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消滅の光景第1回■セクター宇宙連邦軍、ビット大佐の目下の悩みは、奴らミレミアム信徒の流入だ った。死が至福の時をあたえるというのだ。 2022年03月29日 | 消滅の光景

 


イメージイラストは、鈴木純子作品をお借りしました。
http://www.yamada-kikaku.com/suzuki-junko.html

SK消滅の光景■セクター宇宙連邦軍、ビット大佐の目下の悩みは、奴らの流入だ った。まったく奴らミレニアム信徒はひきも切らさず、この星へやってくるのだ。 一体、何のためにこんな辺境の星へ
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消滅の光景第1回■セクター宇宙連邦軍、ビット大佐の目下の悩みは、奴らミレミアム信徒の流入だ った。死が至福の時をあたえるというのだ。

■ビット大佐は落胆した。
これがセクタが派遣した情報省の調査隊だと                                     . 「失礼ですが、チヒロ中尉、IDカードを示していただけますか」
 ヂヒロは笛辱に耐えかねたようにIDカードをビット大佐に投げた。

消滅の光景 第1回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/



セクター宇宙連邦軍、ビット大佐の目下の悩みは、奴らの流入だった。

まったく奴らはひきも切らさず、この星へやってくるのだ。

一体、何のためにこんな辺境の星へやってくるのだ。



 奴らの信仰が、彼らを狂わせているに違いない。狂気が奴らをこ

の星へ引き寄せているのだ。



 ミレミアムミリアム信仰。



世界が、この宇宙がもうすぐ滅ぶという信仰が、

総てが消え去る時に、聖地にいたいという願望。それがこの星の人

口を急激に増加させていた。



もう星の収容能力をオーバーしている。

正規ルート以外に密航してくる奴らを連邦軍は追い払らわなくては

ならない。



 モれがビット大佐遠の役目であった。周辺航路を周遊し、見張り

つづけなければならない。



 最近、富に密航船が増え続けている。



 しかたなく、ビット大佐たちは船を破壊しなければならないこともある。



 しかし、彼らを殺すこと。それはミレミアム信徒の奴らに至撮を与

える事になるのだ。



 殺しても、奴らはやってくるのだ。連邦軍本部、セクター星に応援を何度も頼んだのだが、

援軍が送られてくる様子はなかった。



 考えにふけっているビット大佐をレーダ手ハーラン伍長の声が現実に

戻した。



「飛行物体を発見しました。右17度の方向です。大きさはクルーザ

ー級。連邦軍の船ではないようです」



「また、来たのか。警告だ」



 グルドがなぜ、その星に降りようという気になったのか自分でも

ぼっきりわからなかった。



すぼらしい星だった。はるか昔は繁栄

を誇ったのだろうか。グルドの船は降下を続けていた。モニターに

は大都市の姿は映ってこない。地面の上でキラリと光るものがある。



 急に通信機が声をあげた。



「こちらは、連邦軍だ。何者か」

「グルド=グアン、アルド星の宇宙商人です」

「宇宙商人だと.この星は輸出物資もなければ、商品を買うだけの

金持ちも存在しない」



 「ほんの気ばらしのつもりで着陸を」



「気ばらしだと、お前、ミレミアム信徒ではないのか」

 「いえ、そんな者ではありません」



 「そうか。この星はすでに収容能力を超えていが。残念だが、退去

してほしい。警告を受けいれない場合は、残念だが、君の船を攻撃

する」



 グルドはミレミアム信徒という言葉が気になっていた。

「どうしても着陸したいのだ」



 グルドは語勢強く言い、ある暗号コードを連邦軍の船に対して送

り出していた。 



 連邦軍の船はそれを受け取り、混乱したようだった。しばらくの

沈黙の後、やがて、ビット大佐の声がグルドに届いた。



 「失礼いたしました。空港は一つだけです。誘導波を送りますから、

それに従って下さい」暗号コードの効果だ。



 空港は色々な星から辿り着いたと見える種々の形状を持つ老朽船

で一杯だった。



 町並の方だろうか、星にはふさわしくない銀色に輝く巨大な塔が

望見できた。



 「一体、この船の群は」



 「ミレミアム信徒の船なのです。この星で消滅の時を迎えようとやっ

てきた奴らの船です」 



「詳しい事は連邦軍駐屯地で聞こう」



「失礼ですが、IDカードを示していただけますか」



 グルドはIDカードをビッド大佐の前にさし示した。



 「わかりました。視政官、どうぞこのエア・カーにお乘り下さい」



グルド、セクター宇宙連邦軍視政官はうなづいた。



 空港から町へ出た。.大きな建物はない。た,だ無気味μ動めく人の

群があった。道路に人があふれ、建物に群れている。ただ祈りをくりかえしている。



小さな子供が道路の真中で祈っている。

ラクジョンを鳴らしても動こうとしない。ブレーキをかける。し

かしそれより先に、



子供は逆にエア・カーにぶつかってきた。ヽにぶい音がした。



 グルドはうなる。

「自殺か、あんな子供が」



 「それより、あの子供がどうなったか、窓から見て下さい」



 道路には子供の死体がない。光り輝く灰が残っている。

 今の光景を見ていた人々は、歓声をあげてエア・カーの方へ押し

寄せてくる。



 祈りを唱えながら、灰をすくいあげようとする。エア・カーの廻

りに人垣ができていた。



「どういうことなのだ」



「消滅現象です。ここではよくおこる出来事なのです」



 群集はあとから後から押し寄せてくる。人々は宗教恍惚状態で

ある。



「エア・カーの出力をあげ、説出しろ

グルドは叫んが。エアで灰は飛び散る。人々は少しでも灰を拾おうと狂乱した。



「いつこうなのか」



 グルドは今、見た光景を信じられないという面持ちがった。



 ビット大佐は静かな声で言った。



「そうです。毎日、おこっているのです。原因はまっtくわかりま

せん」



消滅の光景 第1回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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