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「支配者たち」短編(ハーモナイザーBIGIN)世界樹ハーモナイザーが支配する宇宙、2人の宇宙飛行士の物語。ハーモナイザー シリーズ

 

「支配者たち」短編(ハーモナイザーBIGIN)世界樹ハーモナイザーが支配する宇宙、2人の宇宙飛行士の物語。これは現実か「もちろん、あの人は私の夢の一部分よ。でも、私も、あの人の夢の一部なんだわ」この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1894de/

■「もちろん、あの人は私の夢の一部分よ。でも、私も、あの人の夢の一部なんだわ」
ルイスキャロル鏡の国のアリスより。

地球から、最初の恒星間飛行を行った、当時の二人の宇宙飛行士は事故にあい、宇宙空間を漂流。死の直前、彼らは、ハーモナイザーという超生命体に助けられた。

時々、宇宙飛行士であったロシュは、自分たちは、まだ、あの漂流していた宇宙船にいるのではないか。

これまでロシュが経験していたことすべてが、夢であることことではあり、死の一歩手前。
宇宙飛行士の妄想ではないか。

●山田企画事務所・飛鳥京香 サイト などより転載。http://plaza.rakuten.co.jp/yamadas0115/
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「支配者たち」(ハーモナイザー01)1986年作
飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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大星間帝国統治者ロシュがやってきたのは、都市郊外の名も全く知られていない淋しい町たった

時ですら、この町を見向きもしないって通り過ぎていくだろう。

そんな感じだった。



この霧に包まれた町は、まるでこの世の中に存在しないような感じさえした。



制服に身を固めた、30名はいる大勢の護衛官たち。装甲車の中にいる、そのの一人が、ロシュの身を案じて、声をかける。



「ロシュ様、大丈夫ですか、こんな地図にはない記載されてない小さな町で、一人でお出かけ。とは、記載されていない事自体がおかしいのですよ」



「心配するでない。この町。この場所に来ることは、、すでに、神が決められている。いわば、一つの宗教儀式なのだ」

強い調子でいった。

暗殺の計画も進んでいるこの時期に、一人で、という護衛官たちの、いわば、避難の目も気にせずに。



「ですが、ロシュ様」

「いいか。これは、命令だ。もし私が当分かえらなくても心配するな」

ロシュは強い口調で言う。

大星間帝国統治者のロシュは、彼の大仰な護衛官団を、その場に残し、

たった1人で、とでも小さな町へ向かっていった。



護衛官団は、町のまわりを取り囲み、彼がその町から出てくるまで待続けるだろう。





その小さな町の通りには、人影はなく、静謐さが全て覆っていた。まだ珍しく舗装されていない、むき出しの道をゆっくり歩いていく。彼は歩いて来た方向を、いわば、彼の信奉たちの方を、ふり返りもしなかった。





町のすぐ後ろにある小さな丘から、樹齢数百年に及ぶ樫の木立ちが、町並み方にその大きな陰を投げかけていた。



町外れにある。目立たない2階建ての家の前に立って、ロシュは、考え深げににその建物を見上げ、ため息をついた。



やがて、思いつめたように、中に入っていった。



■古びた看板には「夢の国」とあり、風でふるえて、音を立てていた。

昔のままのオーディが、いた。



今まさに眠りから覚めたばかりという顔で、カウンターの中に座っていた。

「ロシュ、100年ぶりかね。どうだい、この星の世の中の子は。ちぇつ、いつもと同じ会話、言葉か」



ロシュは、少々疲れた顔で答える。



「君も夢の中で見ただろう。戦争、革命、闘争。殺りく、暴動。、流血、それから、そうそう、わずかばかりの短い平穏、平和。、、、私に残ったものは、また、失望と疲労。、、いつもの通りだ」

ロシュは、首をうなだれていた。



「それじゃ、俺の頃と、また同じだったんだな。独裁者ロシュ殿、10のの太陽系、と127の星を支配する。大星間帝国の創設者にして、統治者のロシュ殿のか」

自虐的にオーディはいう。



「なお、オーディ。私はいつも思う。私たちは、一体、何のために生かされているのだ」

ロシュは、吐き出す様にいった。



「ロシュ、それは考えないことだ。俺たち二人は、ハーモナイザーによって選ばれた人間だった。

宇宙意思「ハーモナイザー」から与えられた役目を果たさなければならない。

そのおかげで、俺たち二人は、永遠に続けることができるのではないか。」



ハーモナイザーは、絶対神ともいえる。



「俺たちは、確かに不老不死の体となった。ハーモナイザーによってな。

だが、命が、永遠の命が何人になる。自分の愛した女が老いさらばえ。

子供達が生まれ育ち、そして、俺の目の前で死んでいくんだ。これは悲しいぞ。そんな森羅万象を眺めているのは、気分の良いものではない。おれたちは神ではない。



が、いわば、神の役割を果たさねばならない。また私の意志で数多くの罪のない人がきづづき死んでいく。えー、何のための不滅の命なのだ。私たちは一体何者だ。何のために生きているんだ。教えてくれ」



