yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

ロボサムライ駆ける■第2回■ゲルマン帝国、ロセンデール卿はつぶやく「ふふう、クルトフくん。大仏は、日本人によく効くシンボルですねえ。大仏の別目的を知れば、関西都市連合の水野くんたちも驚くでしょうねえ」

RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。
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ロボサムライ駆ける■第2回■ゲルマン帝国、ロセンデール卿はつぶやく「ふふう、クルトフくん。大仏は、日本人によく効くシンボルですねえ。大仏の別目的を知れば、関西都市連合の水野くんたちも驚くでしょうねえ」
 

ロボサムライ駆ける■第2回■

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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「大仏様が、大仏様が、こちらへ動いて来るぞ」

「ああ、ありがたいことじゃ」

 

 都市にいる人々は、空母上の大仏を見て大騒ぎとなっていた。海岸のほうへ人々は繰り出していた。人もロボットも。

「ありがたい、大仏様じゃ」

 

 大仏が、空母ライオンの甲板上に、座を組んでいる。ロセンデールのライオン丸であった。その上には天女が竪琴をもって演奏している。先刻のロセンデールの歌姫たちが服装を変えて違う歌を奏でているのだ。演出効果バツグンである。

 

「ふふう、見てごらんなさい、クルトフくん。大仏とやらは、日本人によく効くシンボルですねえ」

「タイのバンコクで手に入れたのも、この効果があれば安い買い物でしたな」

 

「それに、この大仏のもう一つの目的を知れば、水野くんたちも驚くに違いありませんねえ」

 

 大阪港に接岸した空母ライオンに、人々が群がり集まって来るのだった。大阪は、いや、近畿エリアはまさに平野であった。かつて存在していた山並みは、霊戦争のおり消滅している。

 

「これ、斎藤、落ち度があってはなりませぬぞ、あの方には」

 二メートルの大身の水野は、ネズミのような小男、斎藤にいった。 二人とも日本の礼服である裃に身を固めている。上下二本の刀をさし、草鞋ばき。当然頭は丁髷を結っている。この二人だけでなく、一般人も、和服、丁髷である。人間だけでなく、ロボットも同様の風体だつた。

 

「わかっております、水野様。あの卿の取り扱いいかんでは、我々の手に日本が…」

「しっ、斎藤。それは禁句じゃ。誰が聞いておるやもしれん」

「が、水野様。わざわざあのロセンデールとか申す新生ドイツ帝国の手の者を、日本に入れる意味がありましたでしょうか」

 

「何を今頃申しておる。足毛布あしもふ博士の強制ロボット動員策でも、あの場所がみつからんのだぞ。ヨーロッパ随一の心柱しんばしら発見の著名人であるロセンデール卿を招くのは当たり前だろうが」

 

「が、心柱を発見された各国、いずれもルドルフ大帝の支配下に入ったと聞き及びます」斎藤は不安げに言った。

 

「お主も心配症じゃのう。支配下に入った各国はヨーロッパぞ。東洋の一国である我々には関係ないわ。よいか、これからの時代で俺は織田信長、お主は豊臣秀吉じゃ」

 

 水野は、織田信長。斎藤は、豊臣秀吉そっりの顔をしていた。

 

「が、水野様。東京には本当の徳川公がおわしますぞ」

「本当に心配症の奴じゃのう。心柱さえ見つかれば、そのようなこと取るに足りぬ」

 大笑いする、水野。西日本都市連合議長である。

 自らの未来が、鮮やかに脳裏に浮かび上がっているのだろう。

 

 一方、斎藤は大阪市長だが、顔色は優れなかった。ともかく、秀吉も信長も外国の力を借りはしなかった。と斎藤は思った。

「それ、ロセンデールが現れよった。斎藤、笑顔じゃ、笑顔」

 

 ロセンデールが、ケープをひるがえせて降りて来た。あとには鷲顔クルトフ、ジャガ芋顔シュトルフが続いている。

 

「これは、これは、ロセンデール卿、遠い道程、お疲れ様でございます」

「水野さん、日本はとても美しい国ですね。とても欲しくなりました」

 憂いを秘めたロセンデールは、簡単に言ってのける。

 

「えーっ」

「いえ、冗談ですよ、外交辞令ですよ。それはおわあkりでしょう」

 にこやかにほほ笑みながら、ロセンデールは言った。

「では、早速、現況をお伺いしましょうか」

 

化野あだしのと呼ばれる地下エリアが、我々の掘削機械やロボットの侵入を防いでおります」

 

 水野は汗を吹きつついった。先程のロセンデールの言葉が心に残っているのである。疑いが少しずつ水野の心にひろがっていく。

 

「と、いうことは、それより先は、あきらかに心柱、そして古代都市というわけですねえ」

 

「そういう可能性がかなり高かろうと思われます」

 

「我々が、日本じゅうから、多くの霊能師を持ってきても、その化野エリアを突破できまないのです」

 斎藤がいった。

「この方はいったいどなたですか。水野さんの小姓ですか」

 

「いえ、紹介するのが遅れました。大阪市長斎藤光三郎です」

 

「斎藤です。以後お見知りおきを」

 斎藤は怒りを隠しながらいった。

 

「水野さんだから、私はお土産を持ってきたのです」

 ロセンデールは、水野とその閣僚連中に向かって胸を張った。

 

「あの大仏です」

「何ですと、あの大仏」

「が、あの大仏は、空母の上に置かれております。それを化野までどうやって」

「心配ご無用です」

 

「まさか、運搬機械が必要とか、おっしゃるわけではありますまいな」

「あの大仏、実は戦闘用ロボットなのです」

 ロセンデールは嬉しそうに言った。

「何ですと」

 

「我々が、タイランドの軍隊と戦ったおりの戦利品なのです。賠償金がわりに受け取った訳です」

 聖騎士団長シュトルフが誇らしげに語った。

 

「あのロボットならば、あの化野の霊を打ち破れると」

「無論、そう考えております」ロセンデールが言った。

 

続く2016改訂

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