yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

封印惑星)第8回●侵入者アーヘブンは「天宮」端子のゴーストトレインの腹腔を突き破る。次に情報端子ユニコーンも爆破。北の詩人から手がかりが。総ては「天宮」の創作「情報ユニット」である。

 
CP封印惑星・封印された新地球で、情報収集端子である一角獣・新機類は、天空の光矢を見る。 それは新地球の解放者、世界樹の出現する予兆であった
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封印惑星)第8回●侵入者アーヘブンは「天宮」端子のゴーストトレインの腹腔を突き破る。次に情報端子ユニコーンも爆破。北の詩人から手がかりが。総ては「天宮」の創作「情報ユニット」である。

 

封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第8回●

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

山田企画事務所

ユニコーンは、ゴーストトレインに向かって大声でどなった。

「ゴーストトレイン、腹の中にいる生物が、今、動いたそ」

それを聞いて、ゴーストトレインは,少しばかり、腹の中にいる生物を消化して動かなくしてしまおうと考えた。

生物の意識部分だけでも、残しておけば、調査には充分だろう。

ゴーストトレインの腹腔内に、分解液を分泌し始める。

分解液は今までに新機類ユニコーンを多く解体していた。

やがてゴーストトレインの腹腔内は分解液で充満し、アーヘブンの体は、液中に沈んだ。

●「何だ、この液体は?」

アー・ヘプンの触手の一部が解けていた。

アー・ヘプンはこの液から逃がれようと、再び、触手を全開する。

が、腹腔はアー・ヘプンの触手にあわせ、やわらかく包み込むように自在に拡張した。

いくら試みても、柔らかなゴーストトレインの腹腔をつき破る事はできない。

アー・ヘブンは今度は、自分の体に蓄積している体内エネルギーを放つ。

光合成によって蓄積されたエネルギーだ。

アー・ヘブンの全身は赤色に輝き、次第に熱をおび始める。

●ゴーストトレインの腹腔が、今度は、アー・ヘブンの発した熱で溶ける。

穴は徐々院ひろがり、充分々大きさになったのを見はからって、

アー・ヘブンはゴーストトレインの腹腔の外へころがり堕ちた。

 それでもゴーストトレインは惰性で走り続け、張力が効かなくなった腹腔は

溶けた穴のために前後二つに裂けた。

上半身は、大球と小球を結ぶ「コード」軌道内部で、つっぷし、下半身は後にとりのこされたが、あたり一面に消化液が、「コード」軌道内部にぶちまけられた。

●アー・ヘブンはゆっくりと立ちあがり、横たわるゴーストトレインに近づく。

ゴーストトレインはかま首を突然持ち上げた。悲しそうな顔だった。

『この動く″木″は一体何だったのだろう』

それがゴーストトレインの最後の意識であった。

動く″木″である、アー・ヘプンは、ゴーストトレインの半透明の体が、コード内部の空気中に、消えていくのをながめている。

■ユニットコードナンバー 836250

ユニットタイトル 幽霊列車ゴーストトレイン

実体化された、情報ユニット「ゴーストトレイン」は消滅した。

大球と小球を結ぶコード軌道通路上には、二つの光るラインがずっと続いていた。

 急に、後からアー・ヘブンの体に衝撃があった。

 アー・ヘブンはゆっくりと振り向く。

 そいつは、ユニコーンだった。

ユニコーンの角が、アー・ヘプンの体を見事に突き抜けていた。

ユニコーンは自分のペアとゴーストトレインの敵討ちをしようとしたのだ。

「くそっ、僕の彼女とゴーストトレインをかえせ」

 ユニコーンはそう叫んでいた。

『無益な事をするな』

アー・ヘブンは悲しくなった。

アー・ヘブンのエネルギーが、ユニコーンの角に収斂する。

ユニコーンの両眼がまっ赤になる。ユニコーンの体はきしり、爆発した。

コード軌道ー面に、今度はユニコーンの肉片が散らばった。

角は、アー・ヘブンの体に突きささったままだった。

ゆっくりとアー・ヘブンの内部細胞は、ユニコーンの角を、体外へと押し出した。

角はコード上にころがりがち、ゆっくりと静止する。

角はユニコーンが存在したことの唯一の証拠に見える。

■ユニットコードナンバー 386574

ユニットタイドル ユニコーンの旅

情報ユニット消滅。

しばらくして、アー・ヘブンは、すぐ側に北の詩人が忍びよってきたことに気づく。

「北の詩人よ、教えてくれ、天宮はどこにある」

アー・ヘブンは、この生物の名が自分が「北の詩人」という事をなぜか知っている。

北の詩人は、少しづつ消滅しつつあるユニコーンの肉片の側にうずくまり、涙を流していた。

ユニコーンよ、とうとう、君までいなくなってしまった。僕はひとりぼっちじゃないか」

北の詩人はアー・ヘブンに問いただす。

「アー・ヘブン。なぜ、ユニコーンや、ゴーストトレインを殺したのた。私の数少ない友人達を」

北の詩人の言葉には、アー・ヘブンヘの激しい怒りが含まれている。

「許してくれ、北の詩人よ。私にとっても以外なのだよ。殺戮とか抹殺とかいう狂暴なイメージをふりまく事すら、昔の私には耐えられきい事だった。

が、私はやってしまった。いかなる事があろうと私は「天宮」の元に辿りつかなければ左らないのだ。それが私の使命なのだ」

アー・ヘブンは、悲しげに北の詩人の眼をのそき込んだ。

「それに君達は、この世界には存在しないはずの生き物なのだ。ただの天宮の「情報ユニット」なのだ。それが実体化させられたものだ。生物ではない」

