yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

ガーディアンルポ01「最終列車」■第3回

■ガーディアンルポ01「最終列車」■第3回
(1979年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yama-kikaku.com/
http://ameblo.jp/yamadabook/

■第3回■
「何だって」
「見ろ」
サイトウはイヌイの指さす方を見た。
円盤だった。
まっ青空にアダムスキー型の円盤が一機出現していたのだ。
列車の右側を並んで飛行していたが、やがて消え去った。
「いよいよ、真打ち登場か」
サイトウはふてくされて、どうにでもたれという感じだった。
円盤は再びディーゼル機関車の前方に出現した。
ディーゼル機関車に乗っていた隊員はハンドミサイルを発射した。
円盤はハンドリミサイルを見てとり、列車から、かなりの距離を置いた。その一瞬、隊
員は自らの体を円盤に向けて発進させた。
「隊長、基地へ連絡させて下さい」
「いかん。今基地のポジションを知られるのはまずい」
 タルスは部下の要求を受けいれなかった。
 発射時間まであまり時間はない。そしていまだ基地の位置は知られたくはなかった。自ら
の力で道を切り開くしか痙い。
 また轟音が響いてきた。今度は前方からだった。
 円盤の残骸は粉々になりながら、列車左手の平原に落下してきた。地響きがして、大き
な火柱があがった。
「もういやだ、いやだ。元の世界へ返して来れ」
 誰かが立ちあがり、側に立っているスペシャルコマンドにだきついた。
 スペシャルコマンドは、今、円盤に体当たりした仲間の冥福を祈っていた。彼らは人
間ミサイルでもあったのだ。
Jと呼ばれた女の子の意識はまだもどってきてはいない。
Jは彼らスペシャルコマンドにとっては、人類の全生命と同義語だった。Jの存在は地球の存在と
同一だった。
Jを守るためにスペシャルコマンドの一員が先程、侵略者ROWの円盤に体当たりし、
死んだのだった。
「まだJの意識はもどらないのか」
「はい」
看護をしている隊員がいった。
「一体、奴らはJにどんな処置を施したのだ」
Jは他惑星連合と地球の連合をにぎる重要人物なのだ。Jがいなければ、他惑星との連携
もなくなると考えなければならない。
22世紀、地球連邦はその勢力をあまねく銀河に拡めつつあった。
人類が最初にROWと遭遇したのはレム皇威であった。
ROWは強大な星間帝国で、銀河にかける地球連邦の勢力を漸次駆逐していった。
ついに二ー九六年、地球をめぐる大決戦となった。
地球は他惑星の援助を期待していた。そして、
 外惑星威で戦闘中の歴戦の勇士「ダーム将軍」の帰還を待ち望んでいた。
しかし、ROWの勢力は目前に追っていた。
地球連邦総督府の絶対防衛圏のバリヤーを破って突入してきたROWの円盤機軍団に連邦空
間戦闘機団はひとたまりもなかった。
 思いあまった連邦総督府は、地球の精神的主導者Jを説出させることKした。秘密裡に
他惑星に一時遊離させ、亡命政府を作り、残存勢力でゲリラ戦を開始しよウとしたのだ。
 百歳を越えるJの肉体は宇宙旅行に持ちこたえようがなく、九歳の女の子の体にJの人
格が移植された。
 安全を計るため、他時空間を設定し、多数の脱出用ロケット発射基地が短期間に準備さ
れた。
 しかし、その甲斐もなくJがROWの突撃隊により誘拐されてしまったのだ。
 Jを乗せたROWの円盤機は連邦軍の追撃を受け、一九七九年、日本のM市へ不時着し
た。
 ROWのパイ・ットはM市からO市へJを移動させようとした。O市にはROWの出先
機関がある。そこでゆっくりと、Jから地球連邦の残存勢力について探り出そうとしてい
たのだ。
 一方、ROWの円盤の失踪時点をキャッチした連邦軍はクルスを隊長とし、六十名の訓
練されたスペシャルコマンドを1979年へ送り込んだ。
「ウ″ー、サイトウさん、御覧なさい」
「え、どうせ、また余りよくない話でしょう」
「恐らく、悪い話でしょう々」
 馬のいななき、駆ける音かすぐそこまで聞こえてくる。車窓の横を騎馬武者が駆け抜け
る。
 血のりのついた胴太刀をかぎしている。
 上空に再び、円盤機が出現した。天童遠の軍勢に加勢するつもりらしい。
 スペシャルコマンドの一人がドアを開け自ら、ミサイルとなって円盤機に向かってい
く。先刻のように円盤機の不意をつけない。すぐに人間ミサイルをすり抜け、光線を放っ
た。彼は爆発した。
 さらに円盤機は列車の上空に飛来し、一条の光線を放ち、直ちに離脱した。
 光線は列車の洗面所にしかけられたバリヤー発生機を破壊してしまった。
 雄叫びをあげて、騎馬団がつっこんできた。
 バリヤーが消えた今、矢は車体の木製部や車両の連結幌の部分に突きささる。
 窓ガラスが、突き破られ、抜き身の刀身がサイトウの目の前に突き出された。
「うわっ」サイトウは叫び、飛びのいた。サイトウは残念ながら勇敢な男ではない。
 が、イヌイはスペシャルコマンドから手渡された鉄棒で、その刀を撃した。電気が
その棒から放電された。刀を持っていた男は感電死した。
 スペシャルコマンドと乗客は善戦していた。
 レイ・ガンを恐れもせず、突撃してくる騎馬はスペシャル=コマンドにとって驚異であ
った。
 馬から列車にとびつき、一人の武士が列車の天蓋へあがっていく。ディーゼル機関車
方へ向かっていく。
 機関車の運転席がバリヤーがなくなった今、無防備のため一番危険な部署となった。y
スペシャルコマンドの隊員が防備にあたっているが軍団から統々とくりだされる矢には手
がつけられない状態であった。
サイトウは列車の座席で縮まっていたが、イヌイは先刻、うばいとった剣を右手にして、
襲いかかってくる騎馬団と戦っていた。サイトウは激戦中、イヌイに声をかける。
「慣れたものだね」
イヌイは、ドフから入ってくる者、窓から入ってくる奴を投げとばし、突き倒し、切り
つけ、切りかかり、大活躍たった。
「イヌイ、あんた、そんな剣術どこで習った」サイトウは疑問に思いタヅネル。
「江戸の千葉道場」
「何‥、あんたは一体、何者なんだ」


(続く)
■ガーディアンルポ1「最終列車」■第3回
(1979年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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