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山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

ガーディアンルポ03「洪水」第5回フネのなかで水棲人ム=ウムは戸惑う。ム=ウムの心の内にフネの出口を探せという命令が響く。黒き生物群がフネに近づく。世界が変容した地球で、フネは何者なのか?

KZ「洪水」ガーディアンルポ03■廃墟で、人類最後の生存者カインは地球滅亡を迎え。彼は生命形態を変え自分から精強なる生物兵器に変貌、地球を再生し敵へ復讐を硬く誓う
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ガーディアンルポ03「洪水」第5回■フネのなかで水棲人ム=ウムは戸惑う。ム=ウムの心の内にフネの出口を探せという命令が響く。同じ頃、黒き生物群がフネに近づきつつある。世界が変容したこの地球で、そのフネとは何者なのか?

ガーディアンルポ03「洪水」第5回(1979年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

■ガーディアンルポ03「洪水」第5回■

ム=ウムはフネの収容子の出入口を捜そうとしていた。

 数週間、ム=ウムは例のチューブですごしていたが、知らない聞に外科手術を受け、エラは切り除かれていた。

彼は海との絆をとりはらわれていたのだ。

水の中でなくても呼吸ができるようになっている。

 フネの教導師に不審をいだかれないように、ムは出入口の発見を急がなければならなかった。

しかし、この行動は、ム=ウムが自ら望んでやっているわけではない。ム=ウムの体は人形つかいに操つられているように動き、行動しているのだった。

ム=ウムの心の内から声が響いている。

テレパシーだろうか。

 『ム=ウムよ、時が近づきつつある。早くフネの出入口を見つけ出すのだ。そして我々の合図と共に出入口を開けるのだ』

ム=ウムは急ぐ。

教導師ゼフの目をのがれ、船内を動きまわった。

が、ム=ウムが収容されているフロアより上にも下にも行くことができないのだ。

階段が存在しない。

ドアの向こうは常にム=ウムが収容されているよう々球形の核部屋しかなく、ムと同じ様に収容された人類の末裔がいるだけたった。

彼らとはまったくコミュケーションが取れない。ム=ウムとは言語形態が異なる様だった。

かれら皆が同じ人類から派生したものだろうかと、。ム=ウムは思う。

すべての生物は、いまや海の中で繁殖し、生活している。

ひそかにム=ウムの頭の中に、ある言葉が刻みこまれていたのだ。ムはもちろん気付いていない。黒き破壊指令だ。

『ム=ウム、近い内にお前はフネに、収容されるはずだ。その中に入ったらフネを破壊するのだ。

それが、お前、ひいてはお前の種族が繁殖してきた意味、今まで存在してきた価値だ。フネに入り込み、破壊せよ。それが私「しゅ」の命令だ』

主?

この言葉は、今まで彼が生存してきた禁制地域の中で、ムの頭の中に刻み込まれたのである。

彼は思い起こす。

あの日、ム=ウムは、自分が一族の禁忌を破って、その地域に入ったのか、自分ではわからなかった。

 ム=ウムの心の奥に,何か呼ぶ声がしたのだ。

ムはその声に操られ、音識が混濁状態で禁制地域に足を踏み入れたのだった。

 禁制地域はム=ウムの付落とまったく異たっていた。

そこには一種独特の異様な雰囲気があった。何かしら、人間が建設し、作りあげた廃墟の様か。

しかしながら、ム=ウムの一族の力ではとうてい構築不能であった。

 地域の中心部にドーム型の建物が建っており、中にム=ウムは誘われていき、命令を受けたのだった。

運命を背負わされたといっていいだろう。ム=ウムに秘密命令が下ったのだ。

その同じ時、黒き生物群がフネに近づきつつある。

ムの一族を滅ぼした一群だった。

彼らは強靭な膂力を持ち、重摩な体を持っている。複眼で、皮膚は粘液で彼われていた。

 彼らはフネに到着し、その底に集合した。

しかし、フネからは何の反応もない。

フネはあまりに大きい。

海面下の乳白色の壁面は、うつろな太陽の光を受けてぼんやりと輝いている。しかし底には、大いなる闇がしめている。

「やはり外側から出入口を発見するのは不可能のようだな」

黒き生物群、彼らの一人が言った。

「フネの表面に密着するか。どんな探査装置があるか、わからんな」

「どうやら、あいつ、ム=ウムが出入口を見付けてくれるまで待つしかないか」

「そうだな、彼の捜索行動を急ぐように主にお願いしよう」

彼らから、遠く離れた場所に主は存在する。

主は黒き生物群、彼らの思考を知覚した。そして行動に移った。

フネの内部に居るム=ウムに対して一族の電波を発した。

ム=ウムは体全体に力が蘇るのを感じた。

突如、体がーまわりも二まわりも大きくなった。

その時、ム=ウムは教導師ゼフから学習を受けている最中だ。

教導師ゼフはム=ウムの体から暗い陰りを感じた。

ム=ウムの急激な変貌に驚き、ゼフはフネ全体に警報を鳴らそうとする。

ムはその巨大になった伴こと教導師ゼフにぶつかり、彼を行動不能の状態にした。

ム=ウムの知覚能力もまた増大されたようた。

今まで発見でき々かっかフロア間の移動装置が発見できた。

一番外周にある核部屋のーつが移動装置になっていた。

移動装置を使ってム=ウムは船底の方へ降りていく。フネは多層構造になっていた。

降下する。いつまで続くのかと思われた降下がやっと終わる。

ム=ウムは自分が、フネの底にいることを確信した。

ムは収容子の出入口を捜し始める。透視能力をもムは手にしていた。

急に、フネの警告シグナルが点滅し、ブザーが鳴る。

ゼフが発見されたらしい。

ム=ウムはためらわず、収容子のコントロールパネルを操作した。

出入口は聞かれた。

 底で待機していた、黒き生物達が出入口より突入した。

彼らの個々の体は溶解し、球体となりフネの内部へと向かう。

黒の球体は強大なエネルギーを発散させながら船内を暴れまわる。

底から上へと球体はフロア間の壁を突き破り上昇する。

核部屋は打ち壊され、回廊は吹き飛ぶ。

収容保護されていた生物達は身動きする間もなく、解体され死んだ。

進入した黒の球体の一部はやがて、船の動力部分を捜し末めた。

 フネは自分の体の内に、起こった痛みを感していた。

すぐさま応急処置をしなければならない。

その間にも殺戮された生物たちの苦しみや悲痛な声が、フネの頭脳に響く。

フネは自己防御システムを作動させた。

破壊された出人口のまわりの倍加分離し、拡散し、溶解し、伺もなかっかようにその裂け目を埋めた。

フネの内部を我が物顔で走りすおり、破壊殺戮を行たっていた黒い球体の一つ一つに壁のあちこちから粘液が噴出された。

黒い球体はその粘液により、動きが緩慢と痙り、やがてまったく行動できなくなる。

さらに続々と流出する粘液は球体に絡まり、全表面を包みこみ、球体の動きをとめてしまう。

次に球体はまわりの圧力でしわしわと収縮していき、その圧力により破壊する。

黒い球体はその消滅の一瞬、思わず外部へと思念を、送り出していた。

「主よ、お許し下さい。我々は失敗いたしました」

海底の泥流の中に、一個の知性体が存在しているのだ。

その名前は、しゅである。

■(続く)

ガーディアンルポ03「洪水」第5回(1979年作品)

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