yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

ロボサムライ駆ける■第49回早乙女モンドの前、日本の心柱により、地下空洞にピラミッドが出現し、超古代都市が復活された。落合レイモンが復活の理由を告げる。

RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/50/

 

ロボサムライ駆ける■第49回早乙女モンドの前、日本の心柱により、地下空洞にピラミッドが出現し、超古代都市が復活された。落合レイモンが復活の理由を告げる。
 

ロボサムライ駆ける■第49回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

 

■第六章 古代都市(4)

 サイ魚法師が味方に付いたことで、戦いの流れが変わった。

「いかん、シュトルフ君、逃げなさい」

ロセンデール卿は命令していた。

「しかし、殿下、我々は、敵には後ろをみせません。

今まで、そんな負け戦さはしたことがありませんぞ」

 呻くシュトルフ。

 

「シュトルフ君、今がその最初の時なのです。私の考えがある」

 ロセンデール卿がいった

「くそっ、ロボットども覚えていろ」

 ののしるシュトルフ。

 聖騎士団は奥へ退く。

 

「へへん、ほえづらかくのはお前たちだよー」

 知恵は悪態をついた。

 

「心柱様、我々日本のロボット、外国勢からお守りもうした。どうぞ安心して下されい」

 

『有り難い。が、決して奴らに油断するな。それでは、私を中心とした、いにしえの都市をお前たちに見せてあげよう』

 

 心柱の表面が、一度ぐるぐると回りだし、さらには膨らんでいった。

しかし、その表面は物理的なものではなかった。

 

 半透明の膨張面は、背後から戦っていたロボットたちの体を突き抜け、心柱の中にロボットたちは、入っていた。

 

 一瞬、あたりすべてが白熱化し、何も見えなくなる。

 

 すべてのロボットの目がくらんだ。

「我々ロボットの眼がくらむなど……」

 

 彼らロボットの視覚が普通に回復すると。

 

 そこには、心柱のある島を中心に巨大な青々とした地底湖が広がり、六つの島がある。

 

その各の島の上には石造ピラミッドの神殿が現れている。ピラミッドは心柱を中心にきれいに六方向にあるのだ。

 

 心柱のそばには、超古代に造られたらしい石造りの神殿が出現していた。

古代ギリシャのオリンポスの神殿を思わせる。

 

 ドロサムライ早乙女主水を始め反乱ロボットはそのそばにたっているのだ。

 

「これは……」

 絶句する主水。

 

 いかなるロボットの電子頭脳もこれは理解の範囲を超えている。

 

 心柱のある島の神殿に数十人の人影がある。

西日本都市連合の首長たちである。

 

 神殿の祭壇の中心に、落合レイモンが座っていた。

 

 思わず主水は走り寄る。

 

「レイモン様、ご無事でござりましたか」

「おお、主水か。無論じゃ、危機は去ったようじゃな。こちらへこられるがよい」

「この神殿は一体何でござるか」

 

「主水殿にわからないのも無理はない。

日本にも、古代には巨石文化がござった。

 

霊戦争以前のこのあたりの奈良地方の山、三輪山、天の香久山、耳成山畝傍山、忌部山、磯城山、の地下すべてには、このような石造ピラミッドが超古代からあった。

また、サイ魚法師が出現された湖も、古代には存在しておった大和湖じゃ」 

 

淡々と述べる落合レイモンである。

 

「落合レイモン様、このことをすべてご存じだったのですか」

「いや、すべてはわからなかった。が、この近畿新平野において、何者か古代の巨大な霊が復活し、私を呼んでいるのはわかっておったのじゃ」

 

「それをわかっていて、関西都市連合会議に参加なさったのですか」

 

「その通りじゃ、貴公には迷惑をかけたが、このような大いなる目的があった。許せ早乙女殿、このとおりじゃ」落合は早乙女主水に頭を下げた。

 

「落合様、いえ、何度も私を始め皆の危うい所を、お助けいただき、感謝の言葉もございません。しかし、ロセンデール卿のものどもは、レイモン様を…」

 

「ロセンデール卿は、私を下へもおかぬ丁重な扱いをしてくれおる。この心柱と化野のことを解決できるのは、落合レイモン様しかおられぬとか申しておったわ。はっはっは」

 

 ちょうど六つのピラミッドの頂上から光が出ていた。

この六つの山のエリア内に含まれる湖面が撥ねて変化している。

 

 光の野となる。

 

 光が感光したように、地上から浮かび上がっている。

 

十万の人口を養い得る町並が出現していた。

湖は三分の一の広さとなった。

 

「見よ、主水殿。超古代都市の復活じゃ」

「レイモン様、これは……」

 

「はるか昔、古代ユダヤの民の一支族が、この日本に住み着き、『ソロモンの宝』をもってこの地を豊饒の地にされた。やがて人々はその祖先を忘れ、享楽にふけるようになった。それゆえ、この古代の都市は、最後の霊道士によって封印されたのだ」

