yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

ロボサムライ駆ける■第3回[アシモフ人造人間製作所]が近畿エリアに四十ヵ所。足毛布屋敷に水野都市連合議長の使いが。博士は「文明没落兆候はテクノロジズムとオカルティスムが流行」 と言う。

RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。
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ロボサムライ駆ける■第3回[アシモフ人造人間製作所]が近畿エリアに四十ヵ所。足毛布屋敷に水野都市連合議長の使いが。博士は「文明没落兆候はテクノロジズムとオカルティスムが流行」 と言う。
 

■第3回[足毛布アシモフ人造人間製作所]ロボット製作所が近畿エリアに四十ヵ所ある。

その足毛布屋敷に水野都市連合議長の使いが、至急にご登庁を

と。足毛布博士は「文明が没落する兆候はテクノロジズムとオカルティスムの流行する」

と言う。

 

ロボサムライ駆ける■第3回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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 漆黒の闇の中、小さな明かりが灯された。何やら呪文が繰り返されている。

 京都、中央区にある広大な屋敷、足毛布アシモフ博士の屋敷である。

 

 度の強いメガネをかけ、白髪まじりの蓬髪の五〇くらいの男は、なにやら独り言をつぶやいていた。

 

 足毛布博士は秘密の地下室で祈りを捧げていた。

 

この儀式のことは、誰も知らなかった。それを知れば、足毛布博士を、西日本都市連合も放っておかない。

 

 足毛布博士は、日本古来の着物を脱ぎ捨て、彼が信じている大義のための服装に着替えていた。

 何かの祭壇がある。日本古来の神棚ではない。

 

『古来より、日本へ飛来しました我々足毛布一族、ついにその目的の貫徹はちこうございます。願わくば、私の世代にその願いを叶えられんことを』

 祈る足毛布博士であった。

 

 足毛布博士は、京都市内に広大な土地を占めていた。この本宅以外にロボット製作所が近畿エリアに四十ヵ所ある。

 

 [足毛布アシモフ人造人間製作所]

といえば、泣く子も黙る西日本の大企業である。

が、最近、足毛布博士は政府の要職も、会社の経営も他人に譲り渡していた。

    ◆

「博士、博士はご在宅か」

 

 八足移動ビーグル、クラルテに乗った武士が、玄関先で呼ばわっていた。

 

足毛布博士の屋敷は、博士が人嫌いのため、使用人は雇っていない。全自動ロボットシステムで構築されていた。

 

「これはどちらさまでしょう」

 玄関に設置されているロボットボイスが答えていた。

 

「水野都市連合議長の使いの者じゃ。足毛布博士、至急にご登庁をお願いしたい。火急のこととあり。以上を足毛布博士にお伝えいただけるか」

 

「わかりました。至急お知らせ致しましょう」

 

 足毛布博士の情報モジュールは、都市連合からの連絡情報を一切入力させない設計になっている。それゆえ、わざわざクラルテに乗った使者が現れるわけである。

 博士は書斎兼図書室にいた。古書籍がずらっと並んでいた。一冊の本を取り出す。タイトルは『西洋の没落』となっている。

 

 博士は誰かにしゃべっている。

「貴公はシュペングラーの『西洋の没落』という本の名を聞いたことがあるかね」

 

「いや、そのような本、耳にしたこともない」

 

「ふふん、まあ、ロセンデールなら知っていよう。あれは第一次大戦の前だったか、このページに書いているのだが。文明が没落する兆候はテクノロジズムとオカルティスムの流行と言っておるのじゃ」

 

「ふふぉ、我々のことか。予言しておったのか、そのシュペングラーとか申す霊能師」

 

続く

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ロボサムライ駆ける■第2回■ゲルマン帝国、ロセンデール卿はつぶやく「ふふう、クルトフくん。大仏は、日本人によく効くシンボルですねえ。大仏の別目的を知れば、関西都市連合の水野くんたちも驚くでしょうねえ」

RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。
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ロボサムライ駆ける■第2回■ゲルマン帝国、ロセンデール卿はつぶやく「ふふう、クルトフくん。大仏は、日本人によく効くシンボルですねえ。大仏の別目的を知れば、関西都市連合の水野くんたちも驚くでしょうねえ」
 

ロボサムライ駆ける■第2回■

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「大仏様が、大仏様が、こちらへ動いて来るぞ」

「ああ、ありがたいことじゃ」

 

 都市にいる人々は、空母上の大仏を見て大騒ぎとなっていた。海岸のほうへ人々は繰り出していた。人もロボットも。

「ありがたい、大仏様じゃ」

 

 大仏が、空母ライオンの甲板上に、座を組んでいる。ロセンデールのライオン丸であった。その上には天女が竪琴をもって演奏している。先刻のロセンデールの歌姫たちが服装を変えて違う歌を奏でているのだ。演出効果バツグンである。

 

「ふふう、見てごらんなさい、クルトフくん。大仏とやらは、日本人によく効くシンボルですねえ」

「タイのバンコクで手に入れたのも、この効果があれば安い買い物でしたな」

 

