yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

ガーディアンルポ02「人間樹の星」第4回

ガーディアンルポ02「人間樹の星」第4回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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■ガーディアンルポ02「人間樹の星」第4回■
■銀河辺境惑星ナーダ77。至世歴100年

地虫の、スキャッグは、ようやく地上にたどりついた。スクリーンの男から頼まれた物を捜すた
めに、危険を犯し、クリスとヘルムのログットの残骸の所へやってきたのだ。
 船の残滓はあたり一面に吹き飛んでいる。

 小一時間(コスモクロノ)捜し、ようやくか目当ての小さなポックスを見つけだした。合金でできた黒い
箱。なぜこんなものが必要なのか、スキャッグにはわからない。
 遠くから翼の音が聞えてきた。有翼人達が船を調べにきたのだろう。スキャッグは地下
トンネルにすばやく潜りこむ。
一群の有翼人か降りて来て、あたりを必死で調へている。
トンネルの出入口に時限爆弾を仕掛け、スキャッグはすばやく地下ステーションに向かう。
 あとはヘルムの働きを待つだけだ。それに俺達は入間樹園の攻撃を準備しなければ。そ
うスキャッグは思った。

 遠くから、爆発音が響いてきた。
何人の有翼人を殺っただろうか。

 ヘルムの乗ったロケットは古い代物だ。ナーダ77の引力圏を出てすぐにエンジンがスト
ップした。恐らく地獄船もこれが罠だとは思うまい。本当にひどいロケットなのだ。
 「地獄船」のバル船長は、生命体の存在に気づき、拾っていくつもりになった。マニュピュ
レーターを操作し、ひどく老朽化した船を船内ドッグに収容Lだ。

 メディカル・システムで、ヘルムの体を調へたバル船長はほくそえんだ。
「こいつは拾いものだ。種入間にぴったりた。これでまた儲けが増えるってもんさ」
ヘルムはまったくロがきけない。あの薬のおかげた。センサーで体の各部を詳細にチェ
プタされ加工室へと運ぱれた。加工室には種入聞が一体ずつ生体チューフに入れられ保存
されている。ヘルムも詰めこまれる。
大昔の、地球の奴隷船よりひどい扱いた。彼は商品にすぎない。
バル船長は往時の海賊船長の姿をしている。顎ひげをはやし、眼帯をつけている。宇宙
トロールと交戦した時の傷らしい。他の船員も似たりよったりの格好だ。腰には、接近
戦に大きな力を持つレイ・サーベルを装着している。

何年か前は、彼らも正規の貿易商船員だったろう。しかし多発する恒星間戦争か、人生
の何かを打ちこわした。一攫千金を夢みる者にとって入間の休の売買ほど、儲かるものは
ないのだ。戦争はサイボーグを数多く生み、また体の各部の需要も増大ざせた。
特にナーダ77の人間樹から生みだされる亜人類は戦士として星からの多望が強い。「地獄
船は種入間を売り、亜人類を買って帰るのだ。
地獄船がナーダ77に着陸した。そこは空港と呼ぶにはいささか寂しい感じたが、必要最
最小限の設備はそろっている。
モリー・マンのシータがバル船長を迎えに来ていた。
「バル船長、ひさしぶりだね」
 「3ヵ月(コスモクロノ)ぶりだね」
「どうだい、景気の方は? モーダ地区でかなり大きな戦争があるって聞いているよ。戦
士がかなり入り用だろうね」
「いや、いや。俺はあそこまで行っていない。この船じゃ無理さ」
「そうかな。しこたま儲けたという話を聞いている」
「その話は聞き違いじゃないか。おっと、失礼、あんたはメモリー・マンだな。嘘はつけ
ないな」

やがて船長達はエアカーで人間樹園での収穫の様子を見に行く事になった。
シータの方は残って地獄船が運んできた種人間を一体ずつチェックすることになった。
ランク区分をし、それをすべて自身のデータバンタに記憶するためだ。

