yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

ロボサムライ駆ける■第8回■「主水(もんど)め。潜水艦を切り刻むつもりだ」サイ魚法師が、潜水艦の乗員に警告を。主水は主君徳川公に呼ばれる。

RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。
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ロボサムライ駆ける■第8回■「主水(もんど)め。潜水艦を切り刻むつもりだ」サイ魚法師が、潜水艦の乗員に警告を。主水は主君徳川公に呼ばれる。
 

ロボサムライ駆ける■第8回■

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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ロボサムライ駆ける■第二章 新東京(2)

 

(1)承前

「あれ、御膳、そんなこといって、あとでマリアねえ

さんが怒ったってしりあせんぜ」

主水は鉄の言葉を無視してしゃべる。

 

「これからの道行きだともうしたな。私がどこかへで

かけるというのか。また、そのことなぜ、知っている

「これはしもうたわ。貴様、まだ、聞いてはおらなん

だか」

 サイ魚法師は、顔をくしゃっとした表情にして、自

分の頭をつるりとなでた。

 

 さては…、主水は思いつくことがあった。

「さては、法師、ロセンデールに雇われたか。貴様日本人であ

りながら、外国人に魂を売ったか」

 どうやら、当たりらしい。サイ魚法師が答える。

 

「ふふん、主水、何をアナクロニズムな言葉を吐くん

だ、お主はいまごろ国籍にとらわれることなどあるま

い。だいたい、ロボットに魂などないわ。お前はロボ

ットだ。どうあがいたところで、日本人になることな

どできまい。お前自身が日本人というよりも、徳川公

国の使い番だからな。主水、そろそろとどめをさして

あげようぞ」

 

 サイ魚法師が、潜水艦のブリッジから身を乗り出し

て怒鳴っていた。

「鉄、マリアをたのむ」

「御膳、どこへ」

「ちょっと一仕事だ」

 軽く言う。

「主水様、大丈夫ですか」

「マリア、心配無用」

 

 主水は、愛剣ムラマサを上段に構える。

 その瞬間、再びサイボーグ魚が、主水めがけて、水

面から発進した。そのとき、主水は上空へ跳躍する。

 わずか数センチしたの足元を、サイ魚の大群が飛び

過ぎる。

 

 そのサイ魚の群れを、板を踏むのように足で踏み付

け、飛び石のように潜水艦になだれ込む主水だった。

 人間の目にとまらない技。さすが徳川公直属旗本ロ

ボザムライである。ブリッジに主水はいた。刀を構え

る。

「サイ魚法師、かくご」

 驚くサイ魚法師。

「まて、主水」

 サイ魚法師はもう逃げ場がない。

 

 名刀ムラマサが潜水艦「越月えっきょう」の艦

橋を切り抜く。音立てて、船橋の右肩が少しずつ倒れ

ていく。その切片がずぶずぶと海中に沈む。

 

「うわっ、やめんか、主水」

 サイ魚法師は、船橋内部の階段を転がり降りる。

「おしい」

 にやりと笑う主水。まだだいぶ余裕がある。

 ムラマサは、すでに艦橋上四分の一を切り離してい

た。

「さすが、殿から拝諒いたした刀ムラマサ。すごい切

れ味じゃ」

 逃げ出そうとする潜水艦。

「逃げるな、法師」

 

続いて艦橋から外側に飛び降りながら、船体横に着

地するまで、主水はムラマサを数百回横に払い続ける。

 次々、艦橋金属部分がササラカマボコのように切り

離されていく。

 

「やめろ、主水」法師は泣き声をあげる。

「降参する。後生だ、やめてくれ」

 

「ならぬ、攻撃を仕掛けたのはお前だろう。この潜水

艦、切り刻み、東京湾のサイ魚のエサにしてくれるわ

「みな逃げろ。主水め。やりよった。一人でこの潜水

艦を切り刻むつもりだ」

 サイ魚法師が、潜水艦の乗員に警告を与えていた。

 

まさにクモの子を散らすようにハッチから乗組員が飛

び出して来る。

 

 遠く川船の上で、主水の様子を見ているマリアと鉄

がしゃべっていた。

「大丈夫ですかね」

 

「どちらが、主水、それともサイ魚法師さん?」

 

「ねえさんも人が悪いや。サイ魚法師に決まっている

じゃありませんか。御膳も刀を使い始めると見境が

ないからなあ。キジルシだからなあ」

 腕組みをして観戦している鉄が言う。

 

「ふふん、あたしもそう思います。サイ魚法師も時期

を選ばなきゃいけませんよね」

「じゃなにですかい。御膳は今…」

「そうです。あの方は、いま気分が一番悪い時期なの

です」

 

 ロボットにもバイオリニズムがあるのである。

 

 サイ魚法師と逃げ出した潜水艦の乗組員は、ゴムボ

ートをサイ魚の大群に引かせて逃げて行く。

「あーあ、やっとあいつら、逃げよった。」

 

 主水は 泳ぎ、帰って来る。

「それで、鉄、どんな用だ」

 一仕事を終えた主水が、舟に戻ってきて尋ねる。

 

「そうだ、いけねえ、おかみがお呼びですぜ」

 急に鉄は思い出した。

「何、殿がお呼びだと、早くそれをいわんか」

 今度はも主水が大慌てである。

 

何しろ、主君、徳川公のお呼びなのである。

 

 

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