yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

■「76歳でまだこども」白石卓也の世界 メカムシ作品をはじめ絵画・イラスト・クラフト作品を展示

■「76歳でまだこども」白石卓也の世界
メカムシ作品をはじめ絵画・イラスト・クラフト作品を展示

■3月16日(水)から3月31日(水)9時30分から20時まで

■メカムシデザイン工房 白石卓也
事務局・山田企画事務所・山田博一
(yamada@yamada-kikaku.com)
http://mekamushi.com/history.html
https://plaza.rakuten.co.jp/mekamushi/

■会場:伊丹市立図書館ことば蔵
〒664-0895 伊丹市宮ノ前3-7-4
https://www.city.itami.lg.jp/SOSIKI/EDSHOGAI/EDLIB/index.html
電話番号 072-783-2775(代表) / 072-784-8170(交流事業・貸室)
開館時間 火~金:9:30~20:00 土日祝:9:30~18:00 月:休館


伊丹市立図書館ことば蔵●観覧は無料です。

http://www.city.itami.lg.jp/SOSIKI/EDSHOGAI/EDLIB/index.html

メカムシデザイン工房/代表/白石卓也

いままで作りためていたメカムシ・クラフト・絵画も展示。





封印惑星)第10回北の詩人は「情報ユニット」を使う「イメージコーダー」を発明。数百年後「イメージコーダー」は地球軍のビッグコンピュータとリンク、大球の「機械共生体」の中心に。

 

CP封印惑星・封印された新地球で、情報収集端子である一角獣・新機類は、天空の光矢を見る。 それは新地球の解放者、世界樹の出現する予兆であった
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封印惑星)第10回北の詩人は「情報ユニット」を使う「イメージコーダー」を発明。数百年後「イメージコーダー」は地球軍のビッグコンピュータとリンク、大球の「機械共生体」の中心に。

封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第10回●

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

山田企画事務所「マンガ家になる塾」







アー・ヘブンが立ち去った後、しばらくして,北の詩人は意識をとり戻す。



大球と小球を結ぶコードは揺れていた。



北の詩人は振動するコードの中で,はいつくばりながら、事の始まりを思いかこしていた。



北の詩人は、古代に生きていた男の実体化であった。



彼は自分白身のデータを情報ユニットとして残していたのだ。



北の詩人は、詩人であると共に、優秀な技術者でもあった。



彼の画期的な発明が「イメージコーダー」てあった。



 「情報ユニット」を「イメージコーダー」にセットすれば、それが実体化されるのだ。



ただしわずかな時間だったが。



 北の詩人は、その発明のパテント代で億万長者となり、死後、巨大な地下ピラミッドに埋葬された。



 もちろん納宮室には、「イメージコーダー」と、彼の大好きだった「情報ユニット」



のコレクションが収納された。



 数百年後、このピラミッド近くに建築された、地球連邦軍のビッグコンピュータとリンクして、



「イメージコーダー」が「機械共生体」の中心になるとは想像だにしなかった。



 彼の地下ピラミッドの上には、樫の樹林が果てしなく広がっていた。



その中の樫の木一本に、北の詩人が若い時、ナイフで刻みつけたフレーズが残っていた。



『私の夢は・・・・:』







● たどり着いたシャフトの内部を見て、アー・ヘブンは驚く。



ここは古代の遺跡なのだろうか。





 触手をのはしてみる。情報ユニット群にふれる。情報ユニットはやはり、

アー・ヘブンと同じ植物繊維からできている。



 さらに、情報これらの一つ一つは繊維のシートの集合体だった。



 各シートの表面には、この星の旧生物が使用していた記号が、多量に刻み込まれている。



 記号をシート上に刻み込むことを「印刷」といったらしい。



 その記号を、この星の生物は古代より「文字」と呼んでいた。



この一枚一枚のシートから或る情報ユニットは″本″と呼ぱれていたのだ。



この本の集合体が、データベースであり、この星の住民は、視覚を通じて脳に入力していたのだ。





この情報ユニット″本″が数十万、いや数百万ユニット、シャフトの中心部内壁に埋め込まれている。





しかし、アー・ヘブンが鉄表を破って潜入し、密閉されたシャフト内に外気が侵入したことにより、シート=紙が変質し崩れ始めた。



粒子となり飛び散り出す。



 何千年の夢だろう。



数えきれない程の、多数のこの星の住民の知恵が、虚空ヘチリとなって消え去っていく。



 この星の文明遺産の消失であった。



 膨大な本という「ペーパー情報集合体」が消え去り、その後に古い機械が姿を現わす。



機械共生体であった。





(続く)

