yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第10回

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●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第10回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第10回
■7
アー・ヘブンが立ち去った後、しばらくして,北の詩人は意識をとり戻す。
大球と小球を結ぶコードは揺れていた。
北の詩人は振動するコードの中ではいつくばりきがら、事の始まりを思いかこ
していた。
北の詩人は、古代に生きていた男の実体化であった。詩人は自分白身のデータを
情報ユニットとして残していたのだ。
 彼は詩人であると共に、優秀次技術者でもあった。彼の画期的な発明が「イ
メージコーダー」てあった。
 情報ユニットをイメージコーダーのある部位にセットすれば、それが実体
化されるのだ。ただしわずかな時間だったが。
 詩人は、その発明のパテント代で億万長者となり、死後、巨大な地下ピラミ
″ドに埋葬された。
 もちろん納宮室には、イメージコーダーと、彼の大好きだった情報ユニット
のコレクションが収納された。
 数百年後、このピラミッド近くに建築された軍のビッグコンピュータ
とリンタして、イメージコーダーが機械共生体の中心になるとは想像だにしなかった。
 彼の地下ピラミッドの上には、樫の樹林が果てしなく広がっていた。
その中の樫の木一本に、北の詩人が若い時、ナイフで刻みつけたフレーズが残ってい
た。
『私の夢は・・・・:』

 たどり着いたシャフトの内部を見て、アー・ヘブンは驚く。ここは古代の遺跡なのだろ
うか。
 触手をのはしてみる。情報ユニ,ト群にふれる。情報ユニ。トはやはり、
アー・ヘブンと同じ植物繊維からできている。
 さらに、情報これらの一つ一つは繊維のシートの集合体だった。
 各シートの表面には、この星の旧生物が使用していた記号が、多量に刻み込
まれている。
 記号をシート上に刻み込むことを「印刷」といったらしい。
 その記号を、この星の生物は古代より「文字」と呼んでいた。
この一枚一枚のシートから或る情報ユニ″トは″本″と呼ぱれていたのだ・
このが本ガの集合体が、データベースであり、この星の住民は、視覚を通じ
て脳に入力していたのだ。
この情報ユニット″本″が数十万、いや数百万ユニット、シャフトの中心部
内壁に埋め込まれている。
しかしヽアー・ヘブンが鉄表を破って潜入し、密閉されたシャフト内に外気が侵入した
ことにより、シート=紙が変質し崩れ始めた。粒子となり飛び散り出す。
 何千年の夢だろう。数えきれない程の、多数のこの星の住民の知恵が、虚
空ヘチリとなって消え去っていく。
 この星の文明遺産の消失であった。
 膨大な本というペーパー情報集合体が消え去り、その後に古い機械が姿を
現わす。機械共生体であった。
(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第10回●(1987年作品) 
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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