yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

私の中の彼へー青き騎士ー 第10回

私の中の彼へー青き騎士ー 第10回
青き騎士(1992年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

第10回●シーン9

 その男は、装甲機から出て二人の話しを聞いていた。
「その二人を渡してもらいたいの」
 私はその男に声をかけた。氷原の上にその男はすっくと立りてい
た。私の方に、ふりかえった時、野性的な力強い男とわかった。

「お前は唯だ」
その男は、私に面と向かってしやぺっていた
「私を知りないのかい、「ローズサークル」の長、沙織さ。このあたりを、しきっているのはあたしさ」
「お前か、あの「ローズサークル」の沙織なのか」
さげすみの眼だった、
まるで、うじ虫が眼前にぶらさがっているように、その男は私を見ていた。
「お前みたいな女。どうせアイスブレッドだろう」

 私の顛は、怒リでどす原くなっていただろう。
「そうだよ、それが、どうしたというんだ。私はアイスブレッドだよ」
「そうなんです。あいつは小さい時から恐ろしい奴なんです。私たちは、あいつの育ての親なんてすよ、それが、今は殺せといわれるこのざまてす。なぶリ殺そうとするんてすよ。だんな」
気を見るに目ざとい父親が今度は、その男に哀れみをかっていた

「俺は、だんなという名前ではない。名前は翔、政府軍遊撃部隊「狼部隊」所属、荒野の狼だ」
 私の仲聞から、とよめきがおこっていた、
お前が「荒野の狼」かい、このあたりじや名前が売れているね」本本当のところ、私は少しびびった。

「狼だか、何だか知らないけれど、干渉はやめておくれよ。ここは
あたしの領地だよ。お前みたいな敗残兵はお呼びじゃないよ」
「がな、お嬢さんよ、入の難儀をほってあけないのが、俺の性分。
どうしてもこの人たちを殺すといつのなら、まず最初に私を倒して
もらおうか」
「聞いたふうな口をおききだね」

 ここでひきさがれぱ、ローズサークルの沙織の名おれだ。
少なくとも、政府暗殺者養成機関「ローズパット」で最優秀と呼ばれた私だ。仲間の手前もある。
 私は声高に叫んでいた。
「一対一の勝負というわけね、翔とやら」
「無益な闘いだな」
人工頭脳装甲機たる零が、翔につぶやいた。
そのつぶやきは、私にもほかの者にも聞こえた。

「なぜだ、零、俺はこの人間たちを助けたいんだ」
「それが無駄な努力だというんだ、翔、あやつらを助けてどうする
生活のめんどうてもみてやるつもりなのか。我々は移動攻撃部隊だ。アイスに対して、我々の仲間の復讐を果たすのではなかったのか。それがこんなところで、他人のもめごとにかかわりあつて、どうするつもりだ。翔」
「が、零」
「闘いをやめるかい、臆病風にふかれたかな」
私は考え込んでいる翔に向かつて、叫んでいる。
「ともかく、零、ここは勝負をさせてくれないか」
「翔、あせるな」零が言う。
しかし、翔の体は、もう反応していた、それはつまり攻撃機、零の機械も反応している事を意味する。

しぶしぷながら、零も戦わざるを得ない。

沙織は「ローズバット」であたえられたテクニッククをすべて利用する。
3トンは、ある攻撃機、零と、ほぼ生身に近い、補助装置をつけただけの総重量60キロ沙織の対決だった。
ローズサークルの部下たちもまわりをかこんでいる、
沙織は、翔と比較してあまりに小さい体にもかかわらず、いやそれゆえに、健闘していた.

