿に差し出せば何とかなったかもしれんな。いや


、まてよ、やはりだめか。




頼朝様が欲しいのは、奥州は金の打出の小槌よ。頼朝様が言えば言うだ


けの金が送り込まれて来るわ。


これからの戦略を梶原は思った。




源頼朝は忙しげにあちこち歩き回っていた。


頼朝は自分で命令しておきながら、義経の首は見たくなかった。




「どうであった」


不安げに頼朝は、大江広元に尋ねた。


「梶原曰く、確かに義経様の首であったということです」


「むう、泰衡め。我が弟を殺しおったか。早速、奥州を打つ。我が弟が敵だゃ」


 頼朝は、急に怒り出した。




その怒りの激しさに、広元は驚いている。


なぜだ。ご自分が命令なさったくせに。この殿は、京の女子のようなところ


があるな。 




院宣はいかがいたします」


「そのようなもの、必要あるまい。この頼朝の弟を殺したは許しがたい。奥州藤原 氏め、余が総指揮をとって攻め滅ぼそうぞ」


 頼朝は甲高い声で、上ずって、まるで常軌を逸してに命令してい た。


「御意。いよいよ日本は、頼朝様のもとに」




大江広元よ。日本よりも、俺は義経を殺した藤原泰衡めが憎いのじゃ。父、藤原秀衡があれほどかわいがっておった義経を、自分が王国支配したいがゆえに、 殺してしまいおった藤原泰衡めがのう」




「はあ…」


広元は急に気が抜ける気がする。


一体、何を考えておられるのじゃ。が、まあよい。今は奥州藤原氏を滅ぼせ


ばよいのだ。




大江広元と、源頼朝は、しばし無言でみつめあう。




頼朝は、急に昔にした義経との会話を思い起こした。


「兄上、父上は兄上に似ておられますか」


 頼朝は、急に義経にこう聞かれたのだ。




「なんだ、こいつは…」


 義経は真剣な眼差しで頼朝をじっと見つめている。


「こやつは子供か」


と頼朝は思った。




義経は、父のことを覚えていないのだ。


一二歳の時まで父親と一緒に戦い、無念にも負けた頼朝とは違う。




父親の愛情を受けたこともなく、父の記憶もまったくないのだろう。義経の心のどこかに、父を思う気持ちが常にあるのだ。


と、人間観察にかけては優れている頼朝は思った。




このような純粋な心を持っている奴は、かえって危ない。思い込んだらそ


れこそ命懸けだと、頼朝は義経の心の純粋さを羨み、そして義経を憎んだ。




一方、大江広元は、鎌倉へ来られよという書状を受け取った日のことを思い起こしていた。




貧乏貴族である大江広元は、昇殿を許されていない。つまり、帝にお会いすることなど、かなわぬのだ。


しかしながら、幼少のころから蓄積された学問が、広元の自意識を肥大させ


ていた。


私は大江の家のものだ。自分ほどの者が、なぜ重用されぬのか。藤原の阿呆


どもが、どんどん出世し、なぜこの俺が、このような貧乏ぐらしをしなければならぬのか。




鬱屈した意識が、一層勉学に打ち込ませていた。


そんなある日、源頼朝の元にいる知人から、ぜひとも鎌倉へという手紙を受


け取のだ。




新たな天地、


板東の鎌倉!。


新世界。




広元は迷った。


鎌倉などは町ではない。




この当時、日本で都市といえたのは京都、そしてかろうじて南都奈良。そして奥州藤原の平泉。それ以外は泥臭い田舎である。教養人など、一人もいないのだ。  広元は文化の香りが好きだった。知的な会話を欲していたのだ。その知識人のいない鎌倉へなど。




しかし、源義経の存在が、広元の意を決しさせた。




それは暑い日だった。


その日、木曽将軍を滅ぼした義経の軍勢は、都大路を行軍していた。




京の民は、「ほう、あれが義経か」と物見高く、都大路に並び、一目有名な義経を見ようとざわめいていた。義経は武巧一の武者であり、そしていわばアイドル スターだったのだ。




大江広元は興味にかられ、庶民の間に入って、義経の軍勢を眺めていた。


「うっつ」


広元は、衝撃を受け、急に道ばたに倒れていた。


何かが広元の額に当たり、一瞬気を失い、倒れたのだ。




やがて、気がつくと、額が割れじっとりと血がにじんでいる。


「くそっ、一体」


「だいじょうぶかい、お公家さま」


見知らぬ庶民が、不安げに広元に声をかけている。


「一体、私はどうしたのだ」 思わず、ひとりごちていた。


「お前さん、気付かなかったのかい。義経さまの馬が撥ねた石が、お前さ


んの頭に当たったのさ」




額に手をあてる、じっとりと血がにじんでいる。


「何…、今、源義経殿は…」


怒りの勢いに、その庶民の男はのけぞり指さす。


「ほら、あそこさ」


大江広元は勢いこんで人込みをかき分け、源義経の顔を覚えておこうとした。


「おのれ、源義経、覚えておけ」




相手は凱旋将軍。何も覚えてはいまい。俺は単なる路傍の石。が、今に見て


おれ。




何かが広元の中ではじけていた。


俺は、俺の知識で新しい国の形を作ってやる。源家が武威で国を治めるならば、わが家、大江の家は知識で新しい政治の形を。




急にそんな思いが、広元の心を一杯にした。思いもかけぬ考えだった。そんな


ことを、今の今まで考えてもみなかった。




この日、しかし、民衆の羨望の目を浴びながら、にこやかに、すこやかに、


何の苦労も知らぬげに、都大路をゆったりと後白河法皇の元へ向かう源義経に、


大江広元は、どす黒い怒りを覚えた。




続く)●山田企画事務所




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夢王たちの宴■第18回光が、ジェイの左手に収斂。伝説の「神の手」だと超能力者三人が驚く。 その3人の前にゴルゴダシティの導師デルガの部下、道化師マリク が出現した。

