yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

東京地下道1949第2回■アメリカ軍占領軍情報部(OSS)乾公介は窓下、東京分断壁を見ている。彼にMGB(在日占領軍ソ連保安省)のエージェントからの地図入手失敗の報告が。

 


TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命は
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東京地下道1949第2回■アメリカ軍占領軍情報部(OSS)乾公介は窓下、東京分断壁を見ている。彼にMGB(在日占領軍ソ連保安省)のエージェントからの地図入手失敗の報告が。

東京地下道1949第2回

(1978年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 

http://www.yamada-kikaku.com/







アメリカ軍占領軍情報部(OSS)の一部屋に一人の日本人が,

大きなデスクを手前に腰かけている。

彼の青白い顔に汗がにじんでいる。

時々、時計に視線を向けいらだっていた。



 乾公介、

名目は「占領軍付日本人通訳」だが、OSSのメンバーの一員である。



彼,乾公介は確かにあせっていた。理由は死期がせまって

いるからだ。癌の宣告を受けていた。あと3ケ月とないだろう。

それまでにあのプランを完遂し々ければならない。



それは、彼の宿願であった。



 いまや、彼の命脈を保っているのはその計画の

みである。双肩に重くそれがのしかかっている。



アメリカ人が、一人いそいで乾の部屋へはいって

きた。                



「どうやら、我がアメリカ保安部は、あの地図をMGB(在日占領軍ソ

連保安省)のエージェントから手にいれることに失敗したようだ」



「よかった。地図はまだ、やつら、保安部の手には手にはいらなかったのですか。

それでいいんです。地図を持っていたイワノフ大尉はどうしたのです」



「保安部がライフルでしとめたとのことだ。

が、先に自殺し、地図のはいったカバンは見つていない。

死体の前が河だったので、おそらく投げ込んだものと思われる」



「わかりました。その地図が保安声の誰かの手にはい

らないか留意しなければなりませんね」

「そうだ。引続き、我われわれ保安部は、MGBのエージェントの監視を続けよう」



瞬間、血の気がうせて、乾は、自分の机の上につっぷしそうになる。

「乾チーフ、だいじょうぶか、休が悪いのでは」

「いやなんでもないです。だいじょうぷです」



 OSSの内部では、波が宿摘の病にあることは誰も知らない。

「この仕事を頑張らせて下さい」



 乾はそう言い、立ち上がった。



占領軍情報部(OSS)の窓の外は焼けのこったトウキョウ市の

無残な姿が横たわっていた。

 アメリカ占領軍情報部の接収しているショウワ・ビルからは

トウキョウ市全部がみわたせる。



トウキョウ市は日本の首府であった。

そのトウキョウ市を壁が真ふたつに分断して

いたo



 壁の向こう側は、、極東ソビエト軍の占領地区なのだ。



(続く)20090501改定

東京地下道1949第2回

(1978年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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消滅の光景 第9回地球に向かう調査船エクスの中で、情報省のチヒロや超能力少女ラミーに守られて、カド博士は、地球での行方不明者の共通因子を探ろうとするが、祖先霊が邪魔をする。

SK消滅の光景■セクター宇宙連邦軍、ビット大佐の目下の悩みは、奴らの流入だ った。まったく奴らミレニアム信徒はひきも切らさず、この星へやってくるのだ。 一体、何のためにこんな辺境の星へ

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消滅の光景 第9回地球に向かう調査船エクスの中で、情報省のチヒロや超能力少女ラミーに守られて、カド博士は、地球での行方不明者の共通因子を探ろうとするが、祖先霊が邪魔をする。

消滅の光景 第9回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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 カド博士は、頭の両側にメタリックの端子が突出している。