「それに、この大仏のもう一つの目的を知れば、水野くんたちも驚くに違いありませんねえ」

 

 大阪港に接岸した空母ライオンに、人々が群がり集まって来るのだった。大阪は、いや、近畿エリアはまさに平野であった。かつて存在していた山並みは、霊戦争のおり消滅している。

 

「これ、斎藤、落ち度があってはなりませぬぞ、あの方には」

 二メートルの大身の水野は、ネズミのような小男、斎藤にいった。 二人とも日本の礼服である裃に身を固めている。上下二本の刀をさし、草鞋ばき。当然頭は丁髷を結っている。この二人だけでなく、一般人も、和服、丁髷である。人間だけでなく、ロボットも同様の風体だつた。

 

「わかっております、水野様。あの卿の取り扱いいかんでは、我々の手に日本が…」

「しっ、斎藤。それは禁句じゃ。誰が聞いておるやもしれん」

「が、水野様。わざわざあのロセンデールとか申す新生ドイツ帝国の手の者を、日本に入れる意味がありましたでしょうか」

 

「何を今頃申しておる。足毛布あしもふ博士の強制ロボット動員策でも、あの場所がみつからんのだぞ。ヨーロッパ随一の心柱しんばしら発見の著名人であるロセンデール卿を招くのは当たり前だろうが」

 

「が、心柱を発見された各国、いずれもルドルフ大帝の支配下に入ったと聞き及びます」斎藤は不安げに言った。

 

「お主も心配症じゃのう。支配下に入った各国はヨーロッパぞ。東洋の一国である我々には関係ないわ。よいか、これからの時代で俺は織田信長、お主は豊臣秀吉じゃ」

 

 水野は、織田信長。斎藤は、豊臣秀吉そっりの顔をしていた。

 

「が、水野様。東京には本当の徳川公がおわしますぞ」

「本当に心配症の奴じゃのう。心柱さえ見つかれば、そのようなこと取るに足りぬ」

 大笑いする、水野。西日本都市連合議長である。

 自らの未来が、鮮やかに脳裏に浮かび上がっているのだろう。

 

 一方、斎藤は大阪市長だが、顔色は優れなかった。ともかく、秀吉も信長も外国の力を借りはしなかった。と斎藤は思った。

「それ、ロセンデールが現れよった。斎藤、笑顔じゃ、笑顔」

 

 ロセンデールが、ケープをひるがえせて降りて来た。あとには鷲顔クルトフ、ジャガ芋顔シュトルフが続いている。

 

「これは、これは、ロセンデール卿、遠い道程、お疲れ様でございます」

「水野さん、日本はとても美しい国ですね。とても欲しくなりました」

 憂いを秘めたロセンデールは、簡単に言ってのける。

 

「えーっ」

「いえ、冗談ですよ、外交辞令ですよ。それはおわあkりでしょう」

 にこやかにほほ笑みながら、ロセンデールは言った。

「では、早速、現況をお伺いしましょうか」

 

化野あだしのと呼ばれる地下エリアが、我々の掘削機械やロボットの侵入を防いでおります」

 

 水野は汗を吹きつついった。先程のロセンデールの言葉が心に残っているのである。疑いが少しずつ水野の心にひろがっていく。

 

「と、いうことは、それより先は、あきらかに心柱、そして古代都市というわけですねえ」

 

「そういう可能性がかなり高かろうと思われます」

 

「我々が、日本じゅうから、多くの霊能師を持ってきても、その化野エリアを突破できまないのです」

 斎藤がいった。

「この方はいったいどなたですか。水野さんの小姓ですか」

 

「いえ、紹介するのが遅れました。大阪市長斎藤光三郎です」

 

「斎藤です。以後お見知りおきを」

 斎藤は怒りを隠しながらいった。

 

「水野さんだから、私はお土産を持ってきたのです」

 ロセンデールは、水野とその閣僚連中に向かって胸を張った。

 

「あの大仏です」

「何ですと、あの大仏」

「が、あの大仏は、空母の上に置かれております。それを化野までどうやって」

「心配ご無用です」

 

「まさか、運搬機械が必要とか、おっしゃるわけではありますまいな」

「あの大仏、実は戦闘用ロボットなのです」

 ロセンデールは嬉しそうに言った。

「何ですと」

 

「我々が、タイランドの軍隊と戦ったおりの戦利品なのです。賠償金がわりに受け取った訳です」

 聖騎士団長シュトルフが誇らしげに語った。

 

「あのロボットならば、あの化野の霊を打ち破れると」

「無論、そう考えております」ロセンデールが言った。

 

続く2016改訂

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ロボサムライ駆ける■第1回秘書官、クルトフへ、空母ライオン鑑橋で、瀬戸内海を見渡し 「クルトフくん。美しき国、日本が手にはいる。心して計画にかかねばなりません」ゲルマン帝国ロセンデール卿は言った。

RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。
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ロボサムライ駆ける■第1回秘書官、クルトフへ、空母ライオン鑑橋で、瀬戸内海を見渡し 「クルトフくん。美しき国、日本が手にはいる。心して計画にかかねばなりません」ゲルマン帝国ロセンデール卿は言った。
 

ロボサムライ駆ける■第1回

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■第1章  胎動

 

  (1)

 巨大な島が動いている。その島が瀬戸内海を航行しているのだ。まろやかな陽光たなびく中、その島は動く。空母ライオンであった。

 

「風光明媚なところでございますなあ」

 

 バイオ空母ライオン、排水量一〇万トン。甲板の幅五〇メートル、全長弐〇〇メートル。新生ドイツ帝国に属する貴族、ロセンデール卿の私物である。

 

 ロセンデールの秘書官のクルトフが、空母ライオンの鑑橋から、瀬戸内海を見渡しながら言った。

 

 今年六十になるクルトフは、鷲のような顔付きをしている。赤く思慮深い眼、大きない鼻梁は高くいかつい感じをましていた。長い白髪は仙人を思わせる事がある。

 ヨーロッパの首相級を思わせる華麗な宮廷服を着ていた。

 

「クルトフくん。ここ、美しき国、日本が手にはいるわけですから。心して計画にかかねばなりませんね。それでどうですか。大阪シティの受け入れ体制は」ロセンデールは言った。

 

 ロセンデールはいかにもヨーロッパ的な顔立ちであり、言葉使いも優しく、一見やさ男であるが、よく観察すると、野望を秘めた目と高貴な育ちを表す高い鼻と、力強い意志をもつ顎が見えて来る。

 

そして、体全体からは権力を持つ男のオーラが発されているようであった。今年三七才になるが、二〇代後半にしか見えなかった。

 

 長い金髪を後ろで束ねて垂らし、ビロードでできた古代ペルシア風のチュニックとショートコートを来ていた。

 

「万全のようです。これもけいの深慮遠謀のお陰」

 

「くくくっ、ともかくも、世界史上誰もなし得なかったことをしようとするわけですからねえ。ところでクルトフくん、例の霊能師の方は大丈夫なのですか」

「その方の準備も万全でございます。西日本都市連合議長の水野なりが、餌をまいておりましょう」

 

「ロセンデール卿陛下、皆の用意ができました」

 

 聖騎士団長のシュトルフが言った。

 シュトルフは、戦のなかで生まれたような男だった。赤ら顔で首は太く、胴は樽のようだった。その樽の上に乗っている顔はどちらかというと愛嬌があった。眼は小さく、鼻は団子鼻で大きく、口もまた大きかった。ロセンデールいわくジャガ芋顔である。

 

 大きな戦いを生き残ってきた四五才の精鋭だった。

 光る電導師の制服を着ていた。そのコスチュームは、昔の十字軍を思わせた。

 

「よーし、君たち、そう聖騎士団の諸君、電導師たちの力を見せていただきましょうか」

 ロセンデールは剣を引き抜いていた。

 ゲルマンの剣である。切っ先が陽光を受けてきらりと光る。

 

「殿下、さすがに見事でございます」

「ほれぼれとするお姿じゃ」クルトフが言った。

 

ロセンデールの後ろには、うすぎぬを着た巫女たちが戦いの歌を歌い始める。一五才から一八才の美女ばかりだった。

 

 ロセンデールの歌姫たちだ。

 

 ゲルマンの剣はわざわざ、ルドルフがロセンデールに渡したものだった。

「皇帝ルドルフ猊下、この剣にて帝国の領土をひろげましょうぞ」

 こう見栄をきったロセンデールだった。

 

 ロセンデールはヨーロッパの某国で生を受け、霊戦争後のし上がってきた貴族である。現在、新生ドイツ帝国ルドルフ大帝の右腕とすらいわれている。

「シュトルフくん、例のものを合体してみせて下さい」

「殿下、ここでですか」

 

「まだまだ、大阪港へつく時間ではありませんよ。ここでね、姿と力を見てみたいのですよ、おわかりですか」

「わかりました。殿下のおおせのままに」

 

「飛行士の諸君、甲板にバイオコプターを集めよ」

 

 バイオコプターは生体を形どった機械飛行機で、大きな羽根で羽ばたくことにより揚力を得ていた。この生体とは、とんぼとか兜虫とかの昆虫である。

「よーし、動かせ」

 バイオコプターが一点に集まっていた。

 

 そのバイオコプターの群れが別のものに変化した。

何か巨大なものが、ロセンデールたちの前に立ち上がっていた。

瀬戸内海の陽光を受けて、それはきらきら輝いている。

 

「ロセンデール卿陛下、まことに見事です。これでもって、日本人どもの肝を冷やさせるでしょう」     

 

続く2016年改定

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源義経黄金伝説■第72回■最終回★源義経の存在が日本の統一を可能とした。 源頼朝は日本全国に守護地頭を置く。律法の世、貴族の世である日本を、革命においこんだ。

YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
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源義経黄金伝説■第72回■最終回★源義経の存在が日本の統一を可能とした。 源頼朝は日本全国に守護地頭を置く。律法の世、貴族の世である日本を、革命においこんだ。
 

源義経黄金伝説■第72回■最終回★

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■ 終章

 

 正治元年(一一九九)、源頼朝、落馬がもとで死亡と、鎌倉幕府正史

吾妻鏡」には記されている。

 

 印地打ちの石には、鉱山で使われる丹毒が、塗られていて、ゆっくりとした

死を頼朝に与えたらしい。

 源頼朝の死は平家滅亡より、十四年後である。

 

源義経の存在が、日本の統一を可能にした。

源頼朝は、源義経のおかげで、追捕師として、日本全国に守護地頭を置くことを可能と

した。これが律法の世、貴族の世である日本を、革命においこんだ。

 

黄金大仏の再建は、平安黄金国家の終わりを意味し、新しい征夷大将軍が続いて

いく。

 

西行法師は文覚に、黄金のありかをつげ、

さでに先に運び込んだ黄金を頼朝の名前で、勧進を行った。その代わりに

源義経をこれ以上追いかける事を約束させたといわれている。

 

 西行の残りの黄金は、結縁衆、山伏たちによって、蝦夷・恵庭岳の山林中に隠

されてるという伝説が存在する。

宝物を埋めた目印として、笹竜胆の家紋が浮き出る、義経石が配されている。

笹竜胆は、西行えにしの藤原北家の家紋である。

 

 当時、満州、東蒙古、華北地方を領有していた、女真族の国は金である。

 源義行も、母静ともともに吉次の手づるにより、金に渡っていると伝えられた。

 源義経は、その子、源義行とともに、金朝に仕え、功績は抜群で、父子相次いで

範車大将軍に任じられたと「金史別伝」にある。

 

文覚は生き残り、鎌倉幕府により再び佐渡に配流された。1199年3月の事

である。

 

夢見、こと明恵は文覚の跡目となり、京都神護寺の事跡をつぐ。この後、承久の変の後

北条泰時が、明恵に深く帰依し、「御成敗式目」という法律をつくる。

 

この中に明恵のあるがごとくの思想は反映され、民間の知恵あるがままを、条例化する

手助けをした。式目は明治時代まで日本人のこころのよりどころとなる。

40年間書き綴られた明恵の「夢記」が今に残る。

 

東大寺勧進職は、栄西に受け継がれる。法然は鎌倉仏教を立ち上げていく。

鬼一法眼は伝説の人物となった。

 

西行の佐藤家荘園、紀州田仲庄は後、源頼朝預所となり、高野山との土地争いは解決された。

 

藤原定家編纂の歌集「新古今和歌集」には西行の歌が94首が治められ、

入選歌集筆頭である。

 

歌の聖人、西行上人の名は日本の歴史に深く刻まれている。

 

 

以下 連載 第1回に戻る。

明治元年(1868年) 白峯神社(京都)

 

京都市上京区今出川通り飛鳥井に京都市上京区白峯神宮はある。

祭神は崇徳上皇すとくじょうこう。日本の大魔王といわれている。

 

幼き帝の手を外祖父、中山忠能がかしづき、新しく出来た神社に詣でている。

「さあ。御君おんきみ、ご先祖帝さまにお願い申し上げてくだされ。

 

これからの、御帝さまを中心とされる新しき政府に、崇徳様の怨霊がたたらぬ

よ うに、あたらしき政治をお守りくだるようにお願いつかまつれ。

 

代々、外祖父、中山忠能が家、藤原本家に伝わりし、西行法師さいぎょうほうし殿との

約束をお伝え下さいませ」

 

この日、1日驟雨である。中山忠能卿のさし出される傘の中。

御歳15歳の新帝は、手を合わせ、御願いを、なされた。

 

 

 

崇徳上皇殿下、お許しくだされ。我が王朝が武士から世辞を取り戻すに700年

かかってしまいました。

 

今にいたり、源頼朝大江広元の子孫たる二家、薩摩島津。長州毛利両家をもって、武士どもの町、江戸と政庁江戸幕府を倒し、武士どもを根こそぎ退治いたします。この長き屈折したりし日々をお許しくだされ。

 

そして、陰都かげみやこでございます。平泉王国は、いにしえに滅びました、それゆえ、

代わ りに江戸を陰都といたします。平将門を祭る神田明神を持って、陰都の

守神といた します。

 

が、本来は、崇徳上皇様が祭神でございます。どうぞ、我が王朝が、江戸城をもっ て新しき王朝の皇居といたす事をおゆるしくださいまし」

 

御年十六歳の帝は、深く頭をさげた。白峰稜前にある白峰寺木像(白峰大権現)が 讃岐(さぬきー香川県)から運ばれて来ていた。先帝孝明帝が望み、できなかった事をなしとがている 。

 

「今、奥州東北の国々が、列藩同盟とか申し、昔の蝦夷どものように反乱を

起こそうとしております。我が王朝の若い貴族を持って先頭に立ち、荒恵比寿

どもをたいらげます」

 