●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第10回●(1987年作品) 

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源義経黄金伝説■第67回★1199年(建久10年)鎌倉 頼朝への襲撃を大江広元、文覚が知り、各自の思惑で激論となる。

 

YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
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源義経黄金伝説■第67回★1199年(建久10年)鎌倉 頼朝への襲撃を大江広元、文覚が知り、各自の思惑で激論となる。

源義経黄金伝説■第67回★

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所

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■ 1199年(建久10年)鎌倉

 頼朝近辺を護衛する武士の一人が、鎌倉政庁にいる大江広元に告げた。

「頼朝様が、傷つき,かつぎこまれました」

「何、よし、落馬されてけがをおわれたとせよ。この事、他の者に他言無用と

しろ」



「怪しげなる童…だと」

大江広元は、体をこわばらせた。

「大殿様の馬の側にうろついておりましたところ、捕まえてございます」



「よし、そやつの顔を見てみよう。私の前に引きだせい」

 やがて、広元の前に、見目麗しい少年が引き出されていた。その少年の顔を

一目見た一瞬、汗が吹き出てきた。

広元は、その少年が誰であるかを、しっていた。



 一三年前、1186年、鎌倉稲村が崎で、自分がすり替えて助けた童子。静

義経の子供。



 この少年が取り調べた際、自分の身元をしゃべり出すようなことがあれば、

類は自分にも及ぼう。この少年の処理、素早くせねばなるまい。広元の額には

うっすら汗が浮かんでくる。



「この罪人、牢獄へ引き立てい」

 広元は、その後、磯禅師を別室に密かに呼んでいる。

「お前の孫が、生きておったな」

 雑色たちを所払いにし、開口一番に広元は言った。



「私の孫ですと。何をおっしゃいます」

 禅師は慌て、そして顔色を変えている。

 まさか頼朝の暗殺者が、あの静の子供だとは。禅師には思いもよらぬ展開だ

った。

 京都からもそのようなことは聞いていなかった。



「まさか、何かの間違いでございましょう」

 広元は、この暗殺者が義経と静の子供であるとわかると、自らの立場が悪く

なることに無論気がついていた。お互いの眼が合う。おおよそ、広元と禅尼の

利益は合致した。これは一つ、あの童を密かに殺してしまうか。



そう考えている時、巨大な動物が、奥座敷の戸板を打ち破り、二人の前に

現れていた。

「うわっつ」

一瞬二人は何が起こったかわからない。



「大殿様を殺めようとしたのは、お主らか!。え、大江広元、禅師、お主らが企みよったか」

憤怒の様相の文覚であった。

もはや、全身が、怒りの塊と化している。



「よいか、広元。覚えておけ。お主ら、貧乏貴族が支配する日本のために、頼

朝殿に俺が命を掛けた訳ではないわ。この日の本を、すばらしい仏教王国にす

るため、民が住みやすい国にするために、この文覚は頼朝殿に掛けたのだ」



 憤怒の不動明王像のように見える文覚。

その文覚に対して、広元は真っ青に り、一言もしゃべりはしない。禅師も部屋の隅に蹲っている。



「広元、決して、源義行殿を殺してはならぬぞ」

意外なことを文覚は言った。



「源義行殿を囮に、鬼一法眼を、大倉山山頂に呼び寄せ、最後の勝負を挑む。

ただし手出し無用。儂と鬼一で勝負を決める」



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源義経黄金伝説■第65回1199年(正治2年) 鎌倉 大江広元の屋敷に磯禅師が訪れていた。磯禅師は京都の総意をつげる。

 


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源義経黄金伝説■第65回1199年(正治2年) 鎌倉 大江広元の屋敷に磯禅師が訪れていた。磯禅師は京都の総意をつげる。

