yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

その腕もて闇を払え第4回クロス・クライストの娘、カレンをコーヘン財閥のリチャード会長はデスゾーンから助け出してくれという。そこには連邦軍のミサイル攻撃時間が迫っていた。そして今一つ条件が、

SYその腕もて闇を払え(1980年作品)クロスは、我妻と子を奪われコーヘン財閥に復讐を誓う。20年後隕石が落下、地球生態系が変化、疫病が。デスゾーンの研究中の娘カレンを助けにクロスが呼び戻される。
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その腕もて闇を払え第4回クロス・クライストの娘、カレンをコーヘン財閥のリチャード会長はデスゾーンから助け出してくれという。そこには連邦軍のミサイル攻撃時間が迫っていた。そして今一つ条件が、
 

その腕もて闇を払え第4回

(1980年)「もり」発表作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

 

●現在編集中●

 

「それじゃコーヘンファミリーは全員、、、」

 「そうだ。私リチャードコーヘンと孫のカレンコーヘンを残してな」

 「カレン、カレンはどうしたんだ」

 カレンは、クロス・クライストの愛娘。クロスは彼女に会うために地球に戻ってきたといえる。

それが罠と知りつつも。

 

リチャード・コーヘンは時計を見た。時間をしきりに気にしていた。彼は立ち上がってクロスの方へ近寄ったきた。

 

 「クロス・クライストくん、時間がない。君に会わせたい男がいる。それは必要な手続きなのだ。君が子供のカレンに会うためにな」

 

「コーヘン、まさか、俺を別の場所へ連れて行き、処分するつもりじゃないだろうな」

 

「考えてみたまえ。君を秘密裏に処分する機会は何度もあったのだぞ。それに君が火星から逃れた

後も、追求する事ができたのだ。それをしなかったのはカレンの願いだったからでもある」

 

 「わかった。俺がカレンに会うための交換条件というわけだな」

 

 「そう考えるならけっこうだ。さあ急ぎたまえ。詳しい事は車の中で話そう」

 

 クロス・クライストとリチャード・コーヘンはボディガード2人に囲まれ、特別の個人降下シャフトで一拠に冊一m下の地下専用駐軍場へ向かった。

 

クロスはリチャード=コーヘンの異常な衰弱ぶりに気がついていた。

普段なら考えられないことなのだ。リチャード=コーヘンにとって、クロスは不倶載天の敵

であるはずなのだ。

 

それが今は呉越同舟だ。

 

リチャード=コーヘンにとっては孫、クロス・クライストにとっては娘カレンの身に何かとてつもない。想像を越えた事態が起っていると考えられる。

 

 コーヘンのエアーカーはコーヘンXFスペシャルタイプ。つまりは世界のVIP用で、外からの攻撃にも充分耐えられるように外装を施してある。

 

コーヘンを右にガードが真中にはいり、クロスは乗り込む。発車する。

 

車がシティ郊外にさしかかった時、ずっとだまっていたリチャード=コーヘンが口火を切った。そして驚く

べき事に頭をさげたのだ。

「クロス・クライスト.頼む。カレンを助けてくれ。頼めるのは君だけなのだ」

 

世界の大企業の32%を占めるコーヘン財閥を牛じる男が頭を下げている。

「実はカレンは、今、デス=ゾーンにいるんだ」

 

「デス=ゾーンに居る!だって」

「そう、正確に言って、汚染地帯だ。が、まだ彼女は生きている可能性がある」

「なぜ、そんなところに行ったのだ」

 

「カレンはマサチューせっツエ科大学大学院に在学し、RM計画の実施に参画していた。その計画の実行

プレーンの一人でもあった」

 「RM計画?」

             ヽ

 「RM計画の詳細は私もしらん。人類のリニューアル化、つまりは人間の進化を早める計画だとは聞いている」

 

 「RM計画をそのデス=ゾーンで行なっていたのか」

 

コーヘンは目を細めて答える。

「そうだ。これは確実な情報ではないが。地球連邦軍情報部の意見なのだが、あの阻石の落下

及びデロスの蔓延は異星人の仕技らしいのだ。

 

RM計画は新人類を創世するかもしれん。異星人は、それを妨害する意図があるかもしれんというの

だ。これはあくまでも推測にすぎん」

 

「カレンがそのデス=ゾーンで生き残っている可能性は」

 

「わからん。ただ、彼女らの研究施設の連絡装置はまだ生きている。各種のデータを本部

に送り続けていろ。研究施設はまだ破壊されていないらしい。しかし彼女らからの直接の連絡はない。機

械が自動的にデータ送ってきているのみなのだ」

 

「彼女の生存の具体的な証拠とはいえん」クロスも蒼い顔でいう。

 

「可能性は約1%だろう。あの研究施設自体はどんな核攻撃にも耐えるように地下数キロに隔

離されていた。が病原菌の内部への侵入はどうかわからんのだ」

 

「リチャード・コーヘン、なぜ、プロを雇わん。いや地球連符軍の軍隊を動かさんのだ。あなたのいわば世界の王者に等しい力ならそれも可能だろう」

 

「RM計画施設奪還のためというお題目で、そのデス・ソーンヘ二度、地球連符軍の特殊コマンド部隊が送り込まれた。が、彼らも連絡を絶った。

 

 あの地域は電波遮断操置が上空の衛星で働いている。また上空を行く飛行物体には自動

的にキラー衛星からのレザー砲がおみまいされる。施設からの連絡は有線なのだ。

 

 あのデス=ゾーンとこの世界を結ぶのはたった一つの橋だけなのだ。物理的な橋だ。デス=ゾーンのまわりはミサイル攻撃によって巨大な溝が作られ。その溝、堀に等しいが常に濃硫酸等劇薬が流し込れている」

