yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

聖水紀ーウオーター・ナイツー第6回時は聖水紀。奴隷船の漕ぎ手シマは、歌姫ベラのたくらみで、聖水騎士フガンの聖水剣の餌食に。

 
SM聖水紀ーウオーター・ナイツー 宇宙から飛来した聖水は地球の歴史を変えようとした。人類は聖水をいかに受け入れるのか?
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聖水紀ーウオーター・ナイツー第6回時は聖水紀。奴隷船の漕ぎ手シマは、歌姫ベラのたくらみで、聖水騎士フガンの聖水剣の餌食に。
 

聖水紀ーウオーター・ナイツー第6回(1976年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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(3)

 静かな海の上を、人の力で走っている奴隷船が進んでいた。

一人のこぎ人、通常、流体と呼ばれているのだが、船倉からあがってくる。

彼の自由時間である。

その男はきょろきょろしていた。

誰かを探しているようだ。年令はそれほど若くはない。いや、むしろ、老人の部類にはいる。

が、さすがに奴隷船の流体だけある。彼の筋肉は、とぎすまされて、太陽の光りを照り返していた。

 若い女が、いままさに、船橋から降りてくるところだった。その男にきずく。女もその男を探していた。

「ねえ、シマ。あなたはいるなぜ、そんなにいつも悲しいそうな顔をしているぉ」

女は高いブリッジから男に呼び掛ける。

 奴隷船の流体であるその男、シマは考え深げな目で、上にいる若い女ベラに答えた。

「私にも分かりはしない。ただ」

「ただ、何なの」

ベラは15才だ。この船の歌姫であり、皆のアイドルであった。

奴隷船には必ず歌姫が乗っている。そして、流体には歌姫が必要なのだった。

歌姫は、歌がうたえる。が歌姫のソングは特別だった。彼ら流体の体の細胞に訴えかける歌なのだ。

その歌のおかげで、流体たちは船を漕ぐ筋肉が効率よく動かすことができる。

歌姫の声は、筋肉に対するある種の栄養剤であった。

歌姫はこの地球には、数すくない。

が通常の交通機関が消え去ったこの時代、奴隷船は有用な交通機関だった。

「私はいつも思うのだ。私は、この地球に対して、とてつもなく大きな責任をもっているってね」

こう深刻そうに答えたシマに、ベラは大笑いを返す。

「シマったら、そんな大ボラがふけるわねえ。じゃなに、この地球はあなたが作ったとでもいうの。今は奴隷船のこぎ人、流体にすぎないあなたがね」

「ベラ、笑うのももっともだ。今の私は、この船の流体にすぎない。でも、昔はそうだったような気がするのだ」

「シマ、シマ。そんな深刻な顔をするあなたが大好きよ。あなたといると逆に楽しくなるわ」

「私も同じだ。君がいればこそだ。この奴隷船くらしも気にならない」

 この時、二人の側をきらびやかな装甲服に身を包んだ男がとうりかかる。

 ベラが大きな声で叫び、シマの注意をうながす。

「あっ見て、見て、シマ。聖水騎士団よ」

「わかるよ、ベラ。私にも目というものがある。でも、彼らは権力の犬にすぎないのだよ。か弱いものだよ」

 突然、その聖水騎士団の騎士が、ベラのま後ろに立っていた。彼は二人の話を聞いていた。

「これはお美しいレディ」

その騎士は、ベラの右手をとり、キスをする。

「何か、こぎ人が、レディに対して失礼なことでも」

 ベラはあまのじゃくである。つい、口をすべらす。満身、笑みをたたえて騎士にいう。

「ええ、いいましたとも。あなたがた、聖水騎士団が権力の犬にすぎないって」

 男としては、もったいないほどの美貌をもつ彼の顔色が急変する。

「なにですと。権力の犬ですと。すばらしい言葉ですね。で、その言葉をこぎ人がいってくれたわけですね。聖水騎士団も甘くみられたものです」

「お若い騎士のお方。お許しください。年寄りのたわごと。どうぞ、お許しください。おみのがしくださいませ」

シマはこの騎士に深々と頭を下げる。

「そんなこと、する必要がある!シマ、あなたいつも、聖水騎士団の悪口を言っているのじゃない」

おしゃべりの歌姫ベラが口をはさむ。騎士の顔色がもっと赤くなる。

「私の名は聖水騎士団のレオン=フガンです。私だけに対する侮辱なら、許してさしあげたかもしれませんが。しかし、我々聖水騎士団の侮辱、ひいては、聖水にたいする侮辱は見過ごすわけにはいきません。こぎ人。そこにひざまずきなさい。私達、聖水騎士団がゆるされている聖水剣の威力をお目にかけましょう。そうすれば、あなたのその曲がった根性もよくなるかもしれませんねえ」

 聖水騎士団のフガンは背中に装着されている聖水剣を、目にもとまらぬ早業で引き抜き、手にしていた。

「お願いだ。フガンさま。この年寄りに無体なことをなされますな」

「こぎ人シマ、許すわけにはいきません。そこにおすわりなさい。私は聖なる水から、役目を与えられているわけですから。私の役目なのです。悪く思わないでください」

「そうよ。やってしまって」

どういう意味からなのか、ベラが、フガンをけしかけている。

船の流体シマはベラの方をみる。いったいどういうことなのだ。この歌姫はどちらの味方なのだ。

 歌姫ベラは一瞬思う。

これではっきりするだろう。シマの正体が。ようやくわかる。さぐりをいれてもう3カ月。もうそろそろ。

 聖水騎士団のフガンの手にする聖水剣がひと振りされる。その先から、わずかな液体がシマにむけ放たれる。人々を溶かす聖水が。

(続く)