源義経黄金伝説■第65回

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 1199年(正治2年) 鎌倉



大江広元様、この鎌倉の政権をひぎたくはございませぬか」

磯禅師が告げた。

鎌倉広元の屋敷である。



鎌倉幕府成立後七年がすぎている、

あの静の舞からも十三年がすぎている。



大江広元が京都から鎌倉に来てすでに十六年が過ぎ去っていた。



「何を言うか。この鎌倉には、頼朝様が、征夷大将軍に任じられてとしてお

られる」

大江広元様、この鎌倉幕府の仕組みを考えられたのは、他ならぬ眼の前にお

られる広元様ではございませぬか」



 大江広元は世の仕組みを作る、言わば社会構造を考案し実行していた。

また法律という国の根本を考えだし、関東の武士たちに一定の秩序を与えたのは、

頼朝でははなくすべてこの広元の「さいづち頭」から出ていた。



つまり、広元が鎌倉幕府の全機構を考え出していたのである。





「さようでございましょう。王朝が変われば国の統一のために手助けした者、

武将、ことごとく新しい王のために葬り去られましょう」

「が、禅師、俺は武将ではないぞ」



「それゆえ、策略を巡りやすいとの考えもありましょうぞ。中国が三国時代のおり、諸葛孔明の例もございましょう」



大江広元は、考える。いかに禅師といえど、この考えは



「禅師、その考え、まさか、後白河法皇様の…」

「いえ、滅相もございませぬ。これは京の公家の方々の総意とお考えください

ませ。よろしゅうございますか、大江広元様。源頼朝様の動きを逐一お教えくだされませ。そして、もし機会があれば…」

「お主たち京の公家の方々が、大殿様を殺すという訳か」



「さようでございます。さすれば大江広元様、鎌倉幕府にてもっと大きな位置を占められましょう」

「それが私広元にとって、よいかどうか」



「何を気弱な。よろしゅうございますか。頼朝様亡くなれば幕府は、烏合の衆。大江広元様が操ることもたやすうございましょう」

「所詮、北条政子殿も、親父、北条時政殿も伊豆の田舎者という訳か」



磯禅師は、にんまりとうなずいた。



(続く)

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源義経黄金伝説■第64回・鞍馬山で鬼一法眼が育てていた義経の子供「源義行」は叔父である源頼朝への復讐を誓う。

 

2022年03月10日 | 源義経黄金伝説(2022年版)

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源義経黄金伝説■第64回・鞍馬山で鬼一法眼が育てていた義経の子供「源義行」は叔父である源頼朝への復讐を誓う。

源義経黄金伝説■第64回 

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 1199年(正治2年) 京都・鞍馬山



 鞍馬山は、京都市中よりも春の訪れが少しばかり遅い。

僧正谷で武術修行にうちこむ二人の姿があった。

老人と十二才くらいの童である。



鬼一法眼が手をとめて、「源義行」に話しかけてた。

「和子は、このじいを何と思うておられる」

「どうした、じいは。いつものじいではないのう」

幼い義行にとって、鬼一は年をとった父親のようであった。不思議そうな顔を

して、義行は、鬼一の方を見る。



「よいか、よく聞いてくだされ。わしも、もう長くは生きられぬ。そのため真

実を申し上げる。和子は源義経殿が和子にござます」

鬼一法眼は、深々と頭を下げる。びっくりする源義行だった。



「この私が、あの、源義経の子供だという、、、」



源義経が奥州平泉で襲撃されて十年がすぎている。

義行は、義経がことを、日々の勉学に聞き及んではいた。



「この私があなた様のために、亡くなられた西行法師殿より預かっているもの

がござる。それをお渡しいたしましょう。また和子の存在を知っている者が、京に一人おられた」

「おられたと。その方も…」



「そうです、七年前にお隠れなられた後白河法皇です。その方の指令がまだ生

きておる。源頼朝をあやめられよと」



源頼朝をあやめると…」



「じゃが、よーく聞いてくだされ。源頼朝殿を殺すも殺さぬも自在です。なぜなら、この鬼一法眼、全国に散らばる山伏の組織を握っております。和子を鎌倉に 行かせるは自在。が、西行殿、そして義経様が義行様に望んでおったことは、和子が平和な一生を終えられることです。また平和な郷を作られることです。この 書状には奥州藤原氏よりの沙金のありか書いてございます。これをどう使われるかは、和子が自由でございます」



