yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

ガーディアンルポ02「人間樹の星」第2回

ガーディアンルポ02「人間樹の星」第2回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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■ガーディアンルポ02「人間樹の星」第2回■
■銀河辺境惑星ナーダ77。至世歴100年


ヘルムとクリスは、やっとのことです船から離れ、かろうじて、安全圏にのかれた。同時に船体は大きな爆発をおこし、ふきとんだ。
爆風がヘルムと、彼の背中のタリスを痙ぎた訟した。ナーダー竹の大気はほとんど地球と変わらない。
 彼らは完全にROWにしてやられた。船がなくなった。つまり、グレイを助けだしたところで、地球へ帰る足がないのだ。おまけに助けを呼ほうにも、連絡手段もない。
 領主の忠実な防衛隊がすぐさまやってきた。有翼人だ。サイボーク技術で加工されたキメラ人間だ。彼らは背に翼を持ち、自在に空を飛びまわることができる。さらに彼らはレイ・ガンを手にしている。
 あたりはナーダ77の砂漠地域だ。隠れようがない。
 ロケットの爆発が、有翼人達の注意をひいたのだろう。さらに有翼入の上には、あのフライング・キャッスルがヘルムの視界いっぱいに姿をあらわしていた。有翼人の守護神のごとく、絶対的々存在感をナーダ77のうすぐらい空の上に与えている。
 わずかな可能性にすらヘルムは賭けなければならない。
絶望的毘、ヘルムはそれらを青い瞳を通してなかめていた。
 力強い羽ばたきと共に、ヘルムの目の前に一入の有翼人が舞い降りてきた。
「何者だ。何用でこのナーダ77にやってきた」
 いささか不明瞭だったが、その有翼人は銀河共通語を話しta

「私はマット。貿易商人です。けっしてあやしい者ではありません。ごらんの通り、船が故障して、不時着したんです」ヘルムが話した。
「ほう、貿易商人だと、、」
他の有翼人達は、上空でヘルムとクリスを油断なくねらっている。
「ここはナーダ77だぞ。ここには『地獄船」しか立寄れない。一般の貿易船はこの星に足を踏み入れようとし忿いし、むしろ恐れている。知っての通り、あの輸出品の分かげで窟ニヤリと笑い、地平線の彼方にある森林らしきものを指さした。顔のうろこが不気味だ。
「さあ、はっきりしろ、お前達は密猟者か、それともあの汚らわしい地虫族と取り引きに来たのだろう。素直に言った方が身のためだそ」
「違います」
「まだ、しらばくれるのか。よし、とらえる前に少し痛い目に会わしてやろう。俺遠の力をみせてやる」
その有翼人は、上空で輸になっている有翼人達の群にまじる。彼らはヘルムを見下し々がら、力強くはばたき始めた。翼はナーダ77の大気をふるわせ、振動波が二人のガーディアンに襲いかかってきた。ヘルムは地面に這いつくぱる。まるで巨人の足に踏みつけられている。体がきしむ。耳の鼓膜か破れそうだ。ヘルムの目の前がくらむ。
その時、ヘルムは自分の体が地中にひきずりこまれていくのを感じた。
気がつくと、ヘルムはスポンジ状のものの上に寝かされている。あたりはひどく暗い。


「客人、目ざめたかね」
声がした。ひどく聞きとりにくい発音たが、銀河共通語には遠いない。そいつは三対の節足を持ち、薄褐色の粘性の肌をしている。身長は一斑くらいだろうか。かまけに胴まわりも】斑くらいある。昆虫を思わせる生物遠がヘルムを囲んでいた。その中の一入がヘルムに話しかけている。
「驚くことはない。ナーダ77に棲んでいるのは奴ら有真人だけじゃないことは、分前さんだって知っているだろう」
彼ら地虫はナーダー]‥の地中に住む種族なのだ。ナーダ77の歴史をふりかえると地虫遠の方が古くからこの星に生息していたのだ。有翼人達は遅れてこの星に出現した。他の星から渡ってきたらしい。
「それじゃ、ここはナーダ77の地下トンネルってわけか」
ヘルムはあたりを見渡した。わずかな光を出す発光体が地下トンネルの壁面に点在している。
「タリスはどこだ」
「お前さんの連れかい。すまない。助けるひまがtかった。地面に脱出口を開け、分前さんを地下トンネルヘ引きずりこんだが、あいにく連れの方は、奴らに空へ引きずりあげられたんだ」
タリスが奴らに連れ去られたと聞き、ヘルムはなぜか体の半分を切り離されたような気がした。
ヘルムは急に弱気になった。
「なぜ、俺を助けてくれた」
「おやおや、聞いていないのかい。そいつはおかしな話だな。あんた方のか偉方から助けるようにだのまれたんだ」
ヘルムはそんな話はガーディアン本部では聞かされていない。
「命令はどこから」
〔地球からガーディアンのクーリエが来たのさ」
乙この星には地獄船しか着陸できないはずだが」
「そこはそれ、色んなやり方があるってもんさ」
とうやら、今はこの地虫を信用するしかないなとヘルムは思った。しかし本部でこの協力者のことを聞いた覚えの々いことか気にかかった。記憶欠落をかこしているのだろうか。
千思議だ。それに地虫達はこの件についてどの程度まで知っているのだろうとヘルムは考える。
「我々の目標のことたが」
「グレイのことか。それがちょっとむつかしいんたよ。とにかく、俺について来てくれ。
入間梅園の現状をみせよう」
 ヘルムは、地下トンネルを地虫の主価格の男のあとについて歩きだした。

