yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

ロボサムライ駆ける■第12回 霊能師、落合レイモンは、徳川公国ロボザムライ、早乙女主水(もんど)の頭脳の中に侵入し、徳川公の目的を読み取る。

RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/11/

 

ロボサムライ駆ける■第12回 霊能師、落合レイモンは、徳川公国ロボザムライ、早乙女主水(もんど)の頭脳の中に侵入し、徳川公の目的を読み取る。
 

ロボサムライ駆ける■第12回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

yamadakikaku2009-youtube

 

 

「何をおっしゃいます。おそれおおうございます」

 いやなこった。

「手を貸せともうしておるのじゃ、はようせい」

 レイモンはいらだっていた。

 

 レイモンの方に、主水の右手が勝手に動いていく。

「うわっ、どうしたことだ。手が…」

レイモンの手に主水の右手がくっついてはなれない。

「何をなさいます、レイモン様」

 

 恐るべき力が主水の腕に加わってくる。電流が二人の間に流れている。

「さすがロボザムライ、記憶が電磁処理だけに読み取りやすいわ。ふふん」主水の持つ電脳情報が手を通じて流れていく。

 

「お、おやめください」

 あがらう主水。が、手を離すことはできない。

 

 主水の体にレイモンの体から発せられた電流が走っていた。

微弱ではあるが、主水の体のメインコンピューターが出力低下を起こしている。自らの命令のまま、動かないのだ。

 

 ロボザムライの頭脳記憶の中に、レイモンの何かが侵入してきた。ロボの記憶データは膨大過ぎる。レイモンのそれは必要な情報を、主水の記憶の森から奪い取るようであった。

「くくっ、徳川公もくせ者よな」

 一瞬、空白が主水の頭を襲う。レイモンの前に倒れている主水に、

 

「気を失いよったか、この機械人形。やくたいもない。わしの護衛としては、どのようなものかのう、夜叉丸」

「レイモン様、こやつはやはり力仕事に」

 夜叉丸が尋ねた。

「そうじゃな、へんに情報を与えると我々の仕事の邪魔をするやもしれん」

 

「ところで、御前、また、お薬の時間でござる」

 夜叉丸がいった。夜叉丸はレイモンの薬飲のタイムテーブルを持っているのだ。後ろには薬品が詰まった収納庫が控えている。前の主水より、薬の方が大事だった。

 

「うーむ、この時間はどの薬じゃったかの」

 金庫の棚の薬をかき回すレイモンであった。ふと、夜叉丸の方を振り返り、

「よいか、夜叉丸。やつがれの薬、忘れず西日本に持って行くのだぞ。薬は生命の源じゃからのう」

 レイモンの最大の関心事は、薬である。

 

「承知しております。して、御前。この主水なるロボット侍の処置は」

 

「主に任せる。とりあえず帰してやれ。気を失ったことなど、忘れておるであろう。そう電脳の処理はしてある」

「ふっふっふっ」

 軽く含み笑いをするレイモンであった。

 

    ◆

 

 何とか旗本公国マンションにたどり着いた主水は、確かに、落合レイモンの家での事を忘れていた。

 

「旦那、どうでしたい。お上の御用は」

屋敷にはすでに、鉄が上がりこんでいた。

 

「うむ、ご壮健であられた。しかし、鉄、おまえも良く宅にくるのう。まったく」

「よろしいじゃござんせんか。姐さんもよろこんでいることですし」

「どなたが喜んでいるんですか、鉄さん、あなた……」

「へい、何でござんしょ」

「感情のラインが、いかれているのじゃないのかしら。一度ドクターにチェックしてもらいなさいませ」

 

「そりゃ、姐さん。ないですよ。私がいるおかげで、早乙女家にいつも笑顔がたえないってものでしょ。ねえ旦那」

「旦那じゃねえや。用がすんだら早く帰れ」

「そう、邪険にしちゃ、いけあせんぜ。そいでお上の御用向は」

 

「しばらく、東京を留守にいたす」

「どこかにご出張ですか」

「西日本に下向いたす」

「西日本ですって、そりゃ大変だ。旦那、まさかロボット奴隷になりにいくんじゃ」

「ばかもの、なぜわざわざ私が奴隷にならねばならんのだ」

 

「いや、どれいでもすきにしてとか」

「鉄。ばかもの。貴様が奴隷になれい」

「でも、あなた、京都では、足毛布博士にお会いになるのでございましょう」マリアが話しの話題を変えた。

 

「その足毛布博士よな……」

 いいながらマンションから東京の風景をみる主水であった。どうしょうかなと思い悩んでいるのである。生みの親である足毛布博士の顔が夜空に浮かんだ。

「ちちうえ……」

思わず叫んでいた。

 

なぜちちうえという言葉が口から飛びだしたのか。主水は自分でも不思議に思った。

 

続く090901改訂

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

yamadakikaku2009-youtube