yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

腐敗惑星のアリス第16回「女よ、お前は寂寥王の分身なのか」 突然出現したメタリックな戦闘16面体はトリニティに言う。 「寂寥王の分身ならば、かわいそうだが、」

AF腐敗惑星のアリスー宇宙連邦の監視機構の元で封印されている惑星がある。その腐敗惑星内で新生命トリニティが蘇生し、世界の秩序を変える動きが始まる
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イメージイラストは、THESEIJI今西精二先生の作品です。
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腐敗惑星のアリス第16回「女よ、お前は寂寥王の分身なのか」 突然出現したメタリックな戦闘16面体はトリニティに言う。 「寂寥王の分身ならば、かわいそうだが、」
 

腐敗惑星のアリス第16回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

■「女よ、お前は寂寥王せきりょうおうの分身なのか」

腐敗惑星の上空、その突然出現した異物はトリニティに言った。メタリックな戦闘16面体だった。

 さわるとスパッと切れそうと、トリニティは思った。

こいつが戦闘16面体なの。

「寂寥王の分身ならば、かわいそうだが、お前を殺さねばならぬ。我々は寂寥王が現れる事を認めるわけにはいかん」

16面体の声はエコーがかかっている。

何人かがしゃべっている感じだ。

(地下羊宮チャクラと違って扱いにくそうな奴)

「我々16面体がいま、この腐敗惑星を支配している。お前のような生命体、寂寥王の分身よ、認めるわけにいかん。かわいそうだが、死んでもらおう」

「ーせきりょうおうーなんてしらないわよ。おまけに、ここを支配ですって。なぜ、あたしがあなたにころされなきゃいけないの。相手をみて言ってよ。地下羊宮チャクラから聞いていたけど、あなた、絶対変よ」

 が、抗議も聞かず、恐ろしいスピードで、戦闘16面体はトリニティの側にちかづいてきた。

その時、腐肉の地中から生物はずぶずぶと出現した。

腐肉の地中から全身をあらわしていた。

全長10mはある“イモムシ”の様だった。関節が所々にある。側面に窓があり、模様のようにキラキラ輝いていた。

「どうして、次々と知らない人があらわれるよ、

あたしは禁断の実をさがしているだけな

んだから。地下羊宮のチャクラ、助けて」トリニティは泣きながら叫んでいた。

「何!禁断の実だと」2つの生物が同時に叫んだ。

戦闘16面体は、現れた生物に叫ぶ。

「お前は何だ、ゴーストトレイン、死んだのではなかったか」

メタリックな戦闘16面体が、地中から出現した生物に言った。

「あなた、ひさしぶりね。戦闘16面体。あなたこそ、まだ生きていたの」

そう言いながら、

「この子は我々にまかせろ。寂寥王かもしれないからな」

戦闘16面体がゴーストトレインの方を向いて言った。

「あなたこそ、この子から手をひきなさい」

「ヘイヘイ、二人ともなによ。あたしを無視して、あたしを巡ってけんかしないでよ」

「トリニティ、いい、私の命令に従いなさい」イモムシ状の列車の形ににたゴーストトレインは言った。

「そんな事言ったって」

(いやな奴だわ。強引よ、今あったばかりなのに)

「考えているひまはないでしょう。この戦闘16面体はあなたを殺そうとしているのよ」

 ゴーストトレインの胴体の一部が開き、触手がトリニティの体をつかんでいた。

「きゃっ、何をするの。無理やりに連れていかないで」

「いい、私のいう事をききなさい、あなたを助けてあげようというのよ。それに禁断の実

のある場所につれていってあげる」

「何ですって、あなた、禁断の実のありかを知っているの」

腹の中でトリニティは叫んでいた。

「どうやら、この中は安全みたいね」

「そうよ」体の中から声がしてトリニティに聞こえた。

 戦闘16面体が、ゴーストトレインを阻止しょうとする。

ゴーストトレインの内壁には窓の様なところがあり、今の様子はそこから一部始終が見えた。

「まて、そやつは寂寥王かもしれんのだぞ、この星を滅ぼし、またこの世界を滅ぼそうと

している」

「どうしても、つれてゆくというなら、お前を先に倒す」

 戦闘16面体の側面から、攻撃用の突起物が出現していた。

「すごい、どっちが強いの。ともかく、期待して、見物しょうっと」

トリニティは暢気なことをいった。

「私をあなたが倒せるかしらねぇ、戦闘16面体さんよ」

 ゴーストトレインの尾部が急にはねあがり、

戦闘16面体の体がひとなぎした。先制攻撃のパンチだ。今までいた空間から戦闘16面体はふきと

ばされる。

「うわっ、やるじゃない。見直したわ」

「きさま」戦闘16面体は発光した。突起物の1本が急激にのび、ゴーストトレインの横壁にさ

さる。パシッと大きな音がして、その部分が黒コゲとなる。

「いやだっ、がんばってよ、あたしがついてるから」

 ゴーストトレインの体全体が身震いした。

「いいか、今のは警告だ。その女を我々に渡せ」

「いやだ。あたしを渡さないでお願いだから」

 叫ぶ、トリニティだった。

「いやだわ、私を傷つけた以上、しかえしをさせてもらおうわ」

 ゴーストトレインの数箇所の関節部分から、白い粘液が戦闘16面体に吹きかけられる。

「くそっ、きさま、何をする。動けない」

 16面体は、白い繭になって地表に落ちる。

「ああっ、いいきみよ」

「さあ、今のうちよ」

ゴーストトレインは腐肉の地中に潜ろうとする。

「ええっ、この腐肉の中を進むの、考えただけで気持ちが悪いわ。まって、どこにあたし

をつれていくつもり」

トリニティは叫んだ。

「決まっているでしょう、禁断の実のある場所じゃないの」

「それなら、いい、ここなら安全、らくちんだから。ああ、よかった」

(続く)20210917改訂

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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