「まだ、あんたの名前を聞いていなかった」
 薄暗い地下トンネルを歩きなから、ヘルムは尋ねた。
「俺はスキャツグだ」
「そうか、俺は」
「わかってるよ。ヘルムだろう」
 どうやら、地球本部からの連絡は確かにきているようだ。
 トンネルは大きな構造物に通じていた。
「我々のステーションだ。ナーダ77の地下のあちこちにこんなのを作ってあるのさ」
 中へ入る。かなり広い。一部屋は地球のガーディアン支部とみまちかう程、設備がゆきとどいていた。大きなモニター・スタリーンが装備されている,
「こいつが問題の人間樹だ」
 スキャプグがスイツチをいれた。
 樹海が目の前に拡がる。

しかしこの木々は、恐ろしく正確に等間隔に並んでいた。さら
に地球の樹林のよりに緑色をしていない。うす紫色の空をバプタK、そいつは肌色をしてナーダ77の大地にはりついているのだ。
それは人間の体なのだ。入間の体にある種の処理をほどこし、ナーダ77の樹園の地の植えると、それは漸次、人間の姿形を残しつつ変化していく。体の内部は解体され、異なる生物形態へと改変されていくのだ。
入間に見えなから、入間ではなくなってしまう。
このナーダ77に人間樹とたるべき種人間を連れてくるのかむ軋暇々のだ。彼らは例えば難破船の入間を拾いあげたり、是々を襲って人間をさらってくるのだ。とびきり上等の肉体はサイボーグ手術用として他の是に売られる。がそれ以外の肉体はナーダ77の養殖大地の入間樹園で種人間にされる。

入間樹は段々と大きく成長していき、胴体からはえた肢から果実ができる。その実の中には人間の姿はしたから人間でない新しい生物ができあがっている。主人の言う事を厳守する生物遠の利用価値はそれこそ無限だ。

あらかじめ聞いていたとはいえ、ヘルムはショッタを受けた。はき気がした。
怖気立ち、モニター・スクリーンから目をそらせ、ヘルムはスキャッグに尋ねた。
「グレイはもう檜えられて久しいのか。どうたんだ」
「わからない。在庫品のリストはあのフライング・キャッシスルに住む砂憧入間の頭の中にあるんだ。何しろこの数だ。調べようがない」
「グレイがどうなったか調べる方法はまったくないわけか」

「いや、一つある」
 スキャッグは無表情な複眼をヘルムヘ向けた。
「新しく、地獄船から入荷した品物、つまり入間は、必ず、このメモリー・マンのチェッタを受ける。だからメモリー・マンに近づき、探りだせばいいんだ」
「なんだって! それじゃ俺も入間樹の種入間になれというんだな」
「そう。他に方法はない」
「地獄船か」
「ちょうど、地獄船が来る時期なのだ。ナーダ77に着陸する前に乗りこまなければならない。準備はしてある」
「手まわしのいいことだ」
「いや、本部の指示だぜ。それじゃ、詳しい事は、俺の部下から聞いてくれ」
 弱々しくヘルムが部屋から出ていくのを確かめて、Jキャッグは別のスタリーンを写した。そのスクリーンの入物に話しかける。
「あれでよかったかね」
 スタリーンの中の人物は答えた。
「けっこうだ。スキャッグ。すまないが、もう一つ頼まれてくれないか」
「何でもするさ。あんたKは世話になっているからね。この地下ステーションの建築にも
協力してもらっていることだし。このチャンスに俺達も立ちあがるさ。有翼入とでフライング・キャッスルをこの星から追い出してやる。あの汚々らしい入間樹の栽培を俺達はたまってみているわけにはいかないからな。ここが潮時だ。俺達にも計画があるんだ。助けてくれるだろり」
「わかった。すまんが、その計画を聞く前にやってほしい事がある。ヘルムとタリスのロケットの残骸からこのブラッタ・ボッタスを捜してきてくれ」
スタリーンに小さな箱が写った。
「頼む、絶対に見つけてくれ。非常に大切なものだ」
「わかった。すぐに行ってこよう」
ヘルムは、スキャッグの部下に旧式のロケット発射場へと連れてこられた。
かなり老朽化した個人用タルーザーだ。地球でなら博物館でしかか目にかかれない代物だ。
 スキャッグの部下はあまりうまく銀河共通語を話せない。
「あなた、これ乗る。空へあがる。上へあがり壊れる。宇宙に浮かぶ。地獄船くる。袷う。」
「ひどい話だ。本当に地獄船が来るんだろうな」
「本当の話」
 スキャッグの部下は、急にヘルムの右腕に何かを剌した。
 「何を」
 言葉か出てこない。体力が急に消耗したように感じた。
 ヘルムは地虫の節足にしっかりとつかまえられ、コックピットに無理やり押しこまれた。
スキャッグの部下は旧式クルーザーの発射ボタンを押し、ロケットは火山口から上空ヘ飛びあがっていった。

■ガーディアンルポ02「人間樹の星」第2回■(1985年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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