船のコンソールパネルから接続端子を引きづり出し、自らの頭の端子

に繋いでいた。

 宇宙船エクスは小型だが、優秀な電子頭脳を備えていた。自分の頭脳と

電子頭脳をフィードバックして新たな解決法を得ようとしでいた。



エクスの電子頭脳には地球で行方不明になった人々のデータがイン

プットされている。



 「タク、スイッチを入れてくれ」

カド博士は助手のタクに頼んだ。



 「博士、大丈夫ですか。こんな事をしても」

 「案ずることはない。私の頭脳は特別製なのだ。何らかの新しい因

子を発見することができるかむしれない。そうすればこの一連の出

来事の解決歩が発見できるかもしれん。我々はいま絶壁の上に立っ

ているのだ」



 「わかりました。博士がそこまでおっしゃるなら」



 タクはスイッチを押した。博士の体から光が発されているようだ

った。しかし博士の体には何の異常もおこっていない。



■ラミーは自分の個室の中で黙想にはいっていた。



また内なる声が聞こえてこないだろうか。

彼女は自分を縛る声を始めは嫌っていた

が、近頃は声が聞こえてこないと不安を感じるようになっていた。



声がないと闇の中で一人置き去りになったような気さえする。声は

 一条の光であり、進むべき道であった。



 声が地球へ行くように命じたとき、彼女の心の中では行きたくな

いという気持ちと、どうしても行かねばならないという相反する気持ちが

争っていた。



 両親が目の前でどうなったか、彼女は思い起そうとしてみた。が

だめである。彼女はその時、まだ一歳にもなっていなかった。彼女

は黙想し、ひたすら声を待っていた。



 セクター情報所のチヒ口は、今度はセクター連邦軍、地球派遣隊に

ついてのデータを集積していた。



丁度その時。カド博士が助手のタクに連れられ、操縦室へ

上ってきた。

 「博士、どうですか、地球での行方不明者の共通因子について何か発見は」

 「そう簡単にはみつけられんよ」 



 「そうですか」

 「私は地球までの航行中、この作業を続けることにする」

 「カド博士、あの星で、多数の人間が行方不明者になっているのに、

我々の連邦軍地球派遣軍が手を出せないでいるのはどういうわけで

しょう」



 カドは盲いた目をチヒロの方へ向けた。

 「恐らく、ある種の、そう星の影響力というものが存在するのだ。

その力が連邦軍の兵士遂に作用しているのだろう」



 再び博士は自らの鸚の端子を電子頭脳に結びつけ、分析作業に取

りかかる。

 タクはコンソールの側にいる。



 どこからともなく黒い霧が発生し、タクの足もとから電子頭脳の

方へ近づいていく。



 黙想していたラミーは、ある声を聞きハット我にかえった。急

いで博士の研究室ヘテレポートーした。



 助手のタクの表情が変っている。

彼はその力強い両手を振りまわし、コンソール=パネルを壊していた。

カド博士は部屋の隅に跳ね飛ばされて距まっている。



 彼女はタクを止めようとした。が彼女はタクの右手ではねとばさ

れ、機械の角で頭を撃った。気を失いかけたラミーの眼に、異変に

気づき、走り込んできたチヒロの顔が映った。



 調査船エクスの操縦操置は電子頭脳に依存していた。それゆえ船

は操船不能になっている。



 チヒロは襲ってくるタクの腕をすり抜け、すばやく右にあった

電源スイッチを切った。タクの体から黒い霧が浮び上ってきた。



 「そいつを撃て、撃つんだ」

 傷だらけのカド博士がチヒロに叫んだ。



 チヒロのレーザーガンはその黒い霧を焼き町り、おまけに後の電子頭

脳にさらにダメージを与えてしまった。



 「くそっ、電子頭脳が完全に死んでしまった」

 チヒロは、電子頭脳を知らべ、音をあげた。



「これでは、地球に行くどころか、宇宙の放浪者だ」

 チヒロは博士を助け起した。

「いったい、タクはどうしたんですか」

「あの霊に支配されたのじタ。君には黒い霧に見えたかもしれんな」

「あれが霊ですって」



「そうだ。それも、不思議なことに我々の祖先霊なんだ」

「我々の祖先霊が、なぜこんなことを」

「わからん、それにあれは滅びの戦士をも支配している祖先霊だ」

 船が横揺を始めた。

「いかん、早く、タクのエネルギーボタンを押せ」



 「大丈夫ですか」

 「大丈夫だ。ダクの小型電子頭脳を使うのだ。あいつの頭脳、はそれ

くらいの働きはできる。それに私の霊能力と彼女の超能力を使えば、

地球まで辿り着く事などわけはない」



 チヒロはラミーを抱き起した。彼女はまだ気を失なっている。



 「もうすぐ、気がつくだろう。チヒロ、喜べ私は一つのヒントを得

た。地球に存在する『塔』が一つの解答らしい」



 スイッチが入れられ、タクは動き始める。

 タクはあちこちを見渡し、驚いていた。