聖水紀ーウオーター・ナイツー第6回(1976年作品)

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石の民 第22回■石の男ムリムは、この宇宙の創造者は私だと言い切る。石の民はそれぞれ自分の世界の神となるのだという。光二には理解できない。石の男、心の中でミニヨンは泣いていた。そして。

 

2021年12月17日 | 石の民「君は星星の船」(1989年)
IT石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?
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石の民 第22回■石の男ムリムは、この宇宙の創造者は私だと言い切る。石の民はそれぞれ自分の世界の神となるのだという。光二には理解できない。石の男、心の中でミニヨンは泣いていた。そして。
 

石の民 第22回

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石の男は、自分の心底に意識を戻す。

『光二とやら、聞きたまえ。私は石の民の一人なのだ。いいかね石の民は世界を創造できる。この

世界、宇宙をつくったのは私だ。そうだ、石の民一人一人がそれぞれ世界をつくれる。

 私ムリムだけが、ある事情があり、この「石の壁」に残っていたのだ。

我々ははたしてどこからきたのかわかりはせん。

ただ石の民の過去の記憶をもつ伝説の人がこの壁の前に

現れた時、我々はいくべき所と過去をしることになる』

光二にはチンプンカンプンだった。何をこのおっさんはクちゃべっているのだ。

『我々の記憶は告げている。伝説の人の名前は北の詩人と』石の男は告げた。

 光二は考える。

今自分がここにいる、

ここは石の男の心底だ。

じゃ、今、考えている俺自身は何者なのだ。

不思議な体験だった。

『光二、君が望むのなら、君を石の民に加えてやろう。君は、君の世界をつくれる。自分自身が、世界の神となれるのだ。どうだ、いいか、私に協力したまえ』

『石の男ムリム、光二にまで、干渉するな。娘ミニヨンをかえせ。そうしなければ、聖砲を使うぞ』

ジュリの祭司アルクは言った。

『しかしたずねるが、はたして、アルクよ、光二よ、君達はその聖砲をつかえるのかね。また聖砲のもつ意味合いをはたしてわかっているのか』 

確かに聖砲の使い方はわからない、祭司アルクは痛い所をつかれた。

『光二、かまわん、聖砲を使え』

『無茶言うよ。、アルクのおっさんよ、使い方など俺はしらんぜ』

『この期に及んで、何をいう、光二』

『だから、俺はいったろう、しらないって』

『ははは、ばかものめ。我々のみがその聖砲の意味をしっている』石の男ムリムは笑い飛ばす。

●とうさん、とうさん、私はもとの世界へ戻りたい。

とうさん、助けに来て。

ミニヨンは石の男の心底で毎日なきくれていた。

なぜ、私が、この石の男の心底で、それに、石の男は私をアルナと呼ぶのだろう。

アルナっていったいだれなの。

ミニヨンの前に光が現れた。

ミニヨンは恐怖で一杯になる。

また何か、悪いことが私の身におこるのだ。なぜ、私だけが。

「ミニヨン、怖いか」女の声だった。

「あなたは」

「ミニヨン、おいで」

「どこへ」

「この私の光のなかへ。そうすれば、お前はこの石の男の心底。牢獄から逃げられるのよ」

ミニヨンはその光の中にさそわれがまま入っていた。

光の中にはミニヨンと同じ顔をした女の子たちで一杯だった。

この声は聞いたことがある。

少女のころからの。ミ

ミニヨンは意識を失っていた。

石の民 第22回

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源義経黄金伝説■第27回★西行は奥州、藤原秀衡に平泉を第二の京都とする案をいかがかと尋ねる。その考えは後白河法皇にもあるのだ。

 

2022年01月22日 | 源義経黄金伝説(2022年版)
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
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源義経黄金伝説■第27回★西行は奥州、藤原秀衡に平泉を第二の京都とする案をいかがかと尋ねる。その考えは後白河法皇にもあるのだ。
 

源義経黄金伝説■第27回★

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西行はその平泉東稲山の、京都東山の桜に似た風景を愛でた。

