yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

ガーディアンルポ02「人間樹の星」第3回

ガーディアンルポ02「人間樹の星」第3回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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■ガーディアンルポ02「人間樹の星」第3回■
■銀河辺境惑星ナーダ77。至世歴100年


ガーディアンのクリスが目ざめた時、体は小刻みに震えている。
今、新しく生まわたような気分がする。
なぜだ。体調が悪いのか。大地が震えている。

 段々と、まわりの光景が眼に々じんでくる。どうやら宇宙船にいるのではないらしい。
鉄格子が視界のじゃまになっている。通路らしきものが前にあり、窓から向こうの空か見
渡せた。うす紫色の空だが、驚いたことにそれは恐ろしい速度で動いている。

ここは目的地の星「ナーダ77」なのだろうか。側を見た。ガーディアンの同僚、ヘルムがいない。
死んたか。近くにいるならば、クリスは、ヘルムのテレパシーを感じるはずだ。

くそっ、どうしたんだ。
 思わず足を踏みつけた。今まで気がつかなかったが、そこは金属でなく、岩でできてい
外の通路も岩盤でできている。
ここは一体全体どこなんだ。
クリスが考えあぐねている時、通路に機械人間が現われた。
そいつは機械人間としか呼  びようがない。
ヒューマノイドだが、華奢な体で、巨大な頭部がその上にのっている。補助機器が全身に附加されている。自分の力だけでは歩けないようだ。円形の機械が腰をと
りまいて接続されていて、三脚の補助足がでている。それでようやく体を支え、体の移動
を可能Kしている。
「君、どこの星から来たんだね。有翼人達はどうやら手荒く扱ったらしいが、私はもっと
紳士的だからね。あ、そうそう。これは失礼、自己紹介してかこう。私はシータ。御覧の
通り、メモリー・マンだ。そしてナーダ77の情報網を手にしている。いわばこの星のだった一人の情報省さ」

「ナーダ77」か。やはりたどり着いていたのか。どうやら俺クリスはこの星の奴らにつかまったら
ないな。さて、どう話したらいいものか。クリスは黙っている。
「ほう、返事が々いね。答えるつもりかないのかね。まあ、いい、どうせ答えざるを得なくなるからね。私はこうみえても心理技術者だ。君の心の扉を開いてみせよう。楽しみに
少し待っていたまえ」
モリー・マンのシータは通路の彼方へ消えた。しばらく様子をみてクリスは鉄格子をさわってみる。柔
らかなものだ。クリスが力を加えると、簡単に曲がる。何しろクリスは荒事が得意々のだ。
通路へ出て百房くらい歩くと扉がある。外へ出た。
 そこには、地面がない。空に浮かんでいた。
いやナーダ77の大地に向かい落下しているのだ。もうためかと思った瞬間、鋭い爪で上からつかみとられた。見上げると、翼を持つヒューマノ
イドがクリスをつかまえ、上昇していく。

クリスは始めて、今まで自分か閉じ込められていた建物を見た。
巨大々岩が空に浮かんでいた。そいつは恐るべきスヒードで空間を自在に移動しているのだ。
冷汗がにじんでくる。
 フライング・キャッスルの入口に連れもどされた。
扉の所にシータが待っていた。
「フライング・キャッスルへ、再びようこそ。どうだね。空を泳いだ気分は、ショックのあ
との無力感。すばらしい実験なのさ。さあ、これで私メモリー・マンのシータの、君に対する心理技術、いわば拷問ってやつに、君には使い易くなっている
さ」


人間樹の番人、少年ピッタの目の前に広がる風景はいつも同じなのだ。
ビッタのナーダ77での生活が何の変化もないのと同一だ。

ビッタは幼い頃、地獄船でこのナーダ77へ連れてこられた。
しかしまだ入間樹の種入間となる程、成人していなかったので、領主は、彼を入間
樹園の番人の一入としたのだ。
ビッタは十才くらい。まだあどけない少年なのだ。
ビッタ達、番人が住む小屋のまわりといえば、もちろん入間樹が果てしなく広がってい
るだけだ。その果てがどこなのかビッタ達も知らない。
また番人が何人いて、このような番人小屋がいくつあるのか知らない。
   入間樹には肥料は不必要だ。
有翼入がかなでる楽器のメロディが彼らを徐々に変貌させていく。