「存在しないはずの生物だって?」

アー・ヘブンを見ていて、北の詩人は想いおこす事があった。

北の詩人は思わず、アー・ヘブンの体に両手をのばし、その表面をなてていた。

アー・ヘブンは、北の詩人の心に悪意のない事を知り、なすがままにした。

「ああ」

急に、北の詩人はうめき声をあげ、ひざをおとした。

北の詩人の眼からは、新たなる涙がこぼれ落ちていた。

「わが家よ、暖かき住み家よ、、」

北の詩人の口からは、そんなフレーズが湧き出ている。

「住み家だと? どういう意味だ」

「わからない。ても、僕のイメージ脳が、そう告げている」

涙をたたえた目で、北の詩人は言う。

「さあ、思い出してくれたまえ。こう質問を変えてみてもいい。北の詩人、君は「大球」のなか、一体、どこで生まれたのだね」

「どこで生まれたかって? 大球だって、、、そういえば、、」

北の詩人は、アー・ヘブンの体から手を放し、遠い所に視線を移して、昔の事を想い出し始めていた。

「そう、大地の中だ」

「地中はわかっている」

「闇の中、いや光があった。そうだ。空洞があり、私の仲間たちがそこにたくさん居た」

「仲間がたくさん居ただと?」

「そう。まだ、実体化していない多くの仲間だ」

「いったい、君やゴーストトレインは何者なのか、君はわかったか」

「僕達は、、僕達は、そう、「情報ユニット」が実体化されたものだ」

北の詩人は、そこまで言うと、突如、その場に倒れた。

自分白身の記憶の復活があまりに強烈だったのだ。これは事実だったのたろうか。

イメージ脳がくるったのか。そう、北の詩人は考えていた。

 北の詩人脳裏に浮かぶ。

かつてアー・ヘブンに似たモノ、動く″木″、に記号を印した事を思い出した。

すっと昔の事だ。

『かしのきに、ナイフでしるしを……』

(続く)

●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第8回●(1987年作品) 

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源義経黄金伝説■第62回★★建久六年(一一九五)三月奈良東大寺 法皇崩御3年後。すでに頼朝は兼実の手引きにより征夷大将軍の地位を得ていた。

 
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
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源義経黄金伝説■第62回★★建久六年(一一九五)三月奈良東大寺 法皇崩御3年後。すでに頼朝は兼実の手引きにより征夷大将軍の地位を得ていた。
 

源義経黄金伝説■第62回★★

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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■ 建久六年(一一九五)三月 奈良東大寺

法皇崩御3年後。

すでに頼朝は兼実の手引きにより征夷大将軍の地位を得ていた。

後白河法皇御万歳ごばんさい三ヶ月後、一一九二年七月十二日。

征夷大将軍の位を得て、鎌倉幕府が誕生した。日本始めての武家政権である。

東大寺落慶供養は、源頼朝、政子の列席のもと、

建久六年(一一九五)三月十二日に行われる事になった。

また、このときが、源頼朝、政子の愛姫、大姫の京都貴族へのお披露目の時である。

重源を頭目とする勧進聖たちは、立派にその役目を果たし、聖武天皇以来

の大仏と大仏殿が再び人々の目の前に姿を表していた。以降、大仏様という建

築様式で呼ばれることになる壮麗な南大門の中には、京都仏師に対する南都仏

師運慶、快慶の仁王像が力強い時代の到来を告げることになる。

鎌倉幕府の時代、武士の時代の始まりである。

貴族の牛車引きたちが、武者たまりでしゃべっていた。

「あれが東国武士か。恐ろしげなものよな」

「我々とは、人が違う。主も思うだろう」

「そうじゃ。あの大雨の中で揺るぎもせず、目をしばたかす、武者鎧をつけ

て、身じろぎもせず立っておるのだ」

「頼朝という者を守るためにのう」

「やはり、人ではない。動物に近いものだ」

「あやつらに、荘園が取り上げられて行くのか。悲しいのう。悪鬼のような、

仕業だ」

「いや、あやつら板東武者の力を借りて、貴族は荘園を守るしか仕方があるま

いて」

東大寺正門から両側の道に、ずらっと頼朝が武者が立ち並んでいる。

南大門、その他の門前にも、東国武士の恐ろしげな顔をした者共が並んでいた。

折あしく、春嵐が奈良近辺を襲っていた。

読経の中、空は暗雲に包まれて、若草山から、風雨が吹き荒れている。

居並ぶ京と貴族達は、これからの自分たちの行く末が、暗示されているよう

な気がしたのだ。

東大寺全体、奈良のすべてがまるで嵐の中、頼朝を長とする、源氏の軍勢に占

領されているように見える。

貴族たちの牛車は、脇に寄せ集めて、その他大勢の背景であり、時代の主役の

乗り物ではない。

この時、北条政子は、夫、頼朝にせっついていた。

「はよう、大姫、入内できるようお取り計らいくださいませ。あなたは、もう

征夷大将軍なのでございますよ。それくらいの実力は、おありになりますでし

ょう」

「わかっておる。すでに九条家を使い、かなりの沙金を貴族の方々に、ばら蒔

いておるのだ」

にえきらぬ頼朝の態度に、政子はいらついている。

(もし、頼朝殿の手づるがだめであるならば、そうだ、磯禅師の手づるを

頼もう。あの磯禅師の方が、このような宮廷工作には長けておるはず)