「変わってしまったのは、我らのほうです。西行殿、自然はこの後千年も二

千年も桜の花を咲かせましょう。が、我々の桜はもう散ってしまったのです」

「何を寂しいことを申される、秀衡殿。平泉という桜も今は盛りに咲

いておるではございませんか」

「しかし、西行殿。平泉という桜は、いずれ、散ってしまおう」

西行殿だからこそ、話もいたしましょう。この陸奥の黄金郷、末永く続け

たく思っておるが、悩むのは、私がなくなった後のこと」

「なくなるとは、また不吉な」

「いやいや、私も齢六十七。後のことを考ておかねばなりません。六年前ま

でおられた義経殿を、ゆくゆくはこの我が領地の主としようと画策致しまし

たが、我が子の清衡は、いかんせん、私の言うことを聞きそうにありませぬ」

「ましてや、義経殿が、この奥州を目指していられるとの風聞もある由、そ

うなれば鎌倉殿と一戦交えねばなりますまい」

西行殿、再び、平泉全土をご覧になってはどうじゃ。この平泉王国、けっ

して都に引けは取りますまい。この近在より取れる沙金、また京の馬より良

いと言われる東北の馬が十七万騎。いかに源頼朝殿とて、戦火を交えること、

いささか考えましょうぞ。

そこで西行殿、ご相談だ。この秀衡、すでに朝廷より大将軍の称号をいただ

いておる。加えて、天皇の御子をこの平泉に遣わしていただきたい」

「何、天皇の御子を平泉に…」

「さよう。恐らく、西行殿も同じことをお考えになっておられるに相違

ない。この平泉、名実ともに第二の京都といたしたいのです。今、京の荒れ

ようは保元事変以来、かなりの酷さと聞き及びます。

どうぞ、御子をはじめ公家の方々、この陸奥ではあるが、由緒正しき仏教

王国平泉へ来てくださるようにお願いいたす。

秀衡この命にかえましてお守り申しそう」

 平泉を第二の京都に、その考えは後白河法皇も考えていたのである。が法

皇はそれにある神社を付け加えたいと考えていた。

保元の乱にかかわったあの方。そして西行もかかわったあのかた。

崇徳上皇である。

京都は霊的都市である。

京都を建設した桓武は怨霊の祟りを封じ込める方策をした。

当時の最新科学、風水、陰陽道である。

東北にあたる鬼門には、比叡山を置き、西北には神護寺がある。

文覚の寺である。

またその対角線には坂之上田村麻呂を意味した将軍塚をおいた。

将軍塚は東北征伐を意味する。

坂之上田村麻呂が征服した東北、鬼門が奥州である。

奥州平泉に比叡山にあたる神社をおけばよい。そうすれば、後白川法皇は、

京都朝廷は崇徳の祟りから防衛できる。そう考えていた。

西行は、「しきしま道」すなわち言葉遣い士、言う言葉に霊力があり、西行

が歌う言葉に一種霊的な力があるとした。

和歌、言葉による霊力で日本を守ろうとし、西行を始めとする歌人を周回させている。

西行はその意味で歌という言霊を使う当時の最新科学者。

言葉遣い士である。

西行は、それゆえ歴史に書かれてその名が残るように行動した。

現世よりも死後歴史著述にその名が残るように行動した。

そういう形で西行の名が不滅であるようにした。

西行の行動様式こそが歌人の証明であった。

いわば祝詞という目出度い言葉を口にさせで、目出度い状況をつくり

あげるのだ。

万葉集という詩華集以来、日本は世界最大の言霊のたゆとう国である。

平泉を第2の京都には、実質は奥州藤原氏によって立ち上げられている。後

は祭事行為をどこまで、認めるかである。

「秀衡殿、そうならば、鎌倉の頼朝殿の攻撃から逃れられるとお考えか」

「甘いとお考えかもしれぬ。しかし、我が子泰衡の動き、考え方などを見る

につけても、泰衡一人で、この陸奥王国を支配し、永続させていく力はござ

いません」

「が、源義経殿がおられましょう」

源義経殿は、いまだ、どこにおわすか」

「秀衡殿、お隠しめされるな」西行は語気強くいった。

「何と…」秀衡は慌てていた。

「すでに義経殿は、秀衡殿の手に保護されておられるのではないか」

西行は疑う様子が見える。

「何を証拠に…」

慌てる秀衡に対して、西行は元の表情に戻っている。

「いえいえ、今の一言、この老人のざれ言、気になさらずとも良しゅうございます。

もし義経殿がおられるとしたらどうするおつもりかな」

「そうよ、それ、もしおられるとすれば…。西行殿もご存じのように、津軽

十三湊とさみなと、我が支配にあることご承知でしょう」

「知っております」

そうか、その方法があったのかと西行は思った。海上の道である。

「あの十三湊は、大陸との交易につこうています。今、大陸では、平清盛殿のお

りとは違って、宋の力も落ちているとのこと。もし鎌倉殿の追及が激しけれ

ば、義経主従、かの国に渡っていただこうと思っております」

「おお…、それはよき考え」

「つまり、義経殿は、この日の本からいなくなるという。それで頼朝殿から

の追及を逃れる。加えて法皇様の力で、この平泉政庁を第二の京都御所にし

とうございます。そうすれば、この平泉仏教王国は、京都の背景を受け安泰

でござる。そのためにはぜひとも…」

秀衡は砂金を使い、砂金をそれこそ、金の城壁にして平泉を守ろうとしてい

る。

京都はそれできくだろう、

が、鎌倉は、源頼朝殿は、そうはいくまい。

西行は思った。

源頼朝は、源氏の長者は、その金そのものがほしいのだから。

「その東大寺の沙金、そうした意味の使い方もございますか」

「さようです。無論、東大寺の、重源殿に渡していただければ結構。

しかしそれがすべてではございまぬ。どうぞ、後白河法皇様にこの秀衡

の話を、取り次いでいただけませぬか」