ロシュは、もう絶叫していた。



オーディは、しばらく黙っていたが、やがて、ゆっくりと口を開いた。

「ロシュ、俺にいえることは、ただ、眠れ。それだけだ。その大きなカに君は疲れている。次の時代に期待しろ。今度の俺の時代で、ハーモナイザーがオレたちに与えた命令がわかるかもしれない」。



「わかった、わかった、オーディ期待するよ」。

われわれの製造理由で飲んで党のあることはな。



その実、ロシュは、もう、期待はしていないのだ。

ロシュは、今にも消え入りそうな力を、なんとか絞り出して、地下室へ降りていく。



明滅する光の中を、ムービングウエイが走り、丘の中央に隠された「円盤」にたどり着く。

寝床となる「シリンダー」中に横たわる。この中で、何度か目の500年目の眠りの中に入る。



反対にオーディは、この町をでていく。この町を500年の間、訪れる人もない。訪れる人はない。この町は霧の中へ沈んでいく。

周りにいた護衛官たちは、オーディの「神の力」で「全滅」する。





ロシュが見るのは、必ずその時の映像だ。



るか昔、地球から、最初の恒星間飛行を行った、当時の二人の宇宙飛行士は事故にあい、宇宙空間を漂流。死の直前、彼らは、ハーモナイザーという超生命体に助けられた。



時々、ロシュは、自分たちは、まだ、あの漂流していた宇宙船にいるのではないか。これまでロシュが経験していたことすべてが、夢であることことではあり、死の一歩手前。宇宙飛行士の妄想ではないか。





ロシュの子供のころからの夢は、支配者になる事であり、いつもプルターク英雄伝や、ナポレオン、ヒットラーそして、その他のそれぞれの時代の独裁者の伝説を映画やビデオ、本で読んだり見たりした。死ぬ間際の幻想映像ではないか。



そうろしはもうそんな夢に、やがてオーディが現れる。



オーディは、ロシュが作り上げた星間帝国を崩壊させようとした。

ハーモナイザーから与えられた全知全能を持って、この世に、新しい秩序を作とうとしていた。



そして、この星で、500年の時が流れた。



●共同体主席オーディがやってきたのは、名も全く知られていない淋しい町たった。時ですら、この町を見向きもしないって通り過ぎていくだろう。



そんな感じだった。

この霧に包まれた町は、まるでこの世の中に存在しないような感じさえした。



制服に身を固めた、50名はいる大勢の、同志親衛隊たち。気動車の中にいる、そのの一人が、オーディの身を案じて、声をかける。

「同志オーディ様、大丈夫ですか、こんな地図にはない記載されてない小さな町で、一人でお出かけ。とは、記載されていない事自体がおかしいのですよ」。

「心配するでない。この町。この場所に来ることは、、すでに、神が決められている。いわば、一つの通過儀式なのだ」

強い調子でいった。



暗殺の計画も進んでいるこの時期に、一人で、という同志親衛隊たちの、いわば、避難の目も気にせずに。



オーディ共同体として主席同志オーディは、どうしたも、目の前にとでも小さな町へ向かっていかなばならない。

そして今度は、めざめたばかりのロシュが持っていたのだろう、「夢の国」へと、、



樹齢数百年に及ぶ樫の木立ちの1本の樫の、表皮、小さな部分に、

地球文字が刻まれている。突然、それは現れる。



『私の夢は、、、』







「もちろん、あの人は私の夢の一部分よ。でも、私も、あの人の夢の一部なんだわ」ルイスキャロル鏡の国のアリスより。



完 20210913改訂

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「支配者たち」(ハーモナイザー01)1986年

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源義経黄金伝説■第70回鎌倉、大江広元の前に静の母親、磯禅師が現れて、秘密を打ちあける。その秘密とは、源義経の遺児は。

 

YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
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源義経黄金伝説■第70回鎌倉、大江広元の前に静の母親、磯禅師が現れて、秘密を打ちあける。その秘密とは、源義経の遺児は。