「鬼一法眼殿、私はどうすれば…」

突然、突き付けられた事実に、義行はたじろいでいる。



「どうするかは自分でお決めなされ。自分の生涯は自分で決めるのです。義経

殿が滅びたは、自分の一生、自分で決められぬほど、源氏の血の繋がりが強か

った。和子はそうではござらぬ。つまりは、和子は世に存在しない方。自

由にお考えなされい」



「……」

「が、義行さま、西行法師殿のまことの黄金は、あなたさま…。それほど大事に思われておったのです…」

「……」

「じい、決めた。私は父上、源義義の仇を討つ」

源義義の子供である源義行は、そう鬼一法眼に告げた。



「そのお考え、お変えになりませぬな」

 鬼一の眼は、義行の眼を見据えた。

義行の眼には、常とは違う恐ろしい別の者が潜んでいる。

「武士に二言はないぞ」恐れず義行は答える。



「わかりました。が、義行様、この先に進めば、二度とこの鞍馬山に帰ることはあいなりませぬぞ」



「何…この鞍馬には二度と」

「さようでございます。もし、源頼朝様を殺すとならば、義行様はこの日本に住

むことできますまい。なぜならば、鎌倉が組織、すでに全日本に張り巡らされ

ております。その探索から逃れることなど、絶対不可能」



「……」義行は急に黙り込んでしまった。



西行殿、許されよ。俺はお主との約束を破る。許してくだされい。俺は、

義行様が不憫なのだ。

鬼一はひとりごちた。



「なれど、義行様、安心なされませ。義行様をただ一人行かるじいではござい

ません。私の知り合いに、手助けを頼みましょう」



 鬼一法眼の屋敷は、京都では一条堀河にあった。

義経は、陰陽師でもある鬼一法眼から、兵書「六闘」を授かっていた。



 平安時代中期、藤原道長の霊的ボディガードとして有名だったのは、当時最

高の陰陽師安倍晴明であったが、彼の子孫は土御門家として存続する。この土

御門家に連なる一人が鬼一法眼であった。



 鬼一法眼は、自分の屋敷から白河に向かい、ある一軒のあばら家に入る。



 「おお、これは鬼一法眼殿、生きておられたか。伝え聞くところによれば、

貴公、奥州に行かれ行方不明と聞いていたが」



 のっそり出てきた優男は、京都で名高い印地打ちの大将「淡海」である。

「淡海殿、お願いがござる」



鬼一法眼が頭を下げている。突然の事に、淡海はめんくらう。

「これは、これは何を大仰なことを申される。法眼殿は義理の兄ではござらぬ

か」

「いや、ここは兄としてではなく、「印地打ち(いんじうち)の大将」にお願いしている客と思っ ていただきたい」



「俺の、印地打ちの力を借りたい、、と、、申されるのか」



「実は、儂の人生の締めくくりとして、ある人物をあやめていただきたい。と

いっても、儂は、手助けをお願いするのみだが」

「…、したが相手はだれぞ」



「鎌倉の源頼朝

「むっ…」淡海は唸ったまま、眼を白黒させている。



 白河は、別所と呼ばれる。別所とは、別の人が住むところ。昔、大和朝廷

日本を統一したときに、戦った敵方捕虜をそこへ押し込んだのであった。別所

は、大原、八瀬など、すべて天皇の命を受けて働く、別働隊の趣があった。し

かし、また、武者などの勢力から、声を掛けられれば働くという、傭兵的な要

素を持っているのである。



 淡海たちは、石つぶての冠者、つまり戦士であった。

 石つぶては、当時の合戦に使われている正式な武器だ。



「が、鬼一殿。相手が相手だけに、義兄さまの幻術も使ってもらわねば、難し

いのではないか」

「さよう、頼朝を郎党から一人引き離さねばのう」

「どのような塩梅か」



「気にするな。我が知識の糸は、鎌倉にも張り巡らしてござる。それも頼朝に

かなり近いところだ」

「おお、力が入っておるのう」



「よいか、義兄弟。この度の戦さは、儂の最後の戦さ。また、あの西行法師殿の弔い合戦でもある。頼朝を仕留めれば、奥州の沙金の行方を追うこと、諦めるだろう」



「それでは、一石二鳥という訳でござるな」

「そういうことだ。済まぬが、おの手の方々を、すぐさま東海道を鎌倉に下ら

せてくださらぬか」



「おお、わかり申した。色々な職業、生業に、姿を変え、鎌倉へ向かわしまし

ょうぞ。京都の鎌倉幕府探題の動き、激しいゆえにな。動きをけどられぬよう

にな」

(続く)



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源義経黄金伝説■第63回★★建久六年(一一九五)三月 奈良興福寺大乗院、宿にいる源頼朝の娘大姫のもとを、尼姿の静が密かに訪れてきた。


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源義経黄金伝説■第63回★★建久六年(一一九五)三月 奈良興福寺大乗院、宿にいる源頼朝の娘大姫のもとを、尼姿の静が密かに訪れてきた。

