yamada-kikaku’s blog(小説ブログ)

山田企画事務所のペンネーム飛鳥京香の小説ブログです。

封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第4回

●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第4回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yama-kikaku.com/

●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第4回

■4−1
北の詩人は、目ざめた。
あるいは 意識が戻ったという方がいいのだろうか。
とにかく、その時、彼はユニコーンの背中にのっていた。
 突然、どこかの世界から、この世界へ転移されたような気分だった。
 ユニコーンの背中の乗りごこちは気持よく、首すじの毛をそっとさわっ
てみる。
ぞくっとする。
何とやわらかな手ざわり々のだろう。北の詩人は、ユニコーンに言った。
「さあ、ユニコーン、行っておくれ、君の望む方向に」
なぜ、この生物がユニコーンという名前なのか、とにかく、詩人の口を
通じて出た最初の言葉だった。
目のの前に、別のユニコーンがこちらを見ていた。そのユニコーンは、
詩人が乗っているユニコーンとは異なっていて、
悪意というものが感じられた。
北の詩人の詩人には、その前のユニコーンのコードネームが
、新機類「ルウ502」であり、ハーモナイザーの観察機械、というイメージが
浮かび上がってくる。しかし、意味事態は、北の詩人には、コードしてしかわからない。その
言葉の意味は理解できなかった。

その、悪意を持つ「ユニコーン」は、背後から急速に接近してきたゴーストトレインには
じきとばされた。
ゴーストトレインは、倒れたユニコーンの側へもどってきて、死体を
確かめ、ユニコーンをうまそうに食べ始めた。
その姿に、北の詩人は思わず顔をそむけた。

どれくらい、時がたったのだろう。
北の詩人は、暗い鉄表で被われた大球の上をユニコーンと一緒に移動し、やがて、一つの穴の前にたった。その穴は、空間にのびていて、どうやら小球という大球の衛星へと続く道の様々のだ。コードだった。
 北の詩人とユニコーンは、その穴へと人っていった。
なぜ自分がここを歩いているのか自分自身でも理解していなかった。
 記憶なのだろうか、北の詩人の心を激しくとらえたのは、ユニコーンが、ゴース
トトレインの餌食となったのをながめた瞬間の、胸をしめつける感覚なのだ。

 その視覚イメージに触発されて、詩人の頭の内で何かが爆発し、言葉とい
う古い記号が、自分自身のイメージ脳の泉から湧きあがってくるのを感じていた。

 さらに奇妙なのは、詩人の情感が何かわけのわからない巨大々存在に扱い
取られているような気がすることであった。
 北の詩人はイメージする。

 私は何かの感覚の末端であり、情報を、視覚と、それから誘発される言語
記号で巨大なものに伝えているだけの存在ではないだろうか。

 空気というものが、濃密にたまり、流れ、それが風という記号で呼ば
れている事を、詩人は思い出していた。
 風は、詩人が行くべき方向を示しているようでもあった。
 地下道は、血脈のようなもので被われていて、天井には、その血脈から派生し
た網もはりめぐらされている。
 詩人はユニコーンに言った。
「さあ、風の吹いてくる方向に向かっておくれ」

 ユニコーンと北の詩人は、「大球」と結ばれている「小球」への道を歩み始めていた。
(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第4回●(1987年作品) 
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
http://ameblo.jp/yamadabook