供養の途中、重源は、傍らにいる栄西に語りかけていた。

「良くご覧になるがよい。あれが源頼朝殿」

「では、あの小太りの田舎臭い女が、北条政子殿か」

「さようだ。話によると、頼朝殿は尻に敷かれているという」

「が、栄西殿は、せいぜい取り入ることじゃ。お主の茶による武者の支配を

お望みならばな」

後に、栄西は、尼将軍北条政子の発願により、鎌倉に寿福寺を開くことにな

る。

「それで、重源殿。奥州藤原氏の沙金は、いかがなされました」

重源は、栄西にすべてを語るわけにはいかぬ。

「それよ、栄西殿。西行殿は、はっきり申されぬうちに、亡くなってしまっ

た」

「もしや、頼朝が沙金を…。」

「うむ、頼朝殿奥州征伐のおり、かなりの砂金を手に入れたと聞く。この砂金を

つかい、今の地位を得たという話だ」

「もしや、西行殿が源義経殿の命の安全を図るために、砂金を使うという、、、」

「そうだ、その可能性はある。西行が、あの沙金を義経殿の命と引き換えに

したということは考えられるのう」

西行の入寂後、なぜ、重源は、東大寺の大仏殿裏山を切り崩したのか。

あるいは、あの裏山に奥州藤原氏の黄金が、と栄西は考えた。

では、頼朝よりの寄進とされる黄金は、ひよっとして、西行が運び込みし、

秘密の黄金かもしれぬ。では、その黄金を、頼朝からの寄進とすることで

西行が頼朝が得たものとは何か?少し、目の前にいる、食えぬ性格の重源殿

に鎌をかけてみようと、栄西は思った。

西行殿は、なぜそのように義経殿に肩入れをなさったのか」

重源は、その栄西の質問にしばし黙り、考えているようだった。

やがて、意を決して

「よろしかろう。栄西殿ならばこそ、申そう。西行はある方から、義経殿の

身の上を預けられたのだ」

「ある方じゃと、それは一体」

「よーく、考えてみられよ。西行殿の関係をな」

栄西はよくよく考えて、頷いている。

「そうか。相国、平清盛殿か」

得心した振りをして栄西は、 重源の晦渋さを再認識した。

この腹の裏をもたねば、これからの京都や鎌倉を相手に、勝負ができぬわけか、、

西行がなくなり、五年がたつ。

平清盛が、1181年治承5年、五十四歳でなくなり

十四年の月日が流れている。

地位を手にいれた家族が幸せかどうか。

東大寺落慶供養の式次第の後、 大姫と頼朝、政子は、奈良の宿所となった興福

寺大乗院の寝殿で争っていた。

「どうした、大姫。顔色がすぐれぬが」

「そうですよ。これも皆、お前を入内させんがため、父上も私も努力している

のですよ」

「私は、私は…」

大姫は小さきか弱き声で自分を主張しようとした。

「どうしたのじゃ、思うこと言うてみなさい」

「いまでも志水冠者様を愛しているのでございます。皇家のどなたの寵愛も、

受ける気はございません」

「何ということを言うのか」

「お謝りなさい、大姫」

「いやです。私は私です。私は父上や母上の、政治の道具ではないのです」

「何を言うのじゃ。俺はお前の行く末を思えばこそ」

「嘘です。父上は、私のことなど、お考えではない」

「バカモノめ」

勢いあまって、頼朝は、大姫に平手を食らす。

「まあまあ、落ち着いてくだされ。大殿様、仮にもここは晴れの席。まして大

殿様は、いまや征夷大将軍でございますぞ」

その場は落ち着かせた。

政子は、鎌倉をたつ前にあることを思いついていた。

静を大姫に合わせることである。

20131020(続く)

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封印惑星)第7回●「天宮」の端子ゴーストトレインは、侵入者アーヘブンを 飲み、「木」の味が。「天宮」はそれを 自分の「大球」へと命令する。別の端子、北の詩人は その「木」に涙を流す。

 
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封印惑星)第7回●「天宮」の端子ゴーストトレインは、侵入者アーヘブンを 飲み、「木」の味が。「天宮」はそれを 自分の「大球」へと命令する。別の端子、北の詩人は その「木」に涙を流す。
 

封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第7回●●

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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●北の詩人は考えていた。

