yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

源義経黄金伝説■第23回■鎌倉の大江屋敷で、静の母である磯禅師と、大江広元が密談している。2人共、京都王朝との微妙な関係の上にたっている。

 
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/22/

 

源義経黄金伝説■第23回■鎌倉の大江屋敷で、静の母である磯禅師と、大江広元が密談している。2人共、京都王朝との微妙な関係の上にたっている。
 

源義経黄金伝説■第23回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

yamadakikaku2009ーyoutube

 鎌倉の大江屋敷で、静の母である磯禅師と、大江広元が密談している。

大江広元西行との会談後、磯禅師を呼びつけていた。

「ここは腹を割っての相談だ。二人だけで話をしたい」

 怜悧な表情をした京都の貴族であった大江広元はゆっくりとしゃべる。

「これはこれは何事でございましょう。源頼朝様の懐刀といわれます大江広元様が、

この白拍子風情の禅師にお尋ねとは?」

磯禅師は身構えている。広元は京都の貧乏貴族、昇殿できない低格の貴族だ

った。それが、この鎌倉では確固たる権力を手にしている。侮れぬこの男と

禅師は思う。

「あの静、本当はお前の娘ではあるまい」

 磯禅師の返事は少し時間がかかる。やがて、答えた。

「さすがに鋭うございますね。大江様、確かにあの娘は手に入れたもの」

「禅師殿、赤禿あかかむろを覚えておられるか」

 急に大江広元は京都の事を問い始める。

 磯禅師の頭には、赤禿の集団が京都を練り歩く姿が思い起こされた。

「何をおっしゃいますやら、平清盛殿が京都に放たれた童の探索方、平家の悪

口を言う方々を捕まえたというは、大江様もご存じでございましょう」

 続いて白拍子清水坂にたむろしている姿も思い出していた。

「いや、まだ話は続くのだ。この赤禿以外に、六波羅から清水寺にいたる坂

におった白拍子が、公家、武士よりの悪口を収集していたと聞く。その白拍子

を束ねていた女性にょしょうがあると聞く」

「それが私だとおっしゃるのですか」

「いやいや、これは風聞だ」

「……」

磯の禅師は黙った。次に来る言葉が怖かった。

■数年前 京都

尼僧が禿かむろを呼び止めている。京都、六波羅(平家武者の屋敷群)の近くである。

「どうや、あの方のこと、何かわかったか」

「あい、禅師様。残念ながら、も一つ情報がつかめまへん」

「ええい、何か、何か、手づるはないのかいな」

「へえ、でも禅師様…」

禿は、いいかけて言葉を止めた。自分の想像を禅師に告げたならば…。仕返し

が恐ろしかった。禿の思いには、何故そのように西行様の情報を…、何か特別

な思い入れがおありになられるのか…、答えはわかっているようであった。つ

まりは嫉妬である。

西行天皇家の方々に恋をし、またその天皇家の方も、西行を憎からず思っている

ことを…。、どうしても邪魔をしなければならなかった。

大江広元の前、磯禅師の追憶で、顔色は変わっていた。

がしかし、次の広元の言葉は禅師の予想とは違った。

「が、安心せよ。本当に聞きたいのは、西行殿のことなのだ」

「え、西行様のことですか」

 磯禅師はほっとした。

平家のために行っていた諜報活動を責めるのか。いや

そうではない。私はお前の過去のすべてを知っているぞという威しであろう。

ともかく、安堵の心が広がっている。そこは同じ京都人である。

「そうじゃ。今日、西行殿が頼朝様の前に現れた。西行殿は東大寺重源上人よ

り頼まれて、奥州藤原氏、平泉へ行くと言う。目的は東大寺勧進だと」

「確か、西行様は、七十才にはなられるはず。西行様と重源様とは、高野山

庵生活の折りからお知り合いとか聞いております」

「そう聴いている、が、その高齢の西行殿が、よりにもよってこの時期に、平泉へ行かれるというは、何かひっかかる」

「それで、何をこの私にお尋ねになりたいのですか」

「まずは、平清盛殿と西行殿の繋がりだ」

「確か、北面の武士であられたときに知己であったとか、また文覚様とも知己

であったと聞いております」

「あの文覚どのと、重源どのは京都で勧進僧の両巨頭だ。清盛殿がこと。西行

六波羅とは指呼の間、六波羅へは足しげくなかったか」

「特にそれは聞いておりません」

 大江広元は、しばし考えていた。

 大江広元の声が、磯禅師の耳に響く。