源義経黄金伝説■第63回★★

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■ 建久六年(一一九五)三月 奈良東大寺



その夜、奈良興福寺大乗院宿泊所にいる大姫のもとを、尼姿の静が密かに訪れてきた。

「どうしたの、静。その尼の姿は、和子はどうしたの」



静は出家し、大原寂光院のそばに庵いおりをいとなんでいる。

すべては西行の手配りであった。



「和子は、私の手元にはおりません。今でも鎌倉でございます」

静には、わざと子供の行方を聞かされてはいない。



「何、鎌倉ですと。母上は約束を守らなかったのか」

「いえ、政子様は、こうおっしゃったのです。子供の命は助けると申した。

が、その子供をお前に預けるとは、言ってはおらぬ」

「では、和子は…」



「生きております。が、義経様に対する備えとして」

「人質として、が、義経様は亡くなったのでは」

「いえ、まだ、みちのくに生きているという噂、風の便りに聞きました。

頼朝様は、その噂が恐いのでございます」



大姫はしばらく口を噤んでいる。



「いいがなされました。大姫様」

「静、お前に会えるのも、これが最後かも知れぬ」

「何を心細いことをおおせですか。まさか…」



「その、まさかですよ。静、私にはお前のように心から強くはない。父上、母

上の顔を立てなければならぬ」



「お逃げなされ、大姫様」

「私は、もう生きる希望を失っています」

「…」



「ずっと昔、あの志水冠者しろうかじゃ殿が、父上の手にかかってから

というもの、私は死者なのです」



木曽義仲の息子であり、大姫の夫志水冠者は、頼朝の手で殺されていた。



1184年元暦元年4月の事でありもう十一年の歳月がすぎていた。

十一年の間、大姫はその姿を心にひきづって生きている。



「そこまで、もう長くは、私は生きていますまい。静、どうか私の来世を祈っ

ておくれ」

「大姫様」

二人の女性は、鎌倉の昔と同じように、両手を握りあわせ、各々の運命の苛

酷さを嘆きあう。





北条政子様、どうぞ内へ入られませ。あのお方がお待ちでございます」

磯禅師は、京都のとある屋敷へと、政子をいざなう。



「この方が丹後局様、皇室内のこと、すべて取り仕切られております」

無表情というよりも、顔に表情を表さぬ蝋人形のような美女が座っている。

流石の政子も思わずたじろぐ。底知れぬ京都の、連綿と続く力を背後に思わせ

た。



丹後局は、白拍子あがりだが、後白河法王の寵愛を受け、京と朝廷に隠然たる

勢力をいまでももっている。いわば後白河法王の遺志の後継者である。



「これは、はじめてお目見えいたします。私が北条政子源頼朝が妻にございます」

政子は、深々と頭を下げた。目の前にいる女に頭を下げたのではない。あく

までも京都という底力に対してだ。そう、政子は思った。



「磯禅師より聞いております。大姫様の入内のこと、すでに手筈は調っており

ます」

「え、本当でござりますか」

「が、政子殿。大姫様入内の前に、こちら側よりお願いしたき儀がございま

す」

「何でございましょう。私ごときができることでございましょうか」



「無論、お出来になるはず。源頼朝様にお力をお貸しいただきたいことがござい

ます」

丹後局は少し間を置いた。



焦らしているのである。

次の言葉が、政子には待ち遠しく思えた。

「それは、一体…」 思わず、政子の方から口を切っている。



「いえいえ、簡単なことでございます。征夷大将軍の妻たる平政子殿にとって

はな」

再び丹後局は黙り込む。京都の朝廷で手練手管を酷使している丹後局

ある。



丹後局は磯の禅師と同じ丹波宮津の出身だった。

交渉力においては、まだ新興勢力である北条政子の及ぶところではない。



「摂政、九条兼実殿を、罷免していただきたい」



「何をおっしゃいます、兼実殿を…」

九条兼実は、頼朝派の味方になった政治家だったのである。