源義経黄金伝説■第70回

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■ 1198年(建久9年)鎌倉/大江広元屋敷



「危ういところであった、文覚が鬼一を処分してくれたとしては」

大江広元は呟く。が、広元は疑心に捕らわれる。

 いかん、もし、、、



「よいか、至急に牢を見て参れ」と雑色に命ずる。

「源義行殿、牢におられませぬ」

 雑色が顔色を変えて報告した。

「何と…、そうか、あの磯野師めが」



大江広元は、禅師の控え部屋にいく。

「禅師、お主、義行殿を逃がしたな」

声高かに叫ぶ広元に対して

磯禅師は、ゆっくりとお茶をたしなんでいる。



ふくいくたるお茶の香りが磯禅師のいる部屋にたちこめている。



「大江様、どうかお許しください。あの者、最初からこの世には存在せぬもの

です」

「磯禅師、お前、静と連絡をとっていたのか。静はまだ生きていると聞く。あ

の義行を静の元に走らせたのか」



大江広元は、ある事にはたと気づく。

苦笑しながら言う。

「そうか、磯禅師、お主、西行に惚れておったのか。それを見抜けなんだのは

、私が不覚。西行の想いが、自分の黄金である源義行を逃しよったか。くくっ、まあ、良い。 いずれは、静のところに向かうであろう」

源義行は、磯禅師にとっては孫にあたるのだ。



大江広元は憎々しげな表情で、磯禅師を見つめる。

禅師は、まさか広元が静の居場所を知っているとは、思っている。



恐るべき情報能力を持つ男だった。大江広元 は付け加えた。



「よいか、禅師。もし何かことがあれば、お主もろとも滅ぼす。無論、京都

大原にいる静もだ」



脅しの言葉であった。が、禅師も負けてはいない。

「しまし、大江様。大江様もこのままでは済みませぬぞ」

「何だと」

「頼朝様の暗殺を知っておられたこと、鎌倉腰越にて書状に認めてございま

す」

「何という書状を…、嘘じゃ」



北条政子様は信じますまい。いや、本当のことをご存じでも、その書状を

利用し、京都から来た男である大江様を、鎌倉政権の座から引きずり落とすでし

ょう」

「むむっ、お前。この俺を裏切りおるか」

大江広元は憤怒の形相で、磯禅師ににじり寄った。



「これでも禅師は、この源平の争いの仲を生き残ってきた者でござい ます。裏の手、裏の手を考えておらねば、生き残ってはこられませぬ。そこは 私、禅師の方が広元様より、一枚も二枚も上手ということでございましょう」



大江広元を見返す禅師のまなじりには力がこもっていた。

おまけに源義行は、禅師の孫なのだ。



今の今まで生きながらえて、この官僚あがりの田舎貴族と対峙

して、勝てなければどうしよう。経験の量が違うのだった。



「うむっ…」

大江広元も押し黙ってしまう。ここは禅師を怒らせぬ方がよいかもしれぬ。所

詮は女だ。変に怒らせて、今までの広元の苦労を水泡に帰すこともあるまい。



「大江様、大江様はこの鎌倉殿の政庁を作り。歴史書に御名前が載りましょう。

が しかし、大江広元様ではなく、中原広元様にかも知れませんね」



「禅師、お前何を企むか」

「いや、お隠しめされるな。先年なくらられし西行様も、同じことをされました」



「‥‥」

「家の筋目のことでございます」



西行法師様も、佐藤家の本筋ではございませんでした。佐藤家は源平の戦い、屋島の戦で、

滅んでおります。それゆえ、西行様も佐藤家御本流として、後の歴史にのこられるでしょう。

これは大江様も同じことをされる機会でございましょう」



大江広元も、また西行もそのそれぞれの家の本流、本家ではない、と禅師はいうのだ。



「禅師、お前は、、」

「いや、皆まで申されますな。



大江様の御母君様は、大江家の出。母方さまの御本流をのってるおつもりではございませんでしたか。

本来の苗字、中原の名前を隠し、大江の本流の方々をすべて死においや り、

大江広元の名前は、歴史にのこりましょうぞ。さすれば、名高き学者、大江匡房の 曾孫としてはづかしき事無く明法博士の御名前を朝廷からいただけましょう。これ でも禅師には、つてがございます」



大江広元はしばしの間、頭を垂れていた。が、ゆっくりと顔を禅師に向ける。

「、、で、禅師、そのお方とは、、」



禅師は、広元もまた、京都のためにからめとった。



「わかった禅師。このこと不問にしよう」

「では、源義行様のことはいかが記録されます」

「事件とはかかわりあいのない雑色だったということにしようか」



「それを聞いて安心いたしました。 それでは、京都から鎌倉にこられる僧たちのことよろしくお願いいたします」



栄西法然をはじめ、新しい教条を手にに、鎌倉武士のために

京都から僧侶が送られてくるのだ、その手配方を、大江広元に頼もうというのだ。



昔、京都において、平家陣営の諜報少年部隊、赤かむろの束ね者でもあった、磯禅師は、深く頭をさげた。



(続く)20210429改訂

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封印惑星)第12回■最終回 地球意志は大球(地球)と結ぶ小球(月)に、星の武器を集め自爆にアーヘブンを 巻きこむ。アーヘブンは新地球の創造をユニコーン、北の詩人、ゴーストトレインが実体化。