幼き帝は、再び深々と、頭を垂れた。

崇徳上皇は、保元の乱ほうげんのらんの首謀者の一人である、後白河に

敗れ、讃岐に流され、そのちでなくなり、白峰山しらみねさんに葬られた。

 

讃岐は京都の南西の方角、つまり裏鬼門うらきもんであり、平泉は、京都から見て鬼門

にあたる丑寅の方角である。

 

突然、空から、驟雨の中雷光が、崇徳上皇の独白が落ちてきて響き渡る。

 

西行法師よ、長くかかったのう。いつまで朕をまたせたことやら。

がしかし、その陰都もいつまでも、安穏とするかや。

 

 

所詮は、東の幕府、所詮は、荒夷どもが都ぞ。

朕が情念は、いつしかその都に吹くだすやもしれぬぞ。

見ておれ」

 

その時 雷光が風景すべてを白濁させ、消えた。

残光が響き渡る。

 

「不吉なり。。」

思わず誰かがつぶやく。

 

数人の供人が、島津家が源頼朝の子孫であると称し、毛利家が、鎌倉幕府大江広元の子孫で

あることを想起した。あたらしい鎌倉幕府か?

 

この日、元号が明治と改元された。

 

 

(完結)20210430版改稿原稿

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YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
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源義経黄金伝説■第71回京都神護寺にて 西行の宿敵、文覚は巨木に向かう。 「天下落居(てんからっきょ)」の時。師匠の彫像を、弟子の夢見、今は「明恵(みょうえ)」は微笑んで眺めている。
本文編集

源義経黄金伝説■第71回

 

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■1199年(建久10年)京都・藤原兼実邸

 

関白、藤原兼実は考えていた。

 

我々の家の先祖が、古き名前では中臣の家が、百済から、この国に流れてき

て、他の豪族や百済新羅の貴族とも戦い、この国で一をしめ、仏教とこの国

の宗教とも戦い、我々、藤原の貴族がこの国の根幹を押さえてきた。

 

藤原の都を作り、壬申の乱を生き残り。この国を寄生樹のように支配してきたのだ。

 

ここは、我々、藤原氏の国だ。

 

おそらく、この世界のどこよりも我々の支配体制が優れていよう。

 

天皇家ですらその意味合いがわかるまい。それなのに、後から来て板東に移住しいてきた者どもが、武闘を繰り返し、地位を締めはじめ。天皇家の血を入れた人物を立ててしまった。

 

藤原の氏の長としては、何らかの生き延びる方策をこうじねばならない。「鎌倉」へは何かかの方策を討たねばなるまい。

源頼朝が、鎌倉源氏が麻呂を裏切ろうと。京都の底知れぬ企みの怖さをしれぬ武者ともを、手に入れよう。

 

法然殿、重源殿、栄西殿とも話あわねばなるまい。

むろん、麻呂の弟、慈円じえんも。

 

そうだ。慈円なら我々藤原の名跡をたたえ、我々の役割を言葉として残してく

れよう。この京都の比叡山から、次々と宗教という矢を打ち込み、鎌倉武士ともの心をうちつらぬこうぞ。

 

いままでの後白河法皇という重石が、麻呂の頭からさっても、、

 

いや、なつかしい思いがつのる。生きておわした間はにくらしげで

あったが、今は、後白河法皇様がうたれた、打ち手の見事さが、麻呂の身にしみる。

 

さいわい、西行が打ち立ててくれた「しきしま道」が日本全土を多い、我々の

守りとなろう。和歌により言霊による日本全土の守り。その和歌の言葉が悪霊

から我々を守りってくだるだろう。

 

和歌により神と仏を日本各地でたたえる。

 

それも歌枕によりわれわれ貴族や僧侶が、恐るべきは崇徳上皇様のたたりのみ。

西行ですら失敗してしまった。

 

永く後生我々のおそれとなろう。

 

兼実は、藤原氏の氏の長者うじのちょうじゃとして、あらゆる手をつかい、鎌倉幕府への攻撃かための決意をした。

 

■4 1199年(建久10年)京都

 

京都。神護寺の境内。

 

鎌倉から生き延びて京都に帰っている僧がいる。

文覚が涙を流しながら、二mはある巨木の切れ端に向かっている。

その力技は普通ではない。刃の聖そのものである。その姿勢が、

天下落居てんからっきょ」の今となっては時代遅れの観をいなめまい。

 

額に汗し、顔を赤らめ、ひたすら巨木に打ち込み刃を振るう文覚は、人間では

ないような感じさえ思わせるのだ。赤銅色のその力強い腕からは、ある人物の

姿がだんだんとこの木片から浮かびびあがったくる。

 

夢見、今は明恵みょうえと呼ばれる弟子が、文覚にたづねる。

「お師匠様、それはもしや、」

「いうまでもない。西行の像だ」

「でも、お師匠様、この世ではお話が通じなかったのではございませんか」

「夢見よ、ワシと西行は同じ乱世を生きた、いわば戦友、同士だ」

 

