yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

私の中の彼へー青き騎士第3回連邦地球軍は、戦闘優良因子を持つ適性検査を行ない戦士に育てる。翔も、自分の両 親の顔を知らない。古代スパルタの戦士のように。

BK私の中の彼へー青き騎士ー《アイス》と人の戦争で、少女暗殺組織ローズバットの沙織は、共生装甲機体・零号を操る独立装甲歩兵・翔と恋に落ちる。沙織には過酷な運命が待っていた。彼女は人類を新たな旅へ導く
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私の中の彼へー青き騎士第3回連邦地球軍は、戦闘優良因子を持つ適性検査を行ない戦士に育てる。翔も、自分の両 親の顔を知らない。古代スパルタの戦士のように。
 

私の中の彼へー青き騎士ー第3回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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●シーン5

私、沙織の最初の記憶だ。

 

 青い空がどこまでも拡がっている。

大地はまっ白だった。その日は、雪景色だ。妙にかわいた雪景色だった。

 

 私は何かの「全天候型ワゴン」に乗っていたのだろう。窓から外をながめてい

た。青と白の対比が美しかったのを憶えている。

空から、何かごま塩のようなものが急に拡大していた。

 

「いかん、やつらだ」

男の声を記憶している。

たぶん、父の声だったと思う。

 

定かな記憶ではないのだ。

 

「あなた、この子を」

女の人の声だった。

美しい横顔だったと記憶している。

 

 その飛行物体はワゴンの上に落下し、天井をつきやぶった。

「逃げろ」

父は叫んでいた。

「あなた」

私は小脇にかかえられていた。泣くひまもなかった。

 

 

父の体はその飛行物の触覚に突きやぶられていた。

 

「や、やめて。この子だけは」

女の声だった。

この声も途中でとぎれた。

 

血の海の中に倒れていた。

 

私は雪の中にころがっていた。

 

そいつが近づいてきた。

触手がゆっくりと私の顔に近づいてくる。

 痛みで私は気をうしなう。

 

私が気をうしなう前に、「ワゴン」から何か、機械が、飛び出したような気がする、

 

〈アム〉。

そういう名前だった。

 

たぶん、父が作りあげた最高の人工頭脳機械。

 

何をするものだかその時には、残念ながら、わかっていなかった。

 

私の人生の始まりだった。

 

「紅い涙」を流したのは、この時が最初だと思う。

私の長い命は、この「紅い涙」にまつわる話となるのだ。

 

そして、私は、この時、敵アイスに対して、

 

「復讐」という感情を、深く深く心臓に刻みつけた。

 

●シーン6

 

「誰なの、僕に話しかけるのは」

6歳の翔は驚く。

 

初めて、「零」にあった時、翔は、その存在を理解できなかった.

 

やがて、翔が、零の事を理解しえた折り、零は言う

 

「翔、ようやく、私の姿が見えたようだね」

 

静かなる心にしみいる声だ。いや声以上のものだ。

翔は思った。

 

「君の相棒さ、零という」

 

「零、君はどこにいるの」

「君の外殻、つまり、装甲機さ」

 

「その装甲機がなぜ、しやべれるの」

「君と同じように生命を持っている。が私の役目は、君を守り、優

秀な戦士に育てあげることだ」

「ねえ、零、皆、優秀な戦士とかいうけれど、なぜ、優秀な戦士に

ならなければならないの」

 

 零には答えようがなかった。

急に別の声がした。

 

『それが、君達の生きる目標なのだ。そういいたまえ、零』

 

連邦地球軍の指導官だった。

すべて、装甲機と装甲兵の会話はモニターされている。

 

しばらくして、零は答える。

『できません』

『ふつ、零。君は我々の命令に服従しないのか。君の役目は、彼を守り育てる

ことだ。思想教育は必要ではない』

 

『承服できません』

少しばかりの沈黙があった。

『生意気な機械め』

怒りが、翔の心と体に振動を与える。

「お願い、零をいじめるのはやめて。僕の友達だもの」

翔は叫ぶ。

『いいか、今後、このような場合、すべからく、君をスクラップに

して、翔には、別の装甲機をあてるぞ』

[....]

零は答えぬ。

「今回は大目にみよう』

「よかったね、零」

 

 連邦地球軍は、新生児に、戦闘優良因子を持つ適性検査を行ない

子供を隔離し戦士に育てる。それゆえ、翔も、自分の両

親の顔を知らない。古代スパルタの戦士のように。

 

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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