「わかりました。この西行がこの老いの身をおして、再び平泉の地を訪れ

たのも、この極楽郷、平泉の地がいかがなるかと気に致してのこと。

秀衡殿、この地、永遠に残したいという思いあればこそ、二ヵ月もかけて、

この陸奥の地を踏みました。よくお受けくださいました。法皇様も喜ばれるこ

とでございましょう」

西行の思いは半ば成立している。

崇徳上皇様、法王様、喜び下されい。これで少しは鎌倉殿の勢力を

押さえる事が可能かも知れない。

西行は四国の寒々した崇徳上皇綾を思った。

同じ寒さでも、ここは、崇徳上皇様にとって暖かかろう。

西行は、この平泉平和郷を守りとうしたかった。

ここでなら、西行の守る西国王朝、京都の言葉の武器「しきしま」道も守

れるかもしれん。

平泉の衣川べりの高い台地に、新しい館が建っている。高館たかだて

と平泉に住むものどもは呼んでいる。 館の下を二人の雑色がとうりかか

り、館を見上げる。

「おお、あれはどなた様のお館なのだ」

「お前、知らぬのか。あれは高館御所。義経様と郎党の方々が住んでおられ

る」

「おお、あの義経殿か。それでもお館様の伽羅御所に比べれば、小さいのう

「まあ、これは俺が聞いた話だが、泰衡様が、義経様に対して、あまりよ

い顔をなさってはおられぬ」

「なぜだ」

「それは、お前。秀衡様は、我が子泰衡様より義経様をかっておられるから

だよ」

続く202108改訂

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源義経黄金伝説■第26回★平泉・秀衡屋敷で西行を待ち受ける藤原秀衡がいる。秀衡は四十年の旧交を温めようと西行を待ち望んでいたのだ。

 
 
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
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源義経黄金伝説■第26回★平泉・秀衡屋敷で西行を待ち受ける藤原秀衡がいる。秀衡は四十年の旧交を温めようと西行を待ち望んでいたのだ。
 

源義経黄金伝説■第26回★

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西行はようやく平泉にたどり着いていた。

平泉全土の道路に1町(約108m)ごとに張り巡らされた黄金の阿弥陀

佛を描いた傘地蔵が、ここが、新しい仏教世界を思わせる。

この地が仏教の守られた平和郷である事をしめしている。長い奥州の祈念が読み取れるのだ。

「おお、ここだ。この峠を越えれば平泉は望下の元だ」

「では、西行様、我々はこれにて姿を消します」

東大寺闇法師、十蔵が告げた。

「何、お主は、私と同じ宿所に泊まらぬつもりなのですか」

「はい、私の面体にて、藤原秀衡様に変に疑いを生じせしめらば、東大寺

への勧進に影響ありましょう。私は沙金動かすときに現れます」

 十蔵は、西行の前から音もなく消え去る。

また十蔵につかづ張られずの、背後にいた結縁衆けちえんしゅうの気配も

同じように消えている。

今、西行の前に、平和なる黄金都市平泉の町並みが広がっていた。

西行の心がうごめいている。

平泉は京都とそっくりにつくられている。賀茂川にみたてられた北上川が、とう

とうと水をたたえ流れている。

東の山並み束稲山は比叡山である。

この桜を、西行との友情のため秀衡が植えてくれていた。

 平泉は当時人口十数万人を数え、この時期の日本では京都に次ぐ第二の

都市となっていた。清衡以来、わずか100年でこのように発展したのは、

この黄金の力による。

奥州王国は冶金国家であり、その基本は古来出雲から流れて来た製鉄民の集まりである。金売り吉次が重要な役割につけたのも、岡山のたたら師であった出自であったからだ。

 平泉・秀衡屋敷で西行を待ち受ける藤原秀衡は、この時六十七歳である。

西行様、おおよくご無事で、この平泉にこられたました」

秀衡はまじまじと、西行の顔と姿を見る。

「秀衡様、お年を召されましたなあ」

西行も嘆息した。

「前にお会いした時から、さあもう四十年もたちましたか。西行殿、当地に来

られた本当の理由もわかっておりますが、私も年を取り過ぎました。息子たち、

あるいは義経様がおられましたら、法皇の念ずるがままに、この平泉の地を

法皇様の別の支配地に出来ようものを。残念です」

「季節はすぎております。お見せしたかった。おお、東稲山の桜は、きれい

に咲いておりまする。その美しさは、ふふ、四十年前と変わらぬではござい

ませぬか」

続く20210830改訂

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源義経黄金伝説■第25回 西行は、多賀城に居る吉次と源義経救出について話しあう。平泉に向かう奥大道を歩く 静かの一行と出会う。その後静かは黒田の悪党に拉致される。

 

2022年01月20日 | 源義経黄金伝説(2022年版)
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源義経黄金伝説■第25回 西行は、多賀城に居る吉次と源義経救出について話しあう。平泉に向かう奥大道を歩く 静かの一行と出会う。その後静かは黒田の悪党に拉致される。
 

源義経黄金伝説■第25回

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平泉で、義経が感激している時期、西行は少し離れた、多賀城たがじょう