私はどこへ行くのだろう。

北の詩人は、ユニコーンから降りて、大球と小球をつなぐ「コード」の中間地点である

通路に腰かけていた。

やがて、北の詩人は、通路の奥、つまり「小球」側に近い所から大きな音が響いてくるのを聞いた。

何だろう。

北の詩人は、すぐに立ち上がると、ユニコーンに音のした方向へ進むように命じた。

 ●ゴーストトレインは、倒れているアー・ヘブンの体をさぐる。

自分のかま首をアー・ヘブンの体にあてる。

鼻先から黒い舌の様なものが飛びでる。

どうやら、今までにむさほり食った新機類ユニコーンのたぐいではないらしい。

この侵入者の端をすこしばかり、かじってみる。

 表面は固いクチニン質で被われている。

この舌ざわりは、ゴーストトレインに「木」というイメージ語を、意識巣から思いおこした。

 同時に、レール。枕木という単語が、意識巣から、頭の中に、こぼれ落てくる。

 このイメージはすぐさま、ゴーストトレインの支配者である[天宮]へ送られた。

「天宮」は木というイメージ語から、自分の体を構成するモノとの相似に愕然とした。

「木だと。誰なんだ。誰かが、私天宮に何かの信号を送っているのかもしれん。

私は長い間、眠りについていたのだ。私の覚醒におびえている者がいるかもしれん』

 「天宮」はコード軌道内にいるゴーストトレインに命令する。

『ゴーストトレイン。その侵入者を食べるな。侵入者を積み込み、私のいる「大球」へ戻ってこい』

●北の詩人は、ようやく、その場所へ辿りついていた。目の前でゴーストトレインが何かを食べようとしていた。

よく見るとゴーストトレインは、その何かを噛まずに、飲み込もうとしていた。

北の詩人にとって、飲み込これたもの(アーヘブン)の姿は、彼のイメージ脳をいたく刺激した。

 北の詩人の眼から、いつしか温いものが流れていた。

「この液体は! ああ、そうだ、「涙」というんだったな」

 北の詩人は独りごち、手で涙をぬぐう。

『なぜ、涙が流れるのだろう。それにこの心の奥から湧いてくる切ない気持はなんだろう』

 さわりたい。

あのアー・ヘプンの体にふれてみたいと北の詩人は思う。

 なぜか、北の詩人は、その物体が「アー・ヘプン」という名を持つ生合体である事を知っていた。

 北の詩人の手は、ゴーストトレインの半透明々体を貫き、すでに消化器に入っているアー・ヘブンの体をなでまわした。

 ゴーストトレインは、いつの間にか北の詩人が現われた事や、さらに自分の体の中の生命体をさわって泣いている事に驚いていた。

●ゴーストトレインは、北の詩人を見た。一体どうしたのだという表情で。

『いったい、この侵入者は伺なのだろう。

かつて、大球と小球をつなぐコード軌道内にある透視層を、突き破った生命体はいなかった。

それに、なぜ北の詩人が泣いているのだ』

 ゴーストトレインは、不思議に思った。

「ねえ、北の詩人、君は、この生合体を知っているのか」

「いや」 北の詩人は首を振る。そして続けた。

 「知らない。が、とてもなつかしい気がするんだ。この侵入者に触れてみ

たかったんだ」

 「なつかしいだって? どんな気分々のか、俺にはわからないなあ。とにかく、俺は「天宮」さまから命令を受けている。この生物を「大球」までつれて帰れとね」

 ゴーストトレインは、寂びしそうな顔をしている北の詩人に尋ねた。

「俺と、一緒に来るかね」

「いや、僕はユニコーンに乗せてもらうよ」

「そうか、それじゃ、俺は先にいくぜ」

北の詩人は、後をふりかえってユニコーンを呼んだ。

ユニコーンは、対のふたつに分かれた死体のそぱにいた。ユニコーンは無心に死体にしゃべりかけていた。

「君は、どうして、僕と一緒に実体化しなかったのだろう。僕は待っていたんだよ。いつの間にか君が僕達を追いこして、コードにはいっていたなんて……」

ユニコーン、こっちに来てくれ」

 今度は、北の詩人の声が聞こえたらしくユニコーンは、北の詩人の側にやってきた。

北の詩人の様子に驚く。

 「どうしたんだい、泣いているのかい。何か、悲しいことでもあったのかい。そう泣かないでかくれよ。僕も、彼女が死んでいるのを見て驚いているんだ」

 北の詩人が、心配そうに尋ねた。

「彼女だって、あのユニコーンか」

「そうなんだ。情報ユニット「ユニコーンの旅」とは、僕と彼女の小球への旅々なんだ」

「そうか。悪い事をしたんだね、僕は」

 北の詩人は、また泣き出した。

「しかたがないよ。もう彼女は生き返りはしない。早く、僕の背中に乗りなよ。ゴーストトレインを追いかけるんだろう」

「頼むよ」

「でも、なせ、ゴーストトレインに乗せてもらわなかったんたい」

 北の詩人は答えす、首を左右にふった。

「わかったよ、泣かないてくれよ。僕もとても悲しいよ」

●アー・ヘブンは、ゴーストトレインの腹腔で、徐々に回復しつつあった。

傷ついた表皮は復原機能が働き、元に戻りつつあった。

 アー・ヘブンは自分の体が、振動しながら移動していることに気づく。

体が空中に浮かんでいる。

 空気が高密度に収斂し、動いている。

空気の構成因子が膨張し、実体化され、ゴーストトレインという一つの生体機械を作り出しているのだ。 

ゴーストトレインの車体部分はほとんど古代の動物そのものであり、しかも半透明だった。

 アー・ヘブンは腹腔の中にとらえられたままでいようと思った。

そうすれば、天宮の元まで、おのずと連れて行ってくれるだろう。

(続く)

●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第7回●(1987年作品) 

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源義経黄金伝説■第61回★建久三年(1192)3月13日、後白河法皇、66歳で崩御。「わが王朝と貴族の連枝を守るのだ。藤原の兼実殿のお役目ぞ」と遺言する。

 
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源義経黄金伝説■第61回★建久三年(1192)3月13日、後白河法皇、66歳で崩御。「わが王朝と貴族の連枝を守るのだ。藤原の兼実殿のお役目ぞ」と遺言する。
 

後白河法皇の最愛の人、丹後局たんごのつぼね高階栄子が、藤原(九条)兼実をせかす。

「それそれ、兼実殿、よいか、よーくおおききいれくだされや。猊下のお言葉です」。

「よいか、兼実殿。京都に残るすべての貴族方々に告げられよ。皆々、その連枝を以て、家伝とされ、それを子孫についでゆかれよ。またそれを以て、朕が、皇家を護るらしめよ。その連枝れんしをもって我が王朝を助けよ。まもれよ」

「坂東の族どもには、それしかないとおっしゃりますか」

「幸い、西行がはり巡ぐらせし「しきしま道」は、朕らが皇家の護りとなろうぞ。「しきしま道」和歌により、、言葉にて、我国土は護られようぞ。言葉の守りぞ。外つ国には、 断じて我が領土は、ふめぬ、、わ」

言葉による防衛網が、張られていると、後白河法皇はいうのだ。

本文編集

源義経黄金伝説■第61回★

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■ 建久三年(1192)3月13日京都

後白河法皇の御殿に藤原(九条)兼実が現れる。

後白河法皇の最愛の人、高階栄子からの至急の呼び出しがあったのだ。

彼女が丹後局たんごのつぼねである。

法皇の部屋には、病人独特のにおいが立ちこめ、香りがたかれていて、九条兼実は、むせかえりそうになった。

兼実は、すでに死のにおいをかいでいる。

病床にある後白河法皇は、力なくやっと左手をあげ、「兼実、ちこうまいれ」と

弱々しげに言った。

「ははつ、後白河法皇様。何かおっしゃりたきことがござりますやら」

「そばに行かれよ」

後宮の女帝、高階栄子が、兼実をせかす。

「朕の遺言じゃ聞いてくだされ」

「、、、、」

「よいか、それぞれの貴族の家は、古式ののっとり、各家々の特異技を家伝とされよ」

「それが、板東の奴輩に対抗する手でござますか」

藤原兼実も、すでに藤原氏の氏の長者うじのちょうじゃになっているのだ。

「朕が遺言、よくよく聞いてくださるか。兼実殿」

後白河法皇が、言った。

高階栄子が、兼平をせかす。

「それそれ、兼実殿、よいか、よーくおおききいれくだされや。猊下のお言葉です」。

「よいか、兼実殿。京都に残るすべての貴族方々に告げられよ。皆々、その連枝を以て、家伝とされ、それを子孫についでゆかれよ。またそれを以て、朕が、皇家を護るらしめよ。その連枝れんしをもって我が王朝を助けよ。まもれよ」

「坂東の族どもには、それしかないとおっしゃりますか」

「幸い、西行がはり巡ぐらせし「しきしま道」は、朕らが皇家の護りとなろうぞ。「しきしま道」和歌により、、言葉にて、我国土は護られようぞ。言葉の守りぞ。外つ国には、 断じて我が領土は、ふめぬ、、わ」