 翔の発するしーザー光には沙織はつかまらない。
零のような個人装甲機に載っていないだけすぱやく動ける。

さらに沙織は、「ローズパット」では俊敏さにおいてはピカ一だったのだ。
「どうしたい、人間一人殺せないで、アイスをやっつけるとは地球連邦軍の名と、「荒野の狼」の名前が泣くよ」
「何、くそ。生意気な女め」

「翔、おちつくんだ、よくみろ、彼女の動きにはバターンがあるだろう。それに相手はアイスではない、よく考えろ」
これは、翔と零の機械内会話だ。外には聞こえない。
「そっか、きたない手だが」翔はきづく、
「そうだ。それに、あの女を殺す意味合いもあるまい」
「よし。そうしよう」
 とはいっものの、すでに沙織は、岩場のくぼみへ追いおまれていた。
「さあ沙織、覚悟をしてももらおうか。
装甲機「零」、中から翔の声が響いてきた。
「へん、おだまりよ、最後の一発を決めさせてもらう」
翔の装甲機が数mに近づき、沙織の体にに照準を合わせた一瞬。
沙織が消えた。その動きが今までと違う。

数倍速度で動き、零と翔の背後にすばやく走り込む。
零の装甲機の頭部と胴体ジョイント部に、後から両腕でしがみつく、
「さあ、さあ、これで私をどう処理するつもりかな」
沙織の手には、すでに、「ハイマンガンスチ−ルのナイフ」がにぎられている。

「このナイフはよく切れる。動力機動ケ−ブルをたたき切ってやる。そうすれば、あんたも単なるでくの坊さ」

「まちな、沙織」
翔の声か背後からした。
沙織はおわずふりかえる。
何て事だ。そこにはレイガンを手にした生身の翔がいた。
「これはいったい」
私は気づく。
「そうか、きたない手を咬うね、それがあんたの闘い方かい」
怒りで、感情が暴走する沙織は、後先を考えずに行動してしまう。
悪い癖だ。
「えい、こうしてやる」
体がどうなろうとままよと。動力ケーブルにそのまま、ナイフを差し入れようとした。
一瞬、電撃が装甲磯からほとぱしり、沙織は気をうしなった。
 最後の言葉か耳に残った。
「やれやれ、手をやかせる女だなあ。とんだジャジャ馬だな」

 意識がもどると、もと私が住んでいたコロニーにいた。家の一つに私は寝かされていた、
 前には翔がすわっている
「きたない手を使うね「狼」
それが、最初の口からでた言葉だった。
「おいおい、あいさつはそれかよ」
「だって、そうじやないか」
「我々が本当の力を使えばお前の体はふきとぶ」

翔の隣りにいる装申機が、高い位置から翔の声で言った、
「おどろいたか、沙織。我々は、生まれた時から一心同体なのさ」
「機械と人間の共生体が、我々、狼部隊の隊員なのさ」
零が言う。こんどは、自分の声らしい。
連邦政府がこのように我々を作ったのさ。だからそ供の頃からこ
いつと一緒さ」
その話は、私の心を何がしら揺さぶる。
「それじゃ両親の顔は」私は翔に尋ねる。
「そんなもの寛えちゃいないぜ」
「あたしと同じだね」
共感の心が、ゆっくりと思いがけなく私の中に沸き起こっていた。
「ああ、聞いているさ、「ローズサークル」のうわささ。すべての子供は、アイスに対する戦闘兵器にされている」
「普通の子供はいないの」
「いまじや、わずかだ、連邦政府要人のご子息さまたちだけさ」
「それじゃ、あんたと私は、いわば、同じ類なんだね」
「ふっ、、、そういう事になるな、、」

 私が寝かされている部屋の中.に、唐突に。私の養父母が走り込んできた.私の方を見向きもしなかりた.
「どっも翔さん、助けていただいてありがとうございます」
「そうなんです。こんな鬼の子供に育てた覚えはないのですかね」
そこではじめて私をさげすんでみた。
 私は感じた。どこかのシグナルが危険を発している。
この二人の様子が何か違う。言葉にできない何かが、、

「いかん、沙織」翔がどなる。
そめ言葉と同時に、養父母の体が、白熱する。
両親の体は、触角の総合体と化した。
すでに、人間の姿は肉塊となりはじき飛とび、「アイス」の究極兵器が2体いた。
(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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