yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

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ロボサムライ駆ける■第14回■
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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第三章 霊能師(3)

 復旧しつつある東海道は中世世界のようになっていてとても静なのだ。


 特に早朝は、鳥たちの歌声がハーモニーを奏で、道いく人々の気持ちを和ませるのだが。 今、この東海道は、『いろは組』によって復旧工事が急がれていた。
 静寂の中ににぎやかな音がだんだんと近づいてくる。工事中のロボットたちが手を休めた。


「あの騒がしい、恥ずかしいご一行は」
 工事中の東海道を下る一行を見ていたロボットの一人が尋ねた。
「おお、あの昔、騒音条例があったころなら絶対つかまっておる団体か」
 わざとらしい説明を付け加えるロボットだった。


「知らないのか、霊能師落合レイモン様のご一行じゃ」
 もう一人が答える。


 いろは組にしきられたはぐれロボットの一群が、道路復興の建築工事を行い、そのエリアの霊写真をとらされていた。霊戦争のおり、なくなった人々の過去の霊をなぐさめるのである。


 このあたりは、空中衛星ボルテックスによって滅びた全日本連邦軍の残滓がいまだに発見される所である。にぎやかに打ち騒ぐ一団が通っているのはもとの高速道路である。
 近くに森林地帯が広がっていた。霊戦争後の生やした比較的新しい森林である。


 この東海道から遠く離れたバイオ林の中から、この一行をのぞきみる四つの眼。

突然、うめき声を上げて、その一人が倒れた。
「うっ、何ごと」
 もう一人が相棒を介抱する。が、事切れている。


咄嗟に自分たちが仕掛けた罠が返されたことを知る。
「恐るべきよ、レイモン」
 残った一人は独りごちた。
 二人は西日本都市連合が派遣したロボ忍であった。


レイモンの霊力を調べるために、ここまで遣わされていた。
 霊写真を盗み取ることで、実力のほどを調べようとしていたが、逆にレイモンの『お霊返し』の術でロボ忍の一人が倒れたのだ。


 『霊返し』とは、霊写真への霊力を、送った本人に何倍もの霊力に倍増して返すものである。



「おじさんたち、何しているんだい」



 その時、背後から、子供ロボットが急に現れていた。

作業ロボットらしく、蓬髪で、汚れた小袖姿である。賢そうな顔をしている。というかやんちゃな顔である。

靴みがき少年の顔である。漫画でいうと[ジャリンコちえ]タイプの顔である。


『いろは組』のはんてんを着ている。
「何でもない、あっちへいけ」
「おじさんが倒れているじゃない、大変だ」 といいつつ、子供はそのおじさんの顔を踏んでいた。
「大丈夫ぶーい」
 と叫んでいる。



「こやつ、騒ぐとためにならぬぞ」
「ははっ、わかったぞ。おじさんたち、忍びのロボットだね」
「なぜ、わかった」



「だ−って、忍者スーツをきているんだもん」 どーっとすべりそうになるロボ忍者。
「小僧、我々の姿を見たからには生かしてはおかぬ」

「うわっ、やめておくれよ、くれよ」
 そのジャリンコちえじゃない、子供ロボットは逃げようとした
「まて、まて」
 続いて旅装姿の侍ロボットが急に現れ、子供を庇う。


「貴様、何やつ」
 叫び、身構える忍者ロボット。
「待ってました」
 子供は叫ぶ。


 深編み笠が空中に、まるでフリスビーのように勢いよく飛んでくる。すんでのところでこのロボ忍は、深編み笠から逃れた。それは近くのバイオ樹木に深く突き刺さる。


 (こやつできる)
 そうロボット忍者は読んだ。このフリスビー野郎には、助成を頼んだ方が得策だろう。 後詰めの連中が別にいるのである。

続く090901改訂
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