鬼の文覚から一筋に涙が、、

「これは汗ぞ。夢見よ。奴の思い出にのう」

「、、、」

「が、夢見よ、負けたのはやはりわしかもしれん」

 

「それはいかなる故にでございますか」

「わしと西行は、北面の武士ぼ同僚だった」

「たしか、相国平清盛さまも」

 

「そうだ、が、この後世の日本で、一番名前が残るは、残念ながら、西行かも

しれん」

西行様が、」

 

「そうだ、ワシが忌み嫌った「しきしま道」をあやつは完成させよった。和

歌によりこの国日本の風土あらゆる者に神と仏があると思わせ崇拝させる道を

あやつは完成させ、その道を伝えるものを数多く残したのだ。

 

歌の聖人として、西行の名前は、永遠不滅であろう。日本古来の神道と仏教を、和歌と手法を使い一体化させよった。これは、さすがの、重源も気づかなかったことだ」

 

「でも。お師匠様、よろしいではございませんか。この世が平和になるのでご

ざいますから」

「夢見よ、ふふつ、お主もな、西行の、毒にはまったか」

文覚は苦笑した。

 

「わしはな、まだまだ西行への甘い考え方には不服だ。奴は亡くなっても策士ぞ」

「といいますと」

西行が、義経というぎょくを、旧い日本である奥州に送り込み、頼朝に日本統一をさせよった。

西行は、後白河法王の命とは故、日本統一と、宗教統一の2つを完成させよったのだ。これは、珠子たまこさまの願いにもかなう。後白河さまは、白拍子 などとつうじ、今までの日本の文化をまとめ、武士にたいする日本文化の根元流派を、藤原氏をはじめとする貴族に残したのだ」

 

文覚は、夢見にさとすように言った。

「むかしナ。わが王朝は、東大寺の黄金大仏を作り上げた。これは、唐にも天竺にも新羅にもない大事業であり、我が王朝の誇りとなった征夷大将軍坂上田村麻呂が、黄金を生む異郷である、蝦夷を征服した。そして、」

 

「そして、平安京桓武帝がおつくりなられ、我が王朝の平安なる時を希望されたわけですね」

「武者である平家が、黄金大仏を焼き、新たなる黄金大仏を、黄金国家である我が王朝は再建せざるを得ない。が、黄金は平泉奥州王国が握っておった」

 

「で、新たなる征夷大将軍の出番というわけですか」

「そうだ、黄金郷であり仏教王国である平泉を、何かの理由で成敗し、新たなる征夷大将軍として、再び黄金大仏を作りあげなけらば、ならぬ」

 

源頼朝様が、異国奥州平泉を成敗し、黄金を手に入れ、黄金の大仏を、平安国家の象徴としてつくり上げねばならなかった、と」

 

「そうだ、お主も、ワシも、色々な国々からこの日本へ移住してきた我らが祖先が、1つの国の象徴として存在した黄金大仏を再建し、新たなる時代の幕開けをつげなければならなかったのだ」

 

「お師匠様、でも、もう日本は仏教国でございます」

 

「くく、それよそれ。西行は、歌の形で、奥州藤原氏の仏教王国の考え方自体を、日本に広げていきよった、くやしいが、わしは、西行にかなわなんだ」

 

夢見、明恵は、しかし心のなかで少しほほえんでいる。

 

でも、お師匠様、でも少しお忘れです。ー紀州熊野を納めしもの、日本をおさ

めんー熊野を治めるどこかの国から来た人間の子孫が、この日本を治めるのですよ。

拙僧は、紀州湯浅氏出身の「夢身」です。

 

今の法名明恵みょうえは、ほほえんで、師匠の文覚が、目から汗をたらし、往時を思い出しながら、西行法師の彫像を彫琢するのを眺めていた。

 

(続く)

 

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源義経黄金伝説■第70回鎌倉、大江広元の前に静の母親、磯禅師が現れて、秘密を打ちあける。その秘密とは、源義経の遺児は。

YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
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源義経黄金伝説■第70回鎌倉、大江広元の前に静の母親、磯禅師が現れて、秘密を打ちあける。その秘密とは、源義経の遺児は。
 

源義経黄金伝説■第70回

 

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■ 1198年(建久9年)鎌倉/大江広元屋敷

 

「危ういところであった、文覚が鬼一を処分してくれたとしては」

大江広元は呟く。が、広元は疑心に捕らわれる。

 いかん、もし、、、

 

「よいか、至急に牢を見て参れ」と雑色に命ずる。

「源義行殿、牢におられませぬ」

 雑色が顔色を変えて報告した。

「何と…、そうか、あの磯野師めが」

 

大江広元は、禅師の控え部屋にいく。

「禅師、お主、義行殿を逃がしたな」

声高かに叫ぶ広元に対して

磯禅師は、ゆっくりとお茶をたしなんでいる。

 

ふくいくたるお茶の香りが磯禅師のいる部屋にたちこめている。

 

