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緑なる星にて第6回●クリアキンとイアラの前に地球の神が現われ導く。2人は地球を救うべく最終判断をした。

GS緑なす星にて(1978年)●●編集中です。クリアキンとイアラは地球を救うべき最終判断をした。
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緑なる星にて第6回●クリアキンとイアラの前に地球の神が現われ導く。2人は地球を救うべく最終判断をした。
 

 

緑なる星にて第6回

(1978年)「もり」発表作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

 

 

■地球人類が力をもっていなければ、過去の虐殺がくりかえされるだけだ。その鍵をにぎっているのはクリアキンだ。羊船団の人々が力をもっていなければ。彼は人類に対するユダとなる。

 

 

クリアキンは絶望的なまなざしでロケットの墓場のロケット残骸を見わたした。

たしかにかなりの年月がたっていた。

 

どうやって羊船団の人々をみつけだしたらいいのかクリアキンには、はまったく手がかりがない。

 

おそらくロウ星人達もその科学力を駆使し。探査したに違いない。そのあとをどうして孤立無

援のこの俺がみつけることができるのだろうかとクリアキンは思う。

 

もう羊船団の人々の方からクリアキンをみつけてもらう以外に方法はないように思えた。

 

クリアキンはいまや、ロウ星人の追跡装置である「イアラ」をほっておこうとした。しかしイアラはクリアキンの足に少しもおくれず、ついてきていた。

 

一週間たったろうか。クリアキンには日数がもうわからなくなっていた。

 

密林の中を目標もなく歩きまわっていた。もうロケット群のあった地点もどこだかわからなくなっていた。彼の体のエネルギーも底をついてきていた。

 

あるのは彼女の冷たい目と果しない緑の地獄だけだった。ふらつく足どりで、それでもクリアキンは人類の誇りと自尊心で立ちつづけていた。

 

 

■スコールが、クリアキンの体をうっていた。

 

何時間くらい前からだろうかクリアキンは大地の上に横たわっていた。

彼女は近くで助けおこそうともせずぼんやりとクリアキンを見ていた。クリアキンは立ちあがろうとしたが。よろけて意識を失なってしまった。

 

雨足が早くなり。あたりは泥沼のようになっている。

イアラはクリアキンの側にしゃがみこみ、雨滴は彼女の生気のない顔を激しくたたいていた。

 

その時、どこからともなくのびてきたつるがクリアキンと彼女にからみつき、つりあげ、地下の大きな穴の中へと彼らを送り込んだ。

 

穴は底。の方で広大な空間となっていた。白く光る物が散乱していた。

 

つるに横たえられたクリアキンはかすかに目を開いた。目の前は累々たる地球人の白骨だった。宇宙服らしいものがへばりついている。

服の肩章に、かろうじて羊船団のマークがついている。クリアキンはまた目をとじた。

 

もう何もみたくないと思った。

事態は悪くなるばかりだ。羊船団の人々はいまや地球を新しく支配しつつある植物群に絨ぼされたに違いない。羊船団の人々はもういない。

これで俺の命もつきた。

 

クリアキンはもう稀てのものが失なわれ、煉獄の中でのたうって死ぬように感じた。

 

イアラはまだ白骨の山の中にたっていて、あたりをながめている。やがてイアラもあやつり人形の糸が切れたように倒れた。

 

どこからともなく黒い大きな影があらわれ.クリアキンとイアラの体をかかえ、闇の中に消えた。

 

■耳もとで声がした。

「クリアキン、目ざめよ」

 

クリアキンの意識は虚空の中をさまよっていヽた。

 

その声は力強く、頭の内に響き、父親のそれにも似ていた。クリアキンは巨人と向いあっていた。

 

その顔は白髪と白髪で被れ。彫が深く。神々しい。青い眼は一種の力でさえあった。

 

クリアキンは疲労困意していた。巨人の突然の出現は一種の恐慌状態をひきおこした。

 