「聞きたいのは西行とは奥州との繋がりだ。私も京都にいたとき聞いておる

が、あの平泉第の吉次じゃ。あやつが数多くの公家に、奥州の黄金や財物を

撒き散らしておるのは聞いておる。そこで、吉次と西行との関係を知りたい」

 金売り吉次は、奥州藤原秀衡の家来であり京都七条にある平泉第ひらいずみだいの代表であ

る。平泉第は京都の一条より北にあり、現在でいう首途かどで八幡宮のあ

たりを中心に、広大な屋敷を構えている。いわば異国の大使館である。

 吉次の率いるの荷駄隊は、京都にて黄金を、京都在住に多くの貴族に贈り物

として差し出していた。

「そういえば、平泉第は一条より北にありましたな…」

西行法師は平泉第へは通っておらなんだか」

平泉第は、この京都においては、平泉王国の大使館に相当する。

「ともかくも西行様、平泉の秀衡様とも確か知己であったはず。そうなれば、

京都での西行様の良き暮らしぶりも納得がいきます」

「さらにだ、西行は西国をくまなく訪ねている。これは後白河法皇様の指示

ではなかったか」

「そこまでは私には断言できませぬ」

「それもそうだな」

「大江様は、西行殿をお疑いですか」

「この時期に平泉に行くのが、どうもげせんのだ」

西行殿…、なつかしい名前を聞いた。

思わず、磯禅師の顔は紅潮している。大江広元に気付かれなかったろうか。

 京都・神泉苑でのことを、磯禅師は思い出している。

多くの白拍子が踊っている。

観客は多数である。

その中に一際目立つ、りりしい武者がいた。磯禅師は、近くの知り合いの白拍子に尋ねる。

「あの方はどなたなの」

聞かれた白拍子が答えた。

「ああ、あの方は佐藤義清様よ。このお近くのお住まいの佐藤家のご長男

ぞ」

 磯禅師は佐藤義清の方を見やって、溜め息をつくように思わずつぶやく。

「佐藤義清様か」

 その白拍子が、微かに笑って言う。

「ほほほ、さては、磯禅師さま、一目ぼれか」磯禅師ははじらった。

「ばかな、そのようなこと……」

 が事実だった。頬が紅色に染まっている。

禅師の十七才の頃の思い出である。

日本を古代から中世へと、その扉を開こうとしていたのは、西行の嫌いな源

氏の長者、源頼朝であった。

 また頼朝の側にいるのは、貴族階級の凋落を見、新しい政治を求めて鎌倉と

いう田舎へ流れていった貧乏貴族である。その代表が大江広元である。

源頼朝西行の背景にいる後白河法皇に憎しみを滾らしている。

「あの大天狗、私を騙そうと言う訳か。大江、大天狗にひとあわふかせるべく

手配を致せ」

 源頼朝大江広元に命令する。

「いかように取りはからいます」

西行へ、奥州藤原氏より、いだされる沙金を奪うのだ。が、平泉から鎌倉までの道中にてぞ。鎌倉についてしまえば、これから先は鎌倉の責任、黄金を奪う訳にはいかぬ」

「さようでございます。また、よくよく考えますればこの沙金、奈良まで着き

ましたならば、西国にいまだ隠れおります平家の落人たちに渡るやも知れませ

ん」

「あの大天狗の考えそうなことよ。北の奥州藤原氏と西の平家残党から、この

鎌倉を挟み撃ちにしようとな」

「では、義経殿もこの謀に加わっておられると」

「可能性はある。実の子供よりも、源義経を考えておった藤原秀衡殿のことであ

るからな。また、後白河法皇もいたく、義経が気に入っておった。あやつは法

皇の言うことなら何でも聞く」

「頼朝さま。やはり、沙金を必ず奪い取らねば、我が鎌倉の痛恨となりましょ

う」

「さっそく梶原と相談し、しかるべく手配をいたせ」

「わかり申した。すでに手は打って御座います。私、京都におりました時より、東大寺にすこしばかり手づるがございます」

 大江広元は、先手をとり、東大寺の荘園、黒田荘の悪党への使者を、すでに旅立たせていた。

 使者の目的は、西行への追撃の命令である。

続く20210826改訂

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

yamadakikaku2009ーyoutube


務所yamada-kikaku.com石の民「君は星星の船」第20回 ■祭司アルクと光二は、光二のいるサーゴン星フッコウドームから、トゥーン星石の壁のあるジュリへワープした。2人で石の男の心からミニヨン(アリサ)を取り返すために。

f:id:yamadas:20211203191740j:plain

 
T石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1873gf/20/

 