 

「ロセンデール卿が狙っていたのも」

 

「そうじゃ、この都市に眠る「神の棺」を、申請、ゲルマン帝国のロセンデール卿は狙っていたのじゃ」

 あまりのことに驚くロボ反乱軍と主水たちであった。

 

「ところで主水殿、足毛布博士という方を存じぬか」

 

(続く)

■ロボサムライ駆ける■

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

ロボサムライ駆ける■第48回■これが日本の心柱だ。霊能師、落合レイモンの声が地下空洞・古代都市に響く。叛乱ロボにシュトルフ率いるゲルマン聖騎士が襲う。大和湖からはサイ魚法師が現れる。

RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/49/

 

ロボサムライ駆ける■第48回■これが日本の心柱だ。霊能師、落合レイモンの声が地下空洞・古代都市に響く。叛乱ロボにシュトルフ率いるゲルマン聖騎士が襲う。大和湖からはサイ魚法師が現れる。
 

ロボサムライ駆ける■第48回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

 

■第六章 古代都市   (3)

 

 心柱のある場所はここまでの化野よりももっと広大だつた。

 

「なぜ、こんな広大な場所が地下にあるのだ」

「これが…」主水は思わずつぶやいていた。

 

『そうじゃ、これが心柱じゃ。日本の心柱。これを数千年にわたって探していた者がおるのじゃ』

落合レイモンの声が再び響いてきた。

 

「レイモンさま、ご無事ですか、お助けにまいりましたぞ」

 その柱は直径二十メートルほどあり、天井部分は、はるか霞んで見えなかった。同じ太さで地中に植わっている。

 その柱は輝いているが、がその色は数刻ごとに七色に変化していた。そして、まるで生き物の皮膚のようにぬめりとしていた。

     ◆

 

『機械たちよ、私の命令に従え』

 叛乱ロボット軍団の皆の心の中に、この言葉が、突然侵入してきた。

「こ、この声は…」

 侍ロボットの一人が尋ねた。

 

『私は超生命『心柱』である。この日本を日本たらしめている生命体である。日本列島誕生より、この日本に住み着き死んでいった生命の残留意志集合が私なのだ。古代より続くこの日本の地に霊として結集し、形をとったのだ。

 私を、ロセンデールとか申す外国人によって支配させるでない。日本ロボットの諸君、皆私の前に集まれい。私を保護せよ。日本古代よりの霊の結合体と、地下に眠る地球意志ネットワークが融合したのが、私だ』

 

「おはしらさまが、古代都市に結界を張っていたわけか」

 主水がつぶやく。

『そういうことだ、主水。私が動けば、古代都市を復活させることができる』

心柱が答えた。

「皆、みはしらさまの前に集まれい」

 心柱を背にロボット奴隷戦士が、円陣を組んでいた。

 

 シュトルフ率いる聖騎士の一団が、主水たちに襲い掛かってくる。

「ここが踏ん張りどころぞ。こやつら異国の者ばらに、日本の心柱を占領させてなるものか。方々、これが日本のロボットの力の見せ所ぞ」

 主水が声を張り上げていた。

 

 パワードスーツの一団、聖騎士団は、レザーサーベルを抜き放つ。

「かかれ…、日本のロボットなど、奴隷の一団。おそるるにたりん。我らが聖騎士、ゲルマンの神の御加護があらん。攻めて攻め滅ぼせい。力押しだ」

 

 大夫シュトルフが、赤ら顔の表情を一層険しくして怒鳴っていた。

地下巨大空洞に、怪しい光がみちみちた。

 

 日本の心柱を巡って、ロボットとパワードスーツがいり乱れて戦い始めた。

 そのとき、地下空洞の地面から地下水が、急に噴出してくる。

 見る見るそれは湖となる。

 

「これが、古代大和湖か」

 主水は戦いながら関心した。湖の色は不思議な瑠璃色だった。その中に生命が溢れているように感じた。僅か数刻で水が満ち満ちるとは。

 その地下湖から姿を現すものがある。

 

 小型潜水艦である。

 

 横腹に『水鏡すいきょう』と書かれていた。

下水流に乗ってきたのだ。

「あるいは……」主水は期待をもってその潜水艦を見る。

 サイ魚法師が、艦橋ハッチをあけて顔を出した。

「おお、戦いの真っ最中ではないか。とんだところに出くわしたものじゃ」

 そのサイ魚を見たロセンデール卿は味方につけようとした。

 

『サイ魚法師君、早く我々の手助けをするのです。シュトルフ君を助けなさい。あとで礼はつくします。空母を沈めたことも許しましょう』

 

 ロセンデール卿の声が、サイ魚法師に響いた。

「サイ魚法師殿、我々に味方しろ。日本対外国の戦いじゃ。どちらに味方すればいいか、おのずからわかろう」主水も声を振り上げる。

 

