yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

遙かなる絆-ランナー第7回

遙かなる絆-ランナー第7回
(1986年作品)地球防衛機構(EDO)シリーズ
飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikku.com/
http://www.knowledge.ne.jp/lec1379.html


 マコトは爆発の瞬間、無意識の内に、テレポートしていた。
彼の体はルートの軌道内にあった。軌道内は余り損傷を受けていないようだった。
爆風はシャトルトレインの前後に吹き荒れたようだった。シヤトルトレインは
原型をとどめていない。軌道内には空気がほとんど存在していな
い。マコトは自分の体の表面全体に薄いバリヤーを張ってい
た。そのバリヤーが彼を窒息死から救っていた。
だれか他に生き残っていないのだろうか。超能力であたりを探索する。
生体反応。
サーチする。
機械と人間の合体。何者。
マコトはその生体にテレバシーでさぐりかける。

 戦争のイメージ、.体がパラパラ把吹き飛ぶ、体が引き裂かれる、
光線、死体。

そんな混沌としたイメージが、その生体から送られてきた。

「宇宙コマンド。兵士らしい。冷たい機械、光線銃、飛行物体、ロケット」
サイボーグらしい。
それも有酸素タイプだ。
マコトはサイボーグの存在を念力で探した。
彼はシャトルトレインの残骸に体をはさまれていた。
マコトは念動力を使い、シャトルトレインの残骸から彼を動かし、空気のバリヤーを彼のまわりにめぐらした。その瞬間、マコトは力を使い果たし、気を失
った。
 ヘルムの意識が次第にもどってくる。
朦朧としているヘルムの頭の中に声が響く。この声がどこから
来るのか、わからなかった。
 「ヘルムよ、よく聞いてくれ。おまえの目の前にいる子供マコトは
単なる子供ではない。エスパーだ。彼が月のある場所に行くことにより、
新しい世界が現出する。その世界は今の世界より、より豊かで、
平等で、光あふるる平和な医界なのだ。
お前達のようなサイボーグも差別されることはない。蔭口をさ
さやかれることもないのだ。
 いいか、ヘルム、おまえはその子供を背負い、残されたムーン
=ウェイ二十万キロを月に向かって走り
ぬけるのだ。この困難は神が与えた試練だと思え。
おそらくいまだかって、この地球から月までを走り切った男はいない。
おまえはその最初の男になるのだ。
 いいか、おまえがあのシャトルトレインに
この子マコトと一緒にいたのは決して偶然ではないのだ。我々がすべてプログラミングしたことだ。おまえは選ぱれたランナーなのだ」
(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikku.com/
http://www.knowledge.ne.jp/lec1379.html