yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

私の中の彼へー青き騎士ー 第14回

私の中の彼へー青き騎士ー 第14回
青き騎士(1992年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
http://www.knowledge.ne.jp/lec1379.html
第14回
●シーン11
「これは」
零が言う。
「さあ、沙織、この球体の中に入るのだ」
「この物体は、いったい」
「地球意志だ」零が答える。
「この球体に入れば」
「君は、世界の救世主となれる」
「何ですって」
「君は、そういう運命を、背負っているんだ。沙織」
「誰が、そんなことを、きめたの」
「わからん、地球意志に聞け」

「でも、あなたがたは」
「俺か、俺は、、沙織が、この地球意志に入るのをみとどける」
翔が、零のモニターから叫ふ。
「翔、お願いよ、私は、あなたがいなければ生きてはいけないー」
翔は一瞬ひるむ。
「だめだ。君だけでも逃げてくれ。俺の命はもう長くはない。
2人が倒れるよりも、君が生き残り、君が人類をすくうのだ」
そして、涙をながしながら叫んだ。

「それ、が君の宿命なんだ。それが君の役割だ」
翔は青ざめ、声はかぼそくなる。
 遠くからでも、翔の服がゆっくりと、確実に黒く湿っていくのがかわった。血かしたたりおち、服を彩っているのだ。
「沙繊、急げ、やつらが迫いかけてくる。俺の体力も艮くはもたん」
眼に、アイスの追跡機が飛来してくるのが映っていた。
「零、沙織をを投げ込め」
「いやー、翔ー」

投げ出されるのと、翔と零にアイスの攻撃が集中するのが同時だった。

私は、空間を泳いでいた。
2人は熱気と光の中に見えなくなった。

 私は体ごと、そのわからぬ液体の大きな球体につっこんでいた。
それは、変な色をしていてゼリーの様だった。
その流れの中に身をまかせた。その中は熱くもなく、冷たくもなかった。
その中は、私の体温と同じ温度だった。
私は理解していた。

地球生命も、生命体だった。
ある一つの強い意思の波が、私の体の中に入ってくる。

「やつと帰ってきたね、沙織」
それは、なれなれしく、私の心のなかに直接しゃべりかける。
「帰ってきたですって」
「そうだよ。君は仲間なんだ」
「あなたは、アイスブレッドなの」
「いやそうではない。アイスブレッドはいわば人類の変種だ。そうだね、君に理解しやすい言葉でいえぱ、我々は地球の霊だ。それも、地球創成以来の生命体の記憶の集合体だ。それゆえ、この地球に滅んでほしくない。つまり、我々は地球の全体の意志なのだ」

「その地球意志とやらが、私に何をさせようというわけ」
「君にこの地球を救ってほしい」

「笑わさないでよ。私は何物なの。私の手は多くの人々の血で汚れている。つい、さっきも一入の人を殺してしまったわ。助けられなかった。私がはじめて愛した人を。その私がこの地球を救うですって。お笑いぐさよ」

「しかし、沙織。それが君の使命なのだ」
「使命!ですって、それじゃあ、私はそのために」
「そうだ、君の使命は、全人類も救い、そして我々も教うという事だ」
「それほど、私が大切な人間なら、なぜ、今まで手助けをしてくれ
なかったたの、なぜ、私が、ニューオーハンであるときに、助けてくれなかったの。なぜ、ローズバットであるときに私を救済しでくれなかったの。私が、それはそれほどの重要人物ならば、今までに助けてほしいときが幾度もあつたわ、なぜなぜなの。この数分前にすら、私は最愛の人をなくしたわ。あなたの力をもってすれば、助けるのは簡単だったはずよ」
私はわめいていた。
「沙織よ、我々は手助けするこどはかなわぬ、なぜなら,私は実体を持っていない、人々の悲しみを感じ、同じように悲しみ、嘆く事はてきるが、、」

「それだけなのだ」

「ただ、それだけ。地球が人々がどんなに苦しんでいるのに同じように悲しむ、ただそれだけ」
「そうだ、君の出現。さらに、この我々の元にもどつてくることを、どれほど、待ちちのぞんでいたか。運命というものには、さからえない。お前が、我々のもとにくるためには、君の幾度とない悲しみ・苦しみを必要としたのだ」
「それじゃ、私は人類を代表して、代リに苦しめと」

「大切な役割を果たしてもらいたい。いいか。アイスの本拠地・基地「アイスパレス」に行け」
地球意志は続ける。

「沙織、君しか、アイスパレスにはいれないのだ」
「なぜ、私が」
「それは、君がアイスの「娘」だからだ」

この言葉は、まさに晴天の霹靂。一体、何を言い出すのだ.
「なぜよ、なぜ私が娘なの。私はニュー・オーハンの一人にすぎないわ。それを言うなら、アイズブレッドを注入された皆が、アイスの子供になるわ」
「違う、それなら、君はなぜ、ローズ・サークルのチーフになれた。地球連邦政府もわかっていたのだ。君がアイスの真の分身だとな。だから、君をおよがせておいた。逆に、君は、アイスのために、連邦政府を瓦解せしめた、君の情報収集力を持ってしてな」

私の心に疑惑が生じた。今の話は記憶にはない。
私が何の情報を漏らしたというのだ。

「まって。それならぱ、私が、、地球連邦を滅ぼしたというわけ」
「そういうことだ、君は信じたくないだろうが。本当のことがわかる方法がひとつある」
「それは」

新たな地獄の予感がした。私は最愛の人、翔を失ったばかりだというのに。その予感は現実のものとなる。
「君が、再び、アイスパレスヘ行き、アイスに尋ねることだ」
「もし、違えば」
私の心臓は、、まさに、凍りつこうとしていた。
「それならば、君がアイスを倒せば良い。ニューオーハンのうらみ。君の「青き騎士」、翔のうらみを、はらすためにな」
私はあまりの事に黙った。
「お前に、勇者の血をさずけよう」

地球意志が続けた.
「血ですって」
 翔の姿が、目の前に現れる。
その体は、アイスの攻撃を受けズタズタだ。
「翔、向んて姿に」
私は血の涙を流していた。
「彼は、もう死んでいる。この翔の血を、お前にさずけてやろう。君の休細胞のどこかで、この翔を、いつも近くに感じる事ができるようにな」
 翔の姿が、白い光に包まれ、その光が広がり、私の体をとりまいた.

鋭い痛みが、私の全身を貫く。
「一体全休、これは」
「君の体に、翔の細胞を移植したのだ。さて、私が、君をアイスの元まで連れてゆく」
「えつ、こうやって」
「君がアイスブレッドであることが役たつ」
「どういう事」
「君が冷温生物だという事だ」
「まさか私を」
「そういう事だ.君をトラップドアの中に投げ入れる」
「やめて」
いやがる私を、地球意志は、その力を使い、再び、アイスの本拠地・基地に瞬時移動可能なトラップドアにつめこんだ、
私は意識をうしなっていた.

(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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