石の民「君は星星の船」第20回 ■祭司アルクと光二は、光二のいるサーゴン星フッコウドームから、トゥーン星石の壁のあるジュリへワープした。2人で石の男の心からミニヨン(アリサ)を取り返すために。
 

石の民「君は星星の船」第20回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

■ 石の民(1989年作品)■

■ 第4章 ミニヨン

光二、アルク。二人は石の壁の前にたっていた。

時空間をジャンプしてきたのだ。

光二のいる第2宇宙サーゴン、ドーム都市・フッコウドームから

トゥーン星「石の壁」のある宗教の町樹里ジュリまで。

突如現れたこの二人を目ざとく発見したものがいる。

祭司仲間のガルナが重い体をゆすりながら、むこうから、走ってきた。

アルクアルクじゃないか、お前はこの土地に戻ってはならん」ガルナ祭司が言う。

アルク、お前の顔は」

ガントはぎょっとした。あの柔和がったアルクの表情が変わっていた。

祭司アルクの顔は戦士の顔になっている。驚いたガルナ祭司は、あとは、小さな声で続けた。

アルク、わかっているだろう。だれもこないうちに、早くここからきえろ。悪い事はい

わん」ガルナは心配している。

「ガント、安心しろ。君には迷惑はかけない。私は娘ミニヨンを助けるためにかえってき

たのだ」

「どんな方法でミニヨンを助けるつもりだ」

「この男だ」アルクは光二を指し示した。

ガルナ祭司は光二を上から下までなめるように見る。

「こんなへんな着物をきた奴はみたことがない。おまけにガキじゃないか。こんな奴が石

の男に立ち向かうのか」光二は怒る

「なんだって、おっさん。俺たちの世界では俺ぐらいのキッズが、ロボットを支配してい

るのさ。あんたくらいの年ならもう生きていない」

「なんだと、なんというガキだ」ガルナは怒って、光二にくってかかる。

「ガルナ、私はこの彼の力を借りねばならんのだ。彼は秘密の力をもっている」

「へへん、ざまあみろ」

アルク、そんなこといったってな。祭司会議がなんというか」

「祭司会議がきずく前に我々は石の男の心底に潜り込んでいるさ」

「そんなこといったって、俺の責任になるんだ」ガルナは汗をかいている。冷や汗だ。

「へへん、肝っ玉のちいせえおっさんだぜ」光二は新しい世界と、これからへの期待と不

安で舞い上がっている。

「何をいう。このガキめ」ガルナは顔を赤らめていた。

「光二、黙っていてくれ。いいから、ガルナ、早く解決すればいいのだから」

 二人が言い争いが続く間、光二は『石の男』を見上げていた。その後ろに『石の壁』が

続いているのだ。光二は身震いした。光二の世界のルールがここで通用するだろうか。光

二はやや逃げ出したい気分だった。

といって、光二には、アルクがもっていた写真に写っているのが有沙だと思っていた。なぜ、この世界の人間が有沙の写真をもっているのだ。

どうせ後戻りはできない。そう光二は思った。

「姉さん、会いたい」光二はまた左手で指輪をなでていた。

たった一人の肉親、有沙。会えるならば、どんな危険でも犯さなければな

るまい。話しがまとまりかけていた。

「ガルナ、見なかったことにしろ」

「そりゃあ、こまるよ、アルク

「あっという間に、はいったことにしろ」

「がたがたいってるうちに他の人間がくる」光二がいう。

「後生だ、ガルナ」

ガルナはうなずき、横をむいた。ガルナとしては最後の譲歩だろう。

「早く。光二」

「えっ、どこへ」

「決まっているだろう。石の男の心底へだ」アルクが言い切った。

「ま、まだ心の準備が」光二のひざがわれそうだった。

石の民 第20回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/


 

石の民「君は星星の船」 第19回 Vグループのアジトに放浪孤児の大吾がいた。彼もまたジュリの祭司アルクのように、石棺を背に何かを探していた。

 
T石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1873gf/19/

 

石の民「君は星星の船」 第19回 Vグループのアジトに放浪孤児の大吾がいた。彼もまたジュリの祭司アルクのように、石棺を背に何かを探していた。
 

石の民「君は星星の船」第19回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

 石の壁の司祭アルクと、Bグループの光二の二人は、アルクの娘、ミニヨンを助けるために石の壁のジュリへと、異なる時間と空間を撥ねていた。光二は、なくなった姉のアリサだと思っている。

