yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

消滅の光景 第9回地球に向かう調査船エクスの中で、情報省のチヒロや超能力少女ラミーに守られて、カド博士は、地球での行方不明者の共通因子を探ろうとするが、祖先霊が邪魔をする。

SK消滅の光景■セクター宇宙連邦軍、ビット大佐の目下の悩みは、奴らの流入だ った。まったく奴らミレニアム信徒はひきも切らさず、この星へやってくるのだ。 一体、何のためにこんな辺境の星へ

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消滅の光景 第9回地球に向かう調査船エクスの中で、情報省のチヒロや超能力少女ラミーに守られて、カド博士は、地球での行方不明者の共通因子を探ろうとするが、祖先霊が邪魔をする。

消滅の光景 第9回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/




 カド博士は、頭の両側にメタリックの端子が突出している。

船のコンソールパネルから接続端子を引きづり出し、自らの頭の端子

に繋いでいた。

 宇宙船エクスは小型だが、優秀な電子頭脳を備えていた。自分の頭脳と

電子頭脳をフィードバックして新たな解決法を得ようとしでいた。



エクスの電子頭脳には地球で行方不明になった人々のデータがイン

プットされている。



 「タク、スイッチを入れてくれ」

カド博士は助手のタクに頼んだ。



 「博士、大丈夫ですか。こんな事をしても」

 「案ずることはない。私の頭脳は特別製なのだ。何らかの新しい因

子を発見することができるかむしれない。そうすればこの一連の出

来事の解決歩が発見できるかもしれん。我々はいま絶壁の上に立っ

ているのだ」



 「わかりました。博士がそこまでおっしゃるなら」



 タクはスイッチを押した。博士の体から光が発されているようだ

った。しかし博士の体には何の異常もおこっていない。



■ラミーは自分の個室の中で黙想にはいっていた。



また内なる声が聞こえてこないだろうか。

彼女は自分を縛る声を始めは嫌っていた

が、近頃は声が聞こえてこないと不安を感じるようになっていた。



声がないと闇の中で一人置き去りになったような気さえする。声は

 一条の光であり、進むべき道であった。



 声が地球へ行くように命じたとき、彼女の心の中では行きたくな

いという気持ちと、どうしても行かねばならないという相反する気持ちが

争っていた。



 両親が目の前でどうなったか、彼女は思い起そうとしてみた。が

だめである。彼女はその時、まだ一歳にもなっていなかった。彼女

は黙想し、ひたすら声を待っていた。



 セクター情報所のチヒ口は、今度はセクター連邦軍、地球派遣隊に

ついてのデータを集積していた。



丁度その時。カド博士が助手のタクに連れられ、操縦室へ

上ってきた。

 「博士、どうですか、地球での行方不明者の共通因子について何か発見は」

 「そう簡単にはみつけられんよ」 



 「そうですか」

 「私は地球までの航行中、この作業を続けることにする」

 「カド博士、あの星で、多数の人間が行方不明者になっているのに、

我々の連邦軍地球派遣軍が手を出せないでいるのはどういうわけで

しょう」



 カドは盲いた目をチヒロの方へ向けた。

 「恐らく、ある種の、そう星の影響力というものが存在するのだ。

その力が連邦軍の兵士遂に作用しているのだろう」



 再び博士は自らの鸚の端子を電子頭脳に結びつけ、分析作業に取

りかかる。

 タクはコンソールの側にいる。



 どこからともなく黒い霧が発生し、タクの足もとから電子頭脳の

方へ近づいていく。



 黙想していたラミーは、ある声を聞きハット我にかえった。急

いで博士の研究室ヘテレポートーした。



 助手のタクの表情が変っている。

彼はその力強い両手を振りまわし、コンソール=パネルを壊していた。

カド博士は部屋の隅に跳ね飛ばされて距まっている。



 彼女はタクを止めようとした。が彼女はタクの右手ではねとばさ

れ、機械の角で頭を撃った。気を失いかけたラミーの眼に、異変に

気づき、走り込んできたチヒロの顔が映った。



 調査船エクスの操縦操置は電子頭脳に依存していた。それゆえ船

は操船不能になっている。



 チヒロは襲ってくるタクの腕をすり抜け、すばやく右にあった

電源スイッチを切った。タクの体から黒い霧が浮び上ってきた。



 「そいつを撃て、撃つんだ」

 傷だらけのカド博士がチヒロに叫んだ。



 チヒロのレーザーガンはその黒い霧を焼き町り、おまけに後の電子頭

脳にさらにダメージを与えてしまった。



 「くそっ、電子頭脳が完全に死んでしまった」

 チヒロは、電子頭脳を知らべ、音をあげた。



「これでは、地球に行くどころか、宇宙の放浪者だ」

 チヒロは博士を助け起した。

「いったい、タクはどうしたんですか」

「あの霊に支配されたのじタ。君には黒い霧に見えたかもしれんな」

「あれが霊ですって」



「そうだ。それも、不思議なことに我々の祖先霊なんだ」

「我々の祖先霊が、なぜこんなことを」

「わからん、それにあれは滅びの戦士をも支配している祖先霊だ」

 船が横揺を始めた。

「いかん、早く、タクのエネルギーボタンを押せ」



 「大丈夫ですか」

 「大丈夫だ。ダクの小型電子頭脳を使うのだ。あいつの頭脳、はそれ

くらいの働きはできる。それに私の霊能力と彼女の超能力を使えば、

地球まで辿り着く事などわけはない」



 チヒロはラミーを抱き起した。彼女はまだ気を失なっている。



 「もうすぐ、気がつくだろう。チヒロ、喜べ私は一つのヒントを得

た。地球に存在する『塔』が一つの解答らしい」



 スイッチが入れられ、タクは動き始める。

 タクはあちこちを見渡し、驚いていた。

 「博士、これはどうしたことですか」

 「皆、お前がやったのだ」

 「私が」

 「それよりも、お前の頭脳をこのプーラグにつなげ」

 タクは不思議そうな顔をして、操縦室へ向かっていく。



 ■《地球の記憶》

 要塞の防禦壁がはげ落ち、また一人の戦士が奈落の底へ沈んでい

った。

 床が振動していた。もう彼らに勝算はないようであった。帝国戦

士ウォーガトは自らの体を立て直し、コンソール=パネルを見た。

防蒙哉構ぽばとんど作動していない状態だ。モニターはすべて死ん

でいた。版屋の光源は明滅していた。敵は姿を見せず、ただ強大で

あった。

「地球の罪か」地球帝国戦士ウォーカーは独り言ちた。



消滅の光景 第9回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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