yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

腐敗惑星のアリス第20回「頭のよい一角獣だこと。見せてあげるわ」 楽園の アリスは片手から黄金のリンゴを取り出した。 「あなたたちが探している禁断の実よ」 2人は争う。

F腐敗惑星のアリスー宇宙連邦の監視機構の元で封印されている惑星がある。その腐敗惑星内で新生命トリニティが蘇生し、世界の秩序を変える動きが始まる
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腐敗惑星のアリス第20回「頭のよい一角獣だこと。見せてあげるわ」 楽園の アリスは片手から黄金のリンゴを取り出した。 「あなたたちが探している禁断の実よ」 2人は争う。
 

腐敗惑星のアリス第20回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

■「わかったぞ、君は戦闘16面体がつくったコピーだな」

一角獣ユニが叫んだ。

「おや、頭のよい一角獣だこと。トリニティ、ついでにあなた方のさがしているものも見せてあげるわ」

アリスは片手から黄金のリンゴを取り出した。

「それは一体」

「これが、あなたたちが探している禁断の実よ。わからない」

「それが禁断の実」トリニティは気おちした。

 あんなリンゴに何の価値があるというの。

ばかばかしい。そのトリニティの表情を見て楽園のアリスが言う。

「おやおや、あなたこの意味を知らないようね。これはこの宇宙に住む総ての人がほしがる宇宙最高の宝なのよ」

このなまいきな女。しったからぶりな、いやな奴。

「何ですって」

「これは古代世界のデータバンク。この最後の楽園も,

この黄金のリングのデータからとりだし再生したものよ。

これは1種の機械能なのよ。おまけに、もう一ついいことをおしえてあげる」

アリスはトリニティの反応をさぐる。

「いい、よくおきき、このリンゴは、、あなたの父親なんだよ」

リンゴが、親、しかも父だって? どういう意味?

「何それ。どういう意味、理解できないわ。禁断の実ってチャクラの一部でしょう」

「おやおや、チャクラは何も教えていないようね。これをあなたが…」

「もう、いい、やめておけ」急に別の声がした。

「あっ、父さん」トリニティはアリスの視線方向を見た。

戦闘16面体が上空に出現していた。

「よく、辿りついたな。トリニティ。だが、ここは我々の領地だ。

それゆえ、トリニティ、君をおもうぞんぶん料理できる」

トリニティはおぞけをふるう。彼女の体力は先刻、蛇に何かを食べさせられてから、どんどん抜けていく。

 ユニが走り出して、戦闘16面体にぶつかっていこうとする。

「やめろ、戦闘16面体め」

「いつから、我々にそんな口がきけるようになった、

一角獣。お前が、この機械城を自由に動いていたのは、お前が我々に害をおよばさなかったからだ。

いわば、お情けで生かしておいたのだ。侵入してきた生き物を、

お前が殺していたからな。それなりの利用価値を認めていたのだ」

「お前に、僕の生きていく意味なんか決められてたまるか」

「さあ、トリニティ、私のいう事をおきき」

アリスはトリニティの肩をがっちりつかんだ。

力が抜けているトリニティは易々と捕まえられる。

「トリニティ、あなたを滅ぼせば、あなたの代りに私が「世界子せかいし」になれる」

次から次から新しい言葉をいう女だわ、この子って。

「世界子って一体」

「この世界を支配する王の子供よ。それになるためにはあなたの存在がじゃまなの」

 ちょっと、ちょっと体をそんなに強くつかまないでよ。

アリスとトリニティ、2人の目の前に、中央のドームへのガラスの階段が出現していた。

まるで、ガラスの階段は青空につながっているように見える。

「あたしと一緒にこの階段をあがってもらうわ」

まるで、虹の階段だ。

恐ろしい程の力でアリスはトリニティの体をつかんでいた。

「この上にあたしの部屋がある。そこであなたをバラバラにするつもり」

アリスはニヤッと笑う。

きゃっ、気持ちが悪い奴。

 二人でそのガラスの階段を無理やりにのぼり始める。

 何をするのよ、この子は、一体なんで、トリニティはその時、階段のガラスを見た。

まるで鏡だ。

二人の体が写っているが、この鏡の中の世界は違ってみえた。

なんと、少女に見えるアリスは機械のかたまりだ。

それに、あたしの体は、恐ろしい事に、なぜか、3人の体がだぶって見える。

何、これ、このガラスの階段は。

恐怖でトリニティに急に力が沸いて来る。

「キャッ何」思わず叫んだ。力一杯、アリスの体を突いていた。

「うわっ、何をするの」

アリスの体は真っさかさまに地上に落下していく。

奈落で、楽園のアリスの体がバラバラにくだけちった。

彼女の体は、本当に機械部品から成り立っていたのだ。

このドームを支配していたアリスが死んだ時間、最後の楽園の色彩が一変した。

赤や緑や青の色が急にモノクロの世界に変わる。

また楽園も急変する。木々がバラバラと分離し始める。

木々や生物に見えたものはすべて機械部品の集まりだったのだ。

戦闘16面体はチャクラの元で、トリニティの情報をつかんで、自ら脱出した。

その時に決意していた。我々が、世界子であるトリニティを作ろうと。

「アリス」はトリニティのコピーなのだ。

トリニティは急いで階段の下まで走り降りる。

が、かけ降りる端から、次々とガラスの階段が崩れ落ちていく。

 トリニティは、アリスの機械人体のそばに、散ばっている残骸から

“黄金のリンゴ”をみつけ出し、つかみとった。

これがそうなの。世界の宝。

 その時、一角獣と争っていた戦闘16面体が、その様子に気づく。

「何という事を、我が子アリスよ」

戦闘16面体がトリニティの所へ飛来してくる。

「よくも我が子を殺したな。トリニティ。

それに黄金のリンゴをかえしてもらおう。それをお前に渡すわけにはいかん」

 戦闘16面体からトリニティを守ろうとしてユニが突き込んできた。

「ええい、じゃまな奴め」

戦闘16面体の1つの突起がユニの内腹をつき破っていた。

「ユニー」

トリニティは声を限りにはりさけんでいた。

「早く、早く、その禁断の実を飲み込め」

苦しい息の下でユニがつぶやく。

こんなの、本当に食べれるの。

「ええい。消えろ、このうすぎたない一角獣め」

 つきささったままの突起が白熱した。轟音と共にユニの体がふき飛ぶ。

やめて、やめてよ。こんなの見たくない。

戦闘16面体って、情け容赦もない奴。

(続く)20210920改訂

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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