「クリアキン、私を恐れることはない。君たち人類が神と呼んでいたものだ」

「あなたが神。では私を助けるためにこの地球に私を呼んだのですか」

 

「クリアキン、見るがいい」

 

イアラが現れ、涙をたたえ、クリアキンの胸に飛びつく。

「クリアキン、30年たってしましったのね」

イアラの顔を凝視する。先ほどまでとは異なる表情だ。

「私はロウ星人の手からのがれることができなかった。その時もあなたが好きだった。でも

ロウ星人の力が私の自由を奪っていた」

「イララは私の力で再生できた。クリアキン、君の勇敢な行動へのプレゼントだ。

さらにこれを見るがよい」

神の手には銀の筒が握られていた。

「太陽光線変換機ですね」

 

「残念ながらそうではない。君の体が超コバルト爆弾なのだ。それを処理したいがためにこの体を表し、君にそれを告げるために私は現れたんだ」

 

 「超コバルト爆弾ですって」

 

 「そうだ。お前の体に信管がセットされた瞬間、この地球がふきとんでいただろう。お前の体

は動く爆弾だったわけだ」

 

 「一体だれがそんなことを」

 

 「覚えているだろう。君が、ある惑星でサイボーグ手術を受けた時だ。一部の狂心的な地球人の末裔が君を選びセ″卜したのだ。君はロウ人達に占領されている地球をロウ星人もろとも消滅させるために帰ってきたのだ」

 

クリアキンは憑き物が落ちたように思った。疑問がわいてきた。

 

「白骨は羊船団の人達なのですか」

 

「いやいや、それは間違いだ。彼らはいまや地球を再占領した」

「何ですって」

 

「地球上の草や木が彼らの今の姿だ。羊船団が地球を出て後。私の意識。の。一部は彼らと共

にあうた。ロウ人の追跡器を破壊したのも私だ。

 

彼らに安住の地はなく。長い航海の間に悲惨な状態となった。母星を失なった者の末路は

あわれだ。彼らはホームシックにかかっていた。しかし地球へは帰ることがぞきない。そ

れで私は地球人達を植物の姿で再度地球にもどすことにした」

 

「では。この地球全体を肢う緑、つまり植物群がすべて、地球人なのですね。樹々がロウ大の大占領のあとにしては再生が早すぎると思っていました」

 

「彼らは自分達の人間としての体を捨て、精神だけもって植物の体との共生を図ったのだ。

 

大昔から人類は大自然と戦い征服することで、自然を治めることができると考えていた。それが人間

の思いあがりにすぎないことを宇宙の放浪の後気づいたのだ。彼らは地球の自然と調和し

なければならないことになる。

 

 

それには邪悪な存在、考え方の本となる人間の体を離れ、植物の中に精神マインドとして住むことにしたのだ。ロウ人達は地球人の姿を探しているのだ。発見できるわけはない。

 

人間の精神をすて去うた体は。さっきのように白骨となったのだ。

 

私が彼らを地球上に連れもどした時。タイムスリップをおこさせ、ロウ人の占領直前の

地球へと導いた。

 

ロウ人が襲来した時にはすでに。羊船団の人々は種子として地球にいたの

だ。30年の間。彼は増大繁殖したのだ。そして大地を彼らと彼らの子孫で占領したのだ」

 

 神の手の中で安心と平和の中に浸ったクリアキンとイアラはお互いをいだきながら。

神のあとにしたがった。

 

 クリアキンとイアラは共に眠りにつこうとする。

物質転換機の中で2人は植物のマインドとなる。

あとには2人の体が残る。人間とアンドロイド。これをロウ星人が発見するだろう。

 

 地球の大地がある限り、人は滅びることはないのだ。地球上の植物として永遠に生きて

いける。ロウ星人をいつの日か追い払うこともできるに違いない。

 

 緑なす星の上でクリアキンとイアラは、緑の木々として変身メタモルフォーゼした。

緑なる星にて第6回(完)20210807改稿

(1978年)「もり」発表作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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