「おおっ、皆元気のいいことじゃ。こんな地下でも戦いとは大変じゃのう」

 サイ魚法師は知らぬ顔をする。

 

 どちら側についてもおいしい話なのである。

この戦いの力のバランスを崩すことができる。キャスティングボードを握っているのが、サイ魚法師であった。

「え、あなたが、有名なサイ魚法師ですかー」

 

 そばで見ていた知恵が、調子外れにすっとんきょうな驚きの声を上げ、羨望の眼差しでサイ魚を見る。

 はぐれロボットにとって世界を放浪するサイ魚法師は、伝説のロボットなのである。

「サイ魚法師様、ぜひ私を弟子に。貴方様は我々ロボットのあこがれの人、伝説の人です。どうぞお願いしまーすー」

 知恵が、まるでアイドルに対するようにサイ魚法師に言う。

 

「おいおい、知恵。戦いの途中じゃ。私はどうなるのだ。よいのう、サイ魚法師、ファンがいて」むくれる主水。

「おじさん、嫉妬だねー」

 主水を見て、あざける知恵。

「サイ魚法師、頼む」

「しかたがないのう、主水、貸しは二つぞ」

 

(続く)

■ロボサムライ駆ける■第六章 古代都市

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

ロボサムライ駆ける■第46回 早乙女モンドは、水野議長と会合し 近畿新平野の地下に空洞古代都市があり、落合レイモン、足毛布博士、徳川公もそこで捕縛と告げられ、救助に反乱ロボ群を率いる決意をする。

RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。


ロボサムライ駆ける■第46回 早乙女モンドは、水野議長と会合し 近畿新平野の地下に空洞古代都市があり、落合レイモン、足毛布博士、徳川公もそこで捕縛と告げられ、救助に反乱ロボ群を率いる決意をする。

▼この小説のURL
https://ncode.syosetu.com/n2492db/47/

ロボサムライ駆ける■第46回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
http://9vae.com http://visitjapan.info
youtube manga_traininghttp://www.yamada-kikaku.com/ 
http://www.yamada-kikaku.com/ http://mangakadata.net

■第六章 古代都市(1)

   (1)
 三日後、機械城の後はくすぶっていたが、早急に緊急工事がされている。
「主水殿、我々に、その剣技を貸してはくださらぬか」
 水野都市連合議長は、西日本都市議事堂議長室で、主水に対して膝を屈した。
 二人は、機械城から、助け出されたことに礼をいい、続けて本音をしゃべっていた。

 ともかくもこの事態を収拾しなければ、ならない。
 主水にとっても、ロセンデールから、落合レイモンをはじめ助け出さなければならない人がいるのだ。

 ここは、西日本都市連合とも手をむすんでおくのが、得策といえた。
「無論、主水殿、剣闘士としての身分は解消する。東京の自由なロボットととして活躍していただきたい」
 水野が汗を拭き拭き、付け加えた。
「斎藤殿、ありがとうござる、まずはどのような企てかお聞かせ下さい。話によりましたは、非力なこのロボットの私が力をお貸し致しましょう」
 少しばかりイヤミを言う主水である。

「落合レイモン殿。さらには貴殿の生みの親、足毛布博士も、閉じ込められておる場所を、つまり、ロセンデールの隠れ場所を、我々のロボ忍が発見しておる」
 斎藤が一気にしゃべり出した。
「何と。あなた方が落合レイモン様を拉致したとばかり思っていたのですが」
「いやいや、さようなこと、同じ日本人同志ではござらぬか」
「して、レイモン様は」
「ロセンデールの古代都市復活プロジェクトチームに使われておられる」
「はて、古代都市とは…」
 知らぬ言葉に主水は戸惑う。

「霊戦争のおり、日本の西日本エリアが大打撃を受けたのはご存じであろう」
「神の衛星ボルテックスから全日本軍がレーザー攻撃を受け、近畿地方ことごとく消滅。同時に、古来からある神社仏閣がことごとく消滅したと聞き及びます」
「それじゃ、それが近畿新平野の地下に埋もれておるのじゃ」

「消滅したのではなく」
「そうじゃ、ある一点に向かい、すべての霊力が集中した場所があるのだ」
「その場所は…」
「昔の記録にある…奈良、飛鳥のあたり。近畿新平野の地下に巨大な空洞があることが発見されている。その場所に古代都市があり、心柱、おはしらさまがある」
「先刻、貴公が黄金の大仏と戦った化野は、その都市へ通ずる入り口の一つなのだ」
 水野が付け加えた。

「斎藤殿がいわれるその古代都市の中に、落合レイモン様も足毛布博士も…」
 主水は戦うべき場所を二人から指示されているのだ。
「そうじゃ、そこにおられる。主水殿、西日本は及ばず、東日本エリアからも、かなりの霊能師が消えておることは、知っておられよう」
「つまりは、この古代都市を復活させるためのプロジェクトが進んでおるわけだ」
 斎藤がいった。
「しかし、なぜ、ロセンデールに『ライオン』の回航を許したのですか」
 主水は話を変えた。
「むむっ…」
「それは…」
 二人は言い淀んだ。

