yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

東京地下道1949■第11回鉄とアジトへ急ぐ竜。 2人の前で故買屋、進藤が、ソビエトの諜報機関に地図を売ろうし抹殺されるのを目撃。江戸城地下道の図面と判明。さらに竜の妹恵がムサシに誘拐される。

TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命は
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東京地下道1949■第11回鉄とアジトへ急ぐ竜。 2人の前で故買屋、進藤が、ソビエト諜報機関に地図を売ろうし抹殺されるのを目撃。江戸城地下道の図面と判明。さらに竜の妹恵がムサシに誘拐される。
 

東京地下道1949■第11回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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故買屋、進藤は、写真の現像をおわり、ほくそえんでいた。

この写真、いくらになるだろう。鉄から取り上げた地図だ。

もちろん、今日会うソ連側の、MGB(ソビエト国家国家保安省)のエージエントだけに売るつけるつもりはない。

アメリカの情報部OSSも、もちろん高く買うだろう。

 

「それじゃ、金をたしかめろ。このカバンの中だ」

 MGBのエージェントは言った。

「いや、これはどうも、、、」

 仲藤は地図の写真のはいった袋を置き、MGBのエージェントのカバンを開けた。

 

瞬間、毒ガスが、かばんから、進藤の顔面に吹きつけられた。進藤は意識を失なった。

男達は仲藤を車に乗せ、アルコールをむりやりに仲藤の口に流し込み、加えて服にもかけた。

途中の橋の上で単をとめ、まわりに人がいないのをみはからって、そのまま神田川へ投げこんだ。

 

「おい、あれは進藤だぜ」

「なに、故買屋の進藤だって」

 

竜と鉄はアジトヘ帰る道で、遠くの橋の上のでき事に気がついた。

鉄は、昨日の伸藤のあわて方から見て、あの地図が、かなり貴重なものだと感じていた。

それを知る手がかりは、今の所、進藤に聞くしかない。

 

鉄を保安部に売ったのが、進藤だとしても助けざるを得ない。

鉄は竜に手助けをたのんだ。

 

神田川へ人り、進藤の沈んでいる所へ泳いでく。

二人でひきずって、河岸へ寝かせた。

幸い、死んではいない。

水をはかせ、寝かしていると、目ざめた。ぼんやりと鉄と竜を認めた。

「鉄か、お前に助けられるとは皮肉だな」

 1人毒づいた。

「くそっ、MGBの奴らめ」

「あいつらは」

「そうだ、アメリカ占領地区で暗躍するMGBのエージェントだ」

「進藤さんよ、教えてぐれ。あの地図は1体何なんだ。」

 進藤は少し考え込んだ。

 

「しかたがない。俺の命を助けてくれたお前の事だ。お礼に教えてやろう。あの地図は、江戸時代にトウキョウ城が造られた時の抜け穴の地図だ。

抜け穴といっても、地下トンネルという意味だ。

現在でもそれが在るとのことだ。

江戸時代、長崎出島にいたシーポルトに、この地図を、ある日本人が手渡したらしい。ソビエト軍によって、オランダのシーボルト博物館が接収された時に発見されたのだ。

現在、アメリカとソ連は微妙な状態にある。その地下トンネルが存在するならば、ソ建軍は地下トンネルを利用し、アメリカ軍の武器集積地点に大量の戦車を、気づかれずに送りこむことができるのだ。トウキョウ城は波らの手中にあり、出口は壁の下を通ってアメリガ軍占領軍区にたっしているはずなのだ。1勢にソ建軍戦車が出現し、重要なポイントを押さえれば、現在の軍事バランス

はくずれ、アメリカ軍は、守勢にたたざるをえなくなる」

 

「そうか、地図の事は、よくわかったよ。ありがとうよ」

 鉄は、すばやく、ナイフをとりだし、進藤のノドをかき切った。

「何でだ、、」

進藤の目は、驚きの表情で、目から希望の光を失い、倒れた。

 

「1度でも、俺をうらぎった奴は生きていちゃ困るんだ」

「鉄、あの地図は大変なもののようだな。返せ。俺たちのグループのものだ。あれは」

「ない、今は手もとにない。」

「一体どうしたんだ。」

「それか、地下壕の中で落したらしい。身体検査をしてもいいぜ。それより早く、アジトへもどろうぜ」

 

アジトに近づき、竜は恵の名前を呼ぶ。返事はない。

人の気配はない。やはり、あの襲撃で竜以外は皆、殺されてしまったようだ。

 

アジトの堀っ立て小屋に入り、竜は立ちすくんだ。

壁に紙切れが一枚。

 

「鉄、恵は俺があずかった。話がある。何の話かわかっているだろう。俺のアジトまで来い。ムサシ」

 

竜はしばらく考え込み、おもむろに鉄になぐりかかった。

「何をするんだ。」

「はっきりしろ。お前何か隠しているな、恵とお前は俺たちが外へ出かけている間、一緒にいたことがある。何があったんだ。ムサシとか前の間に」

 

「いや、何もない。昔の、話だろう」

「うそをつけ。それなら、鉄が、恵をさらうばずがない」

 

続く090901改訂

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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