 「博士、これはどうしたことですか」

 「皆、お前がやったのだ」

 「私が」

 「それよりも、お前の頭脳をこのプーラグにつなげ」

 タクは不思議そうな顔をして、操縦室へ向かっていく。



 ■《地球の記憶》

 要塞の防禦壁がはげ落ち、また一人の戦士が奈落の底へ沈んでい

った。

 床が振動していた。もう彼らに勝算はないようであった。帝国戦

士ウォーガトは自らの体を立て直し、コンソール=パネルを見た。

防蒙哉構ぽばとんど作動していない状態だ。モニターはすべて死ん

でいた。版屋の光源は明滅していた。敵は姿を見せず、ただ強大で

あった。

「地球の罪か」地球帝国戦士ウォーカーは独り言ちた。



消滅の光景 第9回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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消滅の光景 第8回 カド博士、情報省のチヒロ、超能力者少女ラミーは、地球をめざす。

 

SK消滅の光景■セクター宇宙連邦軍、ビット大佐の目下の悩みは、奴らの流入だ った。まったく奴らミレニアム信徒はひきも切らさず、この星へやってくるのだ。 一体、何のためにこんな辺境の星へ
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消滅の光景 第8回 カド博士、情報省のチヒロ、超能力者少女ラミーは、地球をめざす。

消滅の光景 第8回

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「そうです」チヒロは言う。



 カド博士は少し考えていたが、

「よし、彼女ラミーを連れていこう」



「こんな少女をですか」

「私の霊能力がそう告げているのだ」



「博士、急ぎましょう。先刻、2台のホーが逃げたのです。滅びの戦士たちは

ホーの記憶回路から、あなたが生きていたことを知るでしょう」



 情報省の医療センターでカド博士は集中治療を受けていた。



体力の回復次第、地球へ出発と決定された。カド博士の周辺は充分な警

備が施されている。



 助手であるアンドロイド=タクも常に博士の側にいた。

 病室から出て来たタクに一人の兵士が近づく。



 「タクさんですね、チヒロ中尉がお呼びです」

’「でも、私は博士の側から離れるわけにはいきません」

 「至急、おこし下さいとの事です。,.大切な要件とのことです」

 「そうですか、それなら」



 兵士は先に立ち、通路を歩き始めた。しばらく歩いた後、タクが

尋ねる。

「遠いですね。どこにおられるのですか、チヒロ中尉は?」



「もうすぐです。この角を曲ったすぐの部屋です」

 突然、背後から二人の兵士が近づき、タクの腕を取る。



「何をなさるのですか」

 タクは腕を振り迫どこうとした。がそれより旱ぐ、一人の兵士は

タクの肩にある回路をレーザーで焼き吸っていた。



 三人の兵士達はタクのボディを大きなストレッチャーに載せ、

いずこへと音もなく消えた。





 一時間たった後、タクは博士の病室の前にいる自分に気づいた。

今まで自分が何をしていたか憶えていなかった。



■ 情報省の調査船エクスは、セクターの引力圏を離脱し、地球に向

い進みつつあった。直径三百m、エクスは小型の球形船であるが、

優秀な調査能力を装備している。



 コックピットの中でチヒロは情報省からのデータを整理していた。

 彼は今、ラミーのデータを再度読んでいる。



 『ラミーーグリーン。15歳。超心理学者ギャリー=グリーンと歴史

学者エレノア=グリーンの間に生まれる。



両親は地球考古学調査隊に所属していたが、行方不明となる。

1人娘であ・った彼女はセクターに連れ戻され、

連邦優生児保護法によって、ロボットマザーの手により育てられる。



3歳位よリ超能力を有することがわかり、連

邦所属の超心理研究所に預けられる。現在はそこの所員である』



 「15歳で超心理学研究所の所員か」



 チヒロは独りごちた。彼女の両親は地球で行方不明になっている。

何か関係があるのだろうか。



 カド博士は、タクの助けを借り、地球で行方不明になったと考え

られる人々のリストを克明に調査し七いた。情報省のコンピュータ

ー解析では、共通因子を発見できなかった。が、彼は彼なりに分析

することにした。



消滅の光景 第8回

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東京地下道1949■第1回1949年 日本は敗戦、分割占領。トウキョウ市アメリカ軍占領地区。浮浪児が、男たちの争いをみる。少年はカバンとトカレフ挙銃を手に入れ。「竜」のアジトヘ向かう。

