yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

ガーディアンルポ03「洪水」第8回-完

ガーディアンルポ03「洪水」第8回-完 [ ガーデイアンレポシリーズ ]
■ガーディアンルポ03「洪水」第8回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

■ガーディアンルポ03「洪水」第8回■

■11
 僕、カインが、目をさますと、知らない人達が、僕の顔をのぞき込んでいた。
「大丈夫か地球人よ」
「あなた方は」
「君達を助けるために来た宇宙人、LS星人だ」
 遅かった。もう少しても早ぐ来てくれたら、弟アベルは助かっていたろう。たった一入の弟、アベル、たった一人の肉親、そして僕が生きていくためのパートナ。
僕はぼんやりと考えながら、その宇宙船の内部をながめていた。
 「所で、君は犬洪水をもたらした放射線の熱射か、外部の要因だと聞いたら驚くかね」
「外部からの要因?どういうことですか」
「ROW星人の仕業なんだよ。この災害はね」

災害だって、災害にしてはひどすぎるじゃないか。
「ROW星人は自分達の住みやすい星を発見すると、自分達の具合のよいようにその星を改造するのだ」
 ぐそっ。痛い。
体じゅうがうめき声をあげていた。まるで地獄の炎に焼かれているようた。おまけに、こんな話を生き残った僕一人だけが聞かなければならないなんて。
「君の体の傷は、残念だが非常に重い。君はその地球人の体でいる事は不可能だ。だが我々の提供する別の体に移しかえることができる。我々はROW星人を妨害しようとした。しかし彼らの力の方が、残念なから優れている。
我々は君達人類に警告しようとした。しかし我々の乗物を見て、君達はUFOと呼び、怖れ、その存在を否定した。我々の存在を君達は信じようとしなかった」
僕は苦しい息の下で尋ねた。
「ROW星人はいつやってくるのですか」
「わからない」
僕は決意した。奴らに復讐してやる。僕の地球。僕の家族、友達を殺し、滅ぼした奴らに復讐してや  る。何年でも、何世紀でも待ってやる。
でもこの痛々しい体では。苦しい。待てよ。彼らは別の体をくれると言っていたな。
「別の体をくれるといっていましたね」
「そうだ」
「僕カインを、箱舟にしてドさい。どんな体でも可能なのでしょう。あなた方の科学力をもってすれば」
「箱舟か。カイン君は、この地球にまだ生きているかも知れない人々を助けるつもりかね。そしてROW星入を待ち続けるつもりか。彼らと戦うのか。何世紀先になるかわからないぞ」
彼らLS星人は、相談しているよりたった。

どうでもいい。早くしてくれ。お願いだ。
[わかった。我々はカイン君に賭けることにする。伺世紀か先、君がROW星入に出会った時、どうするかか。君にすばらしい体を与えよう。Row星人と戦うためにね」

手術が始まった。

闇の中で僕は考え始める。
放射線は神の怒りの剣てなかったかと。最後の審判では なかったか。我々人類は今まであまりに傲慢ではなかったろうか。ROW星人のしわさてはなく、神の、我々が神と叶ぶものによってこの災害がもたらされたら、我々はそれが自らの罪と認め、進んで死についたかも知れない。

自分で、自問自答している自分がいやになる。
ちえっ、伺て弱気たんだ。お前カインは。僕は自分自身の気弱さにいらたち始める。
これから何世紀も待ち続け互ければならないんだ。ひょっとしたらROW星人はこないかも知れない。だが、、それが何んだ。僕は必ず復讐してやる。もし箱船のゆえに、この地球を離れることができないなら、新しい人類を僕自身「箱舟」の体の中で進化させ、人類戦士として彼らを宇宙にはばたかせるのだ、ROW星人と戦うために。

考える時間は充分にあるのだ。僕の体は、ばらばらに分解され、彼らの科学力をもって作りあげられたすばらしい箱船という体に、僕の神経系や脳組織が移植された。
手術は終わり、僕は箱船として、この荒れはてた地球を、いや、いまや大海原の星を、漂い始めた。
人間を探すのだ。そして僕の体の中で、彼らを人類戦士として進化させるのだ。
いまに見ていろ、ROW星人め、いつの目か、僕カインの地球にやってきて手強い敵に出会うことになるのたぞ。

■12
 アベル弟も助けられていたのだ。気がつぐのに何世紀もかかった。弟は同じ宇宙人によって「主」に変えられていたのだ。破壊をまぬがれていたビッグコンピュータシステムと連結した体となり、地球を支配しようとしていた。彼は彼なりにROW星人と戦うために準備をしていたのだ。何んと長い別離だったのだ。お互いに、すぐ側にいながら、変わり果てた姿で、お互いがわからなかったのだ。
 僕たち二人、カインとアベルは、互いに協力し、ROW星人を待つことにする。
ム=ウムについて言えば、彼はこの新しい地球の真世紀のアダムとなる。彼は自らの手でこの地球をエデンの園にかえなければならない。もちろん弟と私の手前けが必要だろう。

 僕は海原を再び遊弋し始める。傷もいえた。
ROW星人よ、やってこい。ここ地球には、強力な敵がいるのだ。
地球の夜空は暗いが、希望の星々が輝いている。
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■13
             
『本星LSへの報告。
 我々の地球に対する第四段階の作業は完了した。
敵星「ROW」に対する防備は、地球に関する限り完璧といえるだろう。「フネーカイン」及び「主ーアベル」による防備体制である。
 これにより我々のROWに対する戦いは、非常に有利になると考えられる。
彼らフネ及び主は、我々LS星人が、完全に人類の味方たと信じこんている。
全宇宙をめぐる我々LS星人と、敵「ROW」との戦いの一部だとは、地球人類は知らない。以上、本部への連絡を終了。

          地球方面派遣軍LS星軍情報部          
              J・N・リーマ大尉」

(ガーディアンルポ03「洪水」完)
■ガーディアンルポ03「洪水」第8回(1979年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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