西行法師を始め和歌によって、言葉による国家の霊的防衛網が、張られていると、後白河法皇はいうのだ。

「これによりわが国は神と仏による鎮御国家となった」

「まずは藤原定家が先陣かと考えます」

法皇は、急に目をつぶり、静かになる、

「母君、兄君。いまおそばにまいらせましょう。目宮めのみや君、萎宮なおのみや君もな」

法皇は、4人目の宮、4つの宮であり、自分の兄弟の名前を呼んだ。

目宮は眼が見えず。萎宮は体が動かなかったのだ。

「御家を、それぞれの家を、古式由来の技で守ってくだされや。いにしえよりの我々貴族のわざこそ我ら貴族を守る。朕の遺言ぞ、、」

「兼実殿、、、」

「はっつ」

「お、お主とは、、最後まで、、分かり合える事は、、なかった、、な」

「、、」

「が、頼んだぞ。わが王朝と貴族の連枝を守るのじゃ。、、それが藤原の、、」

「よいか、藤原の兼実殿のお役目ぞ」

丹後局である高階栄子が、かたわらで繰り返す。

法皇の様態が変化した。

「弁慶に謝ってほしい。お、お前から伝えてくれぬか、、」

「弁慶どの、、ですか、、」

兼実は言いよどむ。熱病にとらわれているのか、法皇は、すでに弁慶がこの世

の人ではないことを忘れている。

4年前1189年文治5年4月30日に衣川でなくなっている。

「兼実殿、猊下のお言葉にあわせられよ」高階栄子が、叱咤する。

「朕は、この父は、悪人であった。弁慶お前を我が王朝の闇法師として使ってのう、許してくれ。お前の一生を犠牲にしてしまっての」

法皇は、弁慶が目の前にいるようにしゃべっているのである。

兼実が弁慶に見えるようだ。兼実は、法王のいいがままにしている。

弁慶は法皇の子供だった。

「朕はな、この京都を守りたかった。あの鎌倉が武者どもに、板東の蛮人

どもに政権は渡せぬぞ。

血なまぐさき奴輩。京都を源頼朝藤原秀衡に渡してなるものか」

しばらくは沈黙が続く。

「そうじゃ、西行は、西行はどこだ。崇徳上皇の霊が俺を呼んでおる。

早く、早く、崇徳の霊を追い払ってくれ。のう、西行。そうだ、平泉にの霊

御殿をつくる話は、、いかがすすんでおる。藤原秀衡は喜んでおるか…」

兼実は、西行になったつもりで、告げた。

西行はここにおわしますぞ。どうぞ、法皇様。経文を、経文をお唱えくだされませ」

「何、経文をか。よしわかったぞ。それに西行、もし朕が亡くなれば、よい

か。あの法勝寺殿の跡に葬ってくれ。くそっ、木曾義仲め」

法勝寺殿は、現在の三十三間堂あたりにあった法皇の御殿であり、義仲の襲

撃によって焼き払われていた。

八角九重の塔は、八十二mの高さを誇り遠くから望見できた院政と京との象徴であったが、今はそれもない。

法皇、安んじなされませ。やや、経文をお読みくだされ…」

「おお、そうだ。そうだ」

後白河は、経文を六度唱えた、そして静かに。院政最期の巨人は崩御された。

猊下…」

丹後局以下侍女たちが嘆き悲しむ。

しかし、藤原(九条)兼実は、法皇の亡きがらを前に、考える。

これで、、頼朝殿に征夷大将軍の位を与えることができる。

藤原(九条)兼実は鎌倉殿、頼朝びいきの男であった。

建久三年(1192)3月13日、後白河法皇崩御。66歳であった。

その昔、西行崇徳上皇の霊をしずめることで、後白河法皇の信任を得ていた。

西行は、平泉に第二の御所をつくることと引き換えに、崇徳上皇白峰神宮をつくることを約束していたのである。

(続く) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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源義経黄金伝説■第61回★建久三年(1192)3月13日、後白河法皇、66歳で崩御。「わが王朝と貴族の連枝を守るのだ。藤原の兼実殿のお役目ぞ」と遺言する。

 
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
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源義経黄金伝説■第61回★建久三年(1192)3月13日、後白河法皇、66歳で崩御。「わが王朝と貴族の連枝を守るのだ。藤原の兼実殿のお役目ぞ」と遺言する。
 

後白河法皇の最愛の人、丹後局たんごのつぼね高階栄子が、藤原(九条)兼実をせかす。

「それそれ、兼実殿、よいか、よーくおおききいれくだされや。猊下のお言葉です」。

「よいか、兼実殿。京都に残るすべての貴族方々に告げられよ。皆々、その連枝を以て、家伝とされ、それを子孫についでゆかれよ。またそれを以て、朕が、皇家を護るらしめよ。その連枝れんしをもって我が王朝を助けよ。まもれよ」

「坂東の族どもには、それしかないとおっしゃりますか」

「幸い、西行がはり巡ぐらせし「しきしま道」は、朕らが皇家の護りとなろうぞ。「しきしま道」和歌により、、言葉にて、我国土は護られようぞ。言葉の守りぞ。外つ国には、 断じて我が領土は、ふめぬ、、わ」

言葉による防衛網が、張られていると、後白河法皇はいうのだ。

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源義経黄金伝説■第61回★

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■ 建久三年(1192)3月13日京都

後白河法皇の御殿に藤原(九条)兼実が現れる。

後白河法皇の最愛の人、高階栄子からの至急の呼び出しがあったのだ。

彼女が丹後局たんごのつぼねである。

法皇の部屋には、病人独特のにおいが立ちこめ、香りがたかれていて、九条兼実は、むせかえりそうになった。

兼実は、すでに死のにおいをかいでいる。

病床にある後白河法皇は、力なくやっと左手をあげ、「兼実、ちこうまいれ」と

弱々しげに言った。

「ははつ、後白河法皇様。何かおっしゃりたきことがござりますやら」

「そばに行かれよ」

後宮の女帝、高階栄子が、兼実をせかす。

「朕の遺言じゃ聞いてくだされ」

「、、、、」

「よいか、それぞれの貴族の家は、古式ののっとり、各家々の特異技を家伝とされよ」

「それが、板東の奴輩に対抗する手でござますか」

藤原兼実も、すでに藤原氏の氏の長者うじのちょうじゃになっているのだ。

「朕が遺言、よくよく聞いてくださるか。兼実殿」

後白河法皇が、言った。

高階栄子が、兼平をせかす。

「それそれ、兼実殿、よいか、よーくおおききいれくだされや。猊下のお言葉です」。

「よいか、兼実殿。京都に残るすべての貴族方々に告げられよ。皆々、その連枝を以て、家伝とされ、それを子孫についでゆかれよ。またそれを以て、朕が、皇家を護るらしめよ。その連枝れんしをもって我が王朝を助けよ。まもれよ」