(現・宮城県多賀城市)に入っている。

奈良時代から西国王朝の陸奥国国府

鎮守府がおかれている。つまり、多賀城は西国王朝が東北地方を支配がせん

がためにもうけた城塞都市である。

いわば古来からの西国征服軍と先住アイヌ民族戦争での最前線指揮所である。

ここから先は、慮外の地、今までに源氏の血が多く流されしみついていた。

今も奥州藤原氏勢力との国境にあり、世情騒然たる有様である。鎌倉と平泉と

の間に戦端が開かれるかいなか、民衆は聞き耳をたてている。

西行は、多賀城にある金売り吉次の屋敷を訪ねる。

屋敷はまるで、御殿のようであり、「大王の遠つ朝廷みかど多賀城政庁

より立派な建物と評判であり、金売り吉次の商売の繁盛を物語っている。

ここ多賀城だけではなく、日本中に吉次の屋敷はあるのだ。

二人は先刻から、座敷に対峙していた。

吉次は赤ら顔でイノシシのような太い体を、ゆらゆらと動かしている。

体重は常人の倍はあるだろうか。

西行は、思いが顔にでていまいかと、くるしんでいる。

話はうまく行ってはいない。

「吉次殿、どうしても秀衡殿の荷駄の護衛を受けてくれぬか」

吉次はふっとためいきをいき、上目つかいで、ためないながら言った。

西行様、、、、いくら西行様のお願いとて、吉次は、今はやはり商人でござ

います。利のないところ商人は動きませぬ。今、藤原秀衡様は鎌倉殿と戦いの

火ぶたを切られようとするところ。さような危ないところに、吉次の荷駄隊を

出すことはできませぬ。やはり、昔のような事ができませぬ」

「わたしとお主との旧い縁でもか」

「牛若様、いや義経様が、鎌倉殿とあのような、今は、、、やはり、時期が

悪うございます」

「吉次殿、お主も偉くおなりだな」

 西行は吉次に嫌みを言った。

一体誰のお陰で、、この身上を吉次がきづけたのかという思いが西行には

ある。

西行様、もうあの頃とは時代が違ごうてございます。今は世の中は、鎌倉

殿、頼朝様に傾きつつまると、吉次は考えます」

「そういうことなら、仕方あるまい」

 西行、吉次の屋敷振り返りもせず出て行く。先を急がねば、

いつの間にか、姿を消していた重蔵の姿が現れている。

この2人をとりまくように、人影がまわりを取り巻き歩いている。鬼一方眼が

使わせた結縁衆である。

西行は重蔵に語りかけるのでもなく、、一人ごちた。

「不思議な縁だよ。いろいろな方々との縁でわたしは生きておる。平清盛殿、

文覚もんがく殿、みな、北面ほくめんの武士の同僚であった。清盛殿は平家の支配を確立し、文覚は源頼朝殿の旗揚げを画策し、この私は義経殿をお助けしたのじゃ。がしかし、この治承・文治の源平の争いの中を、この私が生き残ってこれたのも、奥州藤原秀衡ひでひら殿のお陰だ」