「外交的圧力という奴じゃ」
 斎藤は汗を拭き拭き答える。
「それでは、あの剣闘士大会も」
「むろん、ロセンデールが日本の戦闘力を調べるために行った。貴公も気がついていようが、あの『ライオン』船上に西日本エリアの主な都市の首長が招待され集まっておったろう」
「そうですな、彼らはいかがされました」
「ことごとくロセンデールに連れていかれた」

「連れていかれたですと」
「ロセンデールめが、誘拐しおったのじゃ。我々、西日本都市連合が逆らわぬように、安全処置としてな」
「我々が表立って、古代都市の復活を妨げようものなら、血祭りにあげるというのじゃ」
「何と、卑劣漢め」
 主水の顔も怒りで真っ赤になる。
「そこで我々は、貴公に頼らざるを得ない」
「この話は、徳川の主上にも」
「むろん。が、主水殿、悪い知らせじゃ」
 悪い予感が主水の胸に走った。
「何か、東京エリアの徳川公国に起こりましたか」

「徳川公もロセンデールのところじゃ」
「徳川公もですと。まさか…」
 しばし、主水は無言となる。
 徳川公がつかまっておられるのなら、主水としては、ぜひとも戦わざるをえない。
「致し方がありますまい。戦いましょう」
 主水は決意した。

「しかと頼んだ。日本の命運はつとに貴殿の両肩にかかっておる」
「戦力としては、西日本の反乱ロボットを使いましょう。彼らが反乱を起こしたことにすればよい」
「なるほど、我々政府は何の責任もないことになる」
 水野が考え込む。
「が、約束していただきたいことがあります」

「何じゃ」
「もし、この計画が成功した暁にはロボット奴隷制度を廃止していただきたい」
「そ、それは難しい問題じゃ」
 斎藤が呻く。

「我々の責任ではいかんともしがたい。政治体制の崩壊にも繋がりかねん」
 水野が続けた。
「と、いわれると、この日本がロセンデールに支配されること、さらには古代都市が復活することをお望みなのか」
 主水は二人を責め立てる。

「いや、そうではない。が、しかし…」
「しかし、どうだといわれる」
 水野はすこし考えていた。
「わかった。その問題を議会にかけることを誓おう」
「よろしい。その誓いを正式文書にしていただけるか」
 主水は念を押しておく。
「わかった」
「それが整い次第、私は出掛けましょう」

 ロボザムライ主水が部屋を立ち去った後、二人は話しあっていた。
「あやつが、この問題を解決すれば、どのようにでもなりましょう」
 斎藤は言った。
「そうじゃ。あやつを抹殺すればよい」
 水野がほくそ笑む。
「議長もお人が悪うございますなあ」
「貴公、我々は政治家でじゃぞ」
「ああ、そうでござりますな」
 二人の乾いた笑い声が続いた議長室に長く響いていた。

 が、ロボザムライの耳は、この話を聞き取っていた。
「ふふう、水野たち、後でほえずらかかせてやるわ」
 主水は独りごちた。まずは知恵と、山本一貫に連絡しようと考える主水だった。
(続く)
■ロボサムライ駆ける■
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/ http://mangakadata.net
http://www.yamada-kikaku.com/
http://9vae.com http://visitjapan.info

ロボサムライ駆ける■第46回 早乙女モンドは、水野議長と会合し 近畿新平野の地下に空洞古代都市があり、落合レイモン、足毛布博士、徳川公もそこで捕縛と告げられ、救助に反乱ロボ群を率いる決意をする。

RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。


ロボサムライ駆ける■第46回 早乙女モンドは、水野議長と会合し 近畿新平野の地下に空洞古代都市があり、落合レイモン、足毛布博士、徳川公もそこで捕縛と告げられ、救助に反乱ロボ群を率いる決意をする。

▼この小説のURL
https://ncode.syosetu.com/n2492db/47/

ロボサムライ駆ける■第46回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
http://9vae.com http://visitjapan.info
youtube manga_traininghttp://www.yamada-kikaku.com/ 
http://www.yamada-kikaku.com/ http://mangakadata.net

■第六章 古代都市(1)

   (1)
 三日後、機械城の後はくすぶっていたが、早急に緊急工事がされている。
「主水殿、我々に、その剣技を貸してはくださらぬか」
 水野都市連合議長は、西日本都市議事堂議長室で、主水に対して膝を屈した。
 二人は、機械城から、助け出されたことに礼をいい、続けて本音をしゃべっていた。

 ともかくもこの事態を収拾しなければ、ならない。
 主水にとっても、ロセンデールから、落合レイモンをはじめ助け出さなければならない人がいるのだ。

 ここは、西日本都市連合とも手をむすんでおくのが、得策といえた。
「無論、主水殿、剣闘士としての身分は解消する。東京の自由なロボットととして活躍していただきたい」
 水野が汗を拭き拭き、付け加えた。
「斎藤殿、ありがとうござる、まずはどのような企てかお聞かせ下さい。話によりましたは、非力なこのロボットの私が力をお貸し致しましょう」
 少しばかりイヤミを言う主水である。

