yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

ガーディアンルポ03「洪水」第3回

■ガーディアンルポ03「洪水」第3回(1979年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
http://ameblo.jp/yamadabook/

■ガーディアンルポ03「洪水」第3回■

ミ=ムネはうなだれて岩の上で想いかえす。彼、ム=ウムの事を。
 ム=ウムは生まれた時から変わったところがあったのだ。
しかし、彼女の属している種族自体も他の水棲人達と変わっているといえばいえる。何かしら作為的なとこ
ろが、ミ達の体に感じられるのだ。あまりにも体が能率的左のが陥きらに精神構造も違っているよう九っ九っ彼女の棟辰と他の水棲人達とのいききはほ
とんとといってない。また、他の水棲人達もしいて付き合かうとしない。限られた地域の中で、彼女の
一族は生活をしているのだ。

けれど、それにも増してム=ウムは異端児であった。
彼ム=ウムの一族は、「シュクセイキ」から続いているといわれる種族の連綿と続く
歴史の中で始めてかこった異変といえるであろう。
彼の体は、まるで種族のそれと異々っていた。彼か生まれた時、彼の父はム=ウムを殺そうとした。必死で長老達が押し
とどめなければ、彼は今生きていなかったに違いない。

水棲人たる彼にはエラがなかった。
少なくともエラがはえるまで日数がかかった。その間、彼は息
も絶え絶えの状態だったのだ。部落の中央にある岩屋の中の、天井にたまったわずかな空気で彼はかろ
うしかその生命を保っていた。さらにうろこのはえるのも遅かった。
ム=ウムが一族の災いの元である決定的な証拠はミ=ムネしか知らない。

それは今日から、三ヵ月前のことだ。

その日、ム=ウムはいつもと様子が違っていたので、ミ=ムネは不審に思っていた。何も旨わずムはひとりどこか
へ行こうとした。心配のあまりヽ心は彼をつける事にLだ。シとろいた事にムは彼ら種族が厳しく立ち人
りを禁止している禁制地域へ何のためらいもなく人っていっ九のである。ミ=ムネはムを禁制地域の人口で待
つ事にしか。長い間、ム=ウムはその中に人っ九まま帰ってこ痙い。ミは恐怖のあまーり何度も集落へ帰ろうか
と思ったが、やはりムのことが気になり、岩陰から中の様子を見守っていた。
何時間、経ったろうか。ムは放心状態で入口から泳ぎ出てきた。ミ=ムネは急いで後ろから泳ぎつき、ムの
公団を呼んだ。

「ム=ウム、ムったら、しっかりしてよ。私よ。ミ=ムネよ。わかる」
「え、伺だ、ミ=ムネミか。どぅしたんだ。ここはとこだ」
ムは、急に気付いた。
「伺を言っているの。ム、今まであなたかとこにいたか気がついていないの」
「僕がどぅしたって」
驚いて彼女を見る。
「いい、よく聞いて。これは冗談じゃないんだから」
「わかっ九よ、ミ=ムネ、そんな侑い顔をするなよ。せっかぐの君のかわいい顔かたいなしだぜ」
「ふざけている場合じゃないわよ。あなたは今、禁制地域から出て来たのよ」
「禁制地域!」
「そぅ禁制地域よ。ム=ウム、あなたも知っているでしょう。私達の種族の言い伝えを。もしあの地域に誰か
が足を踏み入れた時、私達の一族は皆滅んでしまうという伝説を」
ムは本当に驚いたよぅだった。
『もちろん、知っているさ。伺代にも渡って語りつがれてきたことたから」
 肩を落とし、声はふるえる。
「間違いなく僕は禁制地域に人っていったんだね」
 思いつめたようにムはミに尋ねた。ミ=ムネはどぎまぎしながら答えた。
「間違いないわ、わたしこの眼ではっきり見九んたから」
「そうなのか。。」
「でも、安心して、ム=ウム、私は一族の誰にも、この事は言わないわ。約束するわ。第てこんな事がわか
ったら大騒ぎよ。殺されかねないわ」
「ありがとう、ミ=ムネミ。本当にありがとう」
体が震えていた。
「僕は自分自身が怖いんだ。なぜそんな事をしたんだろう」
頭を抱える。
「それじゃまったく禁制地域の中の事は覚えていないの」
「そう、まったく記憶がないんだ」

二人だけの秘密はミ=ムネミとム=ウムの間をよりよく親密にしてした。
今日この日、ム=ウムがさらわれていくまで。

■(続く)
ガーディアンルポ03「洪水」(1979年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
http://ameblo.jp/yamadabook/