 


CP封印惑星・封印された新地球で、情報収集端子である一角獣・新機類は、天空の光矢を見る。 それは新地球の解放者、世界樹の出現する予兆であった
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封印惑星)第12回■最終回 地球意志は大球(地球)と結ぶ小球(月)に、星の武器を集め自爆にアーヘブンを 巻きこむ。アーヘブンは新地球の創造をユニコーン、北の詩人、ゴーストトレインが実体化。

封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第12回●■最終回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所




「危ない所だった。天宮=地球意志は、私アー・ヘブンを道連れに、この星を破壊するつもりだったのか」



 アー・ヘブンは独りごちた。



 地球意志は、大球(元の地球)と結ばれた小球(元の月)に、スパイダーネットで、集積した色々な星の武器を集めていた。



 地球爆発の際、武器群は小さなユニユニット群となり、小球から発進し、この宇宙に存在する生命を破壊しつくす武装機械船群を、あらゆる方向にむかって発射されようとしていたのだ。



そのために、長い長い時間をかけ、知らないうちに、スパイダーネットを使い武器を集積していた。



それは、ハーモナイザーに対する「地球意志」の復讐行動である。



「地球の上に新しき生命を宿すのだ」



 アー・ヘブンの心の底から声が響く。ハーモナイザーが呼びかけていたのだ。



「どうやって、この地に生命を宿したらいいのですか」



「アー・ヘブンよ、お前は種子なのだ。お前が変化し、新しき地球になじむ植物となるのだ。お前子孫がこの星、地球に充ちるのだ」



「しかし、ハーモナイザー、この大球いや、地球は鋼鉄のよろいがあり、内部ば機械星となっています」



「心配するな。機械星、大球に根をなせぱよい」



「根ですって」



「お前の第1触手を、根とするのだ」



 アー・ヘブンはハーモナイザーにいわれた通り、第1触手を大球の機械地中深くシャフトにそってかろす。触手は膨張し、根となった。



 次の瞬間、地表を被っていた鋼鉄面は光り出し、熱を持つ。一気に蒸発した。同時に地球全体が光り輝く。



大球内部の機械類は燃えあがり、やがて燃えつき、土と化した。



 アー・ヘブンの体に内包されていた、ハーモナイザーの種子も。



同時にまきちらかされる。種子は大球、全世界を被う。



 『大球をアウフ・ヘーベンせよ。アー・ヘブン、それが、お前の役割なのだ』



光の声がいう。



いまや、大球から変化し、再生された地球の世界樹となったアー・ヘブンの聴覚に、ハーモナイザーが働きかけ、アー・ヘブンは始めて、自分の名前の意味合いを悟った。



 アー・ヘブン=アウフ・ヘーベン(止揚)だったのか。



アー・ヘブンである、世界樹の、表皮、小さな部分に、古代の地球文字が刻まれている。突然、それは現れた。



『私の夢は、、、』



今は存在しない「北の詩人」イメージ脳はただよう。



その存在しない思念には、かつて″木″、に記号を印した事を思い出している。



ずっと昔の古代の記憶。



『かしのきに、ナイフでしるしを……』



北の詩人が。消え去る一瞬、耳にした何かの産声は、この変化のさきぶれだったのか。



新しき地球は、ハーモナイザーと意識では一体化し、アウフ・ヘーベンした世界樹により、新たなIページを書き記し始めた。



北の詩人の体は、再び実体化し、北の詩人の目の前にはユニコーンの姿も、ちらほら形作られはじめるのが見えた。



そして、ゴーストトレインも、、、



(完)

●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第12回●

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封印惑星)第12回■最終回 地球意志は大球(地球)と結ぶ小球(月)に、星の武器を集め自爆にアーヘブンを 巻きこむ。アーヘブンは新地球の創造をユニコーン、北の詩人、ゴーストトレインが実体化。

 


CP封印惑星・封印された新地球で、情報収集端子である一角獣・新機類は、天空の光矢を見る。 それは新地球の解放者、世界樹の出現する予兆であった
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封印惑星)第12回■最終回 地球意志は大球(地球)と結ぶ小球(月)に、星の武器を集め自爆にアーヘブンを 巻きこむ。アーヘブンは新地球の創造をユニコーン、北の詩人、ゴーストトレインが実体化。

