yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

私の中の彼へー青き騎士ー 第6回

私の中の彼へー青き騎士ー 第6回
青き騎士(1992年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

第6回
ある日、私が、学校から家へかえると、見知らぬ男がいた。
都市の男らしかった。ある種の威厳と、ほかの人間に恐怖心を与える種類の印象を与える人だった。
両親は、不思議に、この男には丁寧だった。

養父は、私を目ざとく見付け、男に言った。

「ゲイターさん、この子がそうです」
「ああ、沙織か、立派に育ったじやないか」
「そうでしょう。アイスの攻撃を受け生き残った子供、ニューオーハンで成長できたの子供は、わずかたって聞いていまさあ」

「母さん、このおじさんは」
「いいかい、よくおききき、沙織、今日から、お前は、この人にもらわれていくんだ」
「沙織クン。政府用語でいうと、君は連邦政府組織「ローズバット」管理下に入るのだ」
ゲイターが付け加えた。
つまりは、買われていくのだ。
「いやー、急に何を言いだすの」
「おや、お前たち、この沙織クンには、彼女が「ローズバット」所属物であることを知らせていなかったのか」
ゲイターと呼ばれた男は言った。

「そうでさあ、へんな事を知られて逃げられると困ると、思いましてねね」
養父は、それこそ、揉み手をせんばかりに、卑屈に言った。

別の「地獄のかま」が、開かれたのだと、私は思った。

●シーン6

「沙織クン、悲しむことはないぞ。いわば、君はね。選ばれし人類のエリートなのだから」
ブルーの目をもつゲイターが、ゆっくりと深いこころに響くような声でいった。


組織「ローズバット」所属の車の中で私にしやペリかけていた。
車には、他にも女の子たちがのせられていた。
「エリートですって。そのエリートの私になにをさせようとするるの」
「地球連邦政府に対する非協力者の排除、、の役目を君たちが行う」
「つまり、エリートが殺しをするの」

「そうだ、今、政府は猫の手でも借りたい。
対アイス戦争で人材が払底している。君たち、ニューオーハンで、ある種の能力に優れたものが集められている。それも女の子ばかりだ。男は戦士として対アイス戦の前面に立ってもらうからな。これは地球連邦政府が選びきめた政策なのだ。実行監視するのが私ゲイターの役目だ」

私は決意した。逃げよう.

まだ、この世の中に。ましな世界がどこかに残っているに違いない。
車が止まり、私は、しばらくの休息の間、ゲイターの隙を見計らい、ワゴンから逃れた。

このアイズフイールドのこのあたりは、私の遊び場も同然だった

しかし、すぐに、ゲイターは私を見付けた.
「遊びはいいかげんにしろ。沙織クン、私達人類にはあまり時間が残されていないのだ」
怖い青い目で、ゲイターがつぶやいた

「ついでに教えておこう.沙織クン、君の頭の中の悪魔にはナンバーが打たれている。
我々は、そのナンバーを捕捉察知できるのだ、君がどこにいるのるかわかるのだ」

私の頭の中の悪魔とは、「アイス」が私たちの頭に打ち込んだ小さな生体機械なのだ。
アイズに教われた人類には、かならず埋め込まれている。
すこしの間、ゲイターはだまり、そして悲しげでシヅカナ声でつぶやいた。

「沙織クン、いいかね。人類の誰もが、自分の運命からは逃れようがない。それは私ゲイターも同じじなのだよ。沙織クン」

ゲイターは私を捕まえ、私の両眼をしばらくのぞきこんでいた。
やがて、ゲイターはワゴンのコックピットヘ戻った。
私は、ワゴンの中で泣きわめいた。
私の隣に座っていた、ハシバミ色の髪をした女の子が話しかけてきた。
「いいかげんにしなよな。あんたが泣くとさ、みんなが不安がるだろう。だから、泣くのはおやめよ。あたしだって、みんなつらいさ」

その子は、やさしくわたしの肩を抱き締めてくれた。
泣きながら、私はこの子とは友達になれそう気がした
「あなたの、名前は」
「花咲(はなさき)だけど、チェリーでいいさ」
「私は」
「知っているさ。沙織だろう。ゲイターがいっていた」

 ローズバットは、また別の意味で、練獄だった。
(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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