「大江様、どうかお許しください。あの者、最初からこの世には存在せぬもの

です」

「磯禅師、お前、静と連絡をとっていたのか。静はまだ生きていると聞く。あ

の義行を静の元に走らせたのか」

 

大江広元は、ある事にはたと気づく。

苦笑しながら言う。

「そうか、磯禅師、お主、西行に惚れておったのか。それを見抜けなんだのは

、私が不覚。西行の想いが、自分の黄金である源義行を逃しよったか。くくっ、まあ、良い。 いずれは、静のところに向かうであろう」

源義行は、磯禅師にとっては孫にあたるのだ。

 

大江広元は憎々しげな表情で、磯禅師を見つめる。

禅師は、まさか広元が静の居場所を知っているとは、思っている。

 

恐るべき情報能力を持つ男だった。大江広元 は付け加えた。

 

「よいか、禅師。もし何かことがあれば、お主もろとも滅ぼす。無論、京都

大原にいる静もだ」

 

脅しの言葉であった。が、禅師も負けてはいない。

「しまし、大江様。大江様もこのままでは済みませぬぞ」

「何だと」

「頼朝様の暗殺を知っておられたこと、鎌倉腰越にて書状に認めてございま

す」

「何という書状を…、嘘じゃ」

 

北条政子様は信じますまい。いや、本当のことをご存じでも、その書状を

利用し、京都から来た男である大江様を、鎌倉政権の座から引きずり落とすでし

ょう」

「むむっ、お前。この俺を裏切りおるか」

大江広元は憤怒の形相で、磯禅師ににじり寄った。

 

「これでも禅師は、この源平の争いの仲を生き残ってきた者でござい ます。裏の手、裏の手を考えておらねば、生き残ってはこられませぬ。そこは 私、禅師の方が広元様より、一枚も二枚も上手ということでございましょう」

 

大江広元を見返す禅師のまなじりには力がこもっていた。

おまけに源義行は、禅師の孫なのだ。

 

今の今まで生きながらえて、この官僚あがりの田舎貴族と対峙

して、勝てなければどうしよう。経験の量が違うのだった。

 

「うむっ…」

大江広元も押し黙ってしまう。ここは禅師を怒らせぬ方がよいかもしれぬ。所

詮は女だ。変に怒らせて、今までの広元の苦労を水泡に帰すこともあるまい。

 

「大江様、大江様はこの鎌倉殿の政庁を作り。歴史書に御名前が載りましょう。

が しかし、大江広元様ではなく、中原広元様にかも知れませんね」

 

「禅師、お前何を企むか」

「いや、お隠しめされるな。先年なくらられし西行様も、同じことをされました」

 

「‥‥」

「家の筋目のことでございます」

 

西行法師様も、佐藤家の本筋ではございませんでした。佐藤家は源平の戦い、屋島の戦で、

滅んでおります。それゆえ、西行様も佐藤家御本流として、後の歴史にのこられるでしょう。

これは大江様も同じことをされる機会でございましょう」

 

大江広元も、また西行もそのそれぞれの家の本流、本家ではない、と禅師はいうのだ。

 

「禅師、お前は、、」

「いや、皆まで申されますな。

 

大江様の御母君様は、大江家の出。母方さまの御本流をのってるおつもりではございませんでしたか。

本来の苗字、中原の名前を隠し、大江の本流の方々をすべて死においや り、

大江広元の名前は、歴史にのこりましょうぞ。さすれば、名高き学者、大江匡房の 曾孫としてはづかしき事無く明法博士の御名前を朝廷からいただけましょう。これ でも禅師には、つてがございます」

 

大江広元はしばしの間、頭を垂れていた。が、ゆっくりと顔を禅師に向ける。

「、、で、禅師、そのお方とは、、」

 

禅師は、広元もまた、京都のためにからめとった。

 

「わかった禅師。このこと不問にしよう」

「では、源義行様のことはいかが記録されます」

「事件とはかかわりあいのない雑色だったということにしようか」

 

「それを聞いて安心いたしました。 それでは、京都から鎌倉にこられる僧たちのことよろしくお願いいたします」

 

栄西法然をはじめ、新しい教条を手にに、鎌倉武士のために

京都から僧侶が送られてくるのだ、その手配方を、大江広元に頼もうというのだ。

 

昔、京都において、平家陣営の諜報少年部隊、赤かむろの束ね者でもあった、磯禅師は、深く頭をさげた。

 

(続く)20210429改訂

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源義経黄金伝説■第70回鎌倉、大江広元の前に静の母親、磯禅師が現れて、秘密を打ちあける。その秘密とは、源義経の遺児は。

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源義経黄金伝説■第70回鎌倉、大江広元の前に静の母親、磯禅師が現れて、秘密を打ちあける。その秘密とは、源義経の遺児は。
 

源義経黄金伝説■第70回

 

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■ 1198年(建久9年)鎌倉/大江広元屋敷

 

「危ういところであった、文覚が鬼一を処分してくれたとしては」

大江広元は呟く。が、広元は疑心に捕らわれる。

 いかん、もし、、、

 

