yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

ガーディアンルポ01「最終列車」■第12回

ガーディアンルポ01「最終列車」■第12回
(1979年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
http://ameblo.jp/yamadabook/
ガーディアンルポ01「最終列車」■第12回

サイトウは、彼が落胆のゆえに気が狂ったのではないかと危む。
「どうしたんだ、イヌイ」
「ははっ、すまない。サイトウ。私はついに遣り遂げたんだよ、この作戦をね」
「この作戦?」
「そう、おとり作戦をね」 ’
「それじゃ、あのJは」
「偽物だ。これは地球連邦上層部の一部のものしか知らない。Jは別ルートで地球を説出した」
イヌイは笑い続ける。人々は驚きつつも、ほっとした様子だ。
「別のルートだって」
イヌイは少し考えて、小声で言った。

「ああ、君ならしゃべってもいいだろう。ロワタウエル宇宙港から小型輸送船イーグル号
で々。大周遊コースをとってオメガヘ向かっているはずだ」

 サイトウもイヌイの笑いにつられて、笑い始めた。いや、そう見えるだろう。しかしサ
イトウが笑っているのには、別の意味があったからだ。
 あのJが偽物だと判明し、さらにJの脱出ルートもわかったからだ。
サイトウは頭の中に埋め込まれた特別通信機でひそかに本部へ連絡をとった。
 サイトウが列車内でなぜ、ROW探査機に感応しなかったか。
それはサイトウの体が地球人のもので、その体に、ROWの意識が移植されていたからだ。
「ところで、僕の隣にいたばあさんを知らないかい。姿が見えないようだが」
「あ、あの大東亜戦争のぱあさんかい。騎馬団に襲われた時、槍に突かれて死んだよ」
「そうか」
「知り合いかい」
「いや、私のいい相棒だったんだよ、彼女は」
ただちに乗客をもとの時代に帰すための準備が始められた。

ガーディアンルポ1終わり(ガーディアンルポ2に続く)
■ガーディアンルポ1「最終列車」■第12回
(1979年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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