北条政子が不在の折、興福寺大乗院前の猿沢の池で、頼朝と大姫は、舟遊びを楽しもうとしていた。

猿沢池の両側に興福寺、反対側に元興寺、両方の五重の塔が威厳を誇っている。



興福寺藤原氏の氏寺。元興寺がんこうじは、蘇我氏の氏寺である。



奈良猿沢の池を中心に奈良平城京ができた折りの政治状態が反映されている。今また新 しい新興勢力である鎌倉源氏が、この奈良古京こきょうに乗り込んで自らの政治勢力を固持している。



かがり火が、こうこうと照らされ、興福寺五重の塔が照り映えている。

この船遊びは、気鬱の大姫のために頼朝が考えたのだ。



が、池の舟のうえで、事はおこる。



「よろしゅうございますか、父上。大姫はもう、この世の人間ではございませ

ぬ」



湖の周りには、奈良以来の雅楽が演奏されている。空気はぴんと貼りつめ、篝

火の届かぬ空間のその闇は深い。



「大姫、何を急に、、おまえは狂うたか」

頼朝は、我が娘を別の目で見ている。篝火に照りはれる大姫の顔は尋常では

ない。

「狂っているのは、父上の方です。私は、私です。お父上の持ち物ではござい

ませぬ」

「むむっ、口答えしよって」



「私は、いえ私の心は、志水冠者様が、父上によって殺された時から、死んで

おります」

大姫は舟の上から、体を乗り出している。



「いとおしき志水冠者様、いまあなたの元に、この大姫は参り増すぞ」

「大姫、何をする」

「いえ、父上。お止めくださるな。父上が静の子供を死なしたようにするので

ございます」



言い終わると、大姫の体は、波の中に飲み込まれていた。



「ああ、大姫」

 源頼朝の腕かいなは、空をつかむ。

重りをつけた大姫の体は、猿沢池底の闇に深く巻き込まれている。

頼朝の両手は届かなかった。大姫の心にとどかなかったのと同じように。





「さあ、お言いなされ、母上。何を大姫様におっしゃったのですか」

静は母親、磯の禅師を非難している。

「この子は、何を急に、言い出すのか。大姫様が、いかがいたした」



「母上、私は、幼き頃より、母上の身働きを存じております。それゆえ、この

度、大姫様が入水自害をされた…」



「何、大姫様が入水自害された…」

禅師は驚いた表情をする。呆れ果てたように、静は告げる。

「それほど、大姫様が憎うございますか」



「何を申す。これは源頼朝殿を滅ぼさんがためぞ。お前、義経殿を殺させた、源頼朝殿が憎くはないのか」



禅師は厳しい表情をし、声をあらげている。

「そ、それは、義経様を…、殺させた頼朝殿は憎うございます。が、大姫様を

なぜに殺された」



「愛姫だからのう。それに、頼朝殿の血が、京と天皇家に入内せしこと防がねばなりません」

「それは、京都の方からの指令でございますか」

禅師は答えぬ。



(続く)



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封印惑星)第9回●ハーモナイザーの情報端子、アー・ヘブンは、大球と小球コード内を大球にむかい直進していた。ハーモナイザーの敵である「天球」の居場所をよみとり破壊を試みる。

 

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封印惑星)第9回●ハーモナイザーの情報端子、アー・ヘブンは、大球と小球コード内を大球にむかい直進していた。ハーモナイザーの敵である「天球」の居場所をよみとり破壊を試みる。

封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第9回●

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 アー・ヘブンは,横たわる北の詩人をながめている。



彼からは、はっきりした「天宮」の位置を読みとれなかった。



彼はその「天宮」の場所を知らないのだ。



闇の空洞だと?