フッコウドームのV団のアジトだった。たくさんのキッズがいる。

今、ヘッドの登はいないようだった。

代わりに、大吾がいた。大吾は2Mの大男。ワンダリングキッズの一人だった。

他のドームのヘッドの紹介状をもって登の所へ来た。登の団にワラジをぬいでいるというわけだ。ある。所属するグループを持たない放浪の戦争孤児だ。

大きなスプーンで、メシを食っている。なぜか食事中も背中に大きな荷物が。

 このフッコウドームのキッズは、近くにある鉱山で掘り出される貴金属を食いぶちとし

ていた。

この鉱山は平和チームの監督監視下にあるのだが、何人かの作業ロボットが金儲

けのため、ひそかに登たちキッズのところへ貴金属をもってきていた。

登のVグループと光二のBグループは、このロボットの作業員の裏支配をめぐっても

争っているのだ。

「おい、お前、いい根性しているじゃないか」

Vグループのキースが言う。キースは金髪で細面の顔は残酷なイメージを、会う人にあたえる。

「ど、どいいうことですか」ロボット作業員Z113が、答えていた。

「内緒で、ブツを光二のBグループへ流しているときいたぜ」

「そ、そんなこと絶対にありません。ロボットは嘘つかない」

「じゃ、お前はロボットじゃないな。ロボットじゃなきゃ用がない。おい、大吾、おしお

きだぜ。ほかのロボットらもよくみておくんだな」

キースが大吾に命令する。キースはこのグループのNo2だ。

「や、やめてください。私は悪くない」Z113は目を白黒ではなく、レッド色にしていた。

大吾はZ113のボディをしめあげた。Z113のハイチタンの体がミシときしむ。

「わ、わかりました。もう、しません。キースさんやめさせてください。光二が悪いのです」

「おい、大吾、もういいぜ」

が、キースの言葉にかかわらず、大吾の動きはとまらない。

「おい。大吾、やめな」

キースが青くなる。

「大吾、やめろ」他のキッズも騒ぎ出す。

「やめろ、大吾」

 瞬間、アジトは機械の破片が吹き荒れていた。ロボットZ113の体が爆発したのだ。

「おい、何て奴だ」

「うわっ、か、怪物だ」仲間のロボットたちは、さんをみだして、アジトから逃げ出した。

「や、やりすぎだぜ、大吾」

キースは大吾をなじる。これだから、ワンダリングキッズ、放浪の子たち、は困る。組織って奴がわかっていない。

「すまん」が、大吾の顔はあやまっているようには見えない。むしろ自分の力を楽しんで

いるようにみえた。とにかく、わかりにくい表情なのだ。

「おい、大吾、お前、その棺桶どこから見付け出してきたんだ」キースはこの気まずい雰

囲気を変えようとする。そう、大吾は背中に石棺をずっと背負ったままなのだ。

「ああ、このドームへの途中の道でな」大吾はぶっきらぼうに答える。

「じゃまにならないのか」他のキッズが尋ねる。

「ああじゃまにならん」大吾が答える。

「ほっとけよ、大吾の棺には大切なものがはいっているんだから」

興味をもったひとりが大吾に言う「中をみせなよ」

「何か、金めのものがはいっているわけか」

「いいだろう、みせろよ」棺かつぎの大吾は歯

を剥き出して、そいつに怒った。

「わ、わかったよ、お前の棺にはちかずかないよ」

「おいおい、やめておけよ。大吾の力は今見た所だろう」キースが止めた。

が、その日の晩、棺かつぎの大吾のふたを、内緒であけた奴がいる。しかし、首の骨がお

られていた。その目は棺桶の中を見て見開かれていたのだ。

大吾はこの棺を見付けた以上、早く、元の世界へ帰らねばならなかった。待っている人が

いるのだ。

大吾はこの石棺を探して、ジュリの里「石の壁」祭司アルクと同じ様に、星を、世界を渡り歩いていた。

石の民第19回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/

F小説■石の民■(1989年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所


 

石の民「君は星星の船」 第19回 Vグループのアジトに放浪孤児の大吾がいた。彼もまたジュリの祭司アルクのように、石棺を背に何かを探していた。

 
T石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1873gf/19/

 

