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山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

源義経黄金伝説■第37回 静やかに、精密なる動きにて北条家からなる弓兵隊が頼朝の動 きに合わせ、競技場の各所から、西行1人に向けて、その 鏃を向かわせた。

 
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
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源義経黄金伝説■第37回 静やかに、精密なる動きにて北条家からなる弓兵隊が頼朝の動 きに合わせ、競技場の各所から、西行1人に向けて、その 鏃を向かわせた。
 

源義経黄金伝説■第37回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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■「そこまでとされよ」

大江広元が叫んでいた。これ以上の醜態を、ご家人ども

の前では見せられぬ。

「皆の方々、おわかりであろう。西行殿、秀郷流武芸は、

ここ板東で発生し、京都にいっても不滅である。その西

行殿の腕を頼朝様は、しめされた。無論、どちらも相手を

射殺す事はない」

しかし、道に落ち足る源頼朝は、たちあがり、そばに落ちてい

る弓矢をそれぞれ拾い上げた、

矢をつがえ、馬上の西行に向けた。

西行もしかたなく三の矢を頼源朝に。

静かに、精密なる動きにて北条家からなる近衛の弓兵隊が頼朝の動

きに合わせ、競技場の各所から、西行1人に向けて、その

鏃を向かわせた。

頼朝の弓が、西行をねらう、そして、西行もゆっくり

と、的を頼朝にしぼった。

西行は思った。

(よいのか、頼朝殿、私をまた、藤原秀郷にしたいか)

藤原秀郷は、平将門の額を打ち抜いている。それをもっ

て、平将門の乱(935年から940年)は終わり、最初の板

東独立国はついえたのだ。

そして 藤原秀郷は、鎮守府将軍となり、武家の尊敬を

あつめた。秀郷はそのとき、64歳だった。

競技場は沈まりかえっている。誰一人動こうとはしない。

「おまち下され」全員がその声の主を見た。

頼朝の妻、北条政子だった。

土壇上部から、叫んでいた。

「皆さま方も弓をさげられよ」

そばには、政子と頼朝の娘大姫がうつろなる表情で、たくましき母

親の様子をかいま見ている。

西行殿を、頼朝殿ではなき射手が、多勢にて射るは卑怯でござ

いましょう。武門の名折れ。

我が夫、頼朝殿の武門の名前をあげるとき。

大殿、頼朝殿に恥をかかせてはなり

ません。みなさま方、さ、弓をおさげれませ」

「そうだ、皆の者、弓をさげよ」傍の舅の北条時政が、和した。

東武者は、武威を好む。武家の棟梁とと仰ぐ頼朝が、

その武威を見せねばならない。

と北条家はいうのだ。

北条の弓手隊は、下がり弓を下ろした。

源頼朝の妻、北条政子は続ける。

「そもそも、西行様はお客人。まして板東武者の端源、

藤原秀郷殿の腕目を、武人のみなさまにお見せするために、こ

こ御矢山に来ていただいております。頼朝殿はその座興に的になられた

のでございます。いかに頼朝殿が武芸の達人といえど、秀郷流に

はかないませぬ。これは我々坂東武者が一体となれりて

、奥州をせめんがための座興でございます。我々が油断せず、平泉

を攻めるがため」

北条政子は言葉を継いだ。

「先の。保元の乱以来、親子、兄弟合い争うは、この世の常

です。我々が仲間割れせず、平家を南海にしずめ、先に

は白川の関を越え、奥州をうつは間近でございましょう。

義経殿は、我が夫、頼朝殿や、ここにおられる坂東の皆様方への

ご恩を忘れ、平泉に逃げ込み、我々をねらうと聞き及びます。

坂東をまた、いずれかの支配の地におきたいか。あるいは

我らがみづからの主人となるか。

これは我々の宿願でございましょう。

我々、板東が勝つか、平泉が勝利するかは、それは皆様の

お力や、お働きによりましょう。

我々坂東の者も、また奥州の砂金をもって、京に行き、

後白河法皇様に閲覧に拝し、南都の大仏殿も再建しようではございませんか。

さすれば、京の貴族たちも、我々、板東武士の意向に、はむかう事

は不可能でございましょう」

政子の傍に控えている、父親北条時政は、弁達の我が娘に

向け、うっすうら笑いをこらえている。

競技場にいる源頼朝が、矢を下ろして、政子の言葉に続けた。

いかんせん、熱くなりすぎたぞ。今は。政子に助けられた

か。ここが潮時。如何に納得させるかだ。

西行殿と、奥州の砂金を京都に送り返すは、我々鎌倉の誠意と

実力をみせんがためぞ。板東の武家の方々、、そして、源

氏、我が北条家の方々、坂東名家の方々、心して聞かれませよ。

この日本を、これから、世を動かすは、我々坂東武士ぞ」

西行が、頼朝の演説を途中で止めた

「でものう、源頼朝様、この競技場の周りの様子、そしてあの音を

聞かれよ」

やっと、か。

十蔵殿め、時間がかっかったな。

聴いたことのない地鳴りが、競技場にすこしづつ響いてきている。

「なに、これはいったい」

業腹の武士たちも、あたりの異音にきづき、騒ぎ出す。

御矢山の山奥から、、その近在の山腹からも、人々の気配

と異音が津波のように押し寄せてくるのだ。

目指すは、どうやらこの御矢山競技場。

御矢山神社参道や周囲にいた、道道の輩も、自らの仕事場

所を打ち捨てて、競技場周りに集まりつつうあった。

この人間達を北条家の護衛兵が押しとどめようとするが、

多勢に無勢である。

「京には貴族がおらえる、板東には武士、しかしなが

ら、いにしえより、大和地方で今の京の王朝が、成立する

前に、民がいた。この日本の各地、国々に、京の意向

、お主ら武士にも承伏できぬ民草たみくさがおられる。

この方々との縁も、この西行はもっておる。その方々が、この西行

助けようとされておる。さあて、如何なさるぞ、頼朝殿」

道々の輩である。西行はこの人々とつながっている。

続く20210920改訂

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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