アー・ヘブンはしかたなく、大球と小球をつなぐコード(絆)の内壁ににじりよると、内壁金属に聴覚器をあてがった。



この金属の持つ記憶巣から、「天宮」の情報を読みとれないかと思ったのだ。



壁に聴覚器がふれた一瞬、アー・ヘブンの体は硬直した。



 恐るべきデータが一度に脳に流れ込む。



体が震動し、コードの内壁に倒れ込む。



 倒れていても、アー・ヘブンの体は痙攣し続けている。



 コードの内部は、すでに「天宮」の腕の中も同然なのだ。



コード内には「天宮」の神経系が、くまなく張りめぐらされていた。



その神経系から派生した神経糸が一本、アー・ヘブンの体に鋭く突きささる。



経糸は蛇の様に、体内に侵入し、ためらいなく体中を突き進む。



経糸はアー・ヘブンの中央脳を探りあて、アー・ヘブンの正体を知ろうとしていた。



 脳部位はどこだ!



 神経糸は位置をさがしあぐねていた。



 アー・ヘブンには中枢脳がなく、しいていえば、体全体が脳機能を持っている。



 アー・ヘブンは、体の中を這い進む神経糸にたいいして、逆に、パルス(波動)を送った。



パルスがたどり着くところ、そこに「天宮」の命令中枢があるはすだ。



 一瞬の後、逆にアー・ヘブンは「天宮」の位置を読みとっていた。



 『シャフト』



 アー・ヘブンは立ちあがると、体につきささっている神経糸を力まかせにひきちぎった。



からまってきていた神経網を引きさく。



アー・ヘブンは、コード内を大球にむかい直進していた。



目ざすは「天宮」の存在するところ、「シャフト」である。



 コード内の神経網が急激に膨張し、道をふさぐ。



アー・ヘブンの前進をはぱもうとする。



 コード自体も震動している。



「天宮」は、小球とコードを、自分のいる大球から切り放そうとしていたのだ。



アー・ヘブンをコードに詰め込んだまま。





 大球とコードの接合部分はすでに切り放され、コードと大球の鉄表が数10m開いている。



 危ない所だった。



アー・ヘブンは、コードの内壁を第3触手を使って突き破り、からくも大球の鉄表へ降り立りていた。



 切り放されたコードは耳を聾する轟音をあげている。



何かの泣き声の様だった。



コードは小球の方へゆっくりとたぐり寄せられ、ねじ曲がっていく。



何か生き物の断末魔を思わせた。



 アー・ヘブンは鉄表の下を透視して身ぶるいをした。



この鉄表下は驚くべきことに、機械の集合体に変化していた。



本来の岩盤はどうなったというのだ。



 この機械類はスパイダーネットによって集められた宇宙船の部品だろう。



大球全体が機械惑星と化していた。



内部の地層は天宮が変化させてしまったのだろう。



 アー・ヘブンは、この機械類をチェックして、ある事に気づく。



これは危ない。



「天宮」は、何をやりだすかわからない。



 全宇宙に害毒をぱらまくつもりかもしれない。機械のすきまを探査する。



そこがシャフトのはずだ。



それにその部分のみ、構成成分が異なるはすなのだ。



 「天宮」自体が機械と、そのモノの集合体なのだから。



 またそのモノは、、アー・ヘブンと同じ成分を持っているはずだ。



「天宮」の存在するところ、「シャフト」の位置をようやく探し当てた。



怒りという古い感情を思いおこし、鉄表をアー・ヘブンの第3触手でふち破った。



(続く)

●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第9回●(1987年作品) 

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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