 


イメージイラストは、鈴木純子作品をお借りしています。
http://www.yamada-kikaku.com/suzuki-junko.html
TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命は
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東京地下道1949■第1回1949年 日本は敗戦、分割占領。トウキョウ市アメリカ軍占領地区。浮浪児が、男たちの争いをみる。少年はカバンとトカレフ挙銃を手に入れ。「竜」のアジトヘ向かう。

東京地下道1949■第1回

飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)

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地下道1949■第1回



1949年 日本トウキョウ。



 男達が争っていた。

いや一名の男が数名の男に追われている。

逃げる男はスラブ系の顔をしている。

アメリカ軍占領地区、トウキョウ市の町中で追跡が

行なわれている。

 追う一団は、トレンチ・コートで身をかた

め、一般市民の姿をしているが、訓練を受け

死者の持つ独特の体臭がする。

彼らは入がいない場所にぐると、コルト45を各々と取りだし、

前の逃げる男へ弾をあびせる。

 逃げている男も、オーバーコートからトカ

レフ挙銃を出し、振りむきざま、撃ちかえす。

男の射撃の腕は一段上手らしい。

たちまち後の2人の男が倒れた。前の男は大事そうに、カ

パンをかかえている。 



やがて、追撃している男に応援が来た。ライフルを持っている。

彼はスコープに逃亡者をとらえ、男の肩を阻撃した。

 男はうずくまり、死力を尽し、カパンを目の前の河へほおり投げた。

 河は雨の降った後で、水かさが増していた。一濁流で流れも急だ。



 このいちぶしじゆうを見ていた一入の浮浪児がいた。

すばやく河に棹さし、そのカバンをひっかけひろいあげた。

少年は隠れた。

 追撃して来た狩人達は、倒れている獲物のそぱに立つ。

男は歯に隠していた毒カプセルを飲んで死んでいた。



 男達はあたりを見わたす。 カバンを探しているようだった。

しかし、一時間後、彼らはあきちめたらしく、ひきあげていった。



 その隠れ場所で息をひそめていた少年は、カバンを手に出

てきた。

死体の手からトカレフ挙銃をひっべがし、河のそばへひきずり、死体を投げ落と

した。

それから、意気様々と「竜」のアジトヘ向かった。

(続く)



東京地下道1949■第1回

(1978年作品)

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消滅の光景 第7回超能力少女ラミーに助けられ、情報省のチヒロは、カド博士の家に。家は滅びの戦士に襲撃されて燃え上がっていた。

 

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消滅の光景 第7回超能力少女ラミーに助けられ、情報省のチヒロは、カド博士の家に。家は滅びの戦士に襲撃されて燃え上がっていた。

消滅の光景 第7回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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乗り手をなくした滅びの戦士ホーが2台、空に浮んでいる。