西行は昔を思い起こしている。

西行は、多賀城にある吉事屋敷をでて平泉に向かう奥大道を歩いていた。前を歩

く小者と乳母をつれた女性が静であるとに気付き、呼び止める。

「静殿、静殿ではござらぬか」

「ああ、西行様」

静は西行に気づいている。静も平泉を目指していると言う。

「お子様のこと、誠にお気の毒でござる。が、御身が助かっただけでもよいと

はせぬか」西行はなぐさめようとした。

「我が子かわいさのため、あの憎き頼朝殿の前で舞い踊りましたものを。

ああ、義経殿の和子を殺されました。ああ、くやしや」

「その事を確かめるのも、みどもの仕事であった。後白河法皇さまから、言わ

れておったのじゃで、静殿、この後はどうされるおつもりじゃ」

静は、少し考えて言った。

「行く当てとてございません。母、磯禅尼とも別れたこの身でございます」

「禅師殿とのう。さようか、そうなれば白河の宿の小山家こやまけまで

行ってくだされぬか。我が一族の家でござる」

西行の一族、藤原家はこの板東に同族が多い。その一の家にとどまれと西行

はいうのだ。

白河の関。まさか、義経様がそこまで…」

「はっきりしたことは言えぬ。が、義経殿に会える機会がないとも言えぬ」

「私が、西行様と同道してはならぬとお考えですか」

「ならぬ。儂の、この度の平泉への目的は、あくまでも東大寺勧進だ。

秀衡殿から沙金を勧進いただくことだ。女連れの道中など、目立ち過ぎ

る。鎌倉探題の義経殿に対知る詮議も厳しかろう。それに、いくら私が七

十才を過ぎた身なれば、何をいわれるかわかり申さぬ」

しづかは、ある疑いをたづねた。

「ひょっとして、西行様。わが母、磯禅尼とはなにか拘わりあいが、若き

時に」

静はつねから、疑問に思っていたのである。

「これ、静殿、年寄りをからかう物ではない」

が、静は自分の疑問がまだ広がっていくのを感じた。

 西行は、自分と乙前があったあの神泉苑で、その思い出の場所で、この

若い二人が、義経と静が、出会うとは思っても見なかった。縁の不思議さ

を感じている、やがて西行は意を決して言葉を発した。

「これは義経殿よりの便りじゃ」

「えっ、どうして、これが西行のお手に」

「儂がこのみちのくへ旅立つ前のことじゃ。実は、儂の伊勢にある草庵に

義経殿の使いの方がこられて、これを鎌倉のいる静殿に渡すよう頼まれ

たのじゃ。あの鎌倉では危のうて渡せなんだ」

西行さま、義経さまとは」

「たぶん、平泉であえるだろう」

「平泉。どうか、私もお連れください」

「それはならぬ。頼朝殿の探索厳しい、そのおりには無用だ。この地

にある小山氏屋敷に止まっておられよ。きっと連絡いたそう。これが私

の紹介の書状です。私の佐藤一族がこの地におる」

「きっとでございますよ」静は祈念した。

 西行と分かれ旅する静たちに気付く数人の騎馬武者がいる。

遠く伊賀国黒田庄に住まいしていた悪党、興福寺悪僧、鳥海、太郎左、次郎

左を中心とする寺侍、道々の輩の姿の者どもが板東をすぎる途中に、

14人に膨れあがっている。その一行である。

 黒田庄東大寺の荘園であり、東大寺の情報中継基地の一つであった。

大江広元からの指示を得て、西行のあとに追いついてきていた。

そこでめざとく静をも見染めている。

「おい、あれは静ではないか」鳥海がつぶやいた。

「おお、知っておる。見たことがあるぞ」

「あれは京一番の白拍子と謳われたのう。が、確か義経とともに吉野へ

逃げて、どうやら頼朝が離したらしいのう」

 鳥海が付け加えた。

「ふふう、ちょうどよい。ここでいただこうぞ」

「おう、そうじゃ。女子にもとんとご無沙汰じゃのう」

「よき話。幸先がよいのう。静は西行へのおさえにもなろう」

 なかの三人はゆっくりと、旅装の静たちを追い越し、一定の距離

で止まっている。静は何か胸騒ぎを感じた。

 騎上の三人がこちらを見ているのが、痛いほどわかる。

それも好色な目付きで、なめ回すように見ている。

首領らしい三人とも、普通の武士ではない。

加えて、心の荒れた風情が見えるのだ。

この戦乱の世でもその人間の壊れ具合が静かには手に取るようにわかる、

「そこなる女性、我々の相手を

してくれぬか」

静たちは無視して通り過ぎようとした。

「ほほう、耳が遠いと見えるわ」

「いや、違うじゃろう」

義経の声でないとのう、聞こえぬと見えるわ」

すわつ、鎌倉探題の追って、静は思った。

 静は走り出していた。

が、三人は動物のように追いかけて捕まえてい

る。小物と乳母はその場で切り捨てられいる。

「ふう、どうじゃ。我が獲物ぞ」

「兄者、それはひどいぞ」

「次郎左、よいではないか。いずれ、西行が帰って来るまで、こやつは

生かしておかねばならぬからのう」

「それも道理じゃ。ふふ、時間はのう、静、たっぷりとあるのじゃ」

 ひげもじゃの僧衣の男がにやついている。静の顔をのぞき込んでいる。

 街道の近くにある廃屋の外にひゅーっと木枯らしが吹いていた。

 可哀想な獣たち。

 静は、太郎佐たちを見てそう思った。

 きっと、この戦乱が悪いに違いない。静は舌を咬んで死のうかと思った。

が、万が一でも、義経様に会えるかもしれない。この汚れた体となっても、

義経様はあの子供のような義経様は許してくださるに違いない。

 静はそう思い、いやそう念じていた。この獣たちと生きて行くが上の信

仰となっていた。 この獣たちは、静の体を弄ぶとき以外は、非常に優し

かった。

静という商品の価値を下げてはいけないという思いと、以外と京

白拍子という、京に対する憧れが、静を丁寧に扱わせているのかもしれ

なかった。

「おい、鳥海。あの笛、止めさせぬか。俺はあの音を聞くとカンが立つ」

太郎左が言う。 静が廃屋で、源氏ゆかりの義経からもらった形見の薄墨

の笛を吹いているのである。

「よいではないか、兄者。笛ぐらい吹かせてやれ」

「次郎左、お前、静に惚れたか。よく庇うではないか」

静は、我が体が死しても義経に会わなければならなかった。こうなった今はなおさら、

続く 201308改訂

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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石の民「君は星星の船」第21回■アルクと光二は、石の男の心に沈む。が逆に石の男ムリムは、光二の心にダイブしてきた。そして光二の心の中に同じ意志の民アインを発見する。

 
 
 
IT石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?
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石の民「君は星星の船」第21回■アルクと光二は、石の男の心に沈む。が逆に石の男ムリムは、光二の心にダイブしてきた。そして光二の心の中に同じ意志の民アインを発見する。
 

石の民「君は星星の船」第21回

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「決まっているだろう。石の男の心底へだ」祭司アルクは言う。彼は娘ミニヨンを石の男の心そこから助けたい一心なのだ。

