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ロボサムライ駆ける■第41回

ロボサムライ駆ける■第41回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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■第五章 機械城(4)

 主水は愛剣ムラマサを片手に空母へとひた走る。

反乱ロボットの中である一群を見ている。
それは力士ロボットである。
空母甲板のうえ、主水は大音声でいいきかす。

「力士ロボットの皆様、申し上げる。拙者、早乙女主水でござる。左舷側に集まっていたたけぬか」
 先刻の剣闘士試合で大樹山を屠った主水だから、力士ロボットはいうことを聴く。
「早乙女様、集まりましたぞ。後はいかように」
「しこを踏んで下されい」
「しこですと、聞き間違いでは…」
 力士たちは戸惑いを隠せない。
「さよう、しこです」
 念を押した。

「ご命令とあらば」
 首をかしげながら、力士ロボットが一斉に、しこを踏んだ。
 パランスが崩れている空母ライオンは、甲板上のロボット力士のしこの振動で、左舷側に重さが集中してくる。
 続いて、舷側まで走り、主水は海面に向かって叫んでいた。

「サイ魚法師、私だ。主水だ。お主たちが海中におるのはわかっておる。助けを所望じゃ」 ぐらぐらと振動する空母ライオンの横に、小型の潜水艦が浮上する。サイ魚法師の新しい潜水艦だった。
「やはりおったか、法師。同じロボット同志、ここは助けてくれぬか」

「おう、生きておったか、主水。申しで断る、と言いたいところだが、先日ロセンデールから追い出されたわしじゃ。それゆえ、意趣返しじゃ。主水、協力してやろう」
 サイ魚法師はつるりと顔をなで笑った。
「かたじけない、さすがはその名も高いサイ魚法師じゃ、有り難い」

「おい、主水、褒めるのもいいかげんにいたせ。早くしないとシュトルフの聖騎士団がやってこようぞ」
「わかった。右舷側からサイ魚の攻撃をお願いもうそう」

「あいわかった。まっておれ。特製のサイ魚軍団攻撃を加えてやるわ」
 サイ魚法師の潜水艦の後には数万匹のサイ魚の群れがひしめいている。

「ライオン」の右舷に水しぶきがあがる。
 サイ魚の大群が魚雷のように空母を攻撃しはじめた。

このサイ魚は鉄を食う魚である。 バイオ空母「ライオン」の船底は食い尽くされる。
バイオ空母だけに、鑑底は柔らかいのだ。

加えて力士ロボットの働きぶりである。ライオンは沈み始めた。
「ロセンデール卿、ロセンデール卿はどこだ」主水は叫んでいた。艦橋のラダーを駆け上がっていた。
「ロセンデール卿降りてこい。勝負じゃ」
 そのとき、急速に降下してくるバイオコプターが一機ある。
「いかん、逃げろ」
 主水は、反乱ロボットに向かい叫ぶ。
 
何体かの力士ロボットが被弾し、数体倒れる。
バイオコプターからの一連射が甲板上を縫った。

「これが私の挨拶状がわりです。主水くん、機械城で待っておりますぞ。ふっふっ」
 バイオコプターの窓から、ロセンデールの顔が浮かびあがって、にやりと笑った。

(続く)
ロボサムライ駆ける第五章 ■ロボサムライ駆ける■
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