「坂東の族どもには、それしかないとおっしゃりますか」

「幸い、西行がはり巡ぐらせし「しきしま道」は、朕らが皇家の護りとなろうぞ。「しきしま道」和歌により、、言葉にて、我国土は護られようぞ。言葉の守りぞ。外つ国には、 断じて我が領土は、ふめぬ、、わ」

西行法師を始め和歌によって、言葉による国家の霊的防衛網が、張られていると、後白河法皇はいうのだ。

「これによりわが国は神と仏による鎮御国家となった」

「まずは藤原定家が先陣かと考えます」

法皇は、急に目をつぶり、静かになる、

「母君、兄君。いまおそばにまいらせましょう。目宮めのみや君、萎宮なおのみや君もな」

法皇は、4人目の宮、4つの宮であり、自分の兄弟の名前を呼んだ。

目宮は眼が見えず。萎宮は体が動かなかったのだ。

「御家を、それぞれの家を、古式由来の技で守ってくだされや。いにしえよりの我々貴族のわざこそ我ら貴族を守る。朕の遺言ぞ、、」

「兼実殿、、、」

「はっつ」

「お、お主とは、、最後まで、、分かり合える事は、、なかった、、な」

「、、」

「が、頼んだぞ。わが王朝と貴族の連枝を守るのじゃ。、、それが藤原の、、」

「よいか、藤原の兼実殿のお役目ぞ」

丹後局である高階栄子が、かたわらで繰り返す。

法皇の様態が変化した。

「弁慶に謝ってほしい。お、お前から伝えてくれぬか、、」

「弁慶どの、、ですか、、」

兼実は言いよどむ。熱病にとらわれているのか、法皇は、すでに弁慶がこの世

の人ではないことを忘れている。

4年前1189年文治5年4月30日に衣川でなくなっている。

「兼実殿、猊下のお言葉にあわせられよ」高階栄子が、叱咤する。

「朕は、この父は、悪人であった。弁慶お前を我が王朝の闇法師として使ってのう、許してくれ。お前の一生を犠牲にしてしまっての」

法皇は、弁慶が目の前にいるようにしゃべっているのである。

兼実が弁慶に見えるようだ。兼実は、法王のいいがままにしている。

弁慶は法皇の子供だった。

「朕はな、この京都を守りたかった。あの鎌倉が武者どもに、板東の蛮人

どもに政権は渡せぬぞ。

血なまぐさき奴輩。京都を源頼朝藤原秀衡に渡してなるものか」

しばらくは沈黙が続く。

「そうじゃ、西行は、西行はどこだ。崇徳上皇の霊が俺を呼んでおる。

早く、早く、崇徳の霊を追い払ってくれ。のう、西行。そうだ、平泉にの霊

御殿をつくる話は、、いかがすすんでおる。藤原秀衡は喜んでおるか…」

兼実は、西行になったつもりで、告げた。

西行はここにおわしますぞ。どうぞ、法皇様。経文を、経文をお唱えくだされませ」

「何、経文をか。よしわかったぞ。それに西行、もし朕が亡くなれば、よい

か。あの法勝寺殿の跡に葬ってくれ。くそっ、木曾義仲め」

法勝寺殿は、現在の三十三間堂あたりにあった法皇の御殿であり、義仲の襲

撃によって焼き払われていた。

八角九重の塔は、八十二mの高さを誇り遠くから望見できた院政と京との象徴であったが、今はそれもない。

法皇、安んじなされませ。やや、経文をお読みくだされ…」

「おお、そうだ。そうだ」

後白河は、経文を六度唱えた、そして静かに。院政最期の巨人は崩御された。

猊下…」

丹後局以下侍女たちが嘆き悲しむ。

しかし、藤原(九条)兼実は、法皇の亡きがらを前に、考える。

これで、、頼朝殿に征夷大将軍の位を与えることができる。

藤原(九条)兼実は鎌倉殿、頼朝びいきの男であった。

建久三年(1192)3月13日、後白河法皇崩御。66歳であった。

その昔、西行崇徳上皇の霊をしずめることで、後白河法皇の信任を得ていた。

西行は、平泉に第二の御所をつくることと引き換えに、崇徳上皇白峰神宮をつくることを約束していたのである。

(続く) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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封印惑星)第6回●ハーモナイザーからの派遣端子アー・ヘブンは、スパイダーネットから抜け、ユニコーンに遭遇。が ハーモナイザーのこの監視用端子に、アー・ヘブンは 同化できず、危機を感じる。

 
封印惑星・封印された新地球で、情報収集端子である一角獣・新機類は、天空の光矢を見る。 それは新地球の解放者、世界樹の出現する予兆であった
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封印惑星 第6回●ハーモナイザーからの派遣端子アー・ヘブンは、スパイダーネットから抜け、ユニコーンに遭遇。が ハーモナイザーのこの監視用端子に、アー・ヘブンは 同化できず、危機を感じるた。
 