 

「危険きわまりない所だな、デス=ゾーンは」

 

「つまりは、地球上の実際の地獄だ」

リチャード・コーヘンは汗をハンカチでふき取っている。車にはクーラーが十分すぎる程効いているのだ

が。

 

「それで、そこに俺に行けというのか。娘カレンを助けに。生きているかどうかわからんカレンのた

めに」

 

「そうだ。カレンの父親の君なら、そうすべきだ。それにカレソは君の娘カレンであり。さらにお前の妻

であり、私の娘分あるジャネットと同じ存在なのだ」

クロスはこの言葉の意味を深くは考えていなかった。

 

リチャード・コーヘンは高価なジャケットの裏ポケットから、一葉の立体写真タブレットをクロス・クライストに渡した。

 

それはジャネットの写真ではないか。

 

「ジャネットー」思わずクロス・クライストは叫んでしまった。

 

クロスは彼女ジャネットの写真を一枚も持っていなかった。彼女の姿を目蓋に焼き付けてきた。

 

 カレンは確かに彼女ジャネットにそっくりだった。

 

「つらい。つらいぞ。コーヘソさんよ。ジャネットの立体写真を俺に見せるとはな」

 

「カレンのために死んでくれるか」

コーヘンはクロス・クライストの眼をのぞき込んで言い放った。

 

「死ねだと」クロス・クライストはコーヘンをいぶかしげににらんだ。

 

「文字通り、デスゾーン侵入は、自殺に等しい。しかし君が行ってくれなければカレンは確実に死んでしまう。我々に残された時間はあとわずかなのだ」

 

「どういう意味か説明してくれ」

 

リチャード・コーヘンはそれに答えずに続ける。

 

「あの限石が原因と思われる疫病グロスの生存者はゼニス星域で生活した事がある者が多

い。

といっても全員が生き残っているわけではない。

 

生存率い0,1%。その内ゼニス星域で生活した事のある者88%なのだ。

何か特別の力が発生しているのかもしれん。ゼニスには」

 

「全体の死亡率は99.%以上と言うわけか」

 

「そうだ。その生存者も、、我々が得た情報では正常な体をしていない」

「正常な体ではない。どういう意味だ」

「正常な人間の体ではなくなる。それは自分の眼で確かめてほしい。それにわずかの期間だが、カレンもゼニス星域で研究生活したことがある」

 

 

「ありがたい情報だな。重ねて聞くが、先刻。我々に時間がないといった理由はなんだ」

 

「特殊コマンド部隊から連絡がないのにしびれを切らした世界連邦議会は、インド洋上に

展開中の、スーパー潜水艦戦隊から数十発の核弾頭ミサイルを発射する準備にOKのサイン

を出したのだ。RM計画が外に洩れるのを防ぐ意味と、このままでは疫病グロスとデスゾーンの存在が

世界を滅ぼしかねない。つかりは疫病デロスの原因の源を抹消するためだ」

 

「残された時間は」

 

「5日間だ。それも君の表現の世界の支配者の一人私リチャード・コーヘンの力でなんとか延長を計って5日間なのだ。本当ならもうミサイル群が、デスゾーンに発射されていてもおかしくはない」

 

クロスは、リチャードの顔色を読み、隠し事があることに気づく。

「まだまだ悪い話がありそうだな」

 

「さらにつけ加えると、デス=ゾーンに入るには病気デロスに汚染されていなければな

らん。デス=ゾーンにはいって始めて病菌と接触してはだめなのだ」

 

「というのは」

 

「汚染数時間後の発熱時は身動きができん。体が動かせん。そこで生きるか死ぬかどちら

かだ」

 

「最悪の場合、デス=ゾーンへ行き着く前に、俺は死んでしまうわけか」

「そういうことだ」

 

「コーヘンさん、俺クロスにとって、デス=ゾーンへ行くメリットはなにかね」

 

「娘カレソに会えって父親の君が助ける事だけだ。それに約束しよう。カレンが生きて帰ってきたらカレ

ンに私の全財産コーヘン財閥をゆずる・つまりはある意味、彼女は世界に君臨する女王になれる」

コーヘソはつけ加えた。

 

「残念ながら、君がもしデスゾーンから生きて帰って来たとしても、私は君を。あれの父親とは認めん」

 

「さっきの話だとカレンすら、正常な人間体ではないかもしれんぜ」

 

「かまわん。コーヘン財閥、コーヘンタワーの奥深い部屋で。誰にも合わず、命令を下せばいいのだ」

 

クロス・クライストはコーヘンが話し終った瞬間、コーヘンの顔を思っきりひっぱたいた。

もちろん人間部分の左手でだ。右手のロボットアームではなく。

 

コーヘン会長!」「こいつめ」

ボディガードの銃口が、一瞬遅くクロス・クライストの頭に突き着けられ、トリッガーに手がかかっている。そのコーヘン会長は口から血を流しながら、ボディガードに言った。

 

 

 「いい、いいのだ。殺すな。サム。この男しか、この世の中でこの男しか頼れる男はおらんのだ。

私をなぐった事で気がすんだかね、クロス・クライストくん。孫を娘を助けてくれ」

 

「そう、この俺しかいまいな」

クロス・クライストは思った。

 

「クライストくん、頼む。私の手の内はこれですべてさらした」

「カレンはジャネットに似ている」クロス・クライストはつぶやく。

 

「そう、ジャネットにそっくりだ」

 

 カレンは母親ジャネット似だ。金髪。あの青い瞳……。クロスは思い起こす。

 

その腕もて闇を払え第4回

(1980年)「もり」発表作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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