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夢王たちの宴■第18回光が、ジェイの左手に収斂。伝説の「神の手」だと超能力者三人が驚く。 その3人の前にゴルゴダシティの導師デルガの部下、道化師マリク が出現した。
 
 
夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー■第18回

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■第18回■

地面にころかっている若者達は、まぷしさをこらえ、薄目をあけるブ

光球の中でジェイはすっくと立っていた。

 ジエイの服はバラバラに吹き飛んでいた。

ジェイの表情も変っていて、手を上に高くさしあげていた。

 「あ、あれは」 ハーンが声をあげる。

光が、ジェイの左手に収斂していた。

「神の手だ」ブラスが叫ぶ。

三人共、驚きで、全員が体を回着させていて、ジェイの左手をみっめ

ている。

ジェイは夢遊病者の様に歩き出し.ハーン達もジェイのあとについて行

く。

 伝説の『神の手』、ジェイボラードの伝説。

それを彼らハーン達は、今まさに目の前にしているのだ。それは

新世界の誕生を意味していた。道化師に知らせなけれはならない事

など忘れていた。

彼らは、ジェイの後を追う道化師の存在に、気づいていなかった。

その道化師は、虫に変貌していたのだ。

道化師は、この世界に存在する

何に荷でも化ける事ができる。それがこのゴルゴダシテイのある世界の

ルールだった。

この虫「道化師」は、アリソンに連絡をとった。

アリソンはプレイヤー狩りに精を出していたので、話を、マリクに連絡をつないだ。

「わかった。アリソン、私が出むこう」

マリクは、「オブザーバー」を使い、ジェイの位置を、確かめさした。

「オブザーバー」は、透視能力が極単に発注している男である.

ジェイの位置に、マリクはジャンプした。

マリクは、空間移動能力を持っていた。

ジェイと三人の若者の前に、突如、男が出現した。

「誰だ」三人が叫ぶ

「俺の事を知らんのか。道化師マリクだ」

「それじゃ、あんたが、俺たちのスボンサーってわけか」

ブラスが言った。

「そういう事だ。だが、お前達は仕事を果していない。神の手を持

つ男が現われた場合、すぐさま、我々、道化師に連絡するはずだろう

が」

 三人は顔を見あわせた。とりあえずハーンがしゃべる。

「そ、それはわかっていたよ。でも、こいつが本当に神の手かどう

か調べていたんだ」

「言いのがれはやめろ。まあ、いい、どうせ、もうお前たちには用が

 ない。どこにでも消えろ。私が用があるのは、その男ジェイだけだ」

「何だと」三人は同時に叫んだ。

「我々の力を見くびっているな、マリク」

 三人の力が、マリクの体に集中する。

しかし、急にマリクの体が消える。

「くそっ、どこへ消えた」

代りに、胴体を「チューブ」でかこんだ人間が十人程、彼らの目の前

に出現した。

「何だ、こいつらは」ブラスが叫ぶ。

「気をつけろ、こいつらはモーターだ」

ハーンが、どなっていた。

三人の力が、各々の目の前のモーターに集中する。

ムスカの前のモーターは、心臓をにぎりつぶされていた。

ブラスの前のモータ-は、体がばらぱらに吹き飛んでいた。

残りのでモーター達の体はぐるぐる廻っていた。赤ら顔のハーンの力だった。

 数分波、モーター達は、すぺて地面に倒れている。

(続く)

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夢王たちの宴■第17回■出会った3人組の若者たちは超能力者で、ゴルゴダシティを目指すジェイは彼らの能力に翻弄される。

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夢王たちの宴■第17回■出会った3人組の若者たちは超能力者で、ゴルゴダシティを目指すジェイは彼らの能力に翻弄される。
 

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■第17回■

ジェイは3人の若者にたづねる。

「お前たちは超能力者ーか」

「ふふん、わかったか、俺は地面やその他の物体を振動できる「バイブレーター」ハーン

だ」

「次は俺の番か」

先刻からハーンをけしかけていた小男が言う。そしてジェイをにらむ。゛

「うっ」

 ジェイはよろける。

ジェイの心臓は何かにつかまれたかのように痛む。

「ふふ、わかったか。俺はハートブレイカーのムスカだ、俺が全力

をふりしぽれば、お的の心臓を止めることなど簡単だぜ」

「わかったか、俺達の前で大きな顔はしないでもらいたい。ここは

地獄の門だ、俺たちは三途の川の渡し守りだ。通行税をいただこう

か」

最後の男、ブラスが言った。

「それが、お前らの目的か、汚ないゴキブリどもめ」

「何!」

3人組の若者たちは、色めきたつ。

突如、ジェイの体はきりきりと痛む。

全身がモリでさされているようなのだ。

クラッシューのブラスの超能力なのだ。

ジェイは、地面に手をっき、うなだれしゃかみこむ。体のふしぶしに痛みが襲う。

振り払うこともできない大きな力。万力で全身をつぶされている。

そんな感じがした。

地の上の左手が急にピクッと幼く。左手が自分の手でないような

気がした、

手がわずかに輝き始める。

光が手のまわりに集まってくるようだ。

まわりの空気が微妙にふるえた。

瞬間、ハーン、ブラス、ムスカは何かにはじきとばされる、地面

に倒わる。

何かが、ジェイのまわりの空間を披っていた。

大きな地鳴りがした。

集まった光が、光球となり、ジェイを包んでいた。

(続く)

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