yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

地下道1949■第1回

地下道1949■第1回
飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 「マンガ家になる塾」ドリル

地下道1949■第1回

1949年日本トウキョウ。

 男達が争っていた。
いや一名の男が数名の男に追われている。
逃げる男はスラブ系の顔をしている。
アメリカ軍占領地区、トウキョウ市の町中で追跡が
行なわれている。
 追う一団は、トレンチ・コートで身をかた
め、一般市民の姿をしているが、訓練を受け
死者の持つ独特の体臭がする。
彼らは入がいない場所にぐると、コルト45を各々と取りだし、
前の逃げる男へ弾をあびせる。
 逃げている男も、オーバーコートからトカ
レフ挙銃を出し、振りむきざま、撃ちかえす。
男の射撃の腕は一段上手らしい。
たちまち後の2人の男が倒れた。前の男は大事そうに、カ
パンをかかえている。 

やがて、追撃している男に応援が来た。ライフルを持っている。
彼はスコープに逃亡者をとらえ、男の肩を阻撃した。
 男はうずくまり、死力を尽し、カパンを目の前の河へほおり投げた。
 河は雨の降った後で、水かさが増していた。一濁流で流れも急だ。

 このいちぶしじゆうを見ていた一入の浮浪児がいた。
すばやく河に棹さし、そのカバンをひっかけひろいあげた。
少年は隠れた。
 追撃して来た狩人達は、倒れている獲物のそぱに立つ。
男は歯に隠していた毒カプセルを飲んで死んでいた。

 男達はあたりを見わたす。 カバンを探しているようだった。
しかし、一時間後、彼らはあきちめたらしく、ひきあげていった。

 その隠れ場所で息をひそめていた少年は、カバンを手に出
てきた。
死体の手からトカレフ挙銃をひっべがし、河のそばへひきずり、死体を投げ落と
した。
それから、意気様々と「竜」のアジトヘ向かった。
(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 「マンガ家になる塾」ドリル