石の民「君は星星の船」 第19回 Vグループのアジトに放浪孤児の大吾がいた。彼もまたジュリの祭司アルクのように、石棺を背に何かを探していた。
 

石の民「君は星星の船」第19回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

 石の壁の司祭アルクと、Bグループの光二の二人は、アルクの娘、ミニヨンを助けるために石の壁のジュリへと、異なる時間と空間を撥ねていた。光二は、なくなった姉のアリサだと思っている。

フッコウドームのV団のアジトだった。たくさんのキッズがいる。

今、ヘッドの登はいないようだった。

代わりに、大吾がいた。大吾は2Mの大男。ワンダリングキッズの一人だった。

他のドームのヘッドの紹介状をもって登の所へ来た。登の団にワラジをぬいでいるというわけだ。ある。所属するグループを持たない放浪の戦争孤児だ。

大きなスプーンで、メシを食っている。なぜか食事中も背中に大きな荷物が。

 このフッコウドームのキッズは、近くにある鉱山で掘り出される貴金属を食いぶちとし

ていた。

この鉱山は平和チームの監督監視下にあるのだが、何人かの作業ロボットが金儲

けのため、ひそかに登たちキッズのところへ貴金属をもってきていた。

登のVグループと光二のBグループは、このロボットの作業員の裏支配をめぐっても

争っているのだ。

「おい、お前、いい根性しているじゃないか」

Vグループのキースが言う。キースは金髪で細面の顔は残酷なイメージを、会う人にあたえる。

「ど、どいいうことですか」ロボット作業員Z113が、答えていた。

「内緒で、ブツを光二のBグループへ流しているときいたぜ」

「そ、そんなこと絶対にありません。ロボットは嘘つかない」

「じゃ、お前はロボットじゃないな。ロボットじゃなきゃ用がない。おい、大吾、おしお

きだぜ。ほかのロボットらもよくみておくんだな」

キースが大吾に命令する。キースはこのグループのNo2だ。

「や、やめてください。私は悪くない」Z113は目を白黒ではなく、レッド色にしていた。

大吾はZ113のボディをしめあげた。Z113のハイチタンの体がミシときしむ。

「わ、わかりました。もう、しません。キースさんやめさせてください。光二が悪いのです」

「おい、大吾、もういいぜ」

が、キースの言葉にかかわらず、大吾の動きはとまらない。

「おい。大吾、やめな」

キースが青くなる。

「大吾、やめろ」他のキッズも騒ぎ出す。

「やめろ、大吾」

 瞬間、アジトは機械の破片が吹き荒れていた。ロボットZ113の体が爆発したのだ。

「おい、何て奴だ」

「うわっ、か、怪物だ」仲間のロボットたちは、さんをみだして、アジトから逃げ出した。

「や、やりすぎだぜ、大吾」

キースは大吾をなじる。これだから、ワンダリングキッズ、放浪の子たち、は困る。組織って奴がわかっていない。

「すまん」が、大吾の顔はあやまっているようには見えない。むしろ自分の力を楽しんで

いるようにみえた。とにかく、わかりにくい表情なのだ。

「おい、大吾、お前、その棺桶どこから見付け出してきたんだ」キースはこの気まずい雰

囲気を変えようとする。そう、大吾は背中に石棺をずっと背負ったままなのだ。

「ああ、このドームへの途中の道でな」大吾はぶっきらぼうに答える。

「じゃまにならないのか」他のキッズが尋ねる。

「ああじゃまにならん」大吾が答える。

「ほっとけよ、大吾の棺には大切なものがはいっているんだから」

興味をもったひとりが大吾に言う「中をみせなよ」

「何か、金めのものがはいっているわけか」

「いいだろう、みせろよ」棺かつぎの大吾は歯

を剥き出して、そいつに怒った。

「わ、わかったよ、お前の棺にはちかずかないよ」

「おいおい、やめておけよ。大吾の力は今見た所だろう」キースが止めた。

が、その日の晩、棺かつぎの大吾のふたを、内緒であけた奴がいる。しかし、首の骨がお

られていた。その目は棺桶の中を見て見開かれていたのだ。

大吾はこの棺を見付けた以上、早く、元の世界へ帰らねばならなかった。待っている人が

いるのだ。

大吾はこの石棺を探して、ジュリの里「石の壁」祭司アルクと同じ様に、星を、世界を渡り歩いていた。

石の民第19回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/

F小説■石の民■(1989年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所


 

