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山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

ロボサムライ駆ける■第22回霊能師、落合レイモンの発言で、西日本議会は騒然となる。レイモンを助けょうとロボ侍主水。その前に、西日本護衛ロボ死二三郎が立ち、主水の左腕が切り落とされる。

RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。
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ロボサムライ駆ける■第22回霊能師、落合レイモンの発言で、西日本議会は騒然となる。レイモンを助けょうとロボ侍主水。その前に、西日本護衛ロボ死二三郎が立ち、主水の左腕が切り落とされる。
 

ロボサムライ駆ける■第22回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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「何、東日本のロボットが、人間の議場にいるじゃと」

 

 ロボザムライを目がけて、いろいろなものが飛び交う。まるでレスリング会場だ。主水は思わず左腰に手を当てる。が、刀はそこにない。

「むっ、しまった」

(しまったのは、西日本の役人だが…)

 

 むろん、主水はムラマサを抜くわけにはいかない。西日本に入るとき、関が原で刀は預けさせられている。

 

 主水としては、立ち塞がる暴徒たちを当て身で倒していかねばならない。

 但し、人間に傷を負わせるとこの西日本エリアでは重罪となる。

 すばやくなぐりたおした人間が山となっている。レイモンのところへようやくたどりつく。

 

 数十人の人間に囲まれているレイモンは、まるで団子だ。主水は一人一人をレイモンからはぎとっていく。ようやくレイモンの顔が見えた。

 

「レイモン閣下、ともかくこの場をお離れください」

「おお、夜叉丸に主水か、助けにきてくれたか。どうも私の言葉は人気がないようじゃのう」

 

 レイモンは我と落ち着いている。

「主水、御前を連れて先に逃げてくれ」

「夜叉丸どのは……」

「私は、後ずめじゃ」

「こころえもうした」

「レイモン様、お体を持ち上げますぞ」

「わしの薬品混合タンクを忘れるなよ」

 一言付け加えるレイモン。

 

 主水は、レイモンの体を、薬品タンクつきで持ち上げ跳躍した。

「レイモンが逃げるぞ」数人がそれをとめようとする。

 

「待て、待て。おまえ達の相手は私だ」夜叉丸が名乗りをあげる。

「何物じゃ、お前は……」

「こおいうものじゃ……」

 数人の議員があっと言うまに床に倒されていた。

 

 その間に、主水は議席の背もたれの約十センチ幅の部分を、次々と跳びはねて、ようやく議会室外へ逃げ出していた。

 

 いまや、議場は「レイモンを追え」の罵声に満ちている。パニック状態である。

 ようやく議場外の回廊に出た。

が、そこに男がいる。まったく唐突にその男は現れていた。

蓬髪に、羽織りのロングコートで顔ははっきりわからぬ。

「レイモン、まて、売国奴め」

 

 男はナイフを手にしている。レイモンにぶち当たってくる。どうしてこの議会に武器が……

「いかん」

 主水はナイフの前に自らの身を投げた。

 

 が、その一瞬主水の持病が出た。

 

その時精神が空白となる。

主水の体は倒れる。

主水の体重は並の重さではない。

人間の三倍はあるのだ。

 

 ナイフを突き出す男の腕ごと、主水の体で圧しつぶしていた。

「ぐわっ」男の腕はボキボキと折れ、気を失う。

 

「なんと、レイモンの護衛ロボットが人間を傷つけたぞ」

 まわりの人々が走り寄る。

 警備員がようやく気付き走ってくる。

 

「何だと」

 人々は殺気立っている。

「待て、待ってくれ。この男はレイモン様を殺そうとしたのだ」

 再び意識を取り戻した主水は叫んでいる。「うそを申すな。その証拠がどこにある」

 

 口々に人は糾弾する。

「この男がナイフを…」

 が、男のつぶれた手には肝心のナイフがない。

 

「レイモン様、ご助言を」

 振り向いた主水。が、レイモンの姿も消えている。

 呆然とする主水。

 

「これは、一体……」

「ロボザムライめ、おとなしく捕縛されよ」

「何をいうのじゃ」

 主水は戦う姿勢をみせた。こうなれば戦わざるを得ない。

 

「こやつは我々人間に刃向かうつもりじゃぞ」

「死二三郎、狼藉者である。出番じゃ」

 