封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第12回●■最終回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所




「危ない所だった。天宮=地球意志は、私アー・ヘブンを道連れに、この星を破壊するつもりだったのか」



 アー・ヘブンは独りごちた。



 地球意志は、大球(元の地球)と結ばれた小球(元の月)に、スパイダーネットで、集積した色々な星の武器を集めていた。



 地球爆発の際、武器群は小さなユニユニット群となり、小球から発進し、この宇宙に存在する生命を破壊しつくす武装機械船群を、あらゆる方向にむかって発射されようとしていたのだ。



そのために、長い長い時間をかけ、知らないうちに、スパイダーネットを使い武器を集積していた。



それは、ハーモナイザーに対する「地球意志」の復讐行動である。



「地球の上に新しき生命を宿すのだ」



 アー・ヘブンの心の底から声が響く。ハーモナイザーが呼びかけていたのだ。



「どうやって、この地に生命を宿したらいいのですか」



「アー・ヘブンよ、お前は種子なのだ。お前が変化し、新しき地球になじむ植物となるのだ。お前子孫がこの星、地球に充ちるのだ」



「しかし、ハーモナイザー、この大球いや、地球は鋼鉄のよろいがあり、内部ば機械星となっています」



「心配するな。機械星、大球に根をなせぱよい」



「根ですって」



「お前の第1触手を、根とするのだ」



 アー・ヘブンはハーモナイザーにいわれた通り、第1触手を大球の機械地中深くシャフトにそってかろす。触手は膨張し、根となった。



 次の瞬間、地表を被っていた鋼鉄面は光り出し、熱を持つ。一気に蒸発した。同時に地球全体が光り輝く。



大球内部の機械類は燃えあがり、やがて燃えつき、土と化した。



 アー・ヘブンの体に内包されていた、ハーモナイザーの種子も。



同時にまきちらかされる。種子は大球、全世界を被う。



 『大球をアウフ・ヘーベンせよ。アー・ヘブン、それが、お前の役割なのだ』



光の声がいう。



いまや、大球から変化し、再生された地球の世界樹となったアー・ヘブンの聴覚に、ハーモナイザーが働きかけ、アー・ヘブンは始めて、自分の名前の意味合いを悟った。



 アー・ヘブン=アウフ・ヘーベン(止揚)だったのか。



アー・ヘブンである、世界樹の、表皮、小さな部分に、古代の地球文字が刻まれている。突然、それは現れた。



『私の夢は、、、』



今は存在しない「北の詩人」イメージ脳はただよう。



その存在しない思念には、かつて″木″、に記号を印した事を思い出している。



ずっと昔の古代の記憶。



『かしのきに、ナイフでしるしを……』



北の詩人が。消え去る一瞬、耳にした何かの産声は、この変化のさきぶれだったのか。



新しき地球は、ハーモナイザーと意識では一体化し、アウフ・ヘーベンした世界樹により、新たなIページを書き記し始めた。



北の詩人の体は、再び実体化し、北の詩人の目の前にはユニコーンの姿も、ちらほら形作られはじめるのが見えた。



そして、ゴーストトレインも、、、



(完)

●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第12回●

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封印惑星)第11回アーヘブンは、「天宮」と対峙。「天宮」は、ハーモナイザーと同化を拒み、地球・思想本図書館とイメージコーダーの合成体が 破壊された。地球思想書が、粉々に吹き飛ぶ。

 

2022年03月18日 | 封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)

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封印惑星)第11回アーヘブンは、「天宮」と対峙。「天宮」は、ハーモナイザーと同化を拒み、地球・思想本図書館とイメージコーダーの合成体が 破壊された。地球思想書が、粉々に吹き飛ぶ。

封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第11回●●
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本が風化するのと同時に、コードの中の,北の詩人の体も消滅した。