「落合レイモン殿。さらには貴殿の生みの親、足毛布博士も、閉じ込められておる場所を、つまり、ロセンデールの隠れ場所を、我々のロボ忍が発見しておる」
 斎藤が一気にしゃべり出した。
「何と。あなた方が落合レイモン様を拉致したとばかり思っていたのですが」
「いやいや、さようなこと、同じ日本人同志ではござらぬか」
「して、レイモン様は」
「ロセンデールの古代都市復活プロジェクトチームに使われておられる」
「はて、古代都市とは…」
 知らぬ言葉に主水は戸惑う。

「霊戦争のおり、日本の西日本エリアが大打撃を受けたのはご存じであろう」
「神の衛星ボルテックスから全日本軍がレーザー攻撃を受け、近畿地方ことごとく消滅。同時に、古来からある神社仏閣がことごとく消滅したと聞き及びます」
「それじゃ、それが近畿新平野の地下に埋もれておるのじゃ」

「消滅したのではなく」
「そうじゃ、ある一点に向かい、すべての霊力が集中した場所があるのだ」
「その場所は…」
「昔の記録にある…奈良、飛鳥のあたり。近畿新平野の地下に巨大な空洞があることが発見されている。その場所に古代都市があり、心柱、おはしらさまがある」
「先刻、貴公が黄金の大仏と戦った化野は、その都市へ通ずる入り口の一つなのだ」
 水野が付け加えた。

「斎藤殿がいわれるその古代都市の中に、落合レイモン様も足毛布博士も…」
 主水は戦うべき場所を二人から指示されているのだ。
「そうじゃ、そこにおられる。主水殿、西日本は及ばず、東日本エリアからも、かなりの霊能師が消えておることは、知っておられよう」
「つまりは、この古代都市を復活させるためのプロジェクトが進んでおるわけだ」
 斎藤がいった。
「しかし、なぜ、ロセンデールに『ライオン』の回航を許したのですか」
 主水は話を変えた。
「むむっ…」
「それは…」
 二人は言い淀んだ。

「外交的圧力という奴じゃ」
 斎藤は汗を拭き拭き答える。
「それでは、あの剣闘士大会も」
「むろん、ロセンデールが日本の戦闘力を調べるために行った。貴公も気がついていようが、あの『ライオン』船上に西日本エリアの主な都市の首長が招待され集まっておったろう」
「そうですな、彼らはいかがされました」
「ことごとくロセンデールに連れていかれた」

「連れていかれたですと」
「ロセンデールめが、誘拐しおったのじゃ。我々、西日本都市連合が逆らわぬように、安全処置としてな」
「我々が表立って、古代都市の復活を妨げようものなら、血祭りにあげるというのじゃ」
「何と、卑劣漢め」
 主水の顔も怒りで真っ赤になる。
「そこで我々は、貴公に頼らざるを得ない」
「この話は、徳川の主上にも」
「むろん。が、主水殿、悪い知らせじゃ」
 悪い予感が主水の胸に走った。
「何か、東京エリアの徳川公国に起こりましたか」

「徳川公もロセンデールのところじゃ」
「徳川公もですと。まさか…」
 しばし、主水は無言となる。
 徳川公がつかまっておられるのなら、主水としては、ぜひとも戦わざるをえない。
「致し方がありますまい。戦いましょう」
 主水は決意した。

「しかと頼んだ。日本の命運はつとに貴殿の両肩にかかっておる」
「戦力としては、西日本の反乱ロボットを使いましょう。彼らが反乱を起こしたことにすればよい」
「なるほど、我々政府は何の責任もないことになる」
 水野が考え込む。
「が、約束していただきたいことがあります」

「何じゃ」
「もし、この計画が成功した暁にはロボット奴隷制度を廃止していただきたい」
「そ、それは難しい問題じゃ」
 斎藤が呻く。

「我々の責任ではいかんともしがたい。政治体制の崩壊にも繋がりかねん」
 水野が続けた。
「と、いわれると、この日本がロセンデールに支配されること、さらには古代都市が復活することをお望みなのか」
 主水は二人を責め立てる。

「いや、そうではない。が、しかし…」
「しかし、どうだといわれる」
 水野はすこし考えていた。
「わかった。その問題を議会にかけることを誓おう」
「よろしい。その誓いを正式文書にしていただけるか」
 主水は念を押しておく。
「わかった」
「それが整い次第、私は出掛けましょう」

