yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

ロボサムライ駆ける■第3章10&11


■ロボサムライ駆ける■第3章10&11
C)飛鳥京香・山田企画事務所
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■第3章   (10)
 新京都ホテルのレイモンの部屋をノックするものがある。
 レイモンは何とか夜叉丸に助けられ、ホテルまでたどり着いていた。主水の行方は連絡が入っていなかった。
「レイモン様でございますか」
 裃を着た見知らぬロボットが、レイモンの部屋の前に立っていた。
「どちら様かな」
 夜叉丸が尋ねた。
「我々は西日本都市連合の使い番でござる。レイモン様の今昼の会議での発言は波紋を呼び起こし、レイモン様を狙う者多しと聞き及びます。どうぞ速やかに、我々の保護下にお付きくださいませ」
「西日本都市連合の使い番じゃとすると、水野殿よりの使いか」
 レイモンが尋ねた。
「さようでございます」
「どうするかのう、夜叉丸」
 レイモンは背後に控える夜叉丸に尋ねた。「せっかくのお召しでございます。お断りになられては角が立ちましょう」
 夜叉丸は少し考えて答えた。
「そういうことじゃな。それではその方々とまいろうか。のう、夜叉丸」
 が、使い番ロボットは異をとなえた。
「お待ちください。その夜叉丸殿の保護、我々は聞いておりませぬ」
 その物言いにレイモンは、顔を曇らせる。不快なのだ。
「それは困った。この夜叉丸は俺の体の一部でのう。手や足と一緒なのじゃ。切り離されては俺が動けのうなる」
 使い番ロボットはしばらく考えていたが、「わかりました。夜叉丸殿のこと、我々は聞いてはおりませぬが、とりあえず一緒にお越しくださいませ」
 レイモンと夜叉丸は、政庁のまわした、かご型小型バンに乗り込んだ。
「お上、いよいよ我々の思いどおりに」
 夜叉丸が言う。
「そうじゃ、そのように進んでおる」
 レイモンは薬タンクからのコードをジャリといわせた。
 バンがたどり着いたところは、政庁である。会議室に入る。
「お待ち申しておりましたぞ、レイモン様」 水野が議長席に座っている。
「こちらも待ち兼ねたぞ、水野殿。早く我々にいつ心柱を見せて欲しいのう」
 レイモンはにやりと笑いながら落ち着いていった。が、その言葉はの先制攻撃はかなり効いたらしい。
「……」
 絶句する水野。
「わからぬと思うたか。どうせ今おまえたち西日本の霊能師が困っておるのは、化野の存在であろう。そのようなこととっくにお見通しだわ」
 レイモンは続けた。
 突然、背後から新たに声が飛んできた。
「それでは、いよいよ、私たちを助けていただけますか。かっての打ち合わせのとおり」 見目美しい男が、パーテーションの背後から現れて言う。ロセンデールだった。
「これはロセンデール卿か、おひさしゅうござる」
 レイモンが頭をたれた。
水野は、目を白黒させている。

■第3章     (11)
「サイ魚法師、なぜしくじったのですか」
 ロセンデールが、空母「ライオン」の士官部屋で詰問していた。サイ魚法師は、ロセンデールの怒りの前でただただ恐縮しているばかりであった。
「いかんせん、主水の方が強すぎました」
 ぼそりと言う。まるで先生に起こられている生徒である。
「強すぎたとですと、それは聞けませんねえ。あなたが、私たちに最初売り込んだ言葉を、お忘れですか。あなたは主水の弱みを握っていると言ったでしょう」ロセンデールの言葉がチクチクとサイ魚法師の体をさす。
「そのとおりです」
「ですが、あなたは主水の始末を東京湾でしくじってしまった。おまけに潜水艦を一隻なくしまった。さらには潜水艦をもう一隻貸せとおっしゃる。何を考えておられるですか」 ロセンデールは、美しい顔に怒りの表情を表していた。急にロセンデールの顔は醜くなる。冷たい暗い表情である。
「もうよろしいです。契約は終了です。すでに、主水は我々の手にありますからね」
「何ですと、主水が……」
 絶句する法師。顔色が変わっている。
「おや、どうかされましたか」
「いえ、何でもありません。が今どこに」
 法師としては自分の手で主水と戦いたかったのである。
「そんなことは、あなたには関係ないでしょう。あなたはもう、おはらい箱です。もうあうこともないでしょう」
 ケープを翻してロセンデールは、法師の前から去った。ロセンデールの部屋から出て、「こなくそ、今にみておれ、ほえずらかかせてやるわ」
 つぶやくサイ魚法師だった。
「が、主水め、一体どこに」
 首を傾げるサイ魚法師だった。サイ魚法師は、本日の都市会議での騒ぎを知らなかったのである。

(続く)
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