アー・ヘプンはその一瞬、産声を聞いたような気がした。



その機械共生体も、外気にふれて腐触し、機械パネルははじけ飛び、粉々に分解していく。



本がその背後の機械共生体がくずれ去った後,内壁中央部に光点が残っていた。



光点はアー・ヘブンの方へ移動してきた。



球体には、ぎっしりと古代の本が積まっている。



その球体からは、強烈な激怒のイメージが、アー・ヘブンに注がれていた。



それが「天宮」だった。



アー・ヘブンは「天宮」に話しかけている。「天宮」の過去の名前で。



「地球意志よ、寂しかっただろう」



「地球意志? 太古の、私の、名前を知っている、お前は一体……」



「そう、「天宮」いや、地球意志よ、君が考えている通りだ」



「つまりは、お前は、ハーモナイザーの手先というわけか」



「正確にはそうではない。私、アー・ヘブンは、ハーモナイザーの意識の一部という方が、いいだろう」



「なぜ、私「天宮」の所へ来た。私「天宮」つまり、地球意志の宇宙に対する復讐の理由を探りに来たわけか」



 アー・ヘブンは、天宮=地球意志、の意志の強固さ。



その意志の持つ邪悪さに、思わずたじろいた。



「やはり、君は、宇宙に対して、復讐を考えていたわけか」



「そうだ。私はハーモナイザーのおかけて、「地球人類」という、



かけがえのない財産を奪い取られたのたからな。それに君は、私のデータベースも破壊した」



「まだ、わかっていないのだな、地球意志。



ハーモナイザーは君から地球人を奪いとったわけではない。彼ら、地球人類は、自らの意志て君から離れたのだよ。



地球人類は宇宙の意志という大きな思念のために出かけていったのたよ」



アー・ヘブンの意識は、ハーモナイザーと一体となる。



「ハーモナイサーの手先としてか」



「手先?、そういった問題ではない。地球人類はひとつの思考形態としてより進化したといえるだろう。



かつては地球人類という小さな枠で、物を考え、自分達の能力を使っていたが、ハーモナイザーの意志により、彼らは同調したのだ。



君、つまり地球意志より、より大きな意志のためにね」



「ハーモナイザーよ、いくらくりかえしてもしかたがない。ハーモナイザー、君が私から人類を奪い去った事に変わりはない。



あまつさえ、私、地球にこの鋼鉄の鎧を着けさせてその上に監視員をおき、彼ら監視員を進化させた」



「そう、彼ら監視員の新機類は、君、天宮=地球意志を、監視するために存在し、生命球がすべてを



統禦していた。



が、新機類や生命球は君が滅ぼしたのだろう」



「そう、それが、宇宙に対する、そしてハーモナイザーに対する私の復讐の手始めだ」



生命球は、アー・ヘブンのソウルブラザー、同類の意識体だった。



生命球も、ハーモナイザーの個性群体の一つだったのだ。



「ハーモナイザーは、君、地球意志の行動を観察していた。



君があるいは新しい精神構造を持ち始めて、ハーモナイザーの考え方に同調するかもしれない、と思ったのたよ。



がそれは残念なら、期待はずれだとわかったわけだ」



「それて、わざわざ、このシャフトまで降りてきて、私を滅ぼすわけか」



 天宮=地球意志の声、はあくまで冷たい。



「地球意志よ。最後のチャンスだ。君の思念を我々ハーモナイザーの仲間として同調しなさい。それがすべてだ」



「答えはノーだ」



「わかった」



天宮=地球意志は、何かの信号を送りだそうとしていた。



間髪を入れず、アー・ヘブンは、第3触手をのばし、天宮=地球意志をにぎりつふそうとする。



「天宮」の中身は、聖書、仏典、コーランなど地球の宗教書・哲学書、地球人類の偉大な思想遺産の書類とイメージーコーダーが包含されていた。



この宗教書こそが、天宮=地球意志のアイデンティティーだった。



存在価値のすべてだ。



アー・ヘブンの第3触手の握力で、古代の図書館とイメージコーダーの合成機械「天宮」の外壁がはじき飛び、本の数々がバラパラに吹き飛び、破片は大気へ散っていった。



(続く)

●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第11回●(1987年作品) 
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源義経黄金伝説■第69回鬼一方眼との死闘のため、頭や顔は朱に染まり、足取りもおぼつかぬ文覚は、大江広元屋敷の元を訪れている。

 

2022年03月18日 | 源義経黄金伝説(2022年版)

YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
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源義経黄金伝説■第69回鬼一方眼との死闘のため、頭や顔は朱に染まり、足取りもおぼつかぬ文覚は、大江広元屋敷の元を訪れている。