 ロボザムライ主水が部屋を立ち去った後、二人は話しあっていた。
「あやつが、この問題を解決すれば、どのようにでもなりましょう」
 斎藤は言った。
「そうじゃ。あやつを抹殺すればよい」
 水野がほくそ笑む。
「議長もお人が悪うございますなあ」
「貴公、我々は政治家でじゃぞ」
「ああ、そうでござりますな」
 二人の乾いた笑い声が続いた議長室に長く響いていた。

 が、ロボザムライの耳は、この話を聞き取っていた。
「ふふう、水野たち、後でほえずらかかせてやるわ」
 主水は独りごちた。まずは知恵と、山本一貫に連絡しようと考える主水だった。
(続く)
■ロボサムライ駆ける■
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/ http://mangakadata.net
http://www.yamada-kikaku.com/
http://9vae.com http://visitjapan.info

ロボサムライ駆ける■第45回心柱の近く、ロセンデール卿の地下基地で霊能師・落合レイモンは、機械城爆破による殺戮の企みを夜叉丸を遣い、早乙女モンドと叛乱ロボ群に報せ、ついに機械城は大爆発を遂げる。

RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/46/

 

ロボサムライ駆ける■第45回心柱の近く、ロセンデール卿の地下基地で霊能師・落合レイモンは、機械城爆破による殺戮の企みを夜叉丸を遣い、早乙女モンドと叛乱ロボ群に報せ、ついに機械城は大爆発を遂げる。
 

ロボサムライ駆ける■第45回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

http://9vae.com http://visitjapan.info

youtube manga_traininghttp://www.yamada-kikaku.com/ 

 

第五章 機械城(7-2)

    ◆

 「反乱ロボットども、すべて機械城に入りましてございます」

 秘書官クルトフが、地下トンネル内の秘密基地にいるロセンデール卿に告げていた。

 「ははん、、思いどおりですね、クルトフ君」

 「殿下の思いどおりになりましたね。それで水野や斎藤など、日本

人の側の人々も」

 「むろん、機械城天守閣に入っております」

 「シュタイフ君、あなたはわたしに感謝しなくてはいけませんよ」

 「と、申しますと、殿下」

 大男のシュタイフは不思議な顔をしていた。

 

「そうでしょう。機械城の守備をあなた方、聖騎士団に任せていたら、

皆一緒に滅ばさなければなりませんでしたよ。化野も、落合レイモ

ンのお陰で侵入することができた今、彼らなど私に必要ないのです」

 

 はっと気付くシュタイフ

「恐ろしいお方だ、殿下は」

 

 「ねえ、シュタイフ君、不用物は早々と捨てるべきでしよう。ロ

ボ忍の諸君も頑張っているようですし、美しい最後を飾って挙げま

しようよね、クルトフ君」

 

 ロセンデール卿は、シュタイフとクルトフに同意を求めた。ロセンデール卿の青い眼

は喜びにきらきら光っている。

 「殿下の仰せのままに」二人は片膝を曲げた。

 「それでは、機械城を始末するとしますか」

 

 

 落合レイモンは、この心柱の近くにあるロセンデール卿の地下基地

の別部屋にいる。

 薬浴しながら、ロセンデール卿たちの話し声を聞いていた。彼は遠

くの声を聞けろ。

 「ロセンデール卿よ、化け物よのう」

 「どういたしましたレイモン様」夜叉丸が言った。

 

 「ここは済まぬが、夜叉丸。お前に一働きしてもらわねばならぬの

う」

 「お上の仰せのままに」

 「反乱ロボットや、主水たちに知らせてくれぬか。あのままだと、

奴ら機械城ごと吹き飛ばされてしまう」

 

 夜叉丸は、ロセンデールの見張りを鉾で倒し、バイオコプターで

機械城に向かった。

   ◆

 主水は、両足を花村のために無くしていたので、破壊されたロ

ボットの足を付け替えていた。

 

「主水殿はおられるか」

「おお、夜叉丸どのか、お助けありがとうござる。レイモン様は今、

どこにおわす」

 「レイモンさまはご無事じゃ。それより、おぬしたちのこと心配で

レイモンさまが事ずけをされたのじゃ。機械城が危ない」

 「何と」

 

 夜叉丸は、情報を早く伝えるため、主水の手に自分の手の平をあ

てた。情報が生水の頭にすばやく入力される。

 「これは何と」

 「水野殿、斎藤殿も助けるのじゃ」

 「夜叉丸殿、お手伝いいただけるか」

 「こころえておる」

 が、機械城は混戦状態である。

 「皆様がた、これは罠でござる。早く引きあけよう`

 騒ぎが起こっていた。

「何といたした」

 

 地下から起こった火柱は、機械城全体に巡った。

機械城はやがて大爆発を起こす。

敷地内ことごとく吹き飛んでいた。

 

「どないしたんや」

「えらいこっちや、機械城が爆発しよったわ」

「何か、残ってるのとちゃうか」

「みにいこう」

「ひらいにいこう」

 大阪の街じゆうが大騒ぎだった。

 