封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第6回●

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アー・ヘブンは意識をとり戻す。

奇妙な液体がアー・ヘブンの体をとりかこんでいる。

アー・ヘブンはすばやくこの液体の成分を分析する。

 塩分、鉄分、鉱物資源を多く含む液体層。それが透視層だった。

 この中で生物体はやすらかに眠り、その眠りの間に、生体や生体細胞、生体情報が、すみからすみまで分析される。

 アー・ヘブンは,層内には数々の星の、種々の精一構造を持つ星人の意識が浮遊しているのを読みとっていた。

それらの意識は、スパイダーネットによってつかまえられた星人の意識なのだろう。

この透視層に浮かんでいる星人の意識は、色々な事を叫びつづけている。

幻想的なイメージでー杯なのだ。そのイメージは一種、心のトリップをかもわせ、アー・ヘブンも興昧屎かった。

私も、そんな意識因子になるのか。

アー・ヘブンは、快いまどろみの中でそう感じた。

それもいいかもしれない。

ハーモナイザー末端部の個性群体に属していた時の気分に戻っていた。

まるで、羊水の中にいるようだ。

アー・ヘブンの心は、さまよっている。

それはとてもいい気分であり、、長い宇宙飛行のあとの休息、、

それに、体もバラバラに解体され……

すでに「アー・ヘプンの切り離された肉片」が解けて、同化しようとしていた。

『何をしている、アー・ヘブン』

 心の奥で光るものがあり、それがまどろみをさえぎろうとする。

『アー・ヘブン、お前の使命は何だ。それを思いだせ』

その声は明らかに怒っていた。

アー・ヘブンに言いきかせている何かが、アー・ヘブンの心のどこかにいた

『その透視層の中から抜け出せ。溶液の中から逃げ出すのだ』

光の声は、そう叫んでいた。

まどろみたい、この安らかな溶液の中で。

意識が再び沈んでいきそうだった。

相反する二つの意志。

アー・ヘプンの心はまっ二つに分裂する。

そんな気がする。

どうすればいいのか。

自問自答する。

 意識の中の光が、働いていた。

『そこから、はい出せ」

アー・ヘブンは、自分の球体に内包している全ての触手を、全開した。

3番目の触手が、透視層の外壁を一気に突き破っていた。

破れ口は拡がり、溶液は流れ出て、勢いにのって、アー・ヘブンも押し出された。

 溶液に含まれている種々の星入の意識が、コードの内壁に拡がる。

それらはバチバチと音をたてて、コード内に張りめぐらされた「天宮」の神経糸を刺激した。

 アー・ヘブンは、しばらく倒れていたが、肉体としてなんとか立ちあがる。

アー・ヘブンはの視覚組織は、自分の目の前にいる生物体を読み取っていた。、

 その生物体はたしか、、、、。

 天宮に関する知識を、プレイバックする。

 「そうだ、新機類か」

 アー・ヘブンは、思い出していた。

 この新機類、ユニコーンは、ハーモナイザーが作り出したものだ。

そう確か、ハーモナイザーが天宮を監視するために、新機類と呼ばれるユニコーン型の観測機械を大球上に配置したはずだ。

 が、何かが少し違っている。

 アー・ヘブンは、ユニコーンに意識を送り込み、意識を融合しようと努めた。

しかし、アー・ヘブンの意識は、はじきかえされた。

やはり変だ。

ユニコーンの意識に同化できない。

ハーモナイザーの意識の一部であるならば、たやすく「アー・ヘブン」と内部で意識融合できるはずガのだ。

が、意識の融合現象は、おきなかった。

あきらかに、そのユニコーンは何ものかに加工されたに違いなかった。

アー・ヘブンはゆっくりと、ユニコーンヘ近づく。

それより先に、ユニコーンの方がアー・ヘブンヘ接近してくる。

ユニコーンは勢いづいていた。ユニコーンの角がキラリと光っている。

眼には憎しみの感情があふれている。

 感情だと! 

それも憎しみの!

アー・ヘブンには理解しがたかった。

憎しみの感情がまだ残っているのか

このような感情は、ハーモナイザーの世界には存在しないはずだ。

憎しみの感情が、こんきに原始的な形で存在しているなんて!

アー・ヘブンは、未知の異なる存在に対する反応をおこしていた。

ユニコーンは、あきらかに、私アー・ヘブンを抹殺しようとしている。

 「抹殺!」

何んという、原始的な感情なのだろう。

が、アー・ヘブンも古い本能を思い出していた。

それは、先刻、透視層をつきやぶった時から、徐々に、アー・ヘブンの心を浸しつつあり、自分でも統禦できないものだった。

「身を守る」という概念が、古い意識の下から蘇ってきていた。

ユニコーンの角は、アー・ヘブンの第一表皮に接触した。

瞬時、アー・ヘブンは自らの体内エネルギーを解き放っていた。

ユニコーンは動きを止め、胴体の真中からばっくりと二つに割れた。

腹腔から、ずるっと内臓があふれ出た。

湯気をあげているそれは、機械内臓ではなく、有機体のそれだった。

アー・ヘブンは第一触手を、ユニコーンの体内に這わせ、神経記憶を読みとろうとした。

『彼女が目ざめた時、すでに連れはいなかった。彼女は彼と旅をするはずだった。

どうやら「北の詩人」という存在とすでに旅立ったらしい。

彼女、ユニコーンは、彼「北の詩人」を求めて、大球をさまよった。

が、大球では見つけることができなかった。

しかたなく、彼女は、コード内に侵入し、異物とそうぐうしたのだ:・・

「この記憶は……」

アー・ヘブンがユニコーンの記憶に驚いた一瞬、危険という概念が、電撃の様に体を貫いていた。

巨大な物体に、アー・ヘブンははじき飛ばされていた。

(続く)

●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第6回●(1987年作品) 

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源義経黄金伝説■第60回 建久元年(一一九〇)三月 京都 落ち込んでいる、師匠の文覚を明恵(みょうえ)と戒名した夢見がたづねる。 「この手で 西行をあやめたのだ。頭にこびりつく」

 
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
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源義経黄金伝説■第60回 建久元年(一一九〇)三月 京都 落ち込んでいる、師匠の文覚を明恵(みょうえ)と戒名した夢見がたづねる。 「この手で 西行をあやめたのだ。頭にこびりつく」
 