源義経黄金伝説■第69回

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■ 1199年(建久10年)鎌倉



文覚は、対決の後、しばらくして、広元屋敷の元を訪れている。



文覚の頭や顔は朱に染まっている。

足取りもおぼつかぬ。

鬼一方眼の打撃の後がゆっくりと文覚の体をむしばんでいる。

鬼一の八角棒には、やはり丹毒が塗られていた。



大江広元殿、鬼一方眼はワシがあやめた、これで、あやつらの王国、勢いがなくなろう」

文覚は、大江に満足げに言った。

「さようでございますか。それは重畳。しかしながら、いかがなされた。その傷は」

「我のことなぞ、どうでもよい。よいか、大江広元、義行を逃がせ」

「源義行を…、何を言う。気が狂られたか」



「よいか、大江広元。私、文覚は、元は武士である。鬼一との約束は守らねばならぬ」

 文覚は息も絶え絶えに言うのである。



「皆の者、出て参れ。文覚殿、乱心ぞ」



大江広元は、屋敷の郎党を呼び寄せる。

「くそっ、広元、貴様」

 手負いの熊のように文覚は、広元の手の者と打ち合うが、多勢に無勢。おま

けにひん死の状態の文覚は打ち取られる。

「残念、無念。清盛、西行、お前らが元へ行くぞ」

とらえられ、牢につれていかれる文覚が、いまわの際に叫んだ。





文覚は,今は亡き好敵手西行の最期を、そして西行から聞いたある話を

思い起こしていた。





待賢門院璋子けんれいもんいんたまこは、西行の手を強く握りしめている。

待賢門院璋子は後白河法皇の母君である。

その臨終の席に西行が呼び寄せられていた。



「二人の皇子をお守り下され。西行殿。私の最後の願いでございます」

「わかりました、璋子様、この西行の命に変えても」



西行は宮廷愛の達人でもあった。この時期日本は宮廷愛の時期である。



待賢門院璋子の二人の子供とは、崇徳上皇後白河上皇である。



璋子は鳥羽天皇の間に後白河法皇を生み、鳥羽上皇の祖父である白河法王の間

崇徳上皇をうんだ。白河法皇は璋子にとり愛人であり、義理父であった。

いわゆる源平の争いは、璋子を中心にした兄弟けんかから起こった。



西行は璋子のために終生、2人の御子を守り事を誓ったのだ。

西行は璋子のために、京都朝廷のしくみを守りために、その生涯を捧げた。

西行と文覚は、若き頃、恋いにそまりし王家を守る2人の騎士であった。



それでは、文覚は、日本の何を守ったのか。自問している。



文覚は若き折り、崇徳上皇の騎士であった。

上西院の北面の武士である。

しかし、文覚は保元の乱の折り逃げ出している。その折りの事を西行はよく知っているのだ、言葉で攻めていたのだ。



西行は、いまはのきはに、叫んでいた言葉を思い起こす。

「文覚殿よ、天下は源氏におちたと、、思わぬほうがよい」

「何だと」

「頼朝殿の義父、北条、平時政殿の手におちるかもしれんな」

西行の死に臨んでの予言であった。



いにしえ、坂東の新皇と自ら名乗った、平将門まさかどの乱平定に力があ

ったのは、藤原秀郷と平員盛である。藤原秀郷の子孫は、奥州藤原氏西行

家などである。

平員盛の子孫が、伊勢平氏と北条氏であった。



(続く

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源義経黄金伝説■第68回★1199年(建久10年)鎌倉大倉山に、伊豆からの春嵐がふきすさぶ山頂に鬼が二匹、己が思想に準じて舞い踊る。

 

2022年03月17日 | 源義経黄金伝説(2022年版)

YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
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源義経黄金伝説■第68回★1199年(建久10年)鎌倉大倉山に、伊豆からの春嵐がふきすさぶ山頂に鬼が二匹、己が思想に準じて舞い踊る。