(続く)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

http://9vae.com http://visitjapan.info

youtube manga_training

ロボサムライ駆ける■第44回機械城は、自動要塞で、城石・天城陣で飛来くるロボ忍を、早乙女モンドの双剣「地づり」で破るが、諸共自爆を花村が仕掛ける。

RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/45/

 

ロボサムライ駆ける■第44回機械城は、自動要塞で、城石・天城陣で飛来くるロボ忍を、早乙女モンドの双剣「地づり」で破るが、諸共自爆を花村が仕掛ける。
 

ロボサムライ駆ける■第44回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

http://9vae.com http://visitjapan.info

youtube manga_training

 

 

第五章 機械城(7)

 ロボサムライ早乙女主水モンドは乱戦にて、一人切り放されていた。

「主水、この攻撃が受けられるか」

 機械城城壁が前に動いた。

「何と」

 

城壁の一部が地上少しばかり浮き上がり、動き始めた。地下には

キャタピラが数基、装着されている。

 「主水くん、機械城がただの前衛基地と思うたか。この機械城は、動く

地上要塞よ」ロセンデール卿の声が響く。

 

 「ロセンデール卿め、敵ながらさすが」

 「主水くん、そこを動くな」

 主水の左右前後から、接合から切り離された城壁の一部が迫って

きた。圧し潰すつもりだ。

 「主水くん、我が城、機械城の人柱となれ」

 

 機械城城壁の一つ一つの石垣が、ばらばらにあり、浮き上がる。

そして花のように舞う、空に舞う石垣の上に、何人かのロボ忍が乗

っている。

 

「これは面容な」

「『石垣の舞い・天城陣』をお目にかける、主木殿、拙者、花村一

去じゃ」ロボ忍の頭が言った。

「我らが護衛しておる機械城。ちよっとゃ、そっとのことでは、破

られぬぞ、主水」

 

「主水、我らが天城陣敗れるか」

 ロボ忍たちの城石が、上水の頭上に自在に回っている。

 

上に向かい、叫ぶ主水であった。

主水のそばに、四方の城壁が緩々と追って来る。

 

「花村殿、破って見せようぞ」

「まずは、城壁で圧しつぷしてくれるわ」

 両手で壁を支える主水。瞬間、主水は双剣を足元に立てた。

両足でその双剣を挟み込む。竹馬の要領で乗る。

 

目に止まらぬ早さで回転し始める。地埃が起こる。

 数秒後、主水の姿は消えていた。

 

「くっ、主水め。地に潜りよった」

「ええい、捜せ」

 城石から地上に降り立つ忍者たち。掘り返された地上には埃まみ

れである。

「ぐわっ」

バタバタと倒れるロボ忍たち。地中から急に飛び出した

 

主水の刀が、ロボ忍の体を、すべて切離していた。

「見たか、地づりの剣」

 地中から土埃とともに、双剣を持ち、主水が現れていた。

「皆様のお命頂戴致す」

 地に倒れるロボ忍たちは。瞬時に切り刻まれている。

主水は片手拝みする。

 

花村だけが浮遊する減石に残っていた。

 

「卑怯なり、主水。我が手下の敵」

 城石が、主水の方へ飛び降りて来る。瞬時、主水は跳躍していた。

 

 上空で態勢を変える。剣先を下にして、花村の天頂を目かけて落下

する。

「ぎゃっ」

 花村の体を、頭の笑中から胴体まで、主水の剣が貴いていた。

倒れている花村の側に、主水が近寄る。

 

「花村殿、徳川公の行方を教えてくださらぬか」

 

「ふふう、甘いのう、主水。俺が教えると思うのか」

 傷ついた花村は、側にいる主水の足をがっちり掴み込んだ。

 

「どうじゃ、私の電子心臓はやがて爆発しよう。貴様も道連れじゃ」

 

 主水は、自らの剣を、花村の死体から引き抜こうとしたが、外れ

ぬ。小刀も失っていた。花村を両手で叩くが動かぬ。

 

 最後の手段だった。主水は自らの右手で、しがみつかれている自ら両

足を叩き折った。

 「くわっ」自らの足をそのまま残し、体を回転し逃れる。

 

 直後、花村の休は爆発する。傷だらけの主水が転がった後には、

花村の残滓が空から散らばり降りて来る。

 

しばらくの間、動くものはなかった。

 二つの影が、主水の残った体を抱いた。

 

 「山本どの、すまぬ。知恵もすまぬ」

 

(続く)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

 http://www.yamada-kikaku.com/

http://9vae.com http://visitjapan.info

youtube manga_training

ロボサムライ駆ける■第43回機械城へなだれ込んだ反乱群だが、花村一去を頭とするロボ忍群が待ち構える。ロボに必要な生命液工場壊滅など機械城の仕掛けがロボ反乱群を襲う。

RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n2492db/44/

 

ロボサムライ駆ける■第43回機械城へなだれ込んだ反乱群だが、花村一去を頭とするロボ忍群が待ち構える。ロボに必要な生命液工場壊滅など機械城の仕掛けがロボ反乱群を襲う。
 