石の民「君は星星の船」 第18回 祭司アルクが見せた写真を見て、自分の姉、アリサだと叫ぶ。アルクのいる世界にいけば、まだアリサが生きているのだ。アルクの提案に光二は乗った。

 
IT石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1873gf/18/

 

石の民「君は星星の船」 第18回 祭司アルクが見せた写真を見て、自分の姉、アリサだと叫ぶ。アルクのいる世界にいけば、まだアリサが生きているのだ。アルクの提案に光二は乗った。
 

石の民「君は星星の船」第18回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/

「このフォトを見てくれ」アルクは写真を差し出す。

「こりゃ、なんだ、えらく古ぼけた写真だなあ」

 が光二はこの写真を見た瞬間、大声をあげていた。

「姉さん!、これは姉さん有沙の写真だ」

 アルクもびっくりし、反論する。

「違う、私の娘ミニヨンだ」

「あんたが間違えているぜ、これは姉さんだ」 

光二はアルクのさしだした写真を握り締めている。手がふるえていた。

幼いときのアネキだ。

いったい、なぜ、この男は有沙の写真を持っているんだ。 

そういえば光二は有沙の写真は一枚も持ってはいない。

「とにかく、光二よ、私の話を聞いてくれ。私の娘ミニヨンが「石の男」に心を奪われたのだ」

「というと」

「石の男の心底に、ミニヨンが取り入れられてしまったのだ」

「心底にとらわれる」

「人間が心の中にとらわれるって。それに『いしのおとこ』とはなになんだ」

「石の男とは我々の信仰の対象なのだ。この男が、我々の世界を作っていると考えられて

いる」

「それじゃ、ミニヨンが中にいるのは名誉な事ではないのか」

「それと、ミニヨンの件とは異なる。彼女は一人の女の子だ。その子が創造者の心に入る

とは、不浄な事なのだ」

「俺たちの世界の価値観とは異なるようだな」

「そうだ。君は理解できまいが、とにかく、彼女を助けるためには、君のもっている聖砲が必要なんだ」

ここでいろいろ言ってもしょうがない。とにかくミニヨンとやらにあってみる事だ。

有沙である可能性もなきにしもあらずだ。光二はある決心をした。

「OK、あんたの言うことはわかった」

「おお、わかってくれたか」

「この指輪はあげてもよい。がそのかわり」

「そのかわり」男アルクは身構えた。

「あんたのいう別の世界に連れて行ってくれ」

「それはだめだ」男は不安になる。この若者は何を考えているのだ。

「つまり、あんたのいうミニヨンに会いたいのだ」

「私の娘ミニヨンに」

どういうことだ。ミニヨンに会いたいだと。

「そうだ。俺は自分の姉有沙だと考えている。あって納得したいのだ」

別の世界で生きている有沙に会える。ミニヨンとは有沙だ。と光二は信じ込んだ。

有沙

たしかに、そのほうが納得できるだろう。ただし、石の男に勝ったらの話しだが。つま

り、石の男と戦わねば、ミニヨンにはあえんぞ」

よし、うまくいっている。とにかく聖砲が必要なのだ。アルクは思う。

「戦いだと、のぞむところだ」光二の血が騒いだ。別の世界で戦えるだと。

「光二、私の体につかまれ」この若者の気がかわらないうちにとアルクは思った。我々の

世界に連れていってしまえば。どうせ、聖砲さえあれば、何とかなるだろう。

「あんたの世界に連れて言ってくれるのか」

「そうだ。君もそうすれば、納得するだろう」

「それはあんたも同じだろうよ、アルク」そうだ、俺は納得したいのだ。光二は思った。

 二人は異なる時間と空間を撥ねていた。

石の民第18回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

ttp://www.yamada-kikaku.com/


 

源義経黄金伝説■第22回★源頼朝屋敷を出た西行に、昔、西行が北面の武士の折、同僚であった、文覚が声をかける。

 

2022年01月17日 | 源義経黄金伝説(2022年版)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/21/

 

源義経黄金伝説■第22回★源頼朝屋敷を出た西行に、昔、西行北面の武士の折、同僚であった、文覚が声をかける。
 

源義経黄金伝説■第22回★

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

yamadakikaku2009ーyoutube

源頼朝屋敷を出ようとすると、背後から声が掛かる。西行は後方を振り向く。

西行、ここで何をしておる」

聞いたことのある声だが…、

やはり、、頼朝の荒法師にして政治顧問、文覚もんがくが、後ろに立っている。

傍らに弟子なのかすずやかな眼差しをした僧をはべらしている。

「おお、これは文覚殿。先刻まで、大殿(頼朝)様と話をしておりました」

「話だと、何かよからぬ企みではあるまいな」

 文覚は最初から喧嘩腰である。

文覚は生理的に西行が嫌いだった。西行は院をはじめ、貴族の方々とも繋がりをを持ち、いわば京都の利益を代表して動いているに違いない。その西行がここにいるとすれば、目的は怪しまなければならぬ。