源義経黄金伝説■第68回★

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第9章 1198年(建久9年) 鎌倉

■5 1199年(建久10年)鎌倉大倉山 



 鎌倉の街の背後にそびえる大倉山山腹に、びょうと風がふいている。



 鎌倉の周り北東西三方に山山がとりまき、南は海に開いている。鎌倉は自然

の要塞であった。大倉山山頂から頼朝が作りあがた要塞都市の姿がよく見え

る。文覚はだれにも手出しできぬように、この決闘場を選んでいた。



 伊豆からの春嵐がふきすさぶ山頂に鬼が二匹。



「鬼一方眼、今度が最後の勝負ぞ。いずれにしろ、お主らが丹毒で、頼朝様、もっ

ても7日だ。お主らを倒しておかねばのう。この鎌倉幕府が持たぬわい」

鬼一方眼も構えている。



「おおよ、その勝負、受けたぞ、文覚。俺も京都一条の鬼一法眼。あとくされ

ない勝負だ。これで引き下がったとあっては、俺の名折れよ」



二人の体に、伊豆からくる少し早い春風が、吹き巻いている。



人の気配のない大蔵山の山頂に、二人とも八角棒を手にして微動だにしない。



「それに鬼一、安心せよ。儂は西行殿と9年前に約束しておる。勝っても負け

ても、源義行殿の命は安全よ」

「それを聞いて安心した。お主も闇法師の端くれであったか。約束は守るの

か」

「当たり前よ。ましてや、西行殿の今際の際の言葉だ」

「いざや、まいる」



とどちらからともなく打ちかかっている。

激しい打撃音が、大倉山全体に響く。山に住む野生の動物たちが勢いで逃げ出してくる。



「よいか、鬼一。お前たち、山の民どもの住む所など、もうこの世には存在せ

ぬ」

激する文覚が声高に叫んでいた。

「頼朝ばらに、我々の王国など支配できるものか。いあや、支配させるもの

か」

鬼一方眼が、鋭い文覚の八角棒の一檄を受けて叫ぶ。



鬼一方眼の言う王国とは、京都大和王朝が成立しても、なお連綿と続いている、

前の王朝、葛城王朝の流れを汲む『山の民の王国』である。歴代の京都朝廷も

彼らの見えざる王国を認め、協力者としていたのだ。それを文覚は無くなると

言うのだ。



「よいか、頼朝様が、征夷大将軍となり、十年前に奥州平泉王国を滅ぼした

今、我々武家の世の中よ。日本は頼朝殿によって統一された。支配するのは

鎌倉将軍。また山々、山山林のすみずみまで、鎌倉から守護、地頭をつかわし、

網の目のように日本全土に支配を巡らせる。お前たち、山伏を始め、山の民の

住む所なぞないわ。義経が逃げた場所などもうなくなる」



「くそっ、ゆうな。文覚、それであるからこそ、お主ら倒さねばならぬ。お主

は鎌倉を代表する攻撃勢力。我々自由民のためにな」

「無駄よ。京都朝廷を頼朝殿がおさえれば、『山の民の王国』など認めるもの

か」

平清盛殿、西行法師殿、後白河法皇様。皆、我らが味方であったぞ」

「それも終わりぞ。義経殿も、もう日本には帰ってこれぬぞ」



文覚の言葉に鬼一はたじろく、

(なぜそれを知っている)

「貴様、なぜ、それを」



「ふふっ、金きんに逃れるところを、儂が、のがしてやったのだ。

鞍馬寺の宝、征夷代将軍、坂上田村麿呂公の刀と引き換えにな」



「くそ、これが最後の一撃…」

鬼一は、渾身の力を込めて、文覚に打ちかかっていた。



八角棒はぱしりと折れ、鬼一の棒が、文覚の頭蓋を、天頂を打ちすえている。



一瞬、時の流れがとまる。

二人の体は止まっている。

風も一瞬凪いだ。



急にゆるやかな太陽の光が、雲間からふたりの体を照らした。



折れた八角棒の先を、文覚は鬼一の胸板を貫いている。

 相打ちである。



 血のにおいがただよっている。

鬼一の方が致命傷となる。

足下に体液の流れが、大地をすこしづつ、赤黒く染めていく。



「くっつ文覚、どうやら、我々の時代は終わったのう」



苦しげに、鬼一は呻く。

血が口からしたたり落ちてくる。



 しばらくして文覚が告げる。



「鬼一、よい勝負だった。それに約束だけは守ってやろう」

「約束だと」

血みどろの鬼一方眼の疑問の顔が、文覚に向いた。



「源義行殿を、鎌倉から逃がすことじゃ」

相対する文覚の顔と体も、すでに血にまみれている。



「それは有り難い、文覚殿。その事、恩にきる。ぐう」



ひとこと発し、鬼一の体がゆっくりと大地に沈んでいく。

 血の気が失せていく鬼一の体に、文覚は両手で拝む。



「鬼一方眼殿のお仲間の方々、後はお願い申す」

 まわりの気配に対し、文覚は周りを見渡し大音声でさけぶ。



折れた八角棒を杖として、頭から血を流しながら、文覚は鬼一の体を残し

そこを去って行く。

文覚は山道で立ち止まり、振り向く。

目には血が流れ込んでいる。



「鬼一方眼殿、さらばだ」



 文覚の姿が消えた後、山伏の群れ、結縁衆や、印字打ちの群が現れていた。

 数人が鬼一方眼の遺骸を取り囲む。



 「後を追うか」一人が叫ぶ。

 「無駄だ、あのおとこには」



「刃の鬼聖」文覚の名前は、紀州にも響いている。

文覚は日本各地の山伏の生地で荒行をくり開けしていた。



「頭の最後の命令にしたがおう」

「それより、我々はな、、西行法師殿の伝説を、この世に広めねばなるまい

それが、われら、後に残りしものが役目ぞ」



鬼一方眼の義理の弟、淡海が、強くいう。

目じりが光っていた。



(続く20131026改訂



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