ロボサムライ駆ける■第43回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

http://9vae.com http://visitjapan.info

youtube manga_training

 

■第五章 機械城(6)

「ともかく、一隊は大天守閣へ向かうのじゃ」

 天守の城眼から、数百の弓矢が放たれた。力士ロボットたちが、

その銃眼を目指し、城壁を欠き砕き、石を投げ付ける。

「我々にとって必要なものを手に入れておかねはなりませんな」

主水がいった。

「生命液と洗浄液でござるよ」

「そうじゃ、それを忘れておった。おーいい、知恵」

「何だい、山本様」

「お前、城内ののこと、ある程度わかつていよう」

「そうだよ」

「生命液タンクは、そして生命液製造工場はどこにある」

「小天守閣の地下に埋め込まれているさ」

しかし、知恵はあとをつづけた。

「でも、気をつけなきやね」

「何ゆえに」

「ロボ忍たちがいるよ。それにどうも、城のあちこちに仕掛けが

あるような気がしてね」

 主水たちは、抵抗する城の護衛ロボットを倒しながら、小天守

の下にある牢獄にたどり着いていた。

 

 何ごとが起こったのか、不審に思っている閉じ込められていたロ

ボットたちが、こちらの様子を見ていた。

 「皆々様、お助けに参りましたぞ」獄内に歓声が上がる。

 「お前さん方は」一人が尋ねる。

 「我々は反乱ロボットの群れ。都市連合に対して反乱を起こしまし

た」

「おお、そうか。外からの騒ぎは聞こえできていたのだが、何か起

こったのかわからずにいた」

「牢獄を解き放ちますので、皆様どうぞご助力のほどをに

「おお、わかり申した」

「どなたか、生命液のタンクの場所をご存じないか」

「生命液のタンクヘの、秘密の入り口がわからないのでござる」

 主水が言葉を継いだ。

「おっ、しっとるぞ」ひとりの老人が手をあげていた。

「助かりました。それでは後、お願い申す」

 すぐさま、激戦のため、主水と山本は上にあがる。

「ご老人、ご案内お願い申す」残ったロボットが頼んだ。

 工場の天井から、大きなガラス球が数限りなく続いてぶら下がっ

ている。まるで葡萄の房だった。

「これだけあれば、我々は大分長い間人間と戦えるぞ」

 数十人の反乱ロボットたちは、上を見回しながら、工場の中へ

入って行く。

「ふふっ、お主たちの命が続けばな」

牢獄から案内してきた男がつぶやいた。

「何だと」

「ふふっ、冥土への土産に見ておけ」

「貴様」

 

「言わずと知れたロボ忍よ。草として牢獄に入っておったわ」

 

 瞬間、その男は隠されていたスイッチを押した。あたりは一瞬

真っ暗になる、

 同時に、生命球がすべて反乱ロボットへ落下した。生命液工

場は壊滅した。

 地下は生命液で水浸しとなる。

 

天守から大天守り回廊へ入った一団は、回廊に閉じ込められて

いた。

 いくつかの節点でシャッターが落下してきたのだ。袋の鼠となっ

ていた。

腕自慢のロボットたちでも、少しもその扉を勣かすことが

できないでいた。まるで石の壁であるかのように、びくともしない

のだ。石の壁はやがて彼の方へ勤いてくる。

「くそっ、奴ら、我々の力をあわ廿、奴らに眼にものを見せてくれ

ん」

「それはどうかのう」ロボ忍だった。

「おまえたちが壁にて、つぶれるのをゆうくりとお待ち致そうぞ」

「何くそ」

ばりばりと反乱ロボヅトたちの体は解体した。

 

一方、大天守閣の吹き抜けに入ったロボットたちは、拍子抜けした。

何もないのだ。

 機械城大天守閣を飾っていた大仏は、先刻の主水との戦いで敗れ

ていた。

 ただ、フロアの中央から直径三メーートルほどの球形の棒が突

出していた。棒は七色に輝いている。

 「これはI体なんだ」

 ロボットたちは、それに近づいて行く。

 「ふふう、よく来たのう。反乱軍の諸君」

 三階のデッキからロボ忍の一人が見下ろしていた。

「貴様、何者だ」

「お前もロボットなら、なぜ我らの味方をせぬ」

「申し遅れた。我輩は花村一去。ロボ忍の頭目だ」

「ここで何しでおる」

「皆様に挨拶しておこうど思ってな。ただし、冥土の挨拶だよ」

「何だと」

花村一去は、素早く背後のドアに隠れた。

 球形のボールから放電される。吹き抜けの空洞自体が電気の放電

ボックス化していた。

城門よりも高出力の10万ボルトの電気が放電されていた。

 

(続く)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

 http://www.yamada-kikaku.com/http://www.yamada-kikaku.com/

http://9vae.com http://visitjapan.info

youtube manga_training