「ま、まだ心の準備が」光二のひざがわれそうだった。光二はミニヨンが死んだ光二の姉アリサだと信じているのだ。

「いまさら、何をいう、ここまできて」

「お前は男じゃないのか」アルクの祭司仲間ガルナが叫んでいた。今度は祭司ガルナが光二をばかにする番だっ

た。

「このおっさんにいわれると。ようし、早くいこうぜ、アルク祭司」

二人は沈んだ。 目の前にある石の壁、その中心にある石の男の中に。

『わっ、ここはいったい』

『ここが、石の男の『心底』だ』

ここはリあるな世界ではない。石の男の心の中なのだ。

光二のイメージとはかなり違う。灰色の霧がもやっている感じだった。二人のところに一

陣の風が吹く。二人の前に石の男が立っていた。

アルクか、しょうこりもなく帰ってきたのか。

アルク、いくら私のところへ来ても、ミニヨンを返すわけにはいかんぞ』

石の男はアルクを認めると笑ったようだった。

『今度こそ、ミニヨンを返してもらう』

アルクがはりきっている。

 石の男は、アルクのそばにいる光二に気がついた。

アルク、その男はだれだ』

『石の男、よく聞け、この若者は聖砲をもっている。私が世界のはてまでいって探してき

たのだ』

『なに、聖砲だと』

この若者が聖砲をもっている。ひょっとして。

が、なぜ、アルクが聖砲の事をしっているのだ。

ひょっとして「死せるものの船」になにかがあったのかもしれん。

一度この若者にかまをかけてみるか。

石の男は、光二にいぶかしげに尋ねる。

『光二とやら、君は石の民ではないのか』

『石の民、いったい、なんだ。それは。俺はVグループの光二だ、フッコウドームじゃち

ょっとは知られた名前だ。そんなことより、ミニヨンをわたしな』

 こいつは飛び切りのバカかもしれん、石の男は思った。が念には念をいれて。

 光二には答えず、逆に急に石の男は光二の心にしずんでいた。

光二は樹里の人々とは異なり心理バリヤーなどはならってはいない。 

なんだ、こいつの心の中は、ぐちゃぐちゃじゃ

ないか。光二の心の中は原色のかたまりだった。

それに有沙の思いでがいっぱいだった。

これはミニヨンか、いや少し、違うようだが、何か別のものが、驚くことがあった。 光

二の心のなかに、別の男の意識が隠されていた。

『お待ちしておりました。ムリム。私を助けにきてくださったのですか』

この心はアインという。石の男はよく知っていた。

『ああ、やはり、君か、アイン』石の男の名前はムリムという。

『そうです、あいつに追放されてこのありさまです。この光二とかいう男の心に閉じ込め

られているのです』

石の男ムリムの仲間、石の民アインの心が、光二の心底に閉じ込めら

れていた。

『この若者は石の民ではないのだな』石の男ムリムにアインがたずねる。

『そうです。あいつが私アインをとじこめる檻にしたのです』

『ところで、君は聖砲について知っているかね』

『はあ。どうもこの男、光二がもっているようなのですが、なぜか、わからんのです』

『聖砲は、我々があそこから追放された時に盗んだのですが』

『そうなのだ。なぜ、この男の手に』

『まあ、それはいい。さあ速く、この男の心からでるのだ。アイン、ひとりでも味方が欲

しいところだ。私、を助けてくれ』

『が、ムリム、この男の体と私の心は結び付けられているのです』

『という事は』

『この男も連れていかざるをえないのです』

『あの船へ、対決するために』

『そうです。聖砲を使って』

『よし、とりあえず、アルクを排除するか。そして、この光二とやらを、我々のために働

かそう』

石の男ムリムは自分の心底にまい戻る。

石の民 第21回

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源義経黄金伝説■第24回「我が子よ」  秀衡は、義経の体をがっしりと抱き締めていた。義経の少年のような健気さを、奥州の帝王は愛した 。

 
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1703dc/23/

 

源義経黄金伝説■第24回「我が子よ」  秀衡は、義経の体をがっしりと抱き締めていた。義経の少年のような健気さを、奥州の帝王は愛した
 

源義経黄金伝説■第24回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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奥州の黄金都市平泉にはすでに初雪が舞っている。

