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山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

聖水紀ーウオーター・ナイツー■第3回タンツ大佐はロケットに聖水を積んで地球の防衛権を突破しようとしていた。地球連邦軍は緊急指令を発令する。

 
SM聖水紀ーウオーター・ナイツー 宇宙から飛来した聖水は地球の歴史を変えようとした。人類は聖水をいかに受け入れるのか?
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聖水紀ーウオーター・ナイツー■第3回タンツ大佐はロケットに聖水を積んで地球の防衛権を突破しようとしていた。地球連邦軍は緊急指令を発令する。
 

■聖水紀ーウオーター・ナイツー■第3回

1976年作品作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

 聖水紀(2)

「おいおい、まじかよ。何かの冗談じゃないだろうな」

 地球の関門である第1ゲートで、オペレーターの一人バルボアが

モニターを見て叫んでいた。

第1ゲートの監視機械は、地球に接近するロケットの積み荷のチェックができる。

「どうしたバルボア」

もう一人のオペレーター、ジルがいった。

この第1ゲートでは、2人当直体勢をとっている。

「ジル、みてくれよ。こいつは水で一杯のロケットだぜ」

「本当だな。宇宙連邦軍もどうかしているぜ」

「誰だい。操縦者は」

「待て待て、コードをチェックしてみる」

「げっ」バルボアがモニターをのぞきこみ叫んでいた。

「俺達は、悪いクジをひいたぜ。操縦者はタンツだ」

「私だ。タンツだ」

当のタンツから連絡がはいった。

タンツは伝説の男だった。

「ウェーゲナー・タンツ大佐、このコードでは、あなたは恒星に向かっているはずですが」

バルボアは自分の声に不快の念があらわれていないか気になった。

「特殊任務だ。常人にはわからん」

怒りを含んだ声がかえってくる。

「でも、大佐、これだけ大量の水を地球にもち変えるおつもりなら、許可書が必要です」

「いっただろう、特殊任務なのだ」

 その時、バルボアが透視機械のモニターをみて叫ぶ。

「ジル、おかしいぞ。タンツの体が水中にある。おまけに宇宙服をきていない」

「何だって、緊急対応指令だ」

<危険、タンツは汚染されている>

この内容で、緊急対応B102指令緊急コードが、地球連邦本部に連絡されようとした。

 ロケットの側壁から、何かがにじみでてくる。

水の固まりだ。

そやつが宇宙空間を飛んで行く。

まるで意志をもつ存在の様に。ゲートの司令室に侵入する。

オペレーターの操作卓の壁面から、しみこむように、液体が二人の方に襲ってきた。

二人には理解を絶する光景だった。

「これは何だ」

「うわぁー、」

二人はこの液体中で消滅していた。

二人を飲み込んだ液体と船の水の意識が、連絡していた。

『どうだね、まにあったかね』

『まだ、情報は発信されていなかったようです」

 が地球の防御システムはそう甘くはない。 

 第1関門の事故は、至急に地球連邦軍の本部に連絡されていた。

本部にあるメインミーテングルームで、将軍とスタッフが緊急連絡会議を開いていた。

「連絡をうけたのだが、それほどの緊急事態なのかね」

地球連邦軍ハノ将軍は早朝から呼び出され、週末のスケジュールが変わったのでいささか、お冠だった。

現況では平和が続き、地球連邦軍が出動する事態などなかった。

「タンツが協力している模様です」

スタッフの一人が将軍に言う。

「何だと、タンツが、信じられん。彼はタンホイザー・ゲイトに向かっていたのではないか」

白髪豊かなハノ将軍は衝撃を受けていた。

「この映像をご覧ください」

映像をみたあと、最高軍司令官ハノ将軍はいった。

「で、この液体は現在」

「現在、不明です」

 ハノ将軍は少し、考えたあと、ある回線をつないだ。

危機の可能性は少しでも潰しておくべきだ。

それも早急に。

ミーテイングルームの操作卓上のモニターに相手がでるとハノは言った。

「あなたの息子が、我々を裏切ったのです」

ハノは断言していた。

『信じられません。何かの間違いでは』

機械的な声で、タンツが息子という相手は将軍に答える。

「我々も信じたくない。が、我々としては、防御処置をしなくてはなりません」

『といいますと』

「あなたを抹殺します」

『後悔することになりますよ』

その「マザー」の声は感情なく言った。

「タンツの手引きで、あなたが彼らの手にはいった時を恐れる。なぜなら、あなたは我々の総てだから」

 ハノはマザーの抹殺ボタンを押した。

タンツはそのとき、マザーの声を聞いたような気がした。

「水人」(みずびと)が発言する。

『軍は我々の存在に気がついたようだね』

『どんな方法をとるべきかだ』

「雨になって侵入しなさい」

タンツが言った。

タンツは「聖水せいすい」にあやつられるまま、地球の情報をしゃべっていた。

『雨だって』

「そう、雨です。雨なら怪しまれず、侵入できる」

タンツが言った。

(続く)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/