「よいか、至急に牢を見て参れ」と雑色に命ずる。

「源義行殿、牢におられませぬ」

 雑色が顔色を変えて報告した。

「何と…、そうか、あの磯野師めが」

 

大江広元は、禅師の控え部屋にいく。

「禅師、お主、義行殿を逃がしたな」

声高かに叫ぶ広元に対して

磯禅師は、ゆっくりとお茶をたしなんでいる。

 

ふくいくたるお茶の香りが磯禅師のいる部屋にたちこめている。

 

「大江様、どうかお許しください。あの者、最初からこの世には存在せぬもの

です」

「磯禅師、お前、静と連絡をとっていたのか。静はまだ生きていると聞く。あ

の義行を静の元に走らせたのか」

 

大江広元は、ある事にはたと気づく。

苦笑しながら言う。

「そうか、磯禅師、お主、西行に惚れておったのか。それを見抜けなんだのは

、私が不覚。西行の想いが、自分の黄金である源義行を逃しよったか。くくっ、まあ、良い。 いずれは、静のところに向かうであろう」

源義行は、磯禅師にとっては孫にあたるのだ。

 

大江広元は憎々しげな表情で、磯禅師を見つめる。

禅師は、まさか広元が静の居場所を知っているとは、思っている。

 

恐るべき情報能力を持つ男だった。大江広元 は付け加えた。

 

「よいか、禅師。もし何かことがあれば、お主もろとも滅ぼす。無論、京都

大原にいる静もだ」

 

脅しの言葉であった。が、禅師も負けてはいない。

「しまし、大江様。大江様もこのままでは済みませぬぞ」

「何だと」

「頼朝様の暗殺を知っておられたこと、鎌倉腰越にて書状に認めてございま

す」

「何という書状を…、嘘じゃ」

 

北条政子様は信じますまい。いや、本当のことをご存じでも、その書状を

利用し、京都から来た男である大江様を、鎌倉政権の座から引きずり落とすでし

ょう」

「むむっ、お前。この俺を裏切りおるか」

大江広元は憤怒の形相で、磯禅師ににじり寄った。

 

「これでも禅師は、この源平の争いの仲を生き残ってきた者でござい ます。裏の手、裏の手を考えておらねば、生き残ってはこられませぬ。そこは 私、禅師の方が広元様より、一枚も二枚も上手ということでございましょう」

 

大江広元を見返す禅師のまなじりには力がこもっていた。

おまけに源義行は、禅師の孫なのだ。

 

今の今まで生きながらえて、この官僚あがりの田舎貴族と対峙

して、勝てなければどうしよう。経験の量が違うのだった。

 

「うむっ…」

大江広元も押し黙ってしまう。ここは禅師を怒らせぬ方がよいかもしれぬ。所

詮は女だ。変に怒らせて、今までの広元の苦労を水泡に帰すこともあるまい。

 

「大江様、大江様はこの鎌倉殿の政庁を作り。歴史書に御名前が載りましょう。

が しかし、大江広元様ではなく、中原広元様にかも知れませんね」

 

「禅師、お前何を企むか」

「いや、お隠しめされるな。先年なくらられし西行様も、同じことをされました」

 

「‥‥」

「家の筋目のことでございます」

 

西行法師様も、佐藤家の本筋ではございませんでした。佐藤家は源平の戦い、屋島の戦で、

滅んでおります。それゆえ、西行様も佐藤家御本流として、後の歴史にのこられるでしょう。

これは大江様も同じことをされる機会でございましょう」

 

大江広元も、また西行もそのそれぞれの家の本流、本家ではない、と禅師はいうのだ。

 

「禅師、お前は、、」

「いや、皆まで申されますな。

 

大江様の御母君様は、大江家の出。母方さまの御本流をのってるおつもりではございませんでしたか。

本来の苗字、中原の名前を隠し、大江の本流の方々をすべて死においや り、

大江広元の名前は、歴史にのこりましょうぞ。さすれば、名高き学者、大江匡房の 曾孫としてはづかしき事無く明法博士の御名前を朝廷からいただけましょう。これ でも禅師には、つてがございます」

 

大江広元はしばしの間、頭を垂れていた。が、ゆっくりと顔を禅師に向ける。

「、、で、禅師、そのお方とは、、」

 

禅師は、広元もまた、京都のためにからめとった。

 

「わかった禅師。このこと不問にしよう」

「では、源義行様のことはいかが記録されます」

「事件とはかかわりあいのない雑色だったということにしようか」

 

「それを聞いて安心いたしました。 それでは、京都から鎌倉にこられる僧たちのことよろしくお願いいたします」

 

栄西法然をはじめ、新しい教条を手にに、鎌倉武士のために

京都から僧侶が送られてくるのだ、その手配方を、大江広元に頼もうというのだ。

 

昔、京都において、平家陣営の諜報少年部隊、赤かむろの束ね者でもあった、磯禅師は、深く頭をさげた。

 

(続く)20210429改訂

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