yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

ロボサムライ駆ける■第6回 東京湾の中央に第二首都都心として形成され 、この東京島は現在徳川公国の領土となり 公国の中心は東京城が建築されていた。

RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。
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ロボサムライ駆ける■第6回 東京湾の中央に第二首都都心として形成され 、この東京島は現在徳川公国の領土となり 公国の中心は東京城が建築されていた。
 

ロボサムライ駆ける■第6回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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■第二章 新東京

 

   (1)

 東京湾は、この日「日本晴れ」と呼ばれる晴天であ

った。湾のまわりには、かつて存在した東京工業地帯

は跡形もない。かわりに緑豊かな植物群で覆われてい

る。

 

 東京湾の中央に島がある。第二首都都心として形成され

た、

この東京島は現在徳川公国の領土となっている。

 

公国の中心には東京城が建築されていた。

 

 西を遠望するに富士がきれいに見える。霊戦争後、

急激に復興した自然界は、日本を中世世界とわせるほ

どその景観を変えていた。

 

また、人々のライフスタイ

ルも変化していて、それは、政治体制を変化させ、霊

戦争後の世界は民族主義の動きに覆われていた。

 

 古代の民族古来の習俗に戻ろうという心の動きが顕

著になっていた。現在の世界は機械文明と自然が調和

した民族主義世界となっている。

 

東京島を巡る運河エリアは、真昼の太陽を照り返している。運河面に魚が

動き、跳ね上がる。東京湾も浄化され、魚の遊弋する

場所となったのである。

 

 その東京湾に、水面に釣り糸を垂れた川船が、一隻

のんびりとたゆとうていた。

 

「世が世なら、大名にもなれたものを」

 

 川船の中で男が一人寝そべっている。

 

 太陽に向かって主水もんどは唸っていた。早乙

女主水さおとめもんど。今日は着流しをきてくつ

ろいでいる。刀の大小は床の間にかけてある。無論、

日本の武士のように髪はゆうている。京人形のような

顔をしていた。

 

といいたいが、すこしばかり、体重オーバーの顔だった。

はれぼったい顔だった。アンパン

マンみたいな顔だった。

 

 つまり、その顔だけ目立っていてごつかった。

 が、一重の目には、意志の強いきりりとした眼差し

がある。ロボットでも何か救いがあるものである。

 

「だめですよ、あなたはね、人間じゃないのですから

 そばに同じように寝そべるマリアが言う。

 

「どこまでいってもね、ただのロボザムライなのですよ」

 

 先程の「大名に」に対する答えだった。

 

 きれいな音声でシニカルに男の夢を履き捨てる女だ

った。これは人間もロボットも変わらないようだ。

 

 彼女の名は、マリア=リキュール=リヒテンシュタイン

 

 緑の眼をしてハシバミ色の髪を、今日は、日本髪に

ゆうていた。そして留め袖の和服を流麗に着こなして

いた。が時には、ヨーロッパの貴夫人の姿形を取ると

きもある。こちらは典型的なアンチックドールの顔だ

 

。なにしろヨーロッパの貴族ロボットなのだから。

 ときおり、言われるのだが、マリアは美意識がおか

しいのではないか、ゲテモノ趣味ではないか。目がお

かしいのではないか、という評判である。

 

 というのは、天下ひろしといえども、これほど似合

わないカップルもめずらしいのである。

 

 この間など、新東京の盛り場を、二人が歩いている

とこう言われたのである。

 

「へええ、かわいそうにね、あの奥さん」

 

「そうよね、きっと何かあるのだわ」

 

 ともかく、主水が、ゲルマン留学のおり、連れて帰

って来た女性ロボである。

 

 主水には、額に切り傷がある。これは、ゲルマンの

ハイデルベルグで、マリアを巡っての決闘のおり、切

り込まれたものだ。相手はザムザ=ビスマルク。名前

からもわかるとおり、あのビスマルクの子孫につなが

るロボットである。

 

 ともかくも二人は神聖ゲルマン帝国で出会い、いま

ここにいるのである。

 

 ゆったりとした風が河船を通り過ぎて行く。二人は

思い出に耽っているのである。

 

続く

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