●前説ー

後白河法皇の前に、歌の名人、藤原定家ふじわらていかが呼ばれている。

西行の名前を残して起きたいのだ」

西行様の歌を後世に残す、麻呂も賛成でございます、で、いかかななりあいといたしましょう

や」

「よいか、お主が編纂をしておる歌集に、西行の歌を数多く入れるのだ。 西行法師を歌

聖人としたい。それが、西行に対する朕のせめての償いないとなろう。 わが国

の「しきしま道」の戦士としての。西行の名を高めよな」

後白河法皇の頭の中には、色々な今までの西行に対する命令がうづまいていた。

「まあ、よい、奥州藤原に対する絆の一つが消えたが、すでに平泉が 源頼朝

ものとなっては、、後は、頼朝にたいする、いや、板東に武家のたいするわが王家の 仕組

みをどうすすか」

西行をうしなった後を、誰でうめようか。と後白河法皇は考えているのだ。

が、法王は、弟、崇徳の霊にも対応をせねばならなかった。

●前説ー

源義経黄金伝説■第60回

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■ 建久元年(一一九〇)三月 京都

後白河法皇の前に、歌の名人、藤原定家ふじわらていかが呼ばれている。

西行の名前を残して起きたいのだ」

西行様のおお名前を、麻呂も賛成でございます、で、いかかな手立てを施しましょうや」、

「よいか、お主が編纂をしておる歌集に、西行の歌を数多く入れるのだ。 歌

聖人としたい。それが、西行に対する朕のせめての償いとなろう。 わが国

の「しきしま道」の戦士としての。西行の名を高めよな」

法皇の頭の中には、色々な今までの西行に対する指令がうづまいていた。

「まあ、よい、奥州藤原に対する絆の一つが消えたが、すでに平泉が 源頼朝

ものとなっては、、後は、頼朝にたいする、いや、板東に武家にたいする 仕組

みをどうするか」

西行をうしなった後を、誰でうめようか。と後白河は考えている。

が、後白河法皇は、弟、崇徳上皇の霊にも対応をせねばならなかった。

西行が企み、それは、平泉を陰都として、崇徳上皇を祭り、北の都の祭りとし、頼

朝に対応される事であったが、頼朝が、西行と法王の企みすべてを打ち砕いて

いた。奥州平泉は先年(1189年)文治5年に頼朝の手におちている。

おう、身震いがした、

崇徳上皇が悪霊か、、 後白河法皇は遠く讃岐の方を見た。

後白河と崇徳とは、兄弟と記録されているが、崇徳は本来の兄ではない、、

それが憎しみを深めた。そのあたりの事情は西行法師がよく理解していた。

■2 建久元年(一一九〇)三月 京都

文覚が、自分が勧進を行った京都神護寺じんごじにて打ち沈んでいる。

お師匠様、いかがなされました」

夢身、今は明恵みょうえと名前を改めている。

「おう夢見か、ワシはな。この手で

西行をあやめたのだ。それがのう、頭にこびりつく。また。

ワシに、あやつは、大きな仕掛けを残していくよったのだ。

いわば、ワシをあやつらの仲間に抱きいれるような、、」

「師匠様が、西行様のたくらみの手助けをなさる」

「そうだ」

文覚にとっては、めずらしく煩悶していりのだ。それゆえ、弟子の

夢見、明恵の、その文覚の言葉を聴いての動揺も気づいではいない。

夢見は、数ヶ月前の事を思い起こしていた。   

           ■

仏教王国、平泉陥落後のち数ヶ月後、西行が、京都神護持をおとづれていた。

「夢見どの、いや今は明恵殿とお呼びしなくてはなりませんか。文覚殿は

おられるか」

「師匠様は、今留守でございますか。何かお伝えすべき事がございましたら、

私にお伝え下させませ」

「あ、いや、夢見殿がおられれば十分だ」

夢見は、西行を部屋に入れている。

急に、西行が、夢見に対して頭を下げていた。

「夢見殿、この後の事、お願いいたすぞ」

「え、何か、」

「この日の本のことだ、たくすべきは、おぬししかあるまい」

西行は、夢身を顔をしっかりと見て、断言した。

「また、大仰な、私は文覚の弟子でございます。そのような事は

お師匠様に、お伝え下さい」

「あいや、夢見どのおぬしではないとな。文覚殿では無理なのだ」

夢見は、無言になり、顔を赤らめた。神護寺は、京都の山中にあり、ふき

あげる風が寒々とする。山並みが遠く丹後半島まで続いている。遠くで獣

の鳴き声が響く。

「この国は今変わろうとしておる。が、わしの命も、もうつきよう」

しみじみと言った。

「この国を仏教王国にしていただきたい。神と仏が一緒になったな。

わしが重源殿とはかり、東大寺の200人の僧を伊勢参拝させたのだ。

この源平の戦いの後、どれだけの血がながれていたか。夢見殿のお父上もまた

戦でなくなれれていよう」

「それは、いささか、私の手には、重もうございます」

「いあや、鎌倉の武家の方々にナ、仏教を思い至らしていただきたい」

「それは、お師匠様が」

「いや、わしと文覚殿の時代ももう、おわろうて。武士の方々を仏教に

結縁させていただきたい。そいて、この世の中すべてうまく回る仕組みを

作っていただきたい」

「仕組みとは」

「たとえば、貴族の方々は、遠く桓武帝がおつくりになった立法

を守り、行ってきた。これから新しく規範が必要なのだ。世の基準をつくり、武家、庶民が豊かにくさせる世の中にしていただきたい。 いや、これは、西行の戯言と思っていただきたいが、源氏の後には 北条殿が、この世の中を動かすであろう」

「北条様は、しかし、源氏の家臣ではございませんか。また、鎌倉には大江広元様がおられましょう」

西行は冷笑した。

「ふつ、大江殿がどこまで、お考えかわからぬぞ。果たして、世の動きを作りは

源頼朝の大殿か、大江殿か」

西行は、ふっと考えている。この諧謔さが、師匠の文覚の気にいらぬのだ。

「よいか、夢見殿、和が話したことは、文覚のみは内緒ぞ」

「二人の秘密になるのじゃ。

北条殿を助け、その世の仕組みと基準である、ことわりを作られるのだ」

「それは東大寺の重源様、栄西様のお仕事では、、」

「あの東大寺の方々には、他のやり方がある。夢身殿には夢見殿の考え方と生き方が ござろうて」

西行のと明恵の会話は続いた。このことは、文覚は知らない。

■ 続く)20191128改訂

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