西行よ、何を後白河法皇ごしらかわほうおうから入れ知恵された」

 直截に聞いている。元は、後白河法皇から命令され、伊豆の頼朝に旗をあげさせた文覚であったが、今はすっかり頼朝側についている。それゆえ、この時期に、この鎌倉を訪れた西行のうさん臭さが気になったのだ。

「さあ、さあ、もし、大殿に危害を加えようとするならば、この文覚が許しはせぬぞ」

 西行も、この文覚の怒気に圧倒されている。

文覚は二〇年ほど前を思い起こした。

1166年京都

西行め、ふらふらと歌の道「しきしまみち」などに入りよって、あいつは何奴だ」

 文覚は心の底から怒っていた。文覚は怒りの人であり、直情の人である。

思うことは直ぐさま行い、気に入らぬことは気に入らぬと言う。それゆえ、同じ北面の武士ほくめんのぶしのころから、気が合わないでいた。

西行佐藤義清さとうのりきよという武士であった頃は、鳥羽院とばいん北面の武士。院の親衛隊である。西行は、いわば古代豪族から続く政治エリートであり、それがさっさと出家し、歌の道「しきしまみち」に入った。それも政治家など上級者に、出入り自由のひじりなのである。

西行は文覚に言う。

「文覚どの、私はこの世を平和にしょうとおもうのです」

「平和だと、うろんくさいこと言うな。おぬしの口からそんな言葉がでようとはな」

「では、この国の形を変えるともしあげればどうだ」

「くっつ」文覚は苦笑いしている。

「その笑いは同じく国を変えようとされているからであろう」

「何年たっても私の考えがおわかりにならないのか」

「わかりたくもない」

「で、藤原秀衡殿を呪殺されようというわけか」

ぬしは何を企む。平泉と何を企む。まさか、」

文覚は思う。

「主は崇徳上皇にも取り入り、弟の後白河法皇に取り入り、また平泉にも取り入るつもりか」

崇徳上皇は30年前、1156年保元元年、弟の後白河法皇に敗れている。保元の乱である。この後、四国に流されている。

「文覚どの、鎌倉には法皇の命令で、今は鎌倉のお味方か」

「だまれ、西行、貴様こそ、由緒正しい名ある佐藤家の武士でありながら、

「しきしまみち」を使うとは先祖に対して申し開きできるか」

「文覚どの、その言葉をお主にそのまま返そうか。お主も武士でありながら呪殺を江ノ島祈願いたしておろう」

「うぬ。敵、味方がはっきりしたならば、お主を平泉に行かせまいぞ」

「よろしいのか。大殿とのご命令は」

確かに頼朝の命令は西行を平泉に行かせよである。

「しかたがないな。ここで雌雄を決、、、」

二人はにらみ合っている。

恐るべき意識の流れがそこに生じていた。

御師匠様、おやめ下さい」

かたわらにいる子供の僧が言いた。

子供ながら恐るべき存在感がある。その顔は夢みる眦に特徴がある。

「おおう、夢見ゆめみか。わかった。この西行殿が顔を覚えておけ」

西行様、初めてお目にかかります。拙僧の名前は、夢見でございます。京都神護寺からまいりました。師匠さまの事よろしくお願いいたします」

夢見、後の明恵みようえである。法然ほうねんと宗教上で戦うこととなる。

同時に、何かの集団が近きつつあった。

「くそ、西行、味方が増えたらしいな。集団の守りで動くか。お主も。勝負はいずれ,まっておれよ」

「文覚どの 生きて合えればなあ」西行も悪態をつく。 二人はふた方向にわかれた。

西行様、ご無事で」

いつのまにか東大寺闇法師、重蔵が控えている。

が、笑いをこらえている風情である。

「おお、重蔵殿か。あいすまぬ」

汗をかいている。

「ふふ、私としたことが、つい歳を忘れてしまう。あやつにあうと」

にが笑いをしている。

「お知り合いでございますか」

重蔵は、西行にもこのような面があるかと思い微笑んでいる。この有名なる京都「しきしきみち」の漢に子供のけんかのような、、

「古い付き合いよ。北面の武士以来なのだよ。」

西行は目に見えぬ廻りの集団が気に成っている。

「結縁の方々、ありがとうござる。何でもございません。危機は、、もう終わり申した」

重蔵の言葉に近くの樹木の影にいた気配がすべて消えていた。西行はにがりきった笑いをする。

「法眼殿の手下か」