「ようし、我々も、究極兵器を使うのだ」

 

 議会の護衛が大声でどなる。回廊にジャーンと音が響く。

 廊下の床が割れ、そこから何かが急にが起き上がってきた。それは何と刀を持つ侍ロボットであった。

 

 ドラキュラかおまえはと思う主水。侍ロボットは、かっと眼を開く。

 

「おおう、久しぶりで、わしの出番か。ありがたし」

 声はかすれている。あまり、出番などないのであろう。

 

 そのロボットは、ブルーの着物をきて、髪は、後ろは束ね、前は垂らしている。曇った虚無的な眼差しをしている。体の大きさは、主水と同等である。主水の方をゆーるりと見る。

 

「貴公か。人間の命令を聞かぬロボットなど、生きながらえる意味なし、死にそうらえ」

 冷たい声音であった。

 

 恐るべき雰囲気がそのロボットから発されている。

 

 死二三郎は刀を構えるが、あることに気付く。

「うむ、貴公、東日本のロボザムライか」

「そうだといえばどうする」

 ニヤリと笑う死二三郎。

 

「ふふう、相手にとって不足なし。お相手されよ」

 主水に武器がないことに気付く。

 

「剣には剣でじゃ。剣を取られよ」

 そのロボットは、自分がはい出てきた床の下の収蔵庫から剣を取り出し、主水にその剣を投げる。

「かたじけない」

 

 主水は、剣を受け取ろうとした。主水に隙が生じている。

 そう言った瞬間、相手は動く。

「ぐっ」

 ごとりと何かがころがった。思わず、主水は右手で切り口を触る。

「ひきょうなり」

 

 主水の左腕が見事に切り離されていた。

習練の早業である。

痛みの感覚が後から、主水を襲ってきた。

 

「ひきょうという言葉は俺にはない。勝負がすべてじゃ。次なる剣は貴公の首か、あるいは右腕か、どちらか決められい。そのように料理してくれよう」

 

この対峙する死二三郎は主水があったロポザムライの中で、一番の使い手だった。

 

「まて、死二三郎。そやつには聞きたいことがある。死に至らしめるな」

 護衛がまわりから遠く離れて叫んでいる。誰も危険なところには近づきたくないのである。

 

 死二三郎は、主水に視線を置きながら、護衛たちの方へ怒鳴っている。

「お言葉でございますが、ロボザムライにはロボザムライの義というものがござる。ここは義に免じていただきたい。剣の敵に助けられたとあっては、武士としての面目が潰れ申す。我が手で、このロボザムライ死に際をきれいにいたし申す」

 

「ならぬ、死二三郎。命令である。このロボザムライを助けよ、さがれ」

 護衛は呼ばわった。

 

「死二三郎殿とやら、拙者も生き恥をさらしとうはない。どうか一刀のもとに貴殿の手で」

 

と主水はつぶやきながら、チャンスを見ている。

こやつには狂人の論理で立ち向かわねば。こやつは剣のことしか考えておらぬロボットだ。

 

「お覚悟されよ、そういえばお名前を聞いておらなんだな。何と申されるのだ」

「拙者、早乙女主水。徳川家直参旗本ロボット」

「おお、貴殿が噂に高い主水殿か。相手にとって不足はない。さらにお覚悟召されよ」

「死二三郎、待て」

 

 護衛全員が叫ぶ。

 

切りかかろうとする死二三郎。

 

 その一瞬、天井から電磁網が死二三郎の体を襲う。

電磁網は魚をとらえる投網のようなものである。

魚のかわりに、ロボットだ。

 

死二三郎は黒焦げになって倒れる。

 

議会護衛がいいことを聞かぬ死二三郎を処分したのだ。

「こやつは狂犬か」

 護衛の一人が倒れている死二三郎の体を蹴る。

「いいや、狂犬より始末に悪い」

「だから申したであろう。気違いに刃物。ロボットに刃物と」

 

 護衛同志の会話である。左腕を失った主水は、まだ戦う姿勢を見せていた。

「ええい、このロボットもからめとれい」

 

電磁網が天井から降りてくる。

 電撃が主水の体を走る。

「いかん、わしも魚か」

主水の意識がフェイドアウトした。

(続く)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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