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源義経黄金伝説■第60回 建久元年(一一九〇)三月 京都 落ち込んでいる、師匠の文覚を明恵(みょうえ)と戒名した夢見がたづねる。 「この手で 西行をあやめたのだ。頭にこびりつく。」

YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
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サブタイトル

源義経黄金伝説■第60回 建久元年(一一九〇)三月 京都 落ち込んでいる、師匠の文覚を明恵(みょうえ)と戒名した夢見がたづねる。 「この手で 西行をあやめたのだ。頭にこびりつく。」
前書き

後白河法皇の前に、歌の名人、藤原定家ふじわらていかが呼ばれている。

西行の名前を残して起きたいのだ」

西行様の歌を後世に残す、麻呂も賛成でございます、で、いかかななりあいといたしましょう

や」

「よいか、お主が編纂をしておる歌集に、西行の歌を数多く入れるのだ。 西行法師を歌

聖人としたい。それが、西行に対する朕のせめての償いないとなろう。 わが国

の「しきしま道」の戦士としての。西行の名を高めよな」

 

後白河法皇の頭の中には、色々な今までの西行に対する命令がうづまいていた。

「まあ、よい、奥州藤原に対する絆の一つが消えたが、すでに平泉が 源頼朝

ものとなっては、、後は、頼朝にたいする、いや、板東に武家のたいするわが王家の 仕組

みをどうすすか」

西行をうしなった後を、誰でうめようか。と後白河法皇は考えているのだ。

 

が、法王は、弟、崇徳の霊にも対応をせねばならなかった。

 

 

源義経黄金伝説■第60回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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■ 建久元年(一一九〇)三月 京都

後白河法皇の前に、歌の名人、藤原定家ふじわらていかが呼ばれている。

西行の名前を残して起きたいのだ」

 

西行様のおお名前を、麻呂も賛成でございます、で、いかかな手立てを施しましょうや」、

 

「よいか、お主が編纂をしておる歌集に、西行の歌を数多く入れるのだ。 歌

聖人としたい。それが、西行に対する朕のせめての償いとなろう。 わが国

の「しきしま道」の戦士としての。西行の名を高めよな」

 

法皇の頭の中には、色々な今までの西行に対する指令がうづまいていた。

「まあ、よい、奥州藤原に対する絆の一つが消えたが、すでに平泉が 源頼朝

ものとなっては、、後は、頼朝にたいする、いや、板東に武家にたいする 仕組

みをどうするか」

西行をうしなった後を、誰でうめようか。と後白河は考えている。

 

が、後白河法皇は、弟、崇徳上皇の霊にも対応をせねばならなかった。

 

西行が企み、それは、平泉を陰都として、崇徳上皇を祭り、北の都の祭りとし、頼

朝に対応される事であったが、頼朝が、西行と法王の企みすべてを打ち砕いて

いた。奥州平泉は先年(1189年)文治5年に頼朝の手におちている。

 

おう、身震いがした、

 

崇徳上皇が悪霊か、、 後白河法皇は遠く讃岐の方を見た。

後白河と崇徳とは、兄弟と記録されているが、崇徳は本来の兄ではない、、

 

それが憎しみを深めた。そのあたりの事情は西行法師がよく理解していた。

 

■2 建久元年(一一九〇)三月 京都

 

文覚が、自分が勧進を行った京都神護寺じんごじにて打ち沈んでいる。

お師匠様、いかがなされました」

夢身、今は明恵みょうえと名前を改めている。

 

「おう夢見か、ワシはな。この手で

西行をあやめたのだ。それがのう、頭にこびりつく。また。

ワシに、あやつは、大きな仕掛けを残していくよったのだ。

いわば、ワシをあやつらの仲間に抱きいれるような、、」

 

「師匠様が、西行様のたくらみの手助けをなさる」

「そうだ」

文覚にとっては、めずらしく煩悶していりのだ。それゆえ、弟子の

夢見、明恵の、その文覚の言葉を聴いての動揺も気づいではいない。

夢見は、数ヶ月前の事を思い起こしていた。   

 

           ■

仏教王国、平泉陥落後のち数ヶ月後、西行が、京都神護持をおとづれていた。

「夢見どの、いや今は明恵殿とお呼びしなくてはなりませんか。文覚殿は

おられるか」

「師匠様は、今留守でございますか。何かお伝えすべき事がございましたら、

私にお伝え下させませ」

「あ、いや、夢見殿がおられれば十分だ」

 

夢見は、西行を部屋に入れている。

急に、西行が、夢見に対して頭を下げていた。

「夢見殿、この後の事、お願いいたすぞ」

「え、何か、」

 

「この日の本のことだ、たくすべきは、おぬししかあるまい」

西行は、夢身を顔をしっかりと見て、断言した。

「また、大仰な、私は文覚の弟子でございます。そのような事は

お師匠様に、お伝え下さい」

「あいや、夢見どのおぬしではないとな。文覚殿では無理なのだ」

 

夢見は、無言になり、顔を赤らめた。神護寺は、京都の山中にあり、ふき

あげる風が寒々とする。山並みが遠く丹後半島まで続いている。遠くで獣

の鳴き声が響く。

 

「この国は今変わろうとしておる。が、わしの命も、もうつきよう」

しみじみと言った。

 

「この国を仏教王国にしていただきたい。神と仏が一緒になったな。

わしが重源殿とはかり、東大寺の200人の僧を伊勢参拝させたのだ。

この源平の戦いの後、どれだけの血がながれていたか。夢見殿のお父上もまた

戦でなくなれれていよう」

 

「それは、いささか、私の手には、重もうございます」

「いあや、鎌倉の武家の方々にナ、仏教を思い至らしていただきたい」

「それは、お師匠様が」

 

「いや、わしと文覚殿の時代ももう、おわろうて。武士の方々を仏教に

結縁させていただきたい。そいて、この世の中すべてうまく回る仕組みを

作っていただきたい」

 

「仕組みとは」

「たとえば、貴族の方々は、遠く桓武帝がおつくりになった立法

を守り、行ってきた。これから新しく規範が必要なのだ。世の基準をつくり、武家、庶民が豊かにくさせる世の中にしていただきたい。 いや、これは、西行の戯言と思っていただきたいが、源氏の後には 北条殿が、この世の中を動かすであろう」

 

「北条様は、しかし、源氏の家臣ではございませんか。また、鎌倉には大江広元様がおられましょう」

 

西行は冷笑した。

「ふつ、大江殿がどこまで、お考えかわからぬぞ。果たして、世の動きを作りは

源頼朝の大殿か、大江殿か」

 

西行は、ふっと考えている。この諧謔さが、師匠の文覚の気にいらぬのだ。

 

「よいか、夢見殿、和が話したことは、文覚のみは内緒ぞ」

 

「二人の秘密になるのじゃ。

北条殿を助け、その世の仕組みと基準である、ことわりを作られるのだ」

 

「それは東大寺の重源様、栄西様のお仕事では、、」

 

「あの東大寺の方々には、他のやり方がある。夢身殿には夢見殿の考え方と生き方が ござろうて」

西行のと明恵の会話は続いた。このことは、文覚は知らない。

 

■ 続く)20191128改訂

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