先ほどの手勢は、鬼一法眼きいちほうげんが京都から連絡した結縁衆であろう。密かに西行を守っている。

「あの子供の僧が気にかかります。夢見とか なにやら恐ろしげな、、」

重蔵はつぶやいている。

薄ら寒い10月の鎌倉の朝もやの中で、西行が先ほどの情景を思い出している。

「重蔵どの。頼朝殿は、流鏑馬に熟達し、当代第一の弓持ちと言われたこの西

行の前で、弓矢の技を見せられたのだ」

東大寺闇法師重蔵が返した。

「それは何をお考えなのでしょうや」

「頼朝殿、平泉を攻めるつもりであろう」

「えっつ、やはり」

十蔵は西行を見た。

西行はすでに自分の殻に入り考えにふけっている。

不思議な方じゃ、重蔵は最初の出合いを思い出している。

「くそ、いらぬじゃまが、はいりおったわ。のう夢見よ」

鎌倉になる文覚屋敷で。文覚が発した。

夢見、後の明恵みようえは答えた。

西行様の背後には、あるやんごとなき想いが見えます」

和歌しきしまみちに対する想いか」

「いえ、そうではございません。人で御座います」

「女か」

「いえ、ある男の方への想いで御座います」

「では、まさか、あ、おの方へか、」

文覚は、西行の想いが、待賢門院たいけんもんいんへかと思った。

が,夢見ー明恵は違うという。

待賢門院の兄は徳大寺実能西行は藤原家徳大寺実能の家人

であった。待賢門院は崇徳上皇の母である。

夢見は感受性が強い、その人間の過去もうっすらと読み取る事ができる。

夢見のよく見る夢は恐ろしい。きり刻まれた体の夢だ。

夢見の父は,頼朝決起の戦いでなくなっている。

母は紀州豪族、湯浅氏ゆあさの出身である。

この時期の紀州は、熊野詣で大繁盛している。

紀州熊野は仏教に在来の民間密教が結びつき、一大新興宗教の集積地として

機能している。

密教秘儀を身につけて貴族の保護をうける人物が、京都の政治

を左右できる。桓武帝以降、宗教各派は、政治闘争を繰り返している。

摂関政治に関与できた宗派が権威を持ち荘園を所有できる。

仏教各教団は、経済組織でもあり、民衆もその権威に頼ろうとした。

その夢見の夢想の中に西行が現れていた。

続く2016改訂

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

yamadakikaku2009ーyoutube


 

三原淑治さんのグループのCDパンデミック・オノ・バンド/Pandemic Ono bandがベスト30に入りました。【2021年 下半期ベスト】ジャズ・アルバム BEST 30JazzMusic

 

2022年01月16日 | お知らせ
 
三原淑治さんのグループのCDパンデミック・オノ・バンド/Pandemic Ono bandがベスト30に入りました。

【2021年 下半期ベスト】ジャズ・アルバム BEST 30JazzMusic
https://www.arban-mag.com/article/ 
[JazzJapan]
雑誌の1月発売号にはインタビューが載ります。

https://www.arban-mag.com/  のHPより引用します。

パンデミック・オノ・バンド/Pandemic Ono band
『Pandemic Ono band』

オルガンの小野みどり、ギターの三原淑治などから成る4人組。冒頭からレッド・ツェッペリンの「移民の歌」をオルガン・ジャズに改変し、独自に仕立て上げる手際の良さに驚嘆。オルガンの音色は60~70年代の英国ジャズのそれを踏襲したようにも聞こえ、ソフト・マシーンやレコメン系を愛好するリスナーにもぜひ聴いてほしい作品。洗練されたジャズを聴きこんでいる方には、このアーシーなサウンドが逆に新鮮に思えるはず。


ここまで


2021年下半期ベスト ジャズ・アルバムBEST30
------------------------------------------
PANDEMIC ONO BAND 2021/02/21 にライブ配信
https://www.youtube.com/watch?v=uldiFMoT-5c&t=7s 


Pandemic Ono band
2020年パンデミック発生の年に結成。