 「あれに乗るのよ」超能力を持つ少女のラミーが言う。

「でも、あいつは、ー人一人の滅びの戦士に同語されでいるはずだ」

チヒロが答える。

 「いいのよ、早くして」



 チヒロはホーに乗った。ホーは何事もなくチヒロの意志に従い動

き始める。

 チヒロはラミーの能力に舌をまく。隣を移動中のラミーの顔を見

る。彼女は青い顔をしていた。

 「だいじょうぶか、ラミー」

 「心配しないで。今は一刻の猶予もならないわ」



 カド博士の邸宅は燃えあがっていた。すでに滅びの戦士達に攻撃

を受け炎上しているのだ。死体が建物の廻りに散乱している。



 「遅かったか」



チヒロはこの光景を目のあたりにし、愕然とした。

ラミーの声は元気だった。

 「大丈夫よ。博士は生きている。生命の炎が見える」



 冷汗をかき、ラミーは念視している。ゆっくりと片手をあげ、炎

につつまれている邸の真中を指さす。



 「生体反応があるわ」



 炎の中で、何かが揺れ動いている。そいつは徐々に、人の形をと

り始め、炎の中からゆっくりと娠を現わす。



 衣服がまだ燃えあがっている。大男だ。2メートルはあるだろう。そい

つは体じゅうを炎に包まれながら、話しかけた。



 「情報省のチヒロさんですね」



 彼ば頷ずく。水が上空から降り注がれる。

消防団が駆けつけたようだ。炎の男は消防車の方へ歩む。



消防士たちは驚く。

 「水を早くかけて下さい。私の中に人一人がはいっているのですブ

 消火された男はゆっくりどチヒ匹達の衝へ還ってきた。彼はアン

ドロイドだった。



 「チヒロさん、始めまして、自己紹介させていただきます。私は博

士の助手タクです。博士は私の体の中で保護されています」



 男の体は胸の真中から開き、別の男の体が転がり出た。



 「カド博士 大丈夫ですか」



 博士はわずかに頷いた。



 博士の無事な姿を見て、ラミーは倒れた。体力を使い果したのだ。



超能力の行使は体力を急激に消耗させる。ましてや彼女は少女なの

だ。                               

 ホー2台は、ラミーの力から解放され、上空へ急速にはね上がり、

消え去った。



 博士の眼は閉じられたままだ。

 「博士、眼は」

 「視神経をどうやらやられたようだ」

 「滅びの戦士たちめ」

 博士はかぶりを振る。



 「心配することはない。私の霊能力はいささかも衰えてはおらん」

 博士は見えない眼をラミーの方へ向けた。



 「彼女は何者だ」

 「見えるのですか。彼女は超能力者なのです。私も助けられたので

す」

 「恐るべき能力だ。すさまじいオーラの炎が感じられる」

 「彼女は地球行きの事を知っていたかね」



消滅の光景 第7回

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消滅の光景 第6回 カド博士の家に向かうチヒロとラミーは滅びの戦士達の攻撃を受ける。ラミーの力がチヒロを助ける。

 

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消滅の光景 第6回 カド博士の家に向かうチヒロとラミーは滅びの戦士達の攻撃を受ける。ラミーの力がチヒロを助ける。

消滅の光景 第6回
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滅びの戦士達は超合金のコンバットスーツで身を固めている。特権階級であ

