石の民「君は星星の船」第13回 ■Bグループの頭、光二はなくなった姉の夢をみる。そして姉の形見の指輪を触るのだ。部下アキヨシがアジトに行こうと誘いに来るが気が乗らない。
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石の民第13回
光二は近ごろへんな夢を見る。がこの夢のことは誰にもいえやしない。
こんな夢をはなせば、へんな奴といわれるに違いない。
『光二は荒野にたっている。この荒野はどの星の荒野ではない。ある男が急に現れる。
その男は光二のみたことのない服装をしている。
そいつは光二の前に近付いて来る。そして言う。
「光二、聖砲をくれ」
「そうよ、光二」
今度は後ろからの声だ。後ろを振り返ろうとする。
「だめ、ふりかえっちゃあ」有沙の声だった。
光二は後ろを振り返ることがどうしてもできない。なぜなんだ、アネキ、アネキな
んだろう』
「おーい光二、いこうぜ」アキヨシの声だった。
遠くで響いている。目がさめる。汗でビッショリだった。
光二はコアの窓を開く。外にはアキヨシがホースに乗っていた。
「光二、まだ、寝ていたのか」
フッコウドームにはいくつかの生存基地が作られていた。それは蜂の巣の用
に入り組んで作いた。コアとはその1細胞である。1コアに一人がすんでいる。
ホースはこのフッコウドームに使われている乗り物である。小型の円盤機である。一人も
しくは二人乗りで、大戦前に生存していたと思われる馬からの神経系が見事に機械に移植
されていた。
乗り手のおもうがままにあやつれるのだ。体長は3M、ピーナツがたをして
居て、真ん中にくぼみがあり、そこにまたがることができるのだった。
「アキヨシ、悪いが今日、俺はアジトへでかけるのに気乗りがしない」
アキヨシは困った顔をする。
「またかよ、ヘッドのおまえがいなければBグループの士気
があがらんぜ」
「アキヨシ、わるいがな、仲間のキッズにうまくいっておいてくれ」
「このあたりのロボットの管理権はVグループにとられてしまうぜ」
アキヨシはしつように言う。
その言葉は光二の頭に響いている。
光二は気がのっていないのだ。
光二は思わず右手人差し指の指輪にさわっていた。
姉のかたみの指輪。この指輪は、地下の生存ステー
ション・ゼータにいた時から姉がもっていたものだった。
石の民第13回