yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第9回

●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第9回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第9回
■6
 アー・ヘブンは,横たわる北の詩人をながめている。
彼からは、はっきりした「天宮」の位置を読みとれなかった。
彼はその「天宮」の場所を知らないのだ。

闇の空洞だと?

 アー・ヘブンはしかたなく、大球と小球をつなぐコード(絆)の内壁にに
じりよると、内壁金属に聴覚器をあてがった。
 この金属の持つ記憶巣から、「天宮」の情報を読みとれないかと思ったのだ。壁
に聴覚器がふれた一瞬、アー・ヘブンの体は硬直した。
 恐るべきデータが一度に脳に流れ込む。体が震動し、コードの内壁に倒
れ込む。
 倒れていても、アー・ヘブンの体は痙學し続けている。
 コードの内部は、すでに「天宮」の腕の中も同然なのだ。
コード内には「天宮」の神経系かくまなく張りめぐらされていた。
その神経系から派生した神経糸が一本、アー・ヘブンの体に鋭く突きささる。
経糸は蛇の様に、体内に侵入し、ためらい左く体中を突き進む。

経糸はアー・ヘブンの中央脳を探りあて、アー・ヘブンの正体を知ろうとしていた。
 脳部位はどこだ!
 神経糸は位置をさがしあぐねていた。
 アー・ヘブンには中枢脳がなく、しいていえば、体全体が脳機能を持って
いるのだ。
 アー・ヘブンは、体の中を這い進む神経糸にたいいして、逆に、パルス(波動)スを送った
。パルスがたどり着くところ、そこに「天宮」の命令中枢があるはすだ。
 一瞬の後、逆にアー・ヘブンは「天宮」の位置を読みとっていた。
 『シャフト』

 アー・ヘブンは立ちあがると、体につきささっている神経糸を力まかせに
ひきちぎった。からまってきていた神経網を引きさく。
アー・ヘブンは、コード内を大球にむかい直進していた。

目ざすは「天宮」の存在するところ、「シャフト」である。
 コード内の神経網が急激に膨張し、道をふさぐ。
アー・ヘブンの前進をはぱもうとする。
 コード自体も震動している。「天宮」は、小球とコードを、自分のいる
大球から切り放そうとしていたのだ。アー・ヘブンをコードに詰め込んだまま。
 大球とコードの接合部分はすでに切り放され、コードと大球の鉄表が数10
開いている。
 危ない所だった。アー・ヘブンは、コードの内壁を第3触手を使って突き破
り、からくも大球の鉄表へ降り立りていた。
 切り放されたコードは耳を聾する轟音をあげている。
何かの泣き声の様だった。
コードは小球の方へゆっくりとたぐり寄せられ、ねじ曲がっていく。
何か生き物の断末魔を思わせた。

 アー・ヘブンは鉄表の下を透視して身ぶるいをした。
この鉄表下は驚くべ
きことに、機械の集合体に変化していた。
本来の岩盤はどうなったというのだ。
 この機械類はスパイダーネットによって集められた宇宙船の部品々のだろ
う。大球全体が機械惑星と
化していた。内部の地層は天宮が変化させてしまったのだろう。
 アー・ヘブンは、この機械類をチェックして、ある事に気づく。これは危
ない。
「天宮」は、何をやりだすかわからがい。
 全宇宙に害毒をぱらまくつもりかもしれない。機械のすきまを探査する。
そこがシャフトのはずだ。
それにその部分のみ、構成成分が異なるはすなのだ。
 「天宮」自体が機械と、そのモノの集合体なのだから。
 またそのモノは、、アー・ヘブンと同じ成分を持っているはずだ。
「天宮」の存在するところ、「シャフト」の位置をようやく探し当てた。
怒りという古い感情を思いかこし、鉄表をアー・ヘブンの第3触手でふち破った。
(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第9回●(1987年作品) 
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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