10万の人口を抱える中心に

ある藤原秀衡屋敷が騒がしかった。多くの郎党が玄関先に並んでいる。

「我が子よ」

 秀衡は、義経の体をがっしりと抱き締めていた。

それは親子の愛情

よりも、もっと根深いものであった。

いわば、お互いに対する尊敬の念であろ

う。が、この二人の仲むつまじさが、秀衡の子供たちの嫉妬を義経に集めたの

である。

「よくぞ、ご無事で、この平泉まで」

義経は肩を震わせている。それは平氏を打ち破った荒武者の風情ではない。

「遠うございました。が、秀衡様にお会いするまでは、この義経、死んでも死

にきれません」

「死ぬとは不吉な。よろしいか、この平泉王国、ちょっとやそっとのことで

は、頼朝を初めとする関東武士には、負けはいたしませんぞ。おお、どうなされ

た、義経殿」

義経は涙を流し、秀衡の前にはいつくばっていた。

「くやしいのでござる。実の兄の頼朝殿の振る舞い。それほど、私が憎いの

か。

疎ましいのか。一体、私が平家を滅ぼしたのが、いけなかったのか。私は父の

敵を打ちたかっただけなのです。おわかりでございましょう」

 秀衡は、義経の肩を抱き、慰めるように言った。

「おお、そうでございますよ。よーく、わかっております。その願いがなけれ

ば、あなたを戦の方法を習わせに、女真族の元まで、いかせるものですか」

奥州の帝王、藤原秀衡はゆっくりと義経の全身を見渡し、顔を紅潮させてい

る。

「そうなのです。私の戦い方は、すべてこの奥州、さらには秀衡様のお陰で渡

れた女真の国で学んだものでございました。おもしろいほどに、私は勝つこと

ができたのでございます」

義経は、頼朝のことも忘れて、目をきらきらさせて、戦の話始めていた。義経

の圧倒的な戦い方は、日本古来の戦法ではなかった。外国、特に騎馬民族から

学んだ戦い方、異なる戦い方をするということが、坂東武士から嫌われる原因

の一つともなっていたのである。

 義経は、純粋の京都人でありながら、平泉王国という外国へ行き、そこから

またもう一つ遠くの女真の国へ出向き、新しい地平を見たのであった。

 義経は、自分の力を試したかったのだ。自分の力がどれほどのものか。外国

で培った戦術がこの日本で、どれくらい有効なのか。義経は、そういう意味

で、戦術の技術者であった。

技術者同志ということで、不思議と冶金の技術者であった金売り吉次と気があったのかもしれなかった。もっとも、吉次は、今は商人という技術者だが。

 義経は京都人であった。ましてや、源氏という貴人の血を持っていた。また

義経は十五歳以降源頼朝の元へ参じる二十三歳までは、奥州人でもあった。奥

州は京都から見れば、異国である。義経はいわば奥州という外国生活をした訳

である。後年、戦術においては、それまで存在していた戦い方を一変させた義

経の戦闘方法は、いわば奥州という外国製である。

 義経にとって育ての親は、藤原秀衡である。秀衡は当初義経を京都に対する

政治的道具として使おうとしたであろう。

義経の素直さ。また何とも人を引き付けるいわば少年のような健気さを、この奥州の帝王は愛したのである。

続く2014改訂

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YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
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源義経黄金伝説■第24回「我が子よ」  秀衡は、義経の体をがっしりと抱き締めていた。義経の少年のような健気さを、奥州の帝王は愛した
 

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奥州の黄金都市平泉にはすでに初雪が舞っている。

10万の人口を抱える中心に

ある藤原秀衡屋敷が騒がしかった。多くの郎党が玄関先に並んでいる。

「我が子よ」

 秀衡は、義経の体をがっしりと抱き締めていた。

それは親子の愛情

よりも、もっと根深いものであった。

いわば、お互いに対する尊敬の念であろ

う。が、この二人の仲むつまじさが、秀衡の子供たちの嫉妬を義経に集めたの

である。

「よくぞ、ご無事で、この平泉まで」

義経は肩を震わせている。それは平氏を打ち破った荒武者の風情ではない。

「遠うございました。が、秀衡様にお会いするまでは、この義経、死んでも死

にきれません」

「死ぬとは不吉な。よろしいか、この平泉王国、ちょっとやそっとのことで

は、頼朝を初めとする関東武士には、負けはいたしませんぞ。おお、どうなされ

た、義経殿」

義経は涙を流し、秀衡の前にはいつくばっていた。

「くやしいのでござる。実の兄の頼朝殿の振る舞い。それほど、私が憎いの

か。

疎ましいのか。一体、私が平家を滅ぼしたのが、いけなかったのか。私は父の

敵を打ちたかっただけなのです。おわかりでございましょう」

 秀衡は、義経の肩を抱き、慰めるように言った。

「おお、そうでございますよ。よーく、わかっております。その願いがなけれ

ば、あなたを戦の方法を習わせに、女真族の元まで、いかせるものですか」

奥州の帝王、藤原秀衡はゆっくりと義経の全身を見渡し、顔を紅潮させてい

る。

「そうなのです。私の戦い方は、すべてこの奥州、さらには秀衡様のお陰で渡

れた女真の国で学んだものでございました。おもしろいほどに、私は勝つこと

ができたのでございます」

義経は、頼朝のことも忘れて、目をきらきらさせて、戦の話始めていた。義経

の圧倒的な戦い方は、日本古来の戦法ではなかった。外国、特に騎馬民族から

学んだ戦い方、異なる戦い方をするということが、坂東武士から嫌われる原因

の一つともなっていたのである。

 義経は、純粋の京都人でありながら、平泉王国という外国へ行き、そこから

またもう一つ遠くの女真の国へ出向き、新しい地平を見たのであった。

 義経は、自分の力を試したかったのだ。自分の力がどれほどのものか。外国

で培った戦術がこの日本で、どれくらい有効なのか。義経は、そういう意味

で、戦術の技術者であった。

技術者同志ということで、不思議と冶金の技術者であった金売り吉次と気があったのかもしれなかった。もっとも、吉次は、今は商人という技術者だが。

 義経は京都人であった。ましてや、源氏という貴人の血を持っていた。また

義経は十五歳以降源頼朝の元へ参じる二十三歳までは、奥州人でもあった。奥

州は京都から見れば、異国である。義経はいわば奥州という外国生活をした訳

である。後年、戦術においては、それまで存在していた戦い方を一変させた義

経の戦闘方法は、いわば奥州という外国製である。

 義経にとって育ての親は、藤原秀衡である。秀衡は当初義経を京都に対する

政治的道具として使おうとしたであろう。

義経の素直さ。また何とも人を引き付けるいわば少年のような健気さを、この奥州の帝王は愛したのである。

続く2014改訂

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