ヘルムは、三脚の補助足に支えられた入間が近づいてくるのを見た。どうやらチューブ
の種人間を端から一つ一つ調べているようだ。彼が、地虫のスキャッグJキャツグの言ってい
たメモリー・マンらしい。
ようやく、シータがヘルムの前にやってきた。地獄船のマニュピュレーターにつかまえ
られた折、ヘルムは奥歯にしこんでいた強化剤を飲みこんだ。この薬がきき始めている。
チューブが持ち上げられ、シータの手が近づいてくる。
一瞬、シータが何か起こったのかわからなかった。気がつくと、シータは種人間に首を
がっちりとつかまえられていた。恐るべき膂力だ。かまけにすばやく彼の腰から抜き取ら
れたレイ・ガンが頭部に当てられている。シータをガードしていた有翼人も手のだしようか々い。
「お前は何者だ」
 苦しい息の下からシータが反逆者に尋ねた。
『誰でもいい、お前に聞きたい事がある』
 ヘルムはテレパシーで直接、シータの心へ呼びかけた。
「お前はエスパーだな。くそっ、わかったぞ。ガーデイアンのヘルムだな」
『なぜ、それを知っている」
 強力な精神波が、シータの頭の中で荒れくるっていた。爆発的々精神エネルギーだ。シ
ータはあらがいようがない。心理技術者であるシータにとって初めての経験だった。この
ような恐るべきエスパーと対峙したのは。正直に答えざるを得ない。

『クリスは我々の手にある。彼の心から君の事を胱みとったのだ』
『クリスはどこだ』
『フライング・キャッスルの中だ」
『よし、あとて、案内してもらかう。先にグレイの所へ連れていってもらかうか。もちろ
んグレイを知っているだろう』
『グレイの居場所は知らん。私が植えかえるように命令したのだ。どこに植えかえたかは
知らん」
「くそっ、しかたがない。初めに植えてあった所まで、案内してもらおう』
ヘルムは、シータの後から船の外へ出た。有翼人達はこちらを見ているが、手を出せな
い。二人はよりやくエアカーまでたどりつく。突如、シータの補助足をヘルムはレイガン
で焼き切った。
「うわっ、何をするんだ。足がないと私は歩けないんだ」
『逃げるないようにしたんだ。これからはこの車が、お前の足だ」
 エアカーは人間樹園へ向けて走り出す。
空には有翼人が、遠まきにつけて来ている。おまけにフライング・キャッスル本体が徐々
にエアカーの上空へ近づいてくる。
 眼前にスキャッグの地下ステーションで改がめた入間樹園が広がっていた。恐ろしい数
だ。見渡す限り、白色の、あるいは黄色の、各々の時期の入間奏がどこまで続くかわから
改い程連改っている。
この中からグレイを見つけださねぱ改らたい。
 エアカーは人間樹園の中に人ってから、かなりの時間走り続けた。ヘルムの前を人間の
体が、次々と通りすぎていった。数千、いや何万体の入間……。
地平線のむこうまで。
 それが等間隔で整然と並べられている姿は何にも例えようがないのた。
二度とこんな経験はしたくないとヘルムは思った。
 急に、シータかエアカーを止めた。
『どうした?」
「ここだ。ここか、グレイを檜えてあったところだ」
 その場所ISSSN−1909区画部分だけぽつんと除いていた。
「さて、どうするね」
 シータはにやりと笑い、ヘルムの方を見た。
シータの眼はバル船長遠のエアカーを遠くとらえている。エアカーには誰もいない。
 ヘルムはISSSN−一九〇九の近くの入間樹にグレイの行方を心で尋ねてみた。
心をまったく開か々い者もいる。
ほとんどが心は空白状態に近い。誰もダレイがどこに植えかえられたか知らないようだ。
 人間樹との対話に夢中になっているヘルムの背後から、突然、レイ・サーベルが襲って
きた。
バル船長と、地獄船の船員遠だった。
エアカーの無線で有真人からこの異変を聞き、待ちぶせていたのだ。
 間一髪、ヘルムはレイ・サーベルをかわしたが、片腕に激痛が走った。
数インチのところをレイ・サーベルがかすったのだ。
 彼らは人間樹に隠れて、近づいてきたのだ。シータはその瞬間エアカーから勢いよく外
へ飛びだしたが、無様にも地面を這っている。歩けないのだ。補助足をヘルムに壊されて
いる。


■ガーディアンルポ02「人間樹の星」第4回■(1985年作品)
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