yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

私の中の彼へー青き騎士ー 第20回

私の中の彼へー青き騎士ー 第20回
青き騎士(1992年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

■シーン17
 新展開が待ち受けていた。
「いとしい我が子よ、さあ、ここではもうそうふるまう必要はない
のだよ」
それはアイスの声だった。まさかと思った。なぜ。
「エツ、復活したの。アイス。いま、私がやっつけたはずよ」
「それが、そうではない。お前は私の味方だからだ」
「なにですって」

「そうだね、ママ」
私はしやぺるつもりはないのに勝手に、声が。
誰なの。私の心をうらぎり、心の中でもうもう一人
の何かがそう答えていた。
 私の奥底から、私以外の意識があらわれている。

体と心が反り返る。
体が振動する。
とめて。
どうして。

 それが悪魔たちだ。アイスの分身。私の心のうらぎリ者。

 別の私が、「翔」を死にいたらしめたのだ。私は理解した。
 そして、養父母の爆発も、ローズ・サークルが威んだのも、連邦政府が威んだのも、すべてこの「別の私」のせいだった。

 地球最大のユダ、それが私「沙織W」だった。
アイスは、私の頭に分身を作っておいた。
それが、アイスブレッド。そして、唯一の成功事例だった。
まさに、私のもう一人は、アイスの子供だった。

 「地球意志、覚悟をおし。おまえさえ、抹殺すれば、この地球は私「沙織W」のものさ」
 「何を」
地球意志が、私の体に向かってきて私を飲み込む。
 精神の中で、「沙織W」とアイスのチームに対して、地球意志が戦っている。

本来の私「荻野沙織」の精神はそれを眺めている。が、この精神の戦いのさなかに、何か別のものが近づいてきた。

彼「翔」だった。
『どうして、あなたが』
『沙織、私が君の「青き騎士」の役割を果たす』
『エツ』
私の驚きはどうしたものだろう。
『でも、青き騎士を作ったのは、あの地球意志じゃないの』
『そうだ、が、君はもうひとつの真実に気付く。そうすれば、この世界は回復する』
 私の愛する「翔」は、私の頭をSBでねらった。

『何をするの、翔』
『これが解決法です。許されよ。マスター沙織。これが一番の早道
なのです』
 「翔」のSBが私の脳天を砕く。
なぜ、青き騎士「翔」が。
最大の疑問を抱きながら、私は意識を失っていく。

(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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