るとないにかかわらずヽ人々を殺戮しているのだ。彼らは特にミレ

ミアムアム信徒を目の敵にしていた。



 カド博士の家はシティの郊外にある。市街地から飛び出したチヒ

ロのエアーカーに上空から黒い物体が襲ってきた。チヒロの反射神

経はあやうい所でそいつを避けた。



が車はチューブードライブーウェイの側壁に激突した。一瞬チヒロ

はコックピット内でしたたか体を打ち、気を失なった。



ラミーも身動きしない。



 上から3つの黒い物体が降下してきた。



彼らは手に電磁ヤリを持っている。彼らがまたがっているのは卵形

をした、ホーと呼ばれる生体メカの一種である。



ロボット体の中に一部分動物の神経不が埋め込まれている。



一種のサイボーグであり、機械獣よりも反応速度が早いのだ。

このホーは黒いコンバットスーツに身を固めた滅びの戦士達

の意志を読みとり、自在に動くのだった。



 「とどめをさせ」 戦士の一人が命令した。



戦士がホーに乗ったまま、チヒロの様子

をうかがいながら、近づいてきた。動かないチヒロの体を見付けた

戦士は、電磁ヤリを持ち上げ、ねらいをさだめる。



電磁ヤリは一撃で一万ボルトの電気を放電し、物体を炭化する。

 電磁ヤリが突き出された瞬間、チヒロの体は気を失なったまま、

空間移動した。



 『チヒロ、目をさまして』チヒロの意識の奥で声が響く。



激しい衝撃がチヒロの体を貫らぬき。チヒロは意識を取り戻した。目の前に

再び、電磁ヤリが迫ってくる。体をかわす。レイ=がyを出そうと

する。ない。エアーカーの中で落としたようだ。



ナヒロは今、自分 が空間で行動していることに疑問を感じてはい

なかった。

急に手の中にレイ=ガンが出現した。チヒロの方へ突っ込んでくる戦士の目

の前まで引き付け、手を狙い、レイ=ガンの引き金をしぼる。ホー

が襲い、チヒロははじき飛された。しかし体には傷はない。戦士は

両手をレイーガンでやられ、電磁ヤリを落としていた。ヤリはチヒ

ロの手の中に飛び込んできた。チヒロは電磁ヤリを構え、戦士に投

げつけた。



電磁ヤリは戦士の体を貫ぬき、放電する。轟音がした。戦士

の体は異色の超合金コンバットスーツごと、吹き飛んでいた。残

り二人の戦士が近づいてくる。



 電磁ヤリがまた、彼の手に戻ってきた。戦士は二手に分かれ、チ

ヒロを挾み撃ちにしようとする。両サイドから突き込んでくる。ヂ

ヒロの体は金縛りにあったように動かない。戦士のヤリが彼の皮膚

にふれようとした時、チヒロはテレポートしている、エアーカの

残骸の側に立っていた。上空では、勢いあまった戦士のヤリがお互

いを貫いている。大爆発がおこった。



チヒロには今まで自分の行動が夢のように思われた。



自分にはテ レポート能力もデレキネス能力もないのだ。

  エアーカーは燃え続けている。中にいた少女ラミーはどうしたの

だろう。目の前の空間にラミーは疲れた表情で現われた。



「ラミー、一体、君は」



「そう、私は超能力者。今の事件で私の能力はわかったでしょう。

カド博士の家へ向かわねば」



「エアーカーはこの通りだ。君のテレポート能力でもあそこまでは

距離がある」

 「心配しないで」



消滅の光景 第6回

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消滅の光景 第5回■情報省をでたチヒロの前に少女ラミーが出現。テロ集団「滅びの戦士達」が襲撃するので、早くカド博士を助けにいけという。

 


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消滅の光景 第5回■情報省をでたチヒロの前に少女ラミーが出現。テロ集団「滅びの戦士達」が襲撃するので、早くカド博士を助けにいけという。

消滅の光景 第5回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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ジムの中央で座っている老人にラミーは心で話しかけた。



『導師、私は出掛けなければなりません。これでお別れです』



 齢数百を越す導師は静かに答えた。



『出掛けるか、ラミー。何がおころうと心の声に従うのだ。それ

がお前に与えられた運命だからの。お前の存在理由なのだ』



『わかりました。導師、もう二度どお目にかかるととはないと思い

ます』



『さらばだ。しかし気にやむことはない。休は滅びようとも心は

永遠に残るからの』



 ラミーは旅支度を整え、今までいた「研究所」の門を出て行った。







■情報員チヒロのエア・カーの前に何かが急に出現した。



少女だ。

ブレーキーを踏む。ヽ自殺者ならば、その少女を当局へ突き出さなければなら

ない。チヒロはエア・カーのドアを開け、話しかけた。



 「君は自殺しようとしたね」

 「いいえ、違います」その少女は答える。

 「でも、君は、僕の車の前に急に飛び出したじゃないか」



 「あなた、チヒロさんでしょ」

 「どうして僕の名前を」

 「私を一緒に逓れていって下さい」



 「一緒に連れて?」

「そう、地球へです」



 チヒロは、なぜ、この少女が彼が地球へ行くことを知っているのだと

疑問を感じた。





「君は何という名前だね」

「ラミーよ」 



「ラミー君なぜ、君は地球へ行きたいのだ」



「どうしても行かなければならないの」

「よし・エア・カーに乗れ」



「私を、情報省へ連れて行き、調べるつも0ね」

 チヒロは内心驚いた。この子は私の心を読みとるととができる。



「そう、私は人の心が読める。だからチヒロさん、あなたが地球に

向けて旅立つ事もわかったのよ」

 こいつはほおってはおげん。

 「そうよ。はおってはおけないはずよ」

 「とにかく、情報省へ行こう」



 「だ‘めよj情報省へ帰る前に、霊科学者カド博士を助けなければならないわ」

 「カド博士を助けろって」 

 「カド博士が滅びの戦士達に襲われているわ」

 「何だって」



 「私には見える。早く、早く、カド博士の家へ行って。考えている

ひまはないわ。急険なのよ

 チヒロはエア・カーの通信機で博士邸を呼びだそうとしただ。



 『通信回線不通、通信不可能』の文字がディスプレイに出た。

チヒロはラミ-の言葉を信じた。



エア・カーをぶっ飛ばす。



 「気をつけて、滅びの戦士達があなたを待ち構えているわ」

 滅びの戦士。最近各地でおこりつつある、殺人、暴力行為、破壊

活動を行なう、自然発生的テロ集団である。



消滅の光景 第5回

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