ビッタ達は特に、移植初期の種人間が動かないよりに見はり、実か熟しきらないうちに
摘与収っていく。また天敵である地虫が人間樹を盗みにくるのを防がなければならない。
それらが、彼ら番人の仕事なのだ。
種人間とは話をしてはいけない。
が、やはり友遠のいないビッタは話をしたくなる。
こちらが話しかけても答えがかえってこない種人間がほとんどだが、最近植えられたグレイはちょっ
と違っていた。
だから、いつも巡回の折に、グレイの前で立ち止まってしまう。
グレイは灰色の髪をして、いつも苦しそうな顔をしている。眉間のしわが深い。
「グレイ、グレイ」
種入間は眠りにつこうとしていた。
グレイはピッタの再度の呼びかけでやっと眼を開けた。
「やあ、ビッタか」
「お願い。地球の話をしてかくれよ」
「困ったね。ビッタ。私はできるだけ地球の事を忘れたいのさ。私にとってはもう意味の
ない星だからね。今はこの安らかなナーダ77が私にとって故郷の星たんだ。地球は余りに
騒々しい」
「ねえ、グレイ。頼むから話をしてかくれよ。僕はナーダ77しか知らないんたよ。ど人々
風に騒々しいのさ。1度行ってみたい。地球ってどんな所」
「地球かね。私はそこで傷つき、逃れてきたんだよ。何度も話しているようにね。でも君
には面白いかもしれ々いね。私の子供が生きていればちょうど君くらいだろう」
「グレイ、あなたの家族は」
「いない。皆死んでしまったんだ。あるつまらない争いごとのためにね」
「………」
「ところでビッタ、地球には、動物ってのがいるんたよ。猫や犬やその他一杯ね。とても
可愛いのさ。私の子供も可愛かっていた」
 グレイはわずかつつ、心を開き、ビッタに地球の話をし始めていた。自分の子供に語る
ように。そんな時のグレイの顔はとても安らかにたる。彼グレイには、やさしさが、
心を安んじてくれる者が必要だった。
 グレイはROWの攻撃により、気がつかないりちに、生活の張りをなくされていた。グレイと
ビッグの話はいつまでも続きそうだった。


 クリスはメモリー・マンのシータの心理分析を受けて、顔は苦痛にゆがんでいる。
 シータは分析機によって、ガーディアン、タリスとヘルムがナーダ77に来た理由をすでに読みとっていた。
「グレイ。この男をガーディアンは捜しているのか」
 メモリー・マンであるシータは自分のデーターバンタから必要なデータをアウトプット
していた。
「グレイ。彼はそんなに地球にとって必要な男なのか」
 シータは、タリスを連れて来た有翼人のチーフを呼びたした。
「か前は、この男の連れが、地面に飲みこまれたと言っていたな。もう1度、調べてこい。
できれば、地下を捜し、死体を見つけてくるんだ。わかっているだろうが、地虫には充分
気をつけろ」
 地下は「地虫」達の世界だ。有翼人は地虫の地下トンネルを非常に怖れている。有翼人はし
ぶしぶ命令に従い、手勢を引き連れ、出かけて行く。
 もし、まだ「ヘルム」という男が生きていて、地虫に助けられているとしたら。そう考えてシ
ーメはもう一つ手を打っておくことにした。

 今度は人間樹園を管理する有翼人を呼び出し、指示を与える。
「ISSSN−19099の入間樹の種人間を植かえろ」
「しかし、シータ。この男はすぐに第2期成長に入るのですが」
「この処置は私にとってとても必要なのだ。わかるかね」
 シータは有翼人をにらみつける。
「わかりました。かかせに従います」
「それから、植え変えた地点を私に言う必要はない。いや言ってはならぬ」
 最後の言葉に不審の表情をあらわしたが、有翼人は、命令を実行するために、人間樹園
へ降りて行った。
「さて、このクリスの処理だが」
 シータは独りごちた。
 心理分析機はタリスの深層意識を探り始めた。驚くべきデータがシータに示される。
「この男の深層意識は伺だ。こいつは人間じゃないぞ」
 
シータはタリスの調査を明日、もう一度やりな釦すこと毘した。彼の疲労は著しい。長
い睡眠時間が必要となっている。それにそろそろ「地獄船」が来る時期だ。その準備もしなけ
ればならない。シータは自室へもどり休んだ。


■ガーディアンルポ02「人間樹の星」第3回■(1985年作品)
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