yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

その腕もて闇を払え 第1回2050年火星、マリナ・シティ郊外イグルーをコーヘン財閥の特殊機動隊がコーヘンの娘と孫を助けるために襲撃する。

その腕もて闇を払え(1980年作品)クロスは、我妻と子を奪わコーヘン財閥に復習を誓う。カレンコーヘンは、財閥のオーナー活躍、地球生態系が変化。カレンを助けるためにクロスが呼び戻される。
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その腕もて闇を払え 第1回2050年火星、マリナ・シティ郊外イグルーをコーヘン財閥の特殊機動隊がコーヘンの娘と孫を助けるために襲撃する。
 

その腕もて闇を払え第1回

(1980年)「もり」発表作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

(神よ、その腕もて闇を払いたまえ)改題

 

■2050年

火星、マリナ・シティ郊外。火星は地球のテレフォミングに

よりほど地球の企業植民地化していた。

 

火星用の居住用イグルーが点在している。

 

しかし、火星嵐が吹き荒れていて、ほんの数m先も見えない。

 

重装備の男達は、訓練されて音もなく、一つのイグルーに近づき

つつある。

このあたりは都市部ではなく郊外だけに人影はない。

 

 うす汚れたイグルーの一つに近づく。宇宙服を着たまま、

イグルー。の外部インターフォンを一人の男が押す。

 

 「開けろ、クロス・クライスト、お前がそこにいるのはわか

っている。手をあげて出てこい。まわりは取り囲んでいる」

 

 イグルーの中の男は色めきたった。部屋の片隅で子供の泣き声がする。妻であろう女が

子供を抱いていた。

 

 

 「クロス、奴らだわ。どうしてここがわかったのかしら」

 

 「しっ。だまれ、ジャネット。お前の側の窓から何人の人間が見える」

 

 「15人よ」

 「どんな武器を持っている」

 「重反動砲らしいわ」

 「くそっ、人間3人に。宇宙軍相応の武器を持ってきてやがる。どうせ相手は俺一人なんだ」

 男は女の方を振り返った。

 「お。前とカレンは出ていくんだ。コーヘン財閥の奴らもお前達を殺すはずはないはずだ」

 男の顔にうっすらと汗がうかんでいる。

 

 「いや、ダメよ。クロス、あなたは殺されるわ」

 「聞きわけのない事をいうな。お前達が一緒にいれば。

俺の生き残るチャンスがそれだけ減るんだ。生きていれぱ、必ず、会いに戻っ

てくる。約束する」

 「わかったわ。あなたがそういうならば」

 

 「時間がないぞ。イグルーごと吹き飛ばすぞ」

外から男達の声がインターフォーンを通じて聞こえてくる。

 女と子供はすばやく宇宙服を着込んでいる。

 

 「いいか、俺はいない事にするんだ」

 

 女と子供は火星用宇宙イグルーの外へ出て行った。男

達のチーフらしい男がインターカムで話しかけた。

 

 「お嬢さん。やっとお会いできましたね。お父様がお待かねですよ」

 「あんな人、父ではないわ。会いたくもないわ」

 

 「そうおっしるものじゃございません。それはそれはとても心配しておいでです。と

ころで野良犬の奴はどうしたんです」

 

 「あの人は今、シティの方へ仕事に出迎いていないわ」

 

 男がニヤリと笑うのが宇宙へルメットを通して見えた。

 

 「ジャネットお嬢さん。あなたはウソはあまりお上手ではないようです。これをごらんなさい」

 

 他の人間が持つトレーサー機械モニターに光点が輝いている。

 

 「明らかに生体反応がまだあの火星用イグルーの中にあるんですよ」

 

 ジャネットと呼ばれた女は青ざめる。

 「ヘットよ。ハクサ犬よ」

 「ペットですって、大きなハクサ犬ですな。じゃ、よろしいですか。この不要なイグルーごと吹き飛してもいいわけですな」

 

 「やめて、わかったわ。彼クロスは中にいるわ」

 

 「そうそう。素直になって下さい。ジャネットお嬢さん。コーヘンさんからあいつを生きたままで連れてこいと命令されていますのでね。さあ叫んで下さい。クロス・クライストの命は私が保障しますよ」

 

 「クロス.出て来て、もうダメ」

 「くそっ」クロス・クライストと呼ばれた男は舌打ちした。

 

「約束する。お前の命は保障する。彼女の父親コーヘンさんの前につれていくだけだ」

 

 「俺はコーヘソの前に突き出されるのが一番恐いよ」イグルーの中の男は始めて答えた。

 

 「お前の娘カレンさんの事を考えるなら早ぐ出てこいよ。その子を父なし子にしたくはないだろう」

 

 「わかった。急に反動砲ぶっぱなすなよ」

 

 イグルーから、ゆっくり宇宙服を着込んだ男がでてくる。

